「エンジニアの採用単価を抑えたい」
これは、エンジニア採用を数多くサポートしてきた弊社に、多くの企業様からご相談をいただくことの一つです。
採用市場におけるエンジニア採用の競争率は年々上がっており、人材獲得に苦戦し、採用コストだけどんどん増えてしまっている・・・といったお悩みを持つ採用担当者様も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、エンジニアの採用単価の相場や、採用コストを抑えて採用成功するポイントについてご紹介させていただきます。
目次 |
1|採用コストとは? |
採用コストとは、企業が社員・契約社員・アルバイトなど人を採用するためにかかった費用のことです。職種ごと、採用する人材のレベル、採用市況・時期などによって、費用は変動します。
採用コストについては、「外部コスト」「内部コスト」の2種類に分けられます。
(1)外部コストとは
外部コストとは、採用業務において外部業者などに支払った費用のことを指します。たとえば、求人広告費(メディア・SNSなど)、人材紹介への成功報酬、採用説明会の会場費などの開催費用、採用管理システム費用、採用HPや会社パンフレットを外部発注した場合の費用なども含まれます。
(2)内部コスト
内部コストとは、採用業務に費やされた社内の費用のことを指します。採用担当者・面接対応者の人件費、応募者の交通費・入社祝い金、紹介社員へのインセンティブなども含まれます。
2|採用単価の計算方法について |
採用単価については、社員・アルバイト1人を採用するときにかかった採用コストのことです。
そのため、計算方法については以下のようになります。
採用コストの総額(外部コスト+内部コスト)÷ 採用人数 = 一人あたりの採用単価 |
たとえば外部コストが350万円、内部コスト150万円で採用コスト総額が500万円、採用人数が5名の場合、採用単価は100万円ということになります。
採用単価が低いほど、効率良く採用ができたということになります。全体の採用コストがどれくらいかかったかという点よりも、この採用単価がいくらまで抑えられたかという点のほうが重視される傾向にあります。
3|IT・通信・インターネット業界の採用コスト |
株式会社マイナビが実施した調査「マイナビ 中途採⽤状況調査2020年版(2020年1月調査)」では、「中途採用の予算と実績」という内容にて、調査対象企業の2019年における年間中途採用コストのデータを業界別でまとめていました。
そのデータによると、全体の平均採用コストが674.1万円であったのに対して、IT・通信・インターネットは平均898.5万円と大きく上回っています。
規模が大きい企業が多かった、という考察も記載されておりましたが、IT業界における採用への投資額が大きくなっていることがわかります。
・全体:674.1万円
・IT・通信・インターネット:898.5万円
・製造・メーカー:604.4万円
・サービス・レジャー:654.1万円
・流通・⼩売・フード:356.3万円
・⾦融・保険:640.6万円
・不動産・建設・設備:794.2万円
・運輸・交通・物流・倉庫:486.7万円
・医療・福祉:800.7万円
参照:マイナビ 中途採⽤状況調査2020年版(2020年1月調査)
4|エンジニアの採用単価(2022年11月調査結果) |
(1)エンジニア経験者の採用単価
(2)エンジニア未験者の採用単価
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1.中途採用市場の動向を知りたい 2.他社の制度面(兼業・副業制度 / 産後パパ育休 等)の動向を知りたい 3.他社の中途採用(課題や対応、候補者フォロー内容 等)の動向を知りたい |
5|新型コロナ流行前後におけるエンジニア採用単価の変化 |
2021年5月、type・女の転職typeにおいて中途採用活動状況を調査するアンケートを実施した結果、「2019年度と2020年度の採用単価の変化と実績」について調査したところ、「採用単価が高くなった」という回答が他の職種が10~20%であったのに比べ、「エンジニア経験者」募集における採用単価が高くなったという回答が約30%を占めました。
また、採用単価の実績については、エンジニア未経験者、営業経験者などの職種に比べてコストが高い企業が多く、新型コロナの影響によって採用市場が大きく変わる中でも、エンジニア経験者の需要は高く採用難易度が高いということが分かります。
▼エンジニア経験者の採用単価の変化
▼エンジニア未経験者の採用単価の変化
▼営業経験者の採用単価の変化
出典:コロナ禍での中途採用活動状況に関するアンケート調査結果報告(2021.05) - type・女の転職type独自調査 - 株式会社キャリアデザインセンター
6|エンジニアの採用単価が高い理由 |
ではなぜ、エンジニアの採用単価は他の職種と比較して高いのでしょうか。
その理由として、以下の2点が挙げられます。
(1)エンジニアの新規有効求人倍率の上昇している
厚生労働省のデータによると、情報処理技術者の新規有効求人倍率は2021年1月時点で2.7倍となっています。新型コロナウイルス感染拡大長期化の影響を受け、2019年12月の4.7倍をピークに緊急事態宣言が出された2020年4月には2.4倍まで下がりましたが、2021年1月の全体の有効求人倍率が1.8倍ということを踏まえると、エンジニアの新規有効求人倍率は高いと言えます。
■ 情報処理・通信技術者新規求人倍率
※参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年1月について)- 一般職業紹介状況 [季節調整値](除パート) 」より(図:弊社作成)
また、経済産業省が発表したデータでは、2030年にはIT人材が最大で約79万人不足すると試算されています。
※大きな図はこちらからご覧いただけます
参考:経済産業省 - IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書(2019年3月)
AIやロボット技術など、IT技術の急速な発達や、話題となっている「デジタルトランスフォーメーション(DX)」へ投資する企業の増加、また政府においてもデジタル省庁が設立され、ICT投資が活発になっていくなど社会におけるITの需要は高まる一方で、エンジニアの人手不足が進み、採用に苦戦する企業が増えていくと想定されます。
(2)エンジニア経験者をも採用したい企業が増えている
新型コロナ流行の影響で、採用コストや採用ターゲットの見直しを行った企業様も多く、「これまで新卒採用や若手のエンジニア未経験者の採用を実施していたが、今後は即戦力となるエンジニアの経験者採用に方針を変えた」という企業様が増えました。
エンジニアの経験者採用はコロナ流行以前から難易度が高く、特に20代後半~30代前半の経験者については、一人のエンジニアを複数の企業が取り合うような状態が続いています。
エンジニアの経験者のほうが年収も高く、採用難易度は高くなります。そのため、採用コストが高くなるのです。
コロナ流行の影響でやや有効求人倍率は下がったものの、IT業界への需要の高まりをふまえると今後も経験者をターゲットにした求人は増加していくことでしょう。エンジニア採用単価は、今後も高上昇していく可能性が高いと考えられます。
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7|エンジニアの採用コストを抑えるポイント |
それでは、高騰するエンジニア採用コストを抑えるためには、どのような施策を打っていくべきなのでしょうか。
(1)まずは採用コストが高くなっている原因を分析する
採用コストを抑えるため、手法自体を変えたり採用基準を下げたりする前に、そもそも採用単価が高くなっている原因を分析しましょう。
採用コストにおける外部コスト・内部コストを分け、さらにその内訳を細かく見ていき要因を見つけ出します。その上で、採用単価を抑えるための施策を検討するようにしましょう。
たとえば、内部コストのうち、採用活動にかかる工数が多く人件費が増えているのであれば、選考回数を削る、採用説明会を動画にするといった工夫をすることで人件費を削減できる可能性もあります。
(2)採用基準を見直す
エンジニアの採用コストが高くなってしまっている企業様でときどき見受けられるのが、「どの企業も採用に苦戦している状況下で、大手企業でもなかなか採用できないようなハイレベルな人材をターゲットとしている」というケースです。
採用基準を設定する際には、
・自社の規模・業態などを踏まえた上で、現状の採用市場において狙えるターゲットはどこなのか
・競合他社が狙っている採用ターゲットや、提示している給与や待遇条件を分析、自社と比較した上で狙えるターゲットはどこなのか
という点を考慮する必要があります。
改めて今の採用ターゲットが自社が採用できる人材なのか見直してみるのも良いかと思います。
※参考:IT業界におけるスキルレベル別転職者の応募の流れ(弊社作成)
※大きな図はこちらからご覧いただけます
「採用できる人材」の見極めを行う『ペルソナ設計』について詳しく読む |
(3)採用手法を見直す
求めている採用ターゲットに対して、今活用している採用手法が適切かを見直してみましょう。
たとえば、エンジニア経験者を採用ターゲットにしている場合、総合転職サイトでただ掲載して応募が来るのを待っているだけ、という状態ではそう簡単に採用成功できません。上述したように、現在のエンジニア採用市場では、エンジニアを求める企業数に対してエンジニア求職者の数が圧倒的に少ない状況のため、企業から積極的に求職者へアプローチしていく必要があります。
業種や募集している職種における採用市況、求めている採用レベルをふまえた上で、採用手法を選定することがポイントになります。
エンジニア採用における採用媒体・採用手法の選び方について詳しく読む |
(4)採用ターゲットの幅を広げ、コストを抑えられる手法を活用する
現時点の採用ターゲットでは採用が難しいという場合は、採用ターゲットを変更する、もしくは幅を広げ、採用コストを抑えられる手法を活用するという施策も手です。
採用ターゲットの幅を広げた採用の例として挙げられるのが、若手の未経験者採用です。
現在、IT業界の需要の高まりから、エンジニアの仕事に興味を持つ若手層が増えています。そのため、若手の未経験者をターゲットにすることで求人サイトでの広告出稿でも応募が多く集まる可能性があります。
求人広告は人材紹介などと比べれば費用が安く(もちろん採用できずに長期間掲載していればコストは高くなりますが)、採用コストを抑えることが可能です。
(5)無料でできる採用手法を併用する
採用手法の中でも、無料で活用できるツールもあります。
たとえば、「ソーシャルリクルーティング(SNS採用)」「リファラル採用」「求人検索エンジン」「採用HP」などです。これらのツールを上手く活用することで、採用コストを抑えることも可能です。
① ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
ソーシャルリクルーティングとは、Twitter、FacebookなどのSNSを活用して採用活動を行うことです。「SNS採用」と呼ばれることもあります。
日常生活においては、自身のプライベートの写真を投稿したり、同じ趣味をもつ人との交流などを目的として活用することが多いと思いますが、近年においては、このSNSを採用活動の手法として取り入れる企業が増えています。
活用方法としては、企業の認知度を上げるための情報発信ツールとして活用する方法や、採用専用の特設サイトとして活用する方法などがあります。
たとえば、求人広告を利用しながらも、広告では伝えきれない自社の魅力を打ち出すためにSNSを使うことで、応募数がアップする可能性が高まります。
またSNSは、転職ニーズの潜在的な層にまでアプローチできるという特長もあります。今すぐに入社してもらうことは難しくても、優秀な人材とSNSで中長期的に接点を取っておくことで、将来的に転職ニーズが発生したときに転職先の候補として選んでもらう可能性を高めらます。
ソーシャルリクルーティングについて詳しく読む |
SNSで採用数UP!今話題の「ソーシャルリクルーティング」とは|活用方法・メリット・デメリット - 女の転職type「女性採用情報お届けブログ」 |
② リファラル採用
リファラル採用とは、社員に知人や友人などを紹介してもらい採用する手法です。労働人口の減少や有効求人倍率の高騰などから、採用難に悩む企業が増えたことから、従来の採用サービスに加えて、自力でできるこのリファラル採用を取り入れる企業が増えています。
社員紹介経由なので、採用してももちろんコストは発生しません。紹介した社員へインセンティブを与える制度を設けている企業もありますが、人材紹介などで一人当たり100万円以上かかることなどを踏まえると、メリットのほうが大きいと言えます。
③ 求人検索エンジン
GoogleやYahoo!がネット上で様々な情報を検索して情報を得られるように、「求人」について検索ができ、集約された求人情報が表示されるものです。代表的なサービスでいうと、「Indeed(インディード)」「求人ボックス」「スタンバイ」などが挙げられます。
無料で求人を掲載できるサービスが多く、アプローチの幅を広げられるという点からSNSと同様に優良の採用媒体とあわせて活用すると良いかと思います。
また自社HPの採用ページが充実している場合は、そのページへの導線づくりとして活用することもオススメです。
④ 採用HP(採用サイト)
採用HPとは、採用を目的としたホームページのことです。「採用サイト」とも呼ばれます。
会社案内や事業内容などを載せているものはコーポレートサイトと呼ばれ、採用HPとは異なります。
外部に発注するとコストが高くなることもありますが、内製で作成すれば費用を抑えることも可能です。
採用HPのターゲットは求職者になりますので、サイトに組み込むコンテンツとしては会社の魅力や働く社員の紹介、企業の理念や代表からのメッセージなど、求職者が「この会社で働いてみたい」と思ってもらえるようなコンテンツを入れることがポイントです。
自社が伝えたいメッセージや会社のコンセプトを打ち出すことができるので、求人広告や人材紹介経由では伝わりきれない自社の魅力をアピールでき、応募への動機づけを行うことが可能です。
これらの手法は、上手く活用できればコストを抑えてエンジニアを採用することができます。
ただし、この手法だけで採用活動を行うというよりは、有料サービスなどと併用しながら採用効果全体を底上げするという使い方がオススメです。採用手法によっては募集~採用のリードタイムが長かったり、効果が出るまでに時間がかかったりするためです。あくまで補助施策として活用していくのが良いでしょう。
【無料e-book】採用課題別 自社にあった採用手法の選び方
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8|typeで採用コストを抑えられた企業様の事例 |
求人媒体・転職イベントは、採用手法の中でも上手く運用できれば採用コストを下げられる手法の一つです。
ここでは、弊社転職サイト「type」・エンジニア特化型転職フェア「typeエンジニア転職フェア」へご掲載・ご出展いただいた企業様で、採用コストを下げることに成功した企業様の事例をご紹介します。
(1)成果報酬型求人から切り替え、エンジニアを2名採用!
従業員数:6名(2021年1月現在)※代表取締役含む
業種:IT・通信/ システムインテグレータ
・コストを抑え、採用業務の負担軽減
もともと中途採用では成果報酬型の求人媒体をご利用。エンジニア採用のご経験があまりない中で、企業様自身で情報収集から運用まで全てを担わなければならず、運用の部分でも苦戦されていました。また充分な母集団も集まらず、スキル面・思考面においてマッチした応募獲得にも苦戦されていました。
掲載した結果
200件近くの応募数を獲得。プログラミングスクール卒業の30代の2名を採用!
原稿や運用における工夫点
採用成功のポイント
▼事例詳細はこちら:https://type.jp/keisai/success/report027/
(2)オンライン型エンジニア転職フェアで計4名のエンジニア経験者を採用!
企業名:アイレット株式会社
従業員数:682名(2021年4月末時点)
業種:IT・通信/ システムインテグレータ
・スキルや志向のマッチング
・経験者採用のため、応募者の質を担保しながらの母集団形成が必要
出展した結果
【1回目/2020年11月】22名と面談し、経験者を1名採用。
【2回目/2021年2月】22名と面談し5名内定。経験者を3名採用。
原稿や運用における工夫点
・面談前には面談担当者の人柄のわかる動画を共有
・面談中は趣味などの話も織り交ぜ、話やすいカジュアルな雰囲気に
採用成功のポイント
▼事例詳細はこちら:https://type.jp/keisai/success/report035/
▼事例一覧はこちら:https://type.jp/keisai/success/
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9|まとめ |
エンジニアの採用単価は、経験者採用が平均113万円、未経験者採用が平均41万円で、未経験者採用のほうがコストを抑えられています。
未経験者採用は、エンジニア採用のコストを抑えるポイントのひとつでもあるため、採用コストを抑えたい企業は検討するといいでしょう。そのほか、採用手法や採用基準を見直すことも、採用コストを抑えることにつながる可能性があります。
エンジニアの採用コストを抑えつつ、採用成功できるように、企業様の事例でご紹介している工夫点や採用成功のポイントもぜひご参考にしてください。
いかがでしたでしょうか。少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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