どの企業もエンジニア採用に苦戦している中で、優秀なエンジニアを獲得するために様々な手法を試したり、新たな制度を導入するなど試行錯誤している人事の方は多いかと思います。
しかし、もちろん手法は大切なのですが、エンジニア採用を成功するために重要なこととしてお伝えしたいのが「現場エンジニアを巻き込んで採用を行うこと」です。
人事だけで採用活動を進めてしまい、「現場エンジニアが関わるのは面接の一部だけ」という採用活動は、採用成功率が下がる・採用できたとしてもミスマッチが起こってしまうなどのリスクがあります。
今回の記事では、なぜエンジニア採用において現場エンジニアを巻き込むことが大切なのか、また現場サイドの強制力なく、協力体制を築く方法やポイントをご紹介していきます。
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エンジニア採用に苦戦される人事の方が多い理由は、有効求人倍率の高さといった市況が影響しているのもあります。
しかしそれだけではなく、人事担当者自身の「エンジニアのスキルに関する知識不足」「優秀なエンジニアを見極めるポイントが分かっていない」という点が原因となっているケースもしばしばみられます。
エンジニア採用において、求人票を書いたりエンジニア経験者を面接するにあたって、やはり人事もエンジニアの仕事内容やスキルに関する知識を持っていたほうが有利に働きます。
とはいえ、日々人事業務をこなす中で独学でスキルに関する知識を十分に身につけることはなかなか難しいと思います。
IT業界におけるトレンドは日々変化しており、そのトレンドについていきながら知識を深めることは大変です。分野も幅広く専門的な知識も多いため、エンジニア経験がない人事が経験者のエンジニア求職者と対等に話すということはなかなか難しいでしょう。
「優秀なエンジニアをどう見極めていいのかが分からない」といったお悩みを持つ人事の方も多いように思われます。
もちろん、選考における技術面の評価は技術責任者が行うことは多いですが、初期段階である程度選考できないと、「なぜこの方を通したんだ」と技術責任者にチクりと言われてしまった・・・そんなご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また技術職とはいえ、顧客や社内とのコミュニケーションをとるスキルも必要になりますので、
技術スキルだけでなく人柄も見極めることも重要という点も、採用難易度が高い職種の一つと言われる所以でしょう。
そのため、選考における優秀な人材の見極めに苦戦する人事が多いのです。
エンジニア採用がなぜ難しいのか詳しくまとめた記事はこちら |
エンジニア採用が難しい理由とは?成功する企業と苦戦する企業の違いを解説 |
2|エンジニア採用を成功させるには「人事が現場サイドを巻き込む」こと |
上述したように、エンジニアという職種は専門職であるがゆえに、知識がないと選考などで苦戦したり、候補者への正しい評価ができないと悩まれる人事の方が多いです。
そのためエンジニア採用においては、できるだけ人事だけで採用を行わずに、現場エンジニアの協力を得ながら進めることをオススメします。
経営層や人事だけで採用基準やターゲット像を決めてしまうと、現場エンジニア側と認識がズレることによって、人材のミスマッチが生じてしまうケースがあります。
たとえば、経営層・人事側では組織の若返りのために「経験は浅くてもよいので若いエンジニアを採用する」と計画を立て採用を進めたとしても、「実は現場サイドでは、人が足りない上に案件が回っておらず即戦力が欲しかった」というズレが発生してしまいます。
結果、1次選考の人事面接では通過率は良いものの、2次選考の技術責任者(現場)面接で通過率がガクっと下がってしまい採用ができないという状況に陥ってしまうのです。
人事側のエンジニアに関するスキルの知識、実際の仕事内容に関する理解が不足していると、書類選考や面接で人材を正確に見極められない、というケースもあります。
エンジニアの経験がない人事にとっては、エンジニアを面接したとしても、スキル面を評価するためにどのような質問したら良いかも分からず、答えられたとしてもそれがどの程度評価に値し会社の求めるレベルに達しているのかを判断するのが難しいと感じられるでしょう。
現場エンジニアの意見を取り入れずに人事側の判断だけで採用基準を設けたり、選考フローに現場エンジニアを介入させずに採用を進めてしまうと、現場の風土と合わない人材を採用してしまい、結果入社した方が現場になかなか馴染めないというケースがあります。さらに、早期退職につながってしまったという事例も少なくありません。
社員が生き生きと働くためには、一緒に働くメンバー同士で志向性や価値観が近かったり、その組織にいて居心地が良いという点は非常に大切なことです。特に、従業員数が少ない小規模な企業へ応募する求職者の多くは、「誰と働くか」といった点を重視している傾向にあります。
ミスマッチを減らすためにも、現場エンジニアを巻き込んで応募者の選考を行うことが重要となります。
現場エンジニアを採用活動に巻き込むことには、さまざまなメリットがあります。
現場エンジニアと協力体制を築き、組織全体で採用に取り組むことで、採用率は上がります。
これまで解説してきたように、エンジニアを経験していない人事が求職者のスキルなどを正確に評価することは難しいですし、求人広告の作成や面接での動機づけにおいては、エンジニアの気持ちや志向性を理解していることが重要です。
そこで現場エンジニアに協力してもらい、たとえば作成した求人広告を見てもらってアドバイスをもらったり、また面接官や面談者として参画してもらいましょう。履歴書の情報だけにとらわれずに正しくスキル面を評価できたり、入社への動機づけを強められるというメリットがあります。
現場を巻き込んだ採用を行う際には、後述しますが会社もしくは部門全体で、キックオフをなどを行うことがオススメです。採用目標や方針の共有、ひとりひとりが採用に携わっているという意識づけを行い、「会社全体、組織組織全体で取り組んでいる」といった雰囲気づくりを行うのです。
そうすることで、既存の現場社員も会社への帰属意識や愛着、貢献意欲(これを「従業員エンゲージメント」と言います)が増すという効果があります。
人事だけではなく現場エンジニアも採用に携わることで、入社した方に対して「自分たちが見つけた新しいメンバー」という仲間意識が生まれたり、また自分たちが「会社に迎えたい人」として新たなメンバーに対して、しっかりと育成していこうという意識が生まれることも多いです。
結果、入社した社員を大切にする文化が生まれ、社員のスキルアップにつながったり、定着率がアップするというメリットがあります。
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3|現場エンジニアを巻き込むために人事がやるべきこと |
それでは、現場エンジニアの協力体制を築くために人事(ないし会社)がやるべきことは何なのでしょうか。
採用計画を立てる段階から、現場エンジニア(技術責任者など)も交えて進めるようにしましょう。
会社としてどのような姿になるのを理想と考えているのか、現状の課題は何なのか、
そのためにどのような採用活動を行い、どのような人材を増やしていく必要があるのかなど、自社が目指していく方向性を採用に携わるメンバーの中で目線合わせをします。
その際には、経営層・人事・現場それぞれの現状や考えを理解し合うことが重要です。
採用計画に対する共通認識を各自が持つことによって、中長期的な採用活動になったとしても軸をぶらさずに進めていくことができます。
採用計画の立て方について詳しくまとめた記事はこちら |
中小IT企業がエンジニア採用を始める前に準備すべきこと(1)「社内で採用計画のすり合わせ」 |
人事は、常日頃、現場の状況を把握することに努め、定期的に現場エンジニアに意見や要望を聞くようにしましょう。
すべての意見を取り入れて、採用活動へ反映することは難しいかもしれませんが、まずは現場サイドに寄り添い、理解しようとすることが大切です。これが強制力を持たせずに巻き込むポイントでもあります。
逆に、現場の意見を聞かずに勝手に経営層から降りてきた採用方針に沿って進めることは、現場と人事の溝を深めてしまいます。もし採用において現場エンジニアに協力を依頼したとしても、協力を得られることは難しいでしょう。
エンジニア採用を成功させるためには、現場サイドにもエンジニアの採用市況について理解してもらうことが重要です。
現場と人事が上手く連携できていない企業でよく見られるのが、技術責任者がエンジニアの採用市況について理解していないがために、採用ターゲットに求めるレベルが高くなってしまい選考通過率が低くなってしまうケースです。
人事側から、エンジニア採用が難しくなっていることを現場サイドにも共有し、互いに協力しながら取り組んでいく必要性を伝えていくことが重要となります。
エンジニアの採用市況ついて詳しくまとめた記事はこちら |
ITエンジニア採用のための最新動向情報!求人倍率・転職者の応募状況まとめ |
採用計画も決まりいざ採用活動をスタートする際には、会社もしくは部門全体で、キックオフを行うことがオススメです。採用目標や方針を共有し、社員一人ひとりが採用に携わっているという意識づけなどを行います。「会社全体で採用に取り組んでいる」ということを認識させることが重要です。
<具体的にキックオフで共有すべきこと>・採用背景・目的
・採用目標数(いつまでに、何名採用するのか)
・どのような人材を採用したいか
・採用手法(媒体、紹介、ダイレクトリクルーティング、HP、SNSの活用など)
・採用に関わる取り組み(採用イベント、食事会、知人紹介など)
・現在の採用マーケット状況(売り手市場という市況感、有効求人倍率データ)
・社員に期待すること、やってほしいこと
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採用面接などに技術責任者をアサインすることはもちろん、面接とは関係ない面談などにも現場エンジニア社員をアサインするようにしましょう。技術テストなどは、実際に手を動かしている現場エンジニアのほうが適正に評価できる可能性が高いためです。
また、内定後のフォローで交流の場(食事会など)を設ける企画・実施を、現場側に協力を仰ぐことも良いかと思います。
既存社員に自社の採用活動に対して関心をもってもらうように、採用に関する情報(採用の進捗状況や、採用した人材の紹介、採用イベントの様子など)を日々発信するようにしましょう。
人事が採用活動に懸命に取り組んでいることを知り、協力しようとする社員が増えたり、またリファラル採用(社員の知人紹介による採用手法)を行っている企業は、紹介数が増えるなど効果が見込めます。
採用に関する取り組みに対して、現場サイドの社員にも人事評価や報酬を与える制度を作ることも有効です。
たとえば、社員紹介によって採用を行う「リファラル採用」を導入する企業が増えていますが、紹介して採用に結びついた場合はインセンティブを与える制度を設けている企業も多いです。
人材紹介など有料サービスで、1人採用するにあたり100万円以上コストがかかることを考えると、リファラル採用にインセンティブ制度を設けることのほうがメリットが多いかと思います。
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4|採用活動において現場エンジニアを巻き込むべきフロー |
採用の計画を立てる際に重要となる「ペルソナ設計」。
「どんな人物を採用ターゲットにしていくのか」を設計し、求職者に対する訴求ポイントの選定や、社内の採用基準を統一するといった目的があります。
ペルソナとは… 企業や商品のターゲットとなる顧客像のこと。「25歳のITエンジニア経験がある男性」など幅をもたせた『層』を表すのではなく、 年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、生い立ち、ライフスタイルなどある特定の『人物』を表すように、詳細な情報が設定されたターゲット像のことを指します。 |
このペルソナ設計では、エンジニアの気持ちや志向性を理解していないと、適切なペルソナを作り上げることは難しいと考えられます。
そこで、たとえば採用するポジションで働いている現場エンジニアの社員にヒアリングを行ったり、そもそもペルソナ設計を現場サイドと一緒に行うというのも手かと思います。
ペルソナ設計の行い方やそのコツについて詳しくまとめた記事はこちら |
エンジニア採用には「ペルソナ」の設計が必須!設計方法とコツを紹介 |
求人票・求人広告を作成したら、現場エンジニアに見てもらいエンジニア目線から見て魅力的な求人だと思うかチェックしてもらうと良いでしょう。
働く環境や制度面はきちんと書けていたとしても、エンジニア求職者は「自分がやりたい仕事ができるか」「どのようなスキルを身につけることができるか」を見ていることが多いです。
そのため、業務内容や使用言語、開発環境、プロジェクト案件例などを具体的に正しく書けているか、魅力のある案件を選べているかはエンジニアに見てもらうことがおすすめです。
実際に、エンジニア募集の求人広告を出していたが応募がなかなか集まらず、社内のエンジニアにアドバイスをもらい改善を行ったところ、ターゲットからの応募が増えたという事例もあります。
エンジニア募集の求人広告の作成ポイントについて詳しくまとめた記事はこちら |
エンジニアが応募したくなる!求人広告の書き方のコツやポイントを解説 |
面接に現場エンジニアも同席してもらうことのメリットは、履歴書だけで判断できないスキルや経歴の深堀りができるため、技術スキルを正確に評価できることです。
また同僚として働く上で、人柄や価値観、また仕事の進め方やコミュニケーションの取り方も確認してもらうことで、入社後のミスマッチも防げるという点もメリットと言えるでしょう。
候補者の立場でも、面接で現場のエンジニアと話せることは魅力になるため、面接実施率も上がります。具体的な仕事内容や今進めているプロジェクトの話を聞くことができたり、一緒に働くメンバーがどのような人が知ることができるためです。
また、面接だけではなく、選考に関係しない「面談」にも現場エンジニアに協力してもらうことがおすすめです。募集しているポジションで実際に働くエンジニア社員と対談することで、入社への動機づけを強められるという効果があります。
採用成功のためには、内定通知後から承諾までの内定者フォローが重要となります。しかし中には、内定を出してから承諾の返事がくるまで、ほとんど候補者と接点を取らないという企業様も見受けられます。
内定を出したら、承諾率を上げるために再度動機づけを行ったり、細めに接点を取ることが大切です。その際にオススメなのが、配属予定の現場エンジニアとの交流会(or食事会)を設定することです。今であれば、リモートでの交流会などを企画すると良いかもしれません。
経営層や人事が相手だと、選考の評価に関わってしまうのではという懸念から本音を話せない求職者の方も多いです。話し相手が現場社員であればその懸念が少しは緩和されるかと思いますので、現時点で不安に思っていることを聞いたり、候補者が面接の場で聞けなかった話などを聞ける場を設けるようにしましょう。
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5|人事もエンジニアやITに関する知識をつける |
専門的な分野については現場エンジニアに任せたほうがもちろん良いのですが、とはいえエンジニアに任せっきりというのはNGです。人事もある程度、基礎的なエンジニアのスキルに関する知識はつけておいたほうが良いかと思います。
エンジニアがどのような仕事をやっているのかや、IT業界の構造など基礎的な知識をつけましょう。
実際に社内の現場エンジニアに話を聞くことも良いと思いますし、ネット上で分かりやすくエンジニアの仕事内容やIT業界について解説しているサイトもあります。
IT分野に関しては専門的な知識も多いため網羅することは難しいかもしれませんが、基本的な知識程度は身につけると良いでしょう。
「type」にてエンジニアの仕事内容ややりがいについて解説していますので、一部をご紹介します。
▼その他職種をご覧いただきたい方はこちら
また、エンジニア求職者向けのメディアはエンジニアの仕事内容やIT業界について分かりやすく解説しているため、人事担当者にもオススメです。
エンジニアをはじめ「創る人たち」のキャリア形成に役立つ情報メディア「エンジニアtype」 |
弊社キャリアデザインセンターが運営する、エンジニアをはじめ「創る人たち」のキャリア形成に役立つ情報を発信する「type」のコンテンツです。
エンジニアの仕事やスキルに関する情報やIT業界のトレンド、また注目のIT企業などについて取り上げていますので、ぜひ一度ご覧になってみてください。
エンジニアを採用するためには、エンジニア求職者の心理(志向性や企業選びのポイントなど)を知る必要があります。
エンジニアの心理を理解していると、採用活動における自社のアピールポイントの選定や、採用したい人材への面接での動機づけなどの質が上がります。
エンジニアのキャリアに対する志向性は、大きく3つのパターンに分けられます。
また、弊社転職エージェントに登録しているエンジニア求職者における、各パターンのおおよその割合をおまとめしました。
・技術志向(20%)最新技術を身につけたい、開発環境を重要視する。自分の技術でサービスを成長させたい。 プレイングマネージャーを求めている求人や、技術への取り組みを訴求している求人に惹かれる傾向がある ・サービス志向(20%)良いものを作りたい、ユーザーファースト。 自社サービスを持っている企業や、上流工程(特に企画)ができる環境がある求人に惹かれる傾向がある ・安定志向(60%)残業が少ない、待遇が充実している大手企業に就職したい。 福利厚生が整っている求人や、社内SEなどの求人に惹かれる傾向があり
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IT業界のトレンドは変化しやすく、日々新たな技術が生まれています。
最新技術などにアンテナを張っているエンジニアも多く、人事担当者もIT業界のトレンドを情報収集するようにしましょう。
IT業界のトレンド情報などがまとまっているサイトなどを日頃チェックすることをオススメします。
ソフトバンクグループのアイティメディア株式会社が運営するIT関連の情報メディアです。アイティメディアが運営するメディアのコンテンツをまとめてチェックできるIT総合情報ポータルです。
株式会社日経BPが運営するIT情報サイトです。ITだけにとどまらず、IT、自動車、電子・機械、建築・土木などさまざまな産業分野の情報やビジネスに関する情報がまとまっています。
いかがでしたでしょうか。
少しでも参考になりましたら幸いです。お読みいただきありがとうございました。
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