「女性活躍推進法って聞いたことあるけど、実際何をすればよいの?」「女性採用をすることで、国から支援施策など何があるのかな」そう思われた経験はありませんか?
この記事では、女性活躍推進法とはどのような法律か、また企業の採用担当として知っておくべき女性活躍推進法が規定する企業への取り組みや5つのポイント、女性活躍推進法に対応することのメリット、企業の取り組み事例についてを紹介します。
CONTENTS
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1|女性活躍推進法とは? |
女性活躍推進法(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の略称)は、女性が職場において活躍できる社会を実現させるために定められた法律です。2016年4月1日に施行され、10年間の時限立法(有効期間が定められた法令のこと)として施行されました。
この法律の特徴としては、国が企業に対して、女性が働きやすい環境を整えられているのかの現状把握や、女性活躍を促すための目標や計画の報告を義務づけているという点にあります。
2021年1月時点において、その報告を義務づけられているのは従業員(正社員だけでなく、1年以上継続雇用されている契約社員やパートを含む)規模が301名以上の中堅~大手企業です。
2|女性活躍推進法が企業に与える影響 |
女性活躍推進法は、企業にとって大きな影響を与える法律であり、女性社員の活躍を促進するための具体的な措置が求められています。法改正に伴い、企業にはこれまで以上に女性の活躍を支援する体制を整えることが求められており、適切な対応をしなければ法的なリスクや社会的な評価の低下につながる可能性もあります。
ここでは、女性活躍推進法が企業にどのような影響を与え、企業担当者が具体的にどのような措置を取るべきかに焦点を当て、実務的なアプローチを提案します。
女性活躍推進法が企業に与える影響を具体的に説明すると、以下の点が挙げられます。
1. 企業が取り組むべき具体的な措置 2. 数値目標の設定と報告義務 3. 女性活躍推進に向けた組織改革と意識改革 4.法改正に対応した迅速なアクション |
(1)|企業が取り組むべき具体的な措置 |
女性活躍推進法に基づき、企業は女性社員の活躍を推進するためにさまざまな施策を実施する必要があります。主な措置として、以下のような点が挙げられます。
a. 女性社員の登用と昇進の推進
企業は女性社員が管理職やリーダー職に登用されるよう、昇進・昇格の機会を提供する必要があります。企業内での男女平等を実現するため、昇進基準や評価制度を見直し、女性も同様にキャリアアップの機会を得られるようにすることが求められます。
b. 育児休業後の職場復帰支援
育児休業後の復職を促進するため、柔軟な勤務時間制度やテレワーク制度など、働き方の多様化を進めることが重要です。企業は、復職支援の体制を整備し、特に育児と仕事の両立がしやすい環境を提供することが求められます。
c. 性別に基づく賃金格差の解消
女性と男性の間に賃金格差が生じないよう、給与体系を見直し、性別に関係なく公平な待遇を実現することが必要です。企業は賃金データを定期的にチェックし、問題があれば是正する取り組みを行わなければなりません。
(2)|数値目標の設定と報告義務 |
女性活躍推進法では、企業に対して女性の活躍状況を数値で示すことが義務付けられています。具体的には、企業は以下の数値目標を設定し、定期的に進捗状況を報告する必要があります。
a. 女性の管理職比率の目標設定
企業は、一定期間内に達成するべき女性の管理職比率の目標を設定することが求められます。例えば、管理職に占める女性の割合を10%から20%に引き上げるといった目標を掲げ、その進捗を報告します。
b. 育児休業取得率の向上
育児休業を取得した社員の復職率や取得率なども数値化され、改善を目指すことが重要です。企業はこれらのデータを公開し、目標達成に向けた取り組みを進めなければなりません。
c. 女性の年収格差の是正
男女間の年収格差を縮小するために、企業はそのデータを透明にし、改善策を打ち出す必要があります。
(3)|女性活躍推進に向けた組織改革と意識改革 |
女性活躍推進法が企業に与える影響は、法的な対応にとどまらず、組織全体の意識改革にも及びます。企業が女性活躍を進めるためには、単に制度面での対応だけでなく、社内文化や組織の価値観の見直しも求められます。
a. 組織文化の改革
女性が活躍しやすい職場環境を作るためには、男女間の偏見をなくす文化を築く必要があります。性別によるステレオタイプを排除し、能力や成果に基づいた評価を行う文化を浸透させることが求められます。
b. 意識改革の推進
企業の経営層や管理職が積極的に女性活躍の重要性を認識し、その実現に向けた取り組みをサポートする姿勢を示すことが大切です。社内で女性活躍推進に向けた意識改革のための研修やワークショップを開催することも有効です。
(4)|法改正に対応した迅速なアクション |
女性活躍推進法はその内容が時折改正されるため、企業は常に最新の法令を把握し、それに対応する必要があります。法改正に伴う新たな義務が生じた場合、企業担当者は迅速に対応策を講じ、社内体制を整備しなければなりません。たとえば、女性活躍推進法の改正により、企業には新たに義務化された報告内容が追加されることがあります。その際には、企業内でのデータ収集や報告体制の強化が求められます。
3|女性活躍推進法で企業に求められる取り組み |
企業に求められる義務的取り組みは、「一般事業主行動計画の策定・届出」と「女性活躍に関する情報の公表義務」です。それでは、具体的に企業はどのようなことを行うべきなのかみていきましょう。
(1)|一般事業主行動計画 |
一般事業主行動計画とは、次世代育成支援対策推進法に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を促進するための雇用環境整備を行うための計画です。計画には、子育て中でない従業員を含めた多様な労働条件の整備も含まれます。
参考:「一般事業主行動計画の策定・届出等について」- 厚生労働省ホームページ
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(2)|一般事業主行動計画を策定するステップ |
STEP1 自社における女性の活躍状況をデータで把握し、課題を明確化する
一般事業主行動計画の策定にあたっては、まず自社における女性の活躍状況をデータ上で把握し、改善すべき課題がないか把握する必要があります。
把握しなければならない基礎4項目 |
① 採用した労働者に占める女性労働者の割合(区)
② 男女の平均継続勤務年数の差異(区) ③ 労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況 ④ 管理職に占める女性労働者の割合 |
※(区)の表示のある項目については、雇用管理区分ごとに把握を行うことが必要
「雇用管理区分」・・・職種、資格、雇用形態、就業形態等の労働者の区分であって、当該区分に属している労働者に
ついて他の区分に属している労働者と、従事する職務内容、人事異動(転勤、昇進、昇格を含む)の幅や頻度におい
て異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているものをいう。
(例:総合職、一般職 / 事務職、技術職、専門職 / 正社員、契約社員、パートタイム労働者 など)
一般事業主行動計画の策定については、厚生労働省が策定をサポートする「行動計画策定支援ツール」を設けています。
STEP2 女性活躍促進のための行動計画を策定する
状況把握と課題分析の結果を踏まえて、行動計画を策定していきます。
行動計画において定める項目 |
① 計画期間
② 数値目標(「●%以上」「●人以上」といった具体的な数値が必要) ③ 取り組み内容 ④ 取り組みの実施時期 |
STEP3 行動計画の社内公表・届出
策定した行動計画は、社内に周知を行った上で、社外に向けて公表することを義務づけられています。
社内周知の方法 | 社外公表の方法 |
・事業所の見やすい場所への掲示 ・電子メールでの送付 ・イントラネット(企業内ネットワーク)への掲載など ・書面での配布 |
・厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載 ・自社のホームページへの掲載 など |
参考:一般事業主行動計画を 策定しましょう - 厚生労働省資料
女性活躍推進法の行動計画について詳しくまとめた記事はこちら |
一般事業主行動計画とは?策定のメリットや届出方法、情報公表の流れを解説! |
(3)|情報公表 |
一般事業主行動計画の策定に加えて、自社の女性活躍に関する情報を公表することも義務づけられています。
① 情報公表の流れ
STEP1 14項目の中から自社に合った1項目以上を選んで情報公開する
情報公開14項目 |
1.採用
・採用した労働者に占める女性労働者の割合(区) ・男女別の採用における競争倍率(区) ・労働者に占める女性労働者の割合 (区)(派) 2.継続就業・働き方改革 ・男女の平均継続勤務年数の差異 ・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合 ・男女別の育児休業取得率(区) ・労働者の一月当たりの平均残業時間 ・労働者の一月当たりの平均残業時間 (区)(派) ・有給休暇取得率 3.評価・登用 ・係長級にある者に占める女性労働者の割合 ・管理職に占める女性労働者の割合 ・役員に占める女性の割合 4.再チャレンジ(多様なキャリアコース) ・男女別の職種又は雇用形態の転換実績 (区)(派:雇入れの実績) ・男女別の再雇用又は中途採用の実績 |
※(派)の表示のある項目については、労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、派遣労働者を含めて公表を行うことが必要。
STEP2 選択した項目について自社の情報を算出する
STEP3 厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース※」や、自社ホームページ等インターネット上などに掲載(公表日を明記する)
※女性の活躍推進企業データベース - 厚生労働省ホームページ
STEP4 掲載したデータは、少なくとも年1回は更新が義務づけられている
参考:一般事業主行動計画を 策定しましょう - 厚生労働省資料
女性活躍推進法の行動計画について詳しくまとめた記事はこちら |
【 2022年4月女性活躍推進法改正 】一般事業主行動計画についてわかりやすく解説! |
4|女性活躍推進法の改正ポイント |

女性活躍推進法は定期的に改正され、企業の対応が求められています。主な改正ポイントとして、以下の3つが挙げられます。
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報告義務の強化
企業は女性活躍推進に関する数値データを報告する義務が強化され、特に管理職に占める女性の割合や育児休業取得率の詳細なデータ提供が求められます。 -
目標設定の明確化
企業は女性活躍推進の具体的な数値目標を設定し、その達成に向けた進捗報告が義務化されています。これにより、計画的な取り組みが促進されます。 -
計画の公表義務
「一般事業主行動計画」の策定後、社内外にその内容を公表する義務が定められており、企業の透明性が一層重視されています。
これらの改正により、企業は女性活躍推進をより積極的に取り組むことが求められ、法令遵守だけでなく、社会的責任を果たす重要な段階となります。
5|女性活躍推進企業への国の取り組みと支援策 |
女性活躍を推進する企業に対して、国はさまざまな支援策を提供しています。代表的な支援策は以下の通りです。
(1)|女性活躍推進の助成金|両立支援等助成金制度 |
この助成金は、仕事と家庭の両立支援や女性の採用・活躍推進に取り組む企業に支給されるものです。
② 中小企業向けの助成金|女性活躍加速化コース
中小企業向けに「女性活躍加速化コース」があり、女性の採用・登用・教育訓練等の目標を達成すると助成金が支給されます。支給額は最大47.5万円(生産性要件を満たした場合、最大60万円)です。
目標区分 | 支給額 | 支給条件 |
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参考:両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)について - 厚生労働省資料
参考:『両立支援等助成金ページ』- 厚生労働省ホームページ
(2)|女性活躍推進の認定マーク|「くるみん」「えるぼし」 |
女性活躍推進やワークライフバランスを推進する企業には、厚生労働省から認定マークが授与され、さまざまなメリットがあります。
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えるぼし
女性活躍に関する取り組みが優良な企業は、「えるぼしマーク」の認定を受けられます。申請を通じて、公共調達や低金利融資などのメリットがあります。 -
くるみん
子育て支援に積極的な企業には、「くるみんマーク」が与えられます。また、高い水準で子育て支援を行っている企業は「プラチナくるみんマーク」の認定を受けられます。
認定マークを取得することで、企業イメージの向上や優秀な人材の採用につながります。
えるぼし・くるみん認定についてさらに詳しく読む |
(3)|「女性の活躍推進企業データベース」の運営 |
厚生労働省は、女性活躍を推進する企業の情報を公開する「女性の活躍推進企業データベース」を運営しています。企業は自社の取り組み状況を掲載し、求職者や学生に向けた訴求の場として利用できます。このサイトでは、他社の取り組み事例も確認でき、女性活躍推進に向けた参考になります。
参考:女性の活躍推進企業データベース - 厚生労働省ホームページ
(4)|管理職採用における女性限定採用の条件変更 |
これまで、管理職の採用で女性のみを対象とする特例が適用されていましたが、今後は、係長・課長・部長等の役職ごとに、女性の割合が4割を下回る場合に女性限定採用が認められるようになりました。これにより、より広範な職務で女性活躍推進が進みます。
女性管理職の比率を上げるために企業がやるべきことを詳しくまとめた記事を読む |
6|女性活躍推進を浸透させるのためのポイント |

(1)|社内の意識改革の実施 |
女性が活躍できる環境づくりには、まず社内の意識改革が欠かせません。これには「会社全体」「女性社員自身」「男性管理職」の3つの視点からのアプローチが求められます。
① 会社全体の意識改革
女性のキャリアアップを支援するためには、女性管理職の増加や働きやすい環境の整備が不可欠です。まずは企業全体で、女性社員がキャリアアップを希望しやすい環境を作りましょう。また、管理職における女性の割合が低い場合、その原因を分析し、必要な施策を講じることが重要です。
② 女性社員の意識改革
多くの女性が「管理職にはなりたくない」と考える背景には、「責任が重い」「自分には向いていない」といった理由があります。これに対し、女性社員の意識改革を進めることが求められます。具体的には、管理職の魅力やキャリアアップのメリットを伝え、自己評価を高めるサポートを行いましょう。
<具体的な取り組み例> ・管理職の仕事内容ややりがい、必要なスキルを積極的に紹介 ・キャリアアップに必要な研修を提供 ・定期的にフィードバックを行い、自己認識を深める ・男女問わず、管理職候補者を早期に見つけ、選択肢を提供 |
③ 男性管理職の意識改革
女性は本当に管理職になりたくないのか【前編】- PRESIDENT WOMANの調査によると、男性管理職の多くは女性管理職を増やすための施策に対して消極的であることがわかっています。男性管理職の意識改革が進まなければ、女性活躍の推進は実現しません。男性管理職に対する研修や意識付けを強化し、ジェンダー平等の重要性を共有することが必要です。
<具体的な取り組み例> ・男性管理職に対して女性活躍推進の重要性を伝え、意識改革を促進 ・男女問わず、管理職を目指す社員に対する教育・訓練を実施 ・昇進や評価の際に性別による差別がないよう意識的に配慮 |
(2)|女性が多様なキャリアを選択できる仕組みづくり |
<具体的な取り組み例>
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(3)|女性社員の状況や想いを理解し、メンタルヘルスケアを実施 |
7|まとめ |
女性活躍推進法とは、女性が職場で活躍できる社会の実現のために定められた法律のことで、少子高齢化による働き手不足の深刻化によって注目されるようになりました。
企業が女性活躍推進法に取り組むと、働きやすい環境の構築につながり、応募者が増えたり、従業員の定着率が向上したりする効果が期待できます。
社内の意識改革や女性社員向けの教育・研修を実施し、女性が活躍できる職場環境を作っていきましょう。
監修者プロフィール![]() 小林 佳代子 新卒で(株)キャリアデザインセンター入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。働く20代向けオウンドメディアの立ち上げ、女性向けwebマガジン『woman type』の編集長を経て2018年『女の転職type』編集長に就任。
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著者プロフィール

ブログ編集部
「エンジニア採用情報お届けブログ」「女性採用情報お届けブログ」「中途採用情報お届けブログ」は、株式会社キャリアデザインセンター メディア情報事業部「type」「女の転職type」が運営する採用担当者様向けのブログです。構成メンバーは、長年「type」「女の転職type」を通して様々な業界の企業様の中途採用をご支援してきたメンバーになります。本ブログを通して、多くの企業様の中途採用にお役立てできるよう情報発信してまいります。
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