自社への応募者を獲得する活動を意味する「母集団形成」は、効率的に採用活動を進めたり、ミスマッチを防止したりするために重要視されています。
この記事では、中途採用で母集団形成する方法とオススメの採用手法、ポイントをまとめています。量と質の高い母集団形成ができるように、ぜひご参考にしてください。
目次
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1-1 母集団形成の意味
1-2 母集団形成が重要な背景 -
2-1 新卒採用の母集団形成の特徴
2-2 中途採用の母集団形成の特徴 -
3-1 効率的に採用活動を進められる
3-2 採用コストを削減できる
3-3 入社後のミスマッチ防止・定着率向上につながる -
4-1 採用計画を立てる
4-2 採用スケジュールを策定する
4-3 採用手法を選定する
4-4 募集活動の実施
4-5 振り返り・改善 -
5-1 求人媒体(求人サイト)
5-2 ダイレクトリクルーティング
5-3 転職イベント
5-4 人材紹介
5-5 リファラル採用
5-6 ソーシャルリクルーティング -
6-1 採用ターゲットの基準を明確にする
6-2 採用ペルソナを定期的に見直す
6-3 定期的に効果検証しPDCAを回す
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1.母集団形成とは |
母集団形成の意味と、重要とされる背景を解説します。
(1)母集団形成の意味
「母集団形成」とは、自社への応募者を獲得する活動を意味します。「母集団形成」の「母集団」とは、自社に興味を持ち、応募した求職者や、今後応募に至る可能性がある求職者の集団のことです。
新卒採用・中途採用ともに、母集団形成は大切ですが、せっかく求職者を集めても「自社が求める人材がひとりもいない」という状態では、採用成功できないでしょう。
そのため、応募者の量だけでなく、質もともなった母集団形成が求められます。
(2)母集団形成が重要な背景
母集団形成が重要とされる背景には、現在の日本が抱えている少子化の問題と、有効求人倍率の高さがあります。
厚生労働省によると、2020年には7509万人いた15歳~64歳の人口が、2040年には6213万人、2070年には4535万人になると予測されています。
参考:厚生労働省「我が国の人口について」
また、令和5年10月における有効求人倍率は1.30倍で、令和4年度から横ばい状態が続いています。現在でも人材確保の難しさがうかがえますが、少子化の影響で今後さらに採用の難易度が高まっていくと考えられるでしょう。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年10月分)について」
求職者の転職に対するハードルが低くなってきていることもあり、優秀な人材を確保し、自社で長期的に活躍してもらうためにも、自社がターゲットとする人材を母集団形成することが重要視されています。
2.母集団形成における新卒採用と中途採用の違い |
新卒採用と中途採用は、採用対象や採用スケジュールなどに違いがあるため、母集団形成の特徴もそれぞれ違います。
母集団形成における新卒採用と中途採用の違いをご紹介します。
(1)新卒採用の母集団形成の特徴
新卒採用の母集団形成の特徴は、長期的に行うことです。新卒採用の採用スケジュールは、「学生が学業に専念し、安心して就職活動ができるように」として、政府から要請があるため、参考にしながら長期的に接点を持つことが大切です。
新卒採用の場合、ターゲットは社会人経験がない学生であるため、スキルや経験ではなくポテンシャル重視で採用活動を行います。
(2)中途採用の母集団形成の特徴
中途採用の母集団形成の特徴は、短期的であることです。中途採用は、欠員補充や増員募集などで新たな人材が求められた際に、スピーディーに選考を行う傾向があります。新卒採用と違い、採用スケジュールを自社のタイミングで組めるため、早ければ一週間程度で応募から内定まで終えるケースもあるでしょう。
ターゲットが主に経験者である中途採用は、スキルや経験を重視し、どのような人物が自社に必要かを詳細に定義したうえで母集団形成をします。
💡新卒採用と中途採用の違いについて詳しくまとめた記事はこちら |
3.中途採用で母集団形成に注力するメリット |
中途採用で母集団形成に注力するメリットは、3つあります。
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メリットを詳しく解説します。
(1)効率的に採用活動を進められる
母集団形成に注力すると、採用活動を効率的に進められる可能性があります。母集団形成の段階で自社とマッチしている質の高い求職者を集められると、書類選考、面接などのフェーズにおける歩留まりが減少し、採用目標人数を達成できるかもしれません。
また、過去の採用活動における歩留まりを確認すると、採用目標人数を達成できる母集団の人数を逆算できます。そのため、母集団の人数が、逆算して導き出した数値に達しなかった場合は、採用計画を早期に見直すなどして、迅速な軌道修正を行えるでしょう。
(2)採用コストを削減できる
母集団形成で量と質を高められると、採用計画どおりに採用目標人数を達成できて、採用コスト削減につながります。
採用活動は、長期化すると人件費や広告費などがかさみ、採用コストが大きくなる恐れがあります。長期化の理由としては、「応募が集まらない」「ターゲット外からの応募が多すぎてスクリーニングに時間がかかる」などが考えられるでしょう。
自社が求める人材を明確にしたうえで母集団形成をすると、ターゲットからの応募を集められる可能性があるため、余分な採用コストをかけずに済みます。
(3)入社後のミスマッチ防止・定着率向上につながる
母集団形成の質を高めると、入社後のミスマッチ防止や定着率の向上が期待できます。
「ただ求職者を集める」という母集団形成を行うと、自社とマッチしていない人材が集まり、入社後にミスマッチを理由に早期離職され、採用コストが無駄になる恐れがあります。また、自社の離職率が高くなると、次の採用活動で求職者にマイナスに受け取られ、応募が集まらない事態を招くかもしれません。
そのため、母集団形成の段階から自社とマッチした人材をターゲットとし、アプローチしていくことが求められます。
4.母集団形成の手順 |
母集団形成は、次の5つの手順で行います。
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母集団形成を成功させるために、手順をひとつずつ確認していきましょう。
(1)採用計画を立てる
まずは、採用計画を立てていきます。採用計画を立てる際には、「採用の目的」「採用ペルソナ(ターゲット)」「採用目標人数」「母集団の人数」を明確に設定しましょう。
母集団の人数は、前述した歩留まりからの逆算で求められます。設定する母集団の人数が多すぎると、選考に時間がかかったり、ミスマッチ人材を採用したりする恐れがあります。一方で、少なすぎると、採用目標人数に達しないかもしれません。
効率的に採用活動を進めるには、採用計画を適切に立てることが重要でしょう。
💡採用ペルソナについて詳しくまとめた記事はこちら |
(2)採用スケジュールを策定する
採用計画を、採用スケジュールに落とし込んでいきます。自社の状況に応じて、いつまでに採用したいかを明確にし、スケジュールを立てていきましょう。
中途採用にはベストな時期もあるため、採用スケジュール策定の際には参考にすることをオススメします。例えば、求職者が活発な時期に求人を出せば、より多くの応募を集められる可能性があります。採用企業の閑散期に求人を出すと、競合他社が少ないため、自社の求人を求職者に見てもらいやすいです。
💡中途採用に適した時期について詳しくまとめた記事はこちら |
(3)採用手法を選定する
採用手法にはさまざまな種類があり、コストが比較的高いもの、パワーがかかるもの、複数人採用に向いているものなど、メリット・デメリットや特徴も異なります。
自社やターゲットに合わない採用手法を選んでしまうと、母集団形成できない、採用コストばかりかかるという状況になりかねないため、最適な採用手法を見極めることが重要です。
詳細は後述(「5.中途採用に適した母集団形成の採用手法」)しているため、ぜひご覧ください。
(4)募集活動の実施
採用手法を選定したら、募集活動を実施します。募集活動中は、応募者数や応募者の経歴を確認し、自社が設定した人物像とマッチしているかを分析することが大切です。
複数の採用手法を取り入れている場合は、それぞれを分析することで、採用手法の見直しを図ることにつながります。
(5)振り返り・改善
募集活動を分析した結果を振り返り、状況を改善していきましょう。
例えば、求人媒体からの応募者がマッチしていない場合は、求人原稿の文章を見直し、修正するといいかもしれません。人材紹介会社を利用している場合は、人材紹介会社の担当者と求める人物像を再度すり合わせ、認識の一致率をさらに高めていくと改善できる可能性があります。
募集を開始したらただ応募を待つのではなく、より質の高い応募を集められるように状況分析や改善を繰り返すことが重要です。
5.中途採用に適した母集団形成の採用手法 |
母集団形成の手順のひとつに、採用手法の選定が挙げられます。
中途採用に適した母集団形成の採用手法は6つあるため、それぞれの特徴をチェックしましょう。
・求人媒体(求人サイト) |
(1)求人媒体(求人サイト)
求人媒体(求人サイト)は、転職に意欲的な求職者が登録しているため、母集団形成をしやすい傾向があります。掲載から採用までのスピードが早かったり、スカウトメールを活用して企業側から求職者へ直接アプローチできるメリットもあります。
また、求人媒体(求人サイト)には中途に特化したサイト、特定の職種や業界に強みを持つサイトなどもあるため、特化型の媒体を利用すると、自社のターゲット人材からの応募を集めやすいでしょう。
一方で、知名度が高い企業へ応募が集まったり、ほかの求人に埋もれたりするデメリットもあります。
💡求人広告の書き方について詳しくまとめた記事はこちら |
(2)ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、SNSのDM機能や求人媒体のスカウトメール機能を活用して、企業が求職者へ直接アプローチする「攻めの採用手法」です。求職者へ積極的に自社をアピールすることによって、応募者が集まりやすくなります。
ダイレクトリクルーティングのメリットは、自社の求人が他社に埋もれない、ターゲット外の人材からの応募が来ないことなどが挙げられますが、対象者の抽出や文面作成など、運用にパワーがかかるデメリットもあります。
スカウトの採用ノウハウが蓄積されていたり、専任担当を設けるなどしてパワーをかけられたりする企業には、ダイレクトリクルーティングが向いているかもしれません。
💡ダイレクトリクルーティングについて詳しくまとめた記事はこちら |
(3)転職イベント
転職イベントとは、中途採用を行う企業がイベント会場に出展し、来場した転職希望者へ自社の魅力をアピールしたり、選考への動機づけを行ったりする採用手法のことです。
転職イベントに出展すると、1日で多くの求職者に直接会って口説けるため、求人を出しても応募が集まらない企業や、ドタキャンや辞退が多くて面接できない企業にオススメできます。
転職イベントへの出展料金の相場は、80~200万円ほどです。求人サイトへの掲載とセット販売しているサービスもあるため、利用すると、応募獲得効果をより高められるかもしれません。
💡転職イベントについて詳しくまとめた記事はこちら |
(4)人材紹介
人材紹介は、人材紹介会社の登録者のなかから、自社が求める人材とマッチする登録者を紹介してもらう採用手法を指します。
人材紹介のメリットは、人材紹介会社が事前に人材をスクリーニングしてくれるため、応募者の質が高いことです。一方で、費用の平均が想定年収の約35%と高かったり、担当エージェントによって採用の角度が左右したりするデメリットもあります。
有効応募が集まらない企業や、採用にパワーをかけられない企業は、人材紹介を利用するとパワーをかけずに求める人材を採用できる可能性があります。
(5)リファラル採用
リファラル採用とは、自社の社員に知人や友人などを紹介してもらい、選考を行う採用手法です。リファラル採用は、社員から自社のことを聞き、理解を深めている人材が応募するため、ミスマッチが起こりづらいというメリットがあります。
しかし、社員の紹介だからこそ不採用を出しづらい、というデメリットもあります。また、そもそも社員に紹介できる人材がいない可能性もあるでしょう。
リファラル採用は、社員からの紹介という特徴から、既存社員の自社に対する満足度が高かったり、社員が協力的であったりする企業に向いています。
💡リファラル採用について詳しくまとめた記事はこちら |
(6)ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングとは、XやFacebookなどのSNSを活用した採用手法です。自社情報を発信したり、DM機能を用いて求職者と直接やり取りしたりするツールとして採用活動に活かせます。
SNSは拡散力があり、自社を幅広い人材に認知してもらえるため、転職潜在層へもアプローチできるメリットがあります。また、無料で利用できるSNSを採用活動に取り入れることで、採用コストの削減も図れるでしょう。
しかし、ソーシャルリクルーティングには即効性がないことから、中長期的な運用が求められる点に注意が必要です。
💡ソーシャルリクルーティングについて詳しくまとめた記事はこちら |
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6.母集団形成の注意点とポイント |
母集団形成をする際には、下記のポイントを踏まえることが大切です。
・採用ターゲットの基準を明確にする |
(1)採用ターゲットの基準を明確にする
より効果的な採用手法を選んだり、採用メンバー間の認識相違を防いだりするために、採用ターゲットの基準を明確にしましょう。
採用ターゲットの基準が明確化すると、求職者のソフト面を重視するから転職イベントへ出展する、スキルや経験豊富な即戦力人材が欲しいから人材紹介を利用する、というように自社に適した採用手法を選びやすくなります。
また、採用メンバー間の採用ターゲットに関する認識が合致しやすくなるため、選考の通過率が上がったり、ミスマッチを防いだりできる可能性が高まります。
(2)採用ペルソナを定期的に見直す
設計した採用ペルソナは、定期的に見直すことが大切です。求職者と接していくなかで、設計した採用ペルソナとのズレを感じることがあるかもしれません。ズレを直さないまま採用活動を行うと、ひとりも採用できなかったり、ミスマッチ人材を採用したりする恐れがあります。
そのため、採用ペルソナを定期的に見直し、必要があれば修正して、採用成功につながる母集団形成をしていくことが求められます。
(3)定期的に効果検証しPDCAを回す
応募者数や選考通過率、採用手法ごとの効果などを定期的に検証し、PDCAサイクルを回すことが重要なポイントとして挙げられます。
数値化できる実績は数値化して、具体的に効果検証すると、取り組みの改善点が見えやすくなるでしょう。採用活動はコストがかかるため、費用対効果の検証も大切です。
7.まとめ |
「母集団形成」とは、自社への応募者を獲得する活動のことです。母集団形成に注力すると、採用コスト削減や入社後のミスマッチ防止につながるメリットがあります。
中途採用に適した母集団形成の採用手法としては、求人サイトやダイレクトリクルーティングなどが挙げられますが、特徴によって企業に向き・不向きがあるため、それぞれの内容をよく吟味して選ぶことが大切です。
採用ターゲットの基準の明確化や、定期的な効果検証を実施して、量と質の高い母集団形成を目指しましょう。
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