
一般事業主行動計画とは、企業が雇用環境や多様な労働条件を整備するにあたり、期間や目標などを定めた計画のことです。常時雇用する労働者数が101人以上の企業には、行動計画の策定や公表が義務付けられています。
日本においては、まだまだ⼥性の⼒が⼗分に発揮できているとはいえない状況です。一般事業主行動計画の策定は、女性活躍の推進につながる取り組みであり、優秀な人材の採用成功や定着率の向上なども期待できるでしょう。
今回の記事では、一般事業主行動計画の内容と策定ステップ、関係する認定制度についてわかりやすくご紹介します。
| この記事でわかる事 |
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CONTENTS |
1|一般事業主⾏動計画とは |
一般事業主行動計画とは、次世代育成支援対策推進法に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るために、雇用環境や多様な労働条件の整備などに取り組むにあたり、期間や目標、対策などを定めた計画のことです。
常時雇用する労働者数が101人以上の企業には、行動計画の策定と関係省庁への届出、内容の公表・周知が義務付けられています。法律に基づいて行動計画を策定・公表・実施し、一定の要件を満たした企業は、厚生労働大臣から「くるみん認定」を受けることができます。
適切な計画の運用により、ワークライフバランスの向上や、誰もが働きやすい職場環境の構築への貢献が期待されています。
| 💡ダイバーシティ&インクルージョンに関連する記事はこちら |
2|女性活躍推進法について |
女性活躍推進法は、女性が職場において活躍できる社会を実現させるために定められた法律です。2016年4月1日に10年間の時限立法(有効期間が定められた法令のこと)として施行され、法改正によって2036年3月31日までに延長されました。
国が企業に対して、女性が働きやすい環境を整備できているかの現状把握や、女性活躍を促すための目標や計画の報告を義務付けている点が特徴です。
女性活躍推進法については、下記の記事で詳しくご紹介しています。
| 💡女性活躍推進法の内容と浸透させるポイントについて詳しい記事はこちら |
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3|一般事業主⾏動計画の策定ステップ |

一般事業主行動計画は、従業員101人以上の企業に策定や公表などが義務付けられています。法律違反にならないためにも、適切に対応していきましょう。
一般事業主⾏動計画の4つの策定ステップについて、それぞれ解説していきます。
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参考:厚生労働省「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」
3-1.⼥性の活躍に関する状況把握・課題分析 |
まずは、基礎項目(必ず把握すべき項目)で自社の⼥性活躍の状況を把握する必要があります。
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【基礎5項目】 1.採用した労働者に占める⼥性労働者の割合(区) 2.男⼥の平均継続勤務年数の差異(区) 3.労働者の各⽉ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況 4.管理職に占める⼥性労働者の割合 5.男女間賃金差異(全・正・パ有) |
※(区):雇用管理区分ごとに把握が必要
※(全・正・パ有):「全労働者」「正規雇用労働者」、パート・有期社員の「非正規雇用労働者」の3区分での把握が必要
基礎項目に加え、自社の実情によって状況把握することが効果的な選択項目もあります。例えば、「男女別の採用における競争倍率」や「有給休暇取得率」などです。
なお、ほかに適切な状況把握の項目や課題分析の方法がある場合は、より深く課題分析をするために当該項目や方法を取り入れることも望ましいです。
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【行動計画に必要な項目】 1.計画期間 2.数値目標 3.取組内容 4.取組の実施時期 |
行動計画の策定の際には、男⼥雇用機会均等法に違反する内容とならないように注意しましょう。例えば、募集・採用・配置・昇進等において⼥性労働者を男性労働者より優先的に扱う取り組みの場合、雇用管理区分ごとにみて⼥性が4割を下回っている等の一定のケース以外は、法違反として禁止されています。
また、女性の健康支援に取り組むことも望ましいです。「生理休暇を取得しやすい環境の整備」など、女性の健康に関する取り組みも行うと、女性の働きやすさが向上して女性活躍のさらなる推進につながります。
厚生労働省の「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」より、一般事業主行動計画の策定例を以下に示しましたので、ご参考にしてください。
一般事業主⾏動計画の策定例①(常時雇用する労働者数が301人以上の事業主の場合)
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一般事業主⾏動計画の策定例②(常時雇用する労働者数が300人以下の事業主の場合)
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(2)社内周知・公表
策定・変更した一般事業主行動計画は、労働者への周知と外部への公表を行います。
| (非正社員を含めた全ての)労働者への周知 | 外部への公表 |
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・事業所の⾒やすい場所への掲示 |
・厚⽣労働省が運営する「⼥性の活躍推進企業データベース」への掲載 ・自社ホームページへの掲載 など |
3-3.一般事業主⾏動計画を策定した旨の届出 |
⾏動計画を策定・変更したら、管轄の都道府県労働局に電子申請か郵送、持参によって届け出ます。
届出用紙は、厚⽣労働省ホームページに掲載されています。「一般事業主⾏動計画策定・変更届」を使用しますが、省令第1条に定める必要事項が記載されていれば、ほかの様式による届出でも有効です。
なお、次世代育成支援対策推進法に基づく⾏動計画と一体的に⾏動計画を策定した場合は、「一般事業主⾏動計画策定・変更届 次世代法・⼥性活躍推進法一体型」を使用して届出ます。
3-4.取り組みの実施と効果測定 |
策定した一般事業主行動計画に基づいて、定期的に数値目標の達成状況や取り組みの実施状況を確認し、効果を測定しましょう。
また、女性の活躍に関する情報公表も企業に義務化されています。学⽣をはじめとした求職者等が容易に閲覧できるように、年1回以上、厚⽣労働省が運営する「⼥性の活躍推進企業データベース」もしくは自社ホームページへの情報公表が必要です。
公表する情報は、その時点で得られる最新の数値(特段の事情がない限り、古くとも公表時点の前々年度の数値)が求められます。
情報公表の内容については、次の「一般事業主行動計画の企業規模別で異なる義務」で解説します。
4|一般事業主行動計画の企業規模別で異なる義務 |
一般事業主行動計画は、企業規模別で義務の内容が異なります。具体的には、「数値目標」と「情報公表」に関して違いがあるため注意が必要です。
企業規模別に、共通する義務と異なる義務を表にまとめました。
| 常時雇用する労働者数が 301人以上の事業主 |
常時雇用する労働者数が 101人以上300人以下の事業主 |
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1 |
自社の⼥性の活躍に関する状況把握、課題分析 |
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2 |
数値目標に関する区分①②から各1項目以上を選択し、計2項目以上の⾏動計画の策定と周知・公表 |
数値目標に関する区分①②から1項目以上の数値目標を定めた⾏動計画の策定と周知・公表 |
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3 |
⾏動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出 |
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4 |
男女間賃金差異、女性管理職比率と、⼥性の活躍に関する区分①②から各1項目以上を選択し、計4項目以上の情報公表 |
男女間賃金差異、女性管理職比率と、⼥性の活躍に関する区分①②から1項目以上を選択し、計3項目以上の情報公表 |
※常時雇用する労働者数が100人以下の事業主は、上表「101人以上300人以下」の内容が努⼒義務(4については1項目以上の公表が努力義務)
数値目標に関する項目(区分①②)と女性活躍に関する項目(区分①②)は、下記のとおりです。
▼数値目標に関する項目
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①⼥性労働者に対する職業⽣活に |
②職業生活と家庭生活との両立に |
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※下線は基礎項目(必ず把握すべき項目)
※(区):雇用管理区分ごとに把握が必要
※(派):労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、派遣労働者を含めて把握が必要
※男女間賃金差異については、「全労働者」「正規労働者」、パート・有期社員の「非正規労働者」の3区分で把握が必要
▼女性活躍に関する項目
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①女性労働者に対する職業生活に |
②職業生活と家庭生活との両立に 資する雇用環境の整備 |
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※(区):雇用管理区分ごとに公表が必要(全労働者のおおむね1割程度に満たない雇用管理区分がある場合は、類似の雇用管理区分とまとめて算出・公表しても可)
※(派):労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、派遣労働者を含めて公表が必要
参考:厚生労働省「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」
5|一般事業主行動計画策定支援ツールとは |
「一般事業主行動計画策定支援ツール」とは、企業が法律に基づいて状況把握や課題分析、行動計画の策定ができるように支援するためのツールで、厚生労働省が提供しています。
状況把握や課題分析の方法・手順を示した「策定支援マニュアル」と、マニュアルで示された手法により課題分析を行うために必要なデータの入力を支援する「入力支援ツール」からなります。
自社の状況にあった課題、行動計画の目標や取組内容を設定する上でぜひご活用ください。
6|一般事業主⾏動計画に関わる認定制度 |
一般事業主⾏動計画の目標を達成し、一定基準を満たした企業は、都道府県労働局への申請によって「えるぼし認定」「くるみん認定」という厚⽣労働大臣の認定を受けられます。
認定を受けると、厚⽣労働大臣が定める認定マークを商品や広告等に付すことができ、優秀な⼈材の確保や企業イメージの向上などにつながるでしょう。
それぞれの認定制度についてご紹介します。
6-1.えるぼし認定 |
「えるぼし認定」とは、女性の活躍推進に関する活動状況が優良な企業が受けられる認定です。認定レベルは3段階あり、5つの評価項目の基準を満たすほど認定レベルが上がります。
女性活躍において特に優れた結果を収めている企業は、「プラチナえるぼし認定」を受けられ、一般事業主行動計画の策定・届出が免除されます。
「えるぼし認定」の詳細は、下記の記事をご覧ください。
| 💡えるぼし認定の基準や申請手順について詳しい記事はこちら |
6-2.くるみん認定 |
「くるみん認定」とは、出産や育児の支援体制のある子育てサポート企業が認定される制度です。「くるみん」「プラチナくるみん」「トライくるみん」の3種類があり、「育休取得率」や「仕事と家庭の両立に関する取り組み」などが認定基準とされています。
また、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境の整備を行う企業を認定する「プラス認定」制度もあります。
「くるみん認定」の詳細は、下記の記事をご参考にしてください。
| 💡くるみん認定の基準と注意点について詳しい記事はこちら |
7|まとめ |
一般事業主行動計画の策定・届出、公表は、女性活躍を推進するために重要な取り組みであり、従業員数が101人以上の企業に義務付けられています。
企業規模で一般事業主行動計画の義務の範囲が異なる点に注意し、必要に応じて一般事業主行動計画策定支援ツールを活用しながら、適切に対応していきましょう。
また、「えるぼし認定」や「くるみん認定」を受けると、自社の採用競争力を高められる可能性があるため、ぜひ認定取得を目指すこともオススメします。
最後までお読みいただきありがとうございました。今後の取り組みの参考になりますと幸いです。
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