【中途採用面接官向け】本音を引き出す質問例や志望度を上げる面接テクニックとは?

Posted by type部(法人企業マーケティング担当) on Jul 29, 2024 9:00:00 AM

Topics: 01_採用基礎知識, 06_面接・選考, 07_候補者フォロー, 09_採用後の定着

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面接官必見!志望度を上げる面接テクニック&質問例-03-0721

求人媒体やエージェントなど採用サービスを活用し、せっかく応募が集まった場合でも、面接を行った後に候補者の方から選考辞退や内定辞退のご連絡をいただくことや、はたまた入社後ミスマッチによる早期離職が発生したりと、応募後の採用フローに課題を抱える企業様もいらっしゃることでしょう。

上記課題解決の鍵となるのが「面接」ですが、中途採用面接は採用活動を始めたばかりの企業様にとって、難しさを感じる部分もあるかもしれません。中途採用面接を成功させるためには、面接の進め方や面接官の心構えを把握し、転職者とのマッチング率を見極めるために効果的な質問をすることが大切といえます。

そこで本記事では中途採用面接で面接官がするべき質問例と、採用面接に活かせる心理学について解説します。

 

この記事でわかる事

・中途採用面接が上手な面接官の心構え

・採用面接の面接官の3つの役割

・6つの心理学を活用した面接テクニック

・本音を引き出しミスマッチを防ぐ見極め質問例

 

 

 

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   1.中途採用面接で魅力的な面接官とは

転職者にとって、面接官は企業の顔ともいえるでしょう。そのため、魅力的に映る面接官は、選考を受ける企業様のイメージアップにも繋がります。

以下より中途採用における転職者の入社理由を踏まえて、転職者にとって魅力的だと感じる面接官について解説します。

 

(1)面接官とは

面接官とは、採用面接の場において、応募者と質疑応答を交わす社内の採用担当者のことをいいます。

面接官は、応募者が自社にマッチしているか見極めることと、採用したい応募者に対して、入社意欲を高めるための動機づけを行うことが大切です。

また、応募者にとって、最初に会う社員の方となる可能性が高い立場のため、企業の顔としてイメージアップとなる言動も求められるでしょう。

 

(2)入社理由第一位は「面接官の印象が良かった」から

弊社が行なった調査によると、中途採用面接を経て入社した転職者の入社理由第一は、「面接官の印象が良かった」からでした。一方で、選考辞退の理由で一番多かったものも面接官の印象に関わる内容だったため、面接官の印象が転職者の入社に大きく関わるといえるでしょう。

■入社理由

入社理由

 

(3)好感度の高い面接官とは

中途採用面接において、転職者に親身であり、誠実な対応をする面接官が、転職者の好感度を高めている傾向にあります。たとえば、転職者のスキルをヒアリングし、今後のキャリアについて一緒に考えたり、自社のマイナス面も伝えたりする面接官は、好感度が高まりやすいです。

また、緊張している転職者に対し、仕事に関する話以外を振って緊張を解いてあげるなど、転職者がリラックスして話しやすい雰囲気を作る面接官も、転職者に良い印象を与えているでしょう。

 

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   2.中途採用面接が上手な面接官の心構え

中途採用面接において、面接官が上手に対応できない場合、採用につながらなかったり入社後のミスマッチが生じたりする恐れがあります。

中途採用面接を失敗しないために、採用面接が上手な面接官の心構えを解説します。

 

(1)転職市況での転職者心理を踏まえている

転職市況での転職者心理を踏まえることは、面接官が中途採用面接の重要性を認識することにつながるため、意識しておくことが大切でしょう。

中途採用活動の大前提として、転職者の選考を受ける企業に対する志望度が、最初から高いことはほとんどない点が挙げられます。現在の転職市場は、新型コロナウィルスの蔓延によりオンライン面接が主流になりました。そのため、転職者は興味のある企業様に対して以前よりも気軽に応募が出来るようになり、且つ、選考の日程調整もしやすくなったことで、ほかにも多くの企業に応募している可能性が考えられます。

数ある選考中企業の中で、志望度の増減を左右するのが中途採用面接の対応ですので、留意して行いましょう。

 

(2)候補者体験(CX)を意識している

候補者体験(CX=Candidate Experience)とは、中途採用の選考フローにおいて、転職者が体験していく各段階のことを指します。

たとえば、転職者が企業様を知る段階では「いい会社に出会いたい」と期待をもっており、「いい会社と出会えた」ことで候補者体験が満たされ、満足度が高まります。面接の段階では「きちんと自己表現したい」という期待をもち、「自分のことをきちんと伝え、相互理解を深められた」ことで候補者体験が満たされるでしょう。

転職者の候補者体験を意識し、各段階で候補者の期待を満たすことができた場合、候補者の満足度を高められ志望度の向上にもつながりやすくなります

 

(3)面接の各フローで動機づけを行う

中途採用面接が上手な面接官は、面接の各フローで動機づけを意識しています。

   面接の各フロー

  • ・アイスブレイク、自己紹介

  • ・企業説明と業務説明

  • ・スキルヒアリング

  • ・質疑応答と締め

動機づけは、面接が上手な面接官は無意識的に取り入れていることもありますが、心理学を活用してどなたでも行うことができます。心理学の詳細は後述の「8つの心理学を活用した面接テクニック」でご紹介しています。

 

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   3.採用面接の面接官として気をつけたいNG行為

前項でも述べましたが、面接官は企業の顔として、最初に転職者と会う可能性が高いです。そのため、自社のイメージを悪化させないためにも、面接官として採用面接で気をつけたいNG行為をご紹介します。

 

(1)高圧的態度や尋問的な姿勢をとる

中途採用面接で採用側である企業様の高圧的な態度や尋問的な質問は、転職者に不快感や恐怖心を芽生えさせ、面接を行う中で転職者の本音を引き出すことが難しくなるでしょう。また、現在はインターネットが発達し、検索すれば企業様に対する口コミや評判も出てくるケースが多いため、企業様のイメージダウンする口コミを投稿されるリスクもあると考えられます。

企業様は「採用する側」であり決定権があると思いこむ場合がありますが、転職者も「選ぶ側」であり、内定を承諾するか否かは転職者が決めるということを意識することが大切です。

企業様は一方的な態度をとるのではなく、転職者と相互理解を深められるよう、話しやすい雰囲気づくりを心掛ける必要があるでしょう。

 

(2)対応に誠意がない

中途採用の面接官が転職者に対して不誠実な対応をすることは、NG行為です。面接官によっては、日常業務の忙しさから面接時間に遅れたり、事前に転職者の情報を把握できていなかったりする場合がありますが、転職者に不誠実な印象をもたれかねません。

転職者は、転職活動の忙しいなか面接の準備をし、面接の時間に遅れないように来社しているため、面接官も転職者の誠意に応えなければいけないでしょう。

転職者に誠意がないと思われないために、面接官は面接の時間に遅れないなどビジネスマナーを守る以外にも、自己紹介をしたり面接来社のお礼を述べたりすることも大切といえます。

 

(3)人権を侵す質問をする

転職者に対し、人権を侵す質問やセクハラになる質問をすることはNG行為です。人権を侵す質問は、宗教、思想、政治、家庭環境、本籍地など、転職者の自由であったり、転職者に決定権がなかったりする事柄への質問が該当します。

また、恋人の有無や結婚の予定、年齢や容姿に関する質問は、セクハラと捉えられる恐れがあるため、人権を侵す質問と同様に、聞いてはいけないことといえるでしょう。

面接の場は、転職者のプライベートな情報を聞き出す場ではなく、自社と転職者がマッチしているかを見極める場のため、基本的に業務やスキルに関する質問以外はしないことをオススメします。

 

(4)通信環境が悪い

オンライン面接の場合ですが、インターネットの通信環境が悪いなかで面接を行い、会話や映像が途切れ途切れになることは無いように注意が必要です。転職者が面接に集中できないだけでなく、通信が途絶えた際に不安を抱かせてしまう可能性があります。

オンライン面接の際は、通信環境を万全にしておくことが前提ですが、突発的なトラブルに備えて電話面接を想定しておいたり、別の回線や機器を用意しておいたりなどの対策を施しておくといいでしょう。

また、面接官が複数人の場合は、個々でマイクとカメラを用意することをオススメします。複数人で一つのマイクやカメラを使用する場合、転職者が面接官の顔を見づらく感じたり、声が聞き取りづらかったりして、過度に緊張させる恐れがあります。

面接官に個々でマイクとカメラを用意することが難しければ、マイクやカメラの近くで話すなど、転職者が面接しやすい環境になるよう意識しましょう。

 

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   4.採用面接の面接官の3つの役割

採用面接の面接官は、3つの役割を意識した面接を行いましょう。

 

(1)転職者の見極めを行う

面接官は、転職者が自社にマッチしているか、見極める役割を担っています。転職者が自社にマッチしていない場合、転職者・既存社員ともに業務のしづらさを感じたり、早期離職を招いく恐れがあります。

そのため、面接官は採用面接において、転職者のスキルや志向性、性格などから自社とのマッチング率を適切に見極めることが重要といえるでしょう。

 

(2)候補者の志望度を上げるための動機づけを行う

面接官は、転職者の志望度を上げるための動機づけを行うことが大切です。転職者と面接し自社が求める人材だと見極めた際に、的確な動機づけを行えなければ、転職者は志望度が高まった他社に入社してしまうかもしれません。

採用面接において、面接官は転職者が仕事に何を求めているのかを見極め、志望度を上げる動機づけを行なって優秀な人材を逃さないようにしましょう。

 

(3)自社の広告塔として対応する

採用面接は、転職者と企業様が初めて顔を会わせる場です。また、面接官は企業の代表者として転職者と話をする人物となるため、面接官の対応が誠実であれば企業様のイメージアップにつながります。

一方で、面接官の対応が不誠実であれば、企業様のイメージは下がってしまうため、面接官は自社の広告塔であることを意識して、転職者に対応することが重要といえます。

 

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   5.本音を引き出し志望度を上げる面接の流れ

転職者に的確な動機づけを行うためには、本音を引き出すことが重要といえるでしょう。転職者から本音を引き出し、志望度を上げる面接の流れを解説します。

 

(1)アイスブレイクと自己紹介

アイスブレイク(ice break)とは、英語で「氷を割る」という意味から、初対面同士が会った際に生じる緊張を解きほぐすための方法として、採用面接の場面で取り入れられています。アイスブレイクの内容として、当日の天気や予定、時事ネタなどの世間話であれば、転職者も答えやすく、面接に関したものでないため緊張もほぐれやすいと考えられます。

転職者は、採用面接の場で緊張していることが想定されるため、緊張したまま面接を進めると本音を引き出すことが難しくなってしまうでしょう。そのため、アイスブレイクを行い、転職者の緊張をほぐしてあげることが重要です。

また、転職者へ誠実に対応するために、面接官も自己紹介をしてお互いの情報を開示し合いましょう。

 

(2)企業・業務説明

企業・業務説明は、実業務のみでなく、自社の事業にかける思いや背景も伝えることが大切です。転職者は、就業や転職活動で忙しく、企業様の情報を応募の段階では深く理解できていないこともあります。

そのため、企業様の設立のきっかけや現在に至るまでの沿革、現在の業務と将来的に目指す姿などを面接で丁寧に伝えることで、転職者は部分的でなく、企業様の全体像の理解が深まるでしょう。また、誠実な企業という印象を抱き、イメージアップにもつながる可能性があります。

 

(3)経験・スキルヒアリング

採用面接では、自社とのマッチ度を見極めるために、転職者に対し経験やスキルのヒアリングも行います。面接で必ず聞いておくべきヒアリング事項を事前に準備しておくことで、聞くべきことを聞き忘れる恐れが軽減できます。

また、ヒアリング内容も経験とスキルのみでは、自社の人間関係や職場環境へのマッチ度を見極めることが難しいです。そのため、「弊社を志望した理由を教えてください」「長所と短所を教えてください」など、転職者の本音や志向性を引き出すための質問も忘れずに行いましょう。

ヒアリングの際には転職者の回答内容に応じて、「●●さんの強みは、弊社の●●な業務を行う上で大切なポイントにもなるので活かせそうですね」等、動機づけを意識した返答を行うことも、転職者の志望度を高めるために重要なポイントといえます。

 

(4)質疑応答と締め

面接官はヒアリング終了後、転職者からの質問を受けて、転職者の疑問点や不安点を解消することに努めましょう。転職者からの質問に対し曖昧な回答をしたり、途中で質疑応答を終わらせたりした場合、転職者は不安を覚え選考辞退する恐れがあります。

転職者からの質問に誠実に対応し満足度を高めてもらうとともに、ここでも転職者の志向性に合わせて動機づけを行うことが大切です。

質疑応答のあとは、入社日の確認や選考結果の連絡日程の伝達などをし、採用面接を終了します。

 

 

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   6.8つの心理学を活用した面接テクニック

中途採用面接では、面接テクニックを意識して活用することで、転職者の面接に対する満足度を高め、自社への好感度や志望度を向上させることが可能です。

面接官が活用できる8つの心理学を、面接の流れに合わせてご紹介します。

 

(1)初頭効果

初頭効果は、アイスブレイクと自己紹介時に活用できる心理学です。初頭効果とは、最初の印象がのちの評価に大きく影響する現象のことをいいます。

たとえば、採用面接ではじめに面接官が横柄な態度をとってしまった場合、その後候補者に対してどんなに丁寧に対応をしたとしても、面接の印象はネガティブなイメージをもたれやすくなります。

一方で、面接官が候補者に対してはじめからポジティブな印象を持ってもらえるような誠実な対応を行うことで、面接を通して自社にプラスの感情を抱いてくれる可能性を高めることが可能です。

人間は、物事の始まりと終わりの印象が強く、記憶に残りやすいため、採用面接の始めに第一印象を上げることが効果的といえます。

   面接官の対応以外で第一印象を上げる方法

・ウェルカムボードをセッティングし、「歓迎している」ことを伝える

・来社した転職者とすれ違った社員は挨拶をするなど、丁寧な対応を周知徹底する

・Web面接の場合、背景を設定し(会社のロゴや名刺風など)、煩雑な印象を与えないように心がける

 

(2)ミラーリング

ミラーリングは、アイスブレイクと自己紹介時に活用できますが、面接全体を通して意識していただくことをオススメする心理学です。ミラーリングとは、相手の動きや表情を真似ることで、相手に親しみやすさを感じてもらう効果をもたらします。

人間は、自分と共通点がある人には親しみを感じやすいという心理学的特徴があるため、ミラーリングすることで転職者の心がオープンになり、本音を聞き出しやすくなるでしょう。

具体的な方法は、「相手のペースに合わせて話すこと」「声のトーンやテンションを合わせること」「相手の話を復唱してまとめること」です。

たとえば、端的なコミュニケーションを好む相手には面接官も端的な受け答えを意識することで、相手のペースに合わせられているといえるでしょう。

ミラーリングすることを意識しすぎて、会話やテンションが不自然にならないように注意することが大切です。

 

(3)返報性の原理

返報性の原理は、企業・業務説明で活用できます。返報性の原理とは、相手から好意のある対応をしてもらった場合、自分も同じか、それ以上の対応を返そうとする人間の心理的特徴を表した言葉です。

採用面接の場においては、面接官から積極的に本音を話すことで、転職者も「本音を話してくれているから自分も本音を話そう」という気持ちになってもらうができるでしょう。

また、面接官は自分のことを話す「自己開示」をすることも、転職者の本音を引き出すのに有効といえます。相手との親密性が増すともいわれている自己開示は、転職者の面接に対する満足度の引き上げにもつながるでしょう。

相手は、自分が自己開示した内容と同程度の自己開示をする傾向にあるため、より多く開示してほしい場合は自分も多くを自己開示する必要があるといえるでしょう。

   返報性の原理の活用方法

・面接官は自分の社内での立ち位置、仕事内容、入社を決めた理由などを話す。

→自己開示の返報性により転職者もオープンに話してくれます。

・ヒアリングした情報から、転職者と共通点のある自社社員の情報を伝える。

→転職者のことを理解し転職者目線で話そうとする努力が伝わり、好感度が高まります。

 

(4)ラダー効果

企業・業務説明で活用できるラダー効果は、上位の目的や意義によってモチベーションを高める心理学です。ラダーは「はしご」を意味し、はしごをのぼっていくように視点の抽象度を上げ、行動の価値や意義を伝えることで、相手のモチベーションを高める効果があります。

企業・業務説明においてラダー効果を活用するためには、「意義」「目的」「価値」「実務」という項目を用い、下位から上位に向かいながら自社の価値や意義を伝えることが大切でしょう。

   ラダー効果の活用法

・意義ー業務の社会的意義とは?

・目的ー業務のそもそもの目的とは?

・価値ー業務が与える価値とは?

・実務ー日々の業務内容の詳細とは?

※「意義」に近付くほど難易度と差別化が高くなる

求人広告会社である弊社の「広告営業」を例にしてご紹介しますと、実務は「広告をとってくる仕事」、価値は「いい会社を社会にどんどん紹介する仕事」、目的は「広告を通じて企業の成長を手伝う仕事」、意義は「個人と企業がお互いに幸せな関係を築ける社会を作る仕事」となります。

自社の業務の目的や意義レベルまで転職者に伝えることで、より印象に残すことができるでしょう。

 

(5)両面提示

企業・業務説明で活用できる両面提示とは、メリットとデメリットの両面を提示することで、相手の不信感を払拭し、より説得力が増すという心理学効果です。デメリットを提示する際には、事前にデメリットを整理し、デメリットによって得られるメリットを把握することが大切です。

たとえば、「自社制度が整っていない」というデメリットがあった場合、「社員一人ひとりの裁量が大きい」というメリットが考えられます。

また、デメリットは伝え方を変えることで、プラスの印象に転じさせることができるため、伝え方を工夫することを意識しましょう。

   デメリットの伝え方

〇良い例

弊社は制度が整っているわけではありませんが、大きな裁量をもってチャレンジできる環境があります。

×NG例

弊社は大きな裁量をもってチャレンジできる環境がありますが、制度はあまり整っていません。

「良い例」の場合、デメリットのあとにメリットを伝えることで、物事の対比を大きく感じるコントラスト効果により、メリットがより際立ちます。また、人間は最後に聞いた情報のほうが記憶に残りやすい傾向のため、メリットを最後に伝えたほうが好印象を与えられる可能性が高いです。

同じ両面提示でも、伝え方によって転職者が受ける印象に大きく違いがでることを覚えておき、より好印象を与える伝え方をすることをオススメします。

 

(6)エスカレーター効果

エスカレーター効果は、企業・業務説明で活用できる心理学です。人間は「エスカレーターは動くもの」と思い込んでいるため、止まっているエスカレーターに乗った場合に無意識にバランス調整して足が重くなり、違和感を感じます。生じる違和感を心理学に応用すると、転職者の自社に対する思い込みを良い意味で裏切った場合、印象に残りやすくなる効果があります。

たとえば、自社を「お堅い会社」と思い込んでいる転職者に対し、とてもフレンドリーな対応をして親しみやすさを感じてもらえた場合、思い込みと現実のギャップから良い印象をもたれやすくなるでしょう。

転職者の自社に対する思い込みを良い意味で裏切るために、思い込みとは逆の情報を準備しておくことが大切です。

また、採用活動にSNSを活用する企業様の場合は、実績を十分に出しつつも、SNSではあえて親しみやすさを前面に出すなど、ギャップを生じさせると転職者の印象に残る可能性が高いです。

 

(7)存在承認

スキルヒアリングで活用できる存在承認は、相手の存在そのものを承認してあげることをいいます。転職者は、面接における候補者体験(CX)で「ちゃんと自己表現したい」と期待しており、達成できた場合に最も満足度が上がるポイントのため、存在承認はとても重要といえるでしょう。

転職者の行動や結果ではなく、存在そのものを承認していることを伝えることで、緊張が解けた転職者から本音の返答をもらえる可能性が高まります。転職者が本音で話してくれることは、自社とのマッチング率の見極めにも役立つでしょう。

   存在承認する方法

「あなたのことを知りたいです」「気にかけています」という気持ちが伝わるトーク。

※詳細は「本音を引き出しミスマッチを防ぐ見極め質問例」の「気にかけトーク例」をご覧ください。

また、面接官は面接で得た転職者の情報から、転職者が自社で働く際に強みを活かせる場面や、同じような経歴をもつほかの社員の活躍情報をフィードバックすることも効果的といえます。

面接官が、自社で転職者が活躍するイメージを具体的に伝えることで、存在承認を満たすことにつながり、志望度も向上するでしょう。

 

(8)カクテルパーティ効果

スキルヒアリングで活用できる心理学に、カクテルパーティ効果があります。パーティー会場のようにざわざわした騒音のなかでも自分の名前や興味、関心のある事柄は耳に入ってくることから、自分の関心のある事柄は印象に残りやすいという効果があります。

そのため、面接で転職者と話をする際には、転職者が興味、関心のあるワードを盛り込むことを意識することが大切といえるでしょう。たとえば、転職者が安定性を求める場合は、自社の設立年数や成長率を伝えたり、自由度を求める場合は、裁量の大きさやテレワーク、フレックスタイム制の活用を話したりすることをオススメします。

また、中途採用面接の場合、キャリアアップを理由とした転職が多い傾向にありますが、キャリアアップの方向性は転職者によりさまざまです。そのため、転職理由を掘り下げキャリアアップの具体的な方向性を知り、方向性に合ったアピールをすることが必要でしょう。

  転職理由の掘り下げ方

キャリアアップをしたい場合の掘り下げ質問

「キャリアアップとは具体的にどのようなものをイメージしていますか?」

  転職理由の返答とPRポイント

・〇〇のスキルをつけたい(専門性を重視)→資格支援制度や教育制度の充実

・仕事の裁量が大きく自由度が高い(自由度を重視)→フレックスタイム、服装自由

・人のマネジメントができるようになりたい(出世を重視)→昇給昇進のスピード、評価制度

カクテルパーティ効果を活かし、転職者の興味、関心のあるワードを話に盛り込むためには、転職者の転職理由や志望動機から志向性を探ることが重要です。探り得た志向性から的確な情報を伝えることで動機づけにもつながるため、転職者の志望度を高めることにもなるでしょう。

また、カクテルパーティ効果に関連した心理学に「ネームコーリング」があります。ネームコーリングとは、相手に名前を呼ばれることで好意が増す心理学です。面接中に転職者の名前を頻繁に呼ぶことで好意を抱かれやすいため、ネームコーリングも意識することをオススメします。

 

 

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   7.本音を引き出しミスマッチを防ぐ見極め質問例

改めてになりますが、中途採用面接の面接官は、ミスマッチを防ぐために転職者の本音を引き出し、見極めることが大切です。

転職者と企業様のマッチング度合いを見極めるいい質問例を、さまざまなトークパターン別にご紹介します。

 

(1)アイスブレイク質問例

アイスブレイクは、転職者の緊張をほぐすために行うため、さらに緊張させないように仕事以外の話題を振ることが望ましいでしょう。

・本日は弊社まで何を使って来られましたか?

・こちらまで何分くらいかかりましたか?

・空調の温度は大丈夫ですか?寒くないですか?

 

(2)自己開示トーク例

自己開示は、転職者に好感を抱かせ、本音で話してもらいやすくするために十分行うといいでしょう。しかし、面接の場が、面接官の一方的なトークにならないように話しすぎには注意が必要です。

・私も中途入社で、勤続〇年目です。採用担当には×年前から携わっています。

・私も〇〇さんと同じで××(転職者との共通点)が前職なんですよ。

・私は〇〇(出来事)があって、当社に魅力を感じ入社を決めたんですよ。

 

(3)気にかけトーク例

スキルヒアリングで活用できる存在承認では、転職者を気にかけ、存在を承認することが重要です。

・どうぞお水飲んでくださいね

・いつでも質問して大丈夫ですからね

・どんな内容でもマイナス視はしないので、ミスマッチを防ぐためにもなんでも話してくださいね

 

(4) 本音と建て前を把握するための質問例

転職者は、転職する理由で本音を言っていない可能性があります。転職者が言う「転職する理由」が本音なのか建て前なのかを把握するために、効果的な質問をしてみましょう。

・これがあれば現職に残るという条件はなんですか?

→残る理由を引き出すことで本音の不満を聞ける可能性があります。

・現職で一番お世話になっている方は誰ですか?その方は転職についてなんと言っていますか?

→第三者視点の質問は想定していない可能性が高く、本音を引き出せることが多いです。また、現職での人間関係をイメージできます。

・仮に当社に入社したら、当社に期待することを教えてください。

→本音を引き出す他の質問とあわせて質問することで、転職理由に一貫性があるか確認できます。

本音を引き出す質問をする前には、面接官の自己開示や存在承認を十分におこない、信頼関係を築き上げることが重要といえます。

転職者が言いづらい部分を紐解く質問は、緊張を与えてしまう恐れがあるため、「どんな内容でもマイナス視はしないので、ミスマッチを防ぐためになんでも話してくださいね」のような言葉をかけてあげましょう。

 

(5)志向性を見極める質問例

転職者の志向性を見極めることは、適切な動機づけのために大切です。

・なぜ転職を希望しましたか?

・仕事で褒められると嬉しい点はなんですか?

・長所と短所を教えてください。

 

 

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   8.まとめ

中途採用面接を経て入社した転職者の入社理由第一位は「面接官が好印象だったから」であるため、面接官の対応は転職者の入社意欲に大きく関わるといえます。

面接官は、自社の広告塔としての役割もあり、転職者が初めて会う企業の人物です。転職者に対して真摯に対応すれば好感度が高まりますが、高圧的な態度をとるなど転職者が不快に感じる対応をすれば、選考辞退となるだけでなく企業のイメージダウンにもつながります。

転職者の志望度を上げ、採用成功するためにも、面接官は候補者対応に注意しつつ、心理学を活かした面接を実施しましょう。

 

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