
採用ファネルは、採用活動のプロセスをモデル化したものです。採用ファネルを採用活動に活用すると、自社の課題発見につながってより効果的な施策に取り組める可能性があります。
この記事では、採用ファネルの意味や分析するメリット、取り組みステップ、課題別の改善策などをまとめています。採用活動の質を高めるために、ぜひご参考にしてください。
| この記事でわかる事 |
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1.採用ファネルとは |
採用ファネルとは、求職者が企業を認知し、興味、応募、選考、内定という入社までのプロセスを可視化したものです。「ファネル(funnel)」は英語で「漏斗」を意味し、上から下に進むにつれて中身が絞られていく様子から、採用ファネルにおいては求職者が選定されることを表しています。
もともとは、顧客の購買行動である興味・関心、比較・検討、購入のプロセスをモデル化した商品マーケティングで使われていた考え方ですが、現在では採用活動にも取り入れられています。
(1)従来型とデジタル時代の採用ファネルの違い
従来であれば、企業は求人を出し、応募が来るのを待つだけで人材を確保できましたが、現在は少子高齢化や働き方の多様化によって受け身の姿勢では採用が難しくなっています。また、インターネットの普及によって、企業の良い評判も悪い評判もSNSなどで容易に広まり、不特定多数に認知されるのが実状です。
そのため、デジタル時代のいまは、人材の採用、定着、活躍までではなく、自社の魅力発信まで考えた採用ファネルが求められています。
(2)採用ファネルの種類
採用ファネルには下記3つの種類があります。
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それぞれを解説します。
パーチェスファネル
パーチェスファネルは、求職者が企業を認知してから内定に至るまでを5段階で表した採用ファネルです。
形状は漏斗型で、上から「認知」「興味」「応募」「選考」「内定」というプロセスになります。求職者に自社の存在を知ってもらい、魅力を求人広告やSNSなどでアピールすることで興味関心を高め、応募、選考、そして内定に至る流れです。
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルは、求職者が入社したあと、継続して勤務し、自社のよさ流れや全体像をを他者に紹介・発信する3段階のプロセスです。
三角形の形状で、上から「継続」「紹介」「発信」と並びます。人材の定着を図り、自社に対し愛着がある従業員が周りに自社を紹介し、さらにSNSなど不特定多数の方が目にする媒体で自社の魅力を発信する流れです。末広がりの形状は、「発信」段階にいくほど世間や求職者への影響が大きく、望ましい状況であることを表しています。
ダブルファネル
ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせた採用ファネルです。漏斗型のパーチェスファネルの下に三角形のインフルエンスファネルが連なり、砂時計のような形状になります。
計8つの段階は、次の4つのフェーズにわけられます。
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2.採用ファネルを分析するメリット |
採用ファネルを分析するメリットを2つご紹介します。
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(1)自社の採用活動を把握できる
採用ファネルを分析することで、自社の採用活動を客観視できます。採用ファネルの各段階において自社がどのような取り組みをしているかが可視化されるため、採用活動の共有や見直しがしやすくなるでしょう。強化すべきアクションや漏れにも気付きやすくなり、質の向上にもつながります。
また、採用活動が段階ごとに整理され、採用計画を立てやすくなる点もメリットです。
(2)採用課題の発見につながる
採用活動を段階ごとに把握できる採用ファネルは、各段階を通過した人数や割合を分析することで課題の発見につながります。例えば、「応募」から「選考」に至る人数が少ない場合、採用条件が厳しすぎる、選考の案内が遅くて辞退が多いなどが考えられるでしょう。
採用ファネルの分析によって採用課題の特定と改善ができれば、採用成功の可能性を高められます。
3.採用ファネルを中途採用活動に適用するステップ |
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採用ファネルを中途採用活動に適用する3つのステップをご紹介します。
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(1)自社の採用活動をファネルの段階に分解する
自社の採用活動を採用ファネルの各段階に分解して当てはめます。例えば、「認知」段階では「ペルソナ設計」、「興味」段階では「カジュアル面談」などが挙げられます。
段階にあわせて分解していくことで、採用活動の可視化やさらなる取り組みの気づきにつながるでしょう。
| 💡カジュアル面談の成功のコツについて詳しくまとめた記事はこちら |
(2)各段階での行動や情報発信の内容を設計する
次に、各段階での行動や発信する情報の内容を設計します。例えば、求める人物像にあわせて、「認知」段階で活用する採用手法の検討や、ターゲットに刺さる自社の魅力の整理などを行いましょう。
自社の魅力の把握や強み・弱みの分析には、3C分析や4C分析などのフレームワークの活用が効果的です。自社理解が深まることで、より採用成功につながるような行動や情報発信を実現できます。
| 💡3C分析や4C分析について詳しくまとめた記事はこちら |
(3)採用ファネルの効果を分析する
採用ファネルの効果を数値で分析・評価します。各段階の人数を把握しておくと、次の段階へ移行した人数と比較して通過率の良し悪しなどがわかりやすくなるため、課題の発見や改善に活かせられるでしょう。
また、例えば自社SNSのフォロワー数や求人広告・採用ページの閲覧数なども数値で管理しておくと、数値の増減によって効果的なアクションも掴めるようになります。
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4.採用ファネルの各段階で追うべき重要指標(KPI) |
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採用ファネルの各段階では、確認すべき重要指標(KPI)があります。
次の3つの段階における重要指標(KPI)について解説します。
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(1)認知・興味:応募数とチャネル効率
認知・興味段階では、応募数とチャネル効率を意識しましょう。自社の求人に応募してもらうには、まずは求職者に認知され、興味を高めることが重要です。そのため、応募数の目標値を設定し、活用しているチャネルを効果的に運用する必要があります。
例えば、ターゲットが多く登録している求人サイトに求人を載せる、SNSでターゲット層が興味のある情報を発信するなどが挙げられるでしょう。求人や発信情報の表示回数も追うとどのくらい見られたかがわかり、改善にもつなげやすくなります。
| 💡主要な採用チャネルについて詳しくまとめた記事はこちら |
(2)選考・評価:面接通過率などの歩留まり率
採用活動において、「応募」から「書類選考」など、各段階の次の工程に進んだ人数の割合を「歩留まり」といいます。例えば、提出書類や応募までの行程が多いなどの場合、応募率が下がると考えられます。面接官の態度が悪い場合は、面接通過率にネガティブな影響を及ぼすでしょう。
歩留まり率が低いほど次の工程に進んだ人数が少ないことを表すため、歩留まり率を把握し、採用成功のネックとなっている部分の改善が求められます。
| 💡歩留まりが低下しやすいフローについて詳しくまとめた記事はこちら |
(3)内定・入社:内定承諾率と定着率
内定・入社段階では、内定承諾率と定着率を追いましょう。内定承諾率と定着率が低い原因として、内定者・入社者へのフォロー不足や理想と現実のギャップなどが挙げられます。
採用活動には時間やマンパワーなど多大なコストがかかっているため、内定辞退や早期離職されてしまうとかけてきたコストが無駄になってしまいます。対策として、入社前に面談を設けて求職者の疑問や不安を払拭する、入社後にはオンボーディングを行うなど、内定・入社をゴールと捉えない意識と取り組みが重要です。
| 💡オンボーディングの成功ポイントについて詳しくまとめた記事はこちら |
5.採用ファネルの課題別の改善策 |
採用ファネルの課題別に、具体的な改善策をご紹介します。
下記のケースにおける対応方法について、ぜひご参考にしてください。
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(1)応募数が少ない場合
応募数が少ない場合は、ターゲット層に適した求人媒体の活用や適切な魅力の訴求が求められます。
例えば、エンジニア採用を目指す企業は、エンジニアに特化した求人媒体に求人を掲載しましょう。求人がテキスト情報のみであれば、求職者に自社で働くイメージを抱いてもらえるように、オフィスや従業員の写真、動画なども掲載して視覚的にアピールすることも大切です。
自社のファンづくりにつながる採用ブランディングへの取り組みも、応募数の増加効果が期待できます。
| 💡応募したくなる求人と応募を増やすコツについて詳しくまとめた記事はこちら |
(2)選考途中の離脱が多い場合
選考途中の離脱が多いケースでは、選考や面接内容の見直しを行いましょう。選考案内が遅い場合は迅速化する、面接回数が多い場合は減らすなどの対応で、求職者の他社への流出を防げる可能性があります。面接の質問や面接官の態度が不適切ではないかを確認し、必要であれば面接官トレーニングを行うことも望ましいです。
また、各面接フローの面接官が求職者に関する情報を共有し、同じ質問をしない、動機づけを意識することも求められます。選考辞退者へ辞退理由をヒアリングすると、より改善につながる施策を打ち出せるでしょう。
| 💡面接官のNG行為と役割について詳しくまとめた記事はこちら |
(3)内定辞退率が高い場合
内定辞退率が高い場合は、迅速かつ丁寧な内定通知や内定者フォローを徹底することが重要です。具体的には、内定通知を早期に出し、一緒に働きたい思いも伝えると、求職者に「必要とされている」と感じてもらえて気持ちを自社に向けやすくなります。
また、内定通知後も求職者と定期的にコミュニケーションをとり、自社への興味の維持や不安の払拭に努めることが大切です。従業員との交流会などを開催すると、求職者の入社意欲向上につながる可能性があります。
| 💡内定辞退を防ぐ方法とNG行動について詳しくまとめた記事はこちら |
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6.採用ファネルの効果的な活用方法 |
採用ファネルを効果的に活用するには、分析や課題の解決などが求められます。また、活用できる施策を導入することも大切です。
下記3つの取り組みについて解説します。
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(1)継続的なPDCAサイクル
採用ファネルは、継続的にPDCAサイクルを回して効果検証し、常に最適化していくことが大切です。
採用活動を採用ファネルの各段階に分解し、効果の分析と課題の特定、改善策の実施という流れの繰り返しが、採用市場や自社・求職者の状況にマッチした取り組みにつながるため、効率的で質の高い採用活動を実現できます。
(2)転職市場とニーズの調査
採用ファネルの効果向上や課題分析につながる方法として、転職市場とニーズの調査が挙げられます。転職市場を調査すると、求職者の情報収集方法や活用する媒体などを把握でき、自社が活用すべきツールやサービスが見えてくるでしょう。
また、ターゲットに近しい人材にヒアリングすると、企業に求めるもの、価値観、志向性などがわかるため、発信すべき情報が明確になります。従業員へのヒアリングでは、自社のよい点、課題点などを特定でき、求職者に選ばれるために改善すべきことの気づきを得られます。
調査結果を採用ファネルに反映させて、採用活動の精度を高めていくことが重要です。
(3)インナーブランディングの活用
インナーブランディングとは、社内向けのブランディングのことです。採用ブランディングが求職者に対する自社の魅力の訴求やミスマッチ防止を図る一方で、インナーブランディングは既存従業員に自社理念や価値観を浸透させ、定着率を高める目的があります。
採用ファネルにおいて、人材の入社後の定着や自社のポジティブな情報の発信を見据え、インナーブランディングを活用することは重要です。企業の継続的な発展と売上向上につなげるためにも、採用ブランディングだけでなくインナーブランディングにも取り組んでいきましょう。
| 💡採用ブランディングの効果について詳しくまとめた記事はこちら |
7.まとめ |
採用ファネルとは、求職者が企業を認知し、入社するまでのプロセスを可視化したものです。採用ファネルを分析すると、自社の採用活動の客観的な把握や課題発見につながるメリットがあります。
採用ファネルの各段階では、自社の課題の特定と改善につなげるために、応募数や歩留まり率などの目標値を設定し、重要指標として分析することが大切です。自社の課題に適した改善策に取り組み、採用成功の可能性を高めましょう。
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