医療事務人材の採用は病院やクリニックの運営に欠かせませんが、少子高齢化などを背景に、採用が難しい状況に陥っています。医療事務採用を成功させるには、医療事務人材を取り巻く市場や失敗要因を把握し、採用活動を工夫することが重要です。
この記事では、医療事務採用が難しい理由と失敗ケース、成功ポイント、有効な採用手法をまとめていますので、ぜひご参考にしてください。
この記事でわかる事 |
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1|医療事務採用が難しい理由 |
病院やクリニックなどの医療機関で受付やレセプト業務を担う医療事務スタッフの採用は、次のような理由から難しくなっています。
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なぜ医療事務採用が難しいのか、理由を解説します。
1-1.少子高齢化による需給バランスの崩れ |
少子高齢化が進む日本では、医療の需要が増える一方で労働人口が減少しており、需供バランスの不均衡が生じています。
労働人口の減少はすべての企業・組織の人材確保の難易度を高めていますが、医療機関は高齢者の増加に伴い需要が増え続けるという点で、影響が大きいでしょう。
厚生労働省の「第8次医療計画及び地域医療構想に関する状況」によると、全国での入院患者数は2040年に、外来患者数は2025年にピークを迎えると見込まれています。
1-2.競合との人材獲得競争が激化している |
厚生労働省の「医療施設調査」によると、クリニック(一般診療所)の数は年々増加しており、令和4年時点で約105,000施設もあります。
一方で労働人口は減少しているため、人材獲得競争が激化している状況です。ほかの医療機関と同じような求人を出していても、求職者に魅力に感じてもらえず、応募を集めにくいでしょう。
1-3.民間企業や他業界に流出している |
医療事務人材が民間企業や他業界に流出していることも、医療機関が採用に苦戦する理由のひとつです。
ヘルスケアとテクノロジーを組み合わせたヘルステックサービスを提供する民間企業が増えており、医療事務の経験を民間企業で活かそうとする人材も増えています。
また、医療機関では一般企業のように賃上げや柔軟な働き方の導入が難しいケースがあるため、不満を抱いた人材が他業界へ流出してしまう恐れもあります。
2|医療事務採用に失敗するケース |
求人広告や待遇に次のような問題がある場合、医療事務の採用に失敗する可能性が高まります。
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医療事務採用に失敗するケースを解説します。自院が当てはまっていないか確認しましょう。
2-1.募集要項や求めるスキルが抽象的 |
求人広告の募集要項や求めるスキルが抽象的な場合、医療事務人材は自分が適しているのか判断できないため、応募に至らない可能性が高いです。例えば、求める人物像が「医療事務経験者」だけでは、経験年数はどのくらいあればいいのか、資格がなくても応募できるのかなどがわかりません。
医療事務の求人は数多くあるため、求職者は曖昧な求人に時間を割かず、より魅力的で内容が明確な求人へ応募先を移してしまいます。
2-2.給与や待遇が地域相場よりも低い |
給与は、働くうえで多くの求職者が重視する項目です。また、労働時間などの待遇も、ワークライフバランスが重視される現代の働き方においては大きな注目項目となります。
給与や待遇が地域相場よりも低いと、採用に苦戦する可能性があります。厚生労働省の「職業情報提供サイトjob tag」によると、医療事務の全国の平均年収は約481万円、労働時間は154時間です。
上記サイトでは各都道府県ごとや年齢別などで細かく確認できるため、地域相場と自院の求人を比較すると改善ポイントを見出せるでしょう。
2-3.レセプト繁忙期に面接を設定している |
レセプト業務の繁忙期にあたる月末から翌月初旬に面接を設定していると、面接辞退が増え、採用成功につなげることが難しくなる恐れがあるでしょう。
レセプト業務では、審査支払機関から診療報酬を円滑に受け取るため、正確性と厳格なスケジュール管理が求められます。この繁忙期に面接を設定すると、面接辞退の可能性が高まるだけでなく、医療事務への配慮が十分でない印象を与えてしまう可能性も考えられます。採用活動のスケジュールを検討する際は、こうした点にもご留意いただくことをおすすめします。
2-4.ライフイベント支援が弱い |
医療事務人材は比較的女性が多いため、出産や育児などのライフイベントをサポートする体制が敷かれていないと、転職先の候補から外れてしまう恐れがあります。
政府は、従業員が仕事と育児・介護を両立できる体制を整え、働きやすさ向上に関する取り組みを行う企業に対し、助成金をはじめとする支援策を設けています。自院のライフイベント支援が弱いと感じる場合は、以下の記事をご覧いただき、必要に応じて制度を活用するといいでしょう。
💡両立支援等助成金の種類や要件についてまとめた記事はこちら |
3|医療事務採用を成功させるポイント |
医療事務の採用を成功させるには、次のポイントを採用活動に取り入れることが重要です。
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医療事務採用が難しい状況を乗り越えられるように、ご確認ください。
3-1.募集要項とキャリアパスを具体的に明記する |
医療事務人材の応募ハードルを下げるために、募集要項とキャリアパスを具体的に記載しましょう。
例えば、「受付・会計・電話対応・カルテ管理・レセプト業務」といったように仕事内容を詳細に記載します。必要なスキルや勤務時間、採用プロセスも具体性を持たせることで、求職者は自身が働くイメージを描きやすくなり、応募しやすくなります。
また、自院に就職することで歩めるキャリアパス(事務長、診療情報管理士など)を明記すれば、適合する人材からの応募が集まりやすくなり、定着率向上も期待できます。
💡女性向け求人の効果的な書き方についてまとめた記事はこちら |
3-2.給与や勤務時間などの待遇を見直す |
医療機関は保険診療で医療費が決まっており、一般企業のように物価高の影響を受けて商品やサービスを値上げするという対応ができません。売り上げが変わらないまま賃上げを行なっても、自院の経営を圧迫する恐れがあります。その結果、給与が増えず生活が苦しくなるのではと不安や不満を抱く医療事務人材もいるでしょう。
さらに、午後の診療開始が遅い医療機関では、診療終了が18時を過ぎるというケースも多いです。この営業時間が、子どもの迎えや夕飯の準備といった理想的な時間の使い方を難しくさせていることがあります。
一般企業と同じ水準を実現できない場合でも、例えば給与を相場以上に設定する、シフト制度を導入するなど、待遇や働きやすさを見直すことで競合より優位に立てる可能性があります。
3-3.施設設備や職場環境をリアルに伝える |
医療事務人材は、転職先の病院やクリニックに対し、院内の雰囲気やスタッフとの相性などに不安を抱きがちです。職場環境にギャップがあると、採用後も早期離職のリスクが高まるため、自院の設備や環境をありのままに伝えることが重要です。
例えば、自院の採用サイトやSNSで積極的に情報発信を行えば、求職者の理解を深められます。画像や動画を活用して視覚情報を増やすと、職場の雰囲気や院長・スタッフの人柄が伝わりやすくなるため、紹介動画やインタビュー動画の制作もおすすめです。
このようにリアルな魅力を発信するブランディング活動は、現在の採用効果だけでなく将来的な採用成功にも寄与します。
💡採用ブランディングの効果や進め方についてまとめた記事はこちら |
4|医療事務採用で有効な採用手法 |
医療事務採用の成功には、採用手法を適切に選定することも求められます。
医療事務採用で有効な採用手法を5つ紹介しますので、自院にマッチしているものを活用しましょう。
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それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
4-1.求人広告 |
求人サイトに求人広告を掲載し、応募を待つ採用手法です。直接求職者にアプローチできる「スカウトメール」機能を備えているサービスもあります。
なかには、医療関係に特化している媒体もあるため、特化型サービスを利用すると医療事務人材からの応募をより集めやすいでしょう。
メリット |
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デメリット |
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💡女性採用に強い求人広告サイトやメリットについてまとめた記事はこちら |
4-2.人材紹介 |
人材紹介会社に自院が求める人物像や必要なスキルを伝え、合致した人材を紹介してもらう採用手法です。医療事務人材の紹介に強みのあるエージェントを利用すれば、質の高い応募者に出会える可能性があります。
エージェントが求職者をスクリーニングしてくれるため、採用活動にリソースを割きづらい場合でも、自院の負担を軽減しつつ効果的な採用活動を行えます。
メリット |
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デメリット |
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💡人材紹介会社からの紹介数を増やすポイントについてまとめた記事はこちら |
4-3.SNS |
SNSを活用して自院の魅力や求人情報などを発信し、認知度を高める採用手法をSNS採用もしくはソーシャルリクルーティングと呼ばれます。「#医療事務募集」のようにハッシュタグを付けたり、画像や動画で日々の自院の様子を発信したりすると、魅力が広まりやすい傾向にあります。
SNSの利用者は増加傾向にあり、SNSで情報収集をする求職者も多いため、効果的な採用手法といえるでしょう。
メリット |
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デメリット |
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💡SNS採用の導入ステップや活用方法についてまとめた記事はこちら |
4-4.リファラル |
リファラル採用は、自院のスタッフに知人・友人などを紹介してもらう採用手法です。採用がほとんど確実な縁故採用と異なり、通常の選考を行って採用可否を決定します。
既存スタッフから自院の様子をすでに聞いている人材が応募するため、ミスマッチが起きにくい一方で、不採用にすると三者間の関係が気まずくなる恐れがあります。
メリット |
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デメリット |
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💡リファラル採用のメリット・デメリットについてまとめた記事はこちら |
4-5.ハローワーク |
ハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働省が運営する総合的雇用サービス機関です。
インターネットで求人情報を検索することに慣れている若年層の活用率は比較的低いですが、一般的な認知度が高く、無料で求人掲載できるため、コストを抑えながら医療事務人材からの応募を集められる可能性があります。
メリット |
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デメリット |
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5|まとめ |
医療事務採用が難しい背景には、少子高齢化による需給バランスの不均衡や、一般企業の賃上げ・柔軟な働き方の導入による医療機関からの人材流出などがあります。
募集要項の具体化や採用ブランディングが採用成功につながる大切なポイントです。採用手法に関しては、有料と無料の手法を併用することもオススメのため、ぜひお試しください。
#医療事務 #医療事務採用
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