採用を成功させるには、適切な採用チャネルを選ぶことが求められます。
しかし、採用チャネルはさまざまな種類があるため、どの採用チャネルを選べばいいのかわからず、悩まれている採用担当者の方も多いでしょう。
この記事では、主要な採用チャネルの特徴と併せて、自社に適した採用チャネルの選び方もまとめています。自社に合った採用チャネルを選定し、採用活動に活用できるように、ぜひご参考にしてください。
この記事でわかる事 |
・採用チャネルの意味 ・主要な採用チャネル9選と特徴 ・自社に適した採用チャネルの選び方 ・優秀な人材を採用するポイント |
1.採用チャネルとは |
採用チャネルとは、企業が採用活動で求職者にアプローチする際に活用する媒体や手段のことです。「チャネル」の由来は英語の「チャンネル(channel)」で、集客のための経路を指すマーケティング用語として使われています。
人事領域では「採用チャネル」として使われており、転職顕在層から潜在層まで、幅広い候補者に向けて自社の魅力や求人情報を訴求します。
例えば、求人広告やダイレクトリクルーティング、ソーシャルリクルーティングなどが採用チャネルとして挙げられるでしょう。
(1)採用チャネルが多様化している背景
インターネットがそこまで普及していなかった時代の採用活動では、採用チャネル数が多くなく、また、求人広告を出して求職者からの応募を待つ、人材紹介会社を利用して紹介されるのを待つという待ちの姿勢が一般的でした。
従来は「待っていても応募が来る」市況でしたが、現在は少子化の影響で人材不足が深刻化していたり、働き方の多様化によって求職者のニーズが幅広くなっていたりするため、待ちの姿勢では人材確保が難しくなっています。
また、インターネットの普及やデジタル技術の発展によって、求職者は企業に関する情報を容易に収集できるようになり、転職活動に活用している方も多いです。
市況と転職活動の変化に伴い、企業も採用活動に工夫が求められている背景から、ダイレクトリクルーティングなどの「攻めの手法」やSNS採用なども生まれ、採用チャネルが多様化しています。
2.主要な採用チャネル9選と特徴 |
現在使われている、主要な採用チャネルは下記のとおりです。
・求人広告 |
各採用チャネルの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
(1)求人広告
求人広告には、転職サイトなどのWeb媒体と、求人情報誌などの紙媒体がありますが、主要な採用チャネルとしてWeb媒体についてご紹介します。
転職サイトに求人情報を掲載して求職者からの応募を集める手法で、幅広い職種や業種を扱う「総合型」と、特定の業種等を扱う「特化型」の2種類あります。
転職顕在層が多く登録しているため、早期の採用に向いている採用チャネルといえるでしょう。一方で、掲載求人数が多いと他社の求人に埋もれてしまうかもしれません。
料金体系 |
・イニシャル型(掲載前に料金が発生) |
メリット |
・イニシャル型の場合、一度の掲載で何名採用してもコストがかからない |
デメリット |
・自社の求人が他社の求人に埋もれてしまう恐れがある |
💡求人広告の作成手順や書き方について詳しくまとめた記事はこちら |
(2)転職フェア
転職フェアとは企業の合同説明会のことで、イベント会場などに企業が出展し、来場者に自社の魅力や強みを対面でアピールします。
求職者と直接会って話せるため、対面での動機づけが得意な企業は高い効果が期待できるでしょう。また、転職サイトにいないような転職潜在層も訪れるため、幅広い人材と接点を持てます。
ただし、転職フェアを成功させるには事前準備が必要だったり、当日の運営にも工夫が求められたりする点に注意が必要です。
料金体系 |
・料金はブースの大きさなどによって異なる |
メリット |
・1日でまとまった数の求職者に会える |
デメリット |
・地方ではあまり開催されない |
💡転職フェアの採用ノウハウについて詳しくまとめた記事はこちら |
(3)ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、求職者へ企業が直接アプローチする採用チャネルです。ダイレクトリクルーティングサービスを活用する以外にも、転職サイトのスカウトメールや、後述するソーシャルリクルーティングなども含まれます。
自社の知名度が低くても、ターゲット人材へ直接求人情報を届けられるため、応募獲得や採用成功につながる可能性があります。一方で、ターゲットの抽出やスカウトメールの文面作成などがすべて自社運用となり、マンパワーがない企業は運用に難しさを感じるかもしれません。
ダイレクトリクルーティングを成功させるには、スカウトメールの件名や内容を工夫することが求められます。
料金体系 |
・成功報酬型が多い |
メリット |
・ほかの採用チャネルよりも比較的低コスト |
デメリット |
・運用にマンパワーがかかる |
💡ダイレクトリクルーティングについて詳しくまとめた記事はこちら |
(4)人材紹介
人材紹介は、人材紹介会社の登録者のなかから、あらかじめ伝えておいたターゲットに近しい人材を紹介してもらう採用チャネルです。
人材のスクリーニングなどを人材紹介会社が行なってくれるため、自社の採用担当者の手間を軽減できます。特定の業種などの人材を採用したい場合は、特化型のサービスを利用するといいでしょう。
自社にマッチする人材と出会える可能性はありますが、費用が高額だったり、採用ノウハウを自社に蓄積しにくかったりする点に気を付けてください。また、採用成功の確度を高めるために、エージェント担当者と密にコミュニケーションをとり、ターゲットの人物像や条件面の修正・すり合わせなどを行うことが大切です。
料金体系 |
・成功報酬型(年収の35%が平均) |
メリット |
・採用担当者の負担が減る |
デメリット |
・大手企業や高いフィーを払っている企業に人材が流れやすい |
(5)ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
ソーシャルリクルーティング(SNS採用)は、XやInstagram、FacebookなどのSNSを活用した採用チャネルのことです。転職潜在層向けのアプローチ方法で、中長期的な採用活動に活用できます。
SNSの利用は無料のため、費用をかけずに自社の求人情報や社風、社内イベント、魅力などを発信できるでしょう。また、SNSは情報拡散力がある点が特徴のひとつで、自社の発信した情報が拡散された場合、幅広い層にアプローチできます。
一方で、ソーシャルリクルーティングの効果を得るには、継続的な運用が必要です。発信するコンテンツを考えたり、炎上リスクに備えてマニュアルを整備したりなどの対応も求められるため、パワーがかかる点がデメリットとして挙げられます。
料金体系 |
・無料 |
メリット |
・活用にあたり費用が発生しない |
デメリット |
・継続的に発信しないと埋もれてしまう |
💡ソーシャルリクルーティングについて詳しくまとめた記事はこちら |
(6)オウンドメディアリクルーティング(自社HP)
オウンドメディアリクルーティングとは、自社が運営するサイトやSNS、ブログなどのメディアを活用し、求職者へ自社の情報を届ける採用チャネルです。
自社が運営するメディアであれば、レイアウトや内容などを自由に設定・掲載できるため、自社らしさを出した自由な情報発信で認知度を高められたり、応募を訴求できたりします。
自社ですでにメディアを持っている場合は無料ですが、サイト作成などを外注する場合は費用がかかります。また、継続的にコンテンツを増やしたり情報更新したりする必要があるため、担当者の負担となるかもしれません。
料金体系 |
・すでに自社メディアがある場合は無料 |
メリット |
・自由に情報掲載できるため、自社の雰囲気や魅力を伝えやすい |
デメリット |
・継続的なコンテンツ作成や定期的な更新が必要なため、手間がかかる |
💡オウンドメディアリクルーティングについて詳しくまとめた記事はこちら |
(7)リファラル採用
リファラル採用は、社員から友人や知人を紹介してもらい、通常の選考を経て採用可否を判断します。
紹介された人材は、すでに社員から自社について聞いているため、ミスマッチが生じにくいでしょう。一方で、採用に至らなかった場合は、社員と人材の関係性に不和が生じる恐れがあります。ネガティブな状態にならないように、企業は配慮ある対応をすることが大切です。
リファラル採用を成功させるには、社員が紹介しやすい制度を整えたり、「紹介したい」と思えるように社員の自社に対する満足度を高めたりする必要があります。
料金体系 |
・無料 |
メリット |
・ミスマッチが起こりにくい |
デメリット |
・リファラル採用が浸透する仕組みづくりに時間がかかる |
💡リファラル採用の注意点と成功方法について詳しくまとめた記事はこちら |
(8)アルムナイ採用
アルムナイ採用とは、退職した自社社員を再雇用する採用チャネルです。英語で「同窓生」や「卒業生」を意味する「alumnus」の複数形が「アルムナイ(alumni)」で、ビジネスでは「自発的な退職者」を指します。
自社の元社員を再雇用するアルムナイ採用は、すでに相互理解ができていたり、採用した人材が即戦力になったりするメリットがあります。
しかし、自社にネガティブな感情を抱いて退職した社員に声をかけた場合は、採用が難しいでしょう。また、アルムナイ採用の導入にあたっては、在籍期間を合算するかなど賃金設定に関する制度を見直さないと、社員に不満が生じたり、困惑させたりする恐れがあります。
料金体系 |
・一般的な採用コストに比べて安価 |
メリット |
・企業と採用人材の相互理解が深い |
デメリット |
・賃金設定や評価に関する制度の見直しが必要 |
(9)ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)は、求職者と人材を求める企業に対して雇用に関するサービスを提供している総合的雇用サービス機関です。運営元は厚生労働省で、全国に500か所以上あります。
年代を問わず知られている採用チャネルのため、利用者が多い傾向です。また、人材確保の相談や労働市場の状況に関するデータの提供を受けることもできます。
ハローワークは主要な採用チャネルのひとつではありますが、インターネットの普及によって転職活動の方法が多様化したことで、若年層の利用者はあまり多くないかもしれません。
料金体系 |
・無料 |
メリット |
・無料で求人掲載できる |
デメリット |
・若年層の利用者が少ない恐れがある |
3.自社に適した採用チャネルの選び方 |
採用チャネルはさまざまな種類があり、特徴やメリット・デメリットも異なります。
採用を成功させるには、自社の採用活動内容や各チャネルの特徴から、自社に適した採用チャネルを見極めることが大切です。
採用チャネルの選び方として、次の4つをご紹介します。
・採用ターゲットと採用計画を明確にする |
(1)採用ターゲットと採用計画を明確にする
採用チャネルを選ぶ前に、採用ターゲットと採用計画を明確にします。
採用ターゲットの明確化には、ペルソナ設計をしましょう。ペルソナとは、年齢や居住地、職歴、ライフスタイルなどを詳細に設定した自社が求める人物像のことです。
ペルソナ設計と併せて、募集ポジションや採用人数、採用コストなど、採用活動の内容を明確にした採用計画も立てておきましょう。
採用ターゲットと採用計画は、採用チャネルを選定する際に重要な要素となります。
💡採用ペルソナの設計方法とポイントについて詳しくまとめた記事はこちら |
💡採用計画の立て方とポイントについて詳しくまとめた記事はこちら |
(2)採用ターゲットと採用チャネルの親和性を調査する
「コストが低いから」「他社も使っているから」などの理由だけで採用チャネルを選んでしまうと、ターゲットからの応募が来ない、スカウトできる人材が少ないといったネガティブな状況に陥る恐れがあります。
そのため、ペルソナ設計によって明確にした採用ターゲットと採用チャネルの親和性を調査し、より効果の高い媒体を選ぶようにしましょう。
例えば、採用ターゲットの年齢が若い場合、若年層の利用者が多いSNSを活用したソーシャルリクルーティング、専門的な人材であればダイレクトリクルーティングや人材紹介の利用などが考えられます。特定の業種や職種で募集する場合、同じ採用チャネルでも「特化型」のほうが効果的かもしれません。
自社の採用ターゲットが多く登録・活用している採用チャネルを選べば、母集団を獲得できる可能性があります。
(3)採用人数や採用期間を考慮する
採用計画で立てた採用人数や採用期間を考慮するのも、適切な採用チャネルを選ぶポイントのひとつです。
例えば、短期間で採用したいのに転職潜在層向けの採用チャネルを選んでしまうと、計画どおりに進められず、必要な時期に人材を確保できない可能性が高いでしょう。また、一度に大勢採用したいケースでは、アルムナイ採用やリファラル採用だけに取り組んでいても、大量応募が見込めないと考えられます。
そのため、どの採用チャネルを活用すれば採用計画どおりに進められるかをよく吟味して選ぶことをオススメします。
(4)費用対効果を考える
企業によっては、採用活動にあまり費用をかけられないというケースもあるでしょう。採用チャネルのなかには、ソーシャルリクルーティングやリファラル採用など、無料で活用できる手法もありますが、費用対効果には注意が必要です。
例えばソーシャルリクルーティングの場合、費用がかからない点はメリットですが、継続的な発信が必要なためマンパワーがかかります。かけた人的コストに対して応募が来ない、自社のファンができないという状況になれば、費用対効果が高いとはいえないでしょう。
一方で、転職サイトや人材紹介などの費用がかかる採用チャネルを活用した場合は、魅力ある求人広告をサービス提供業者に作成してもらえたり、優秀な人材を手間なく紹介してもらえたりして、費用対効果が高いかもしれません。
無料だからよくない、有料だからよいということではなく、自社の採用活動にかけられるパワーや予算、採用ノウハウの多寡などから、費用対効果が高くなる採用チャネルを見極めることが重要です。
4.優秀な人材を採用するポイント |
自社に適した採用チャネルを活用し、優秀な人材を採用するには、次の3つのポイントを踏まえた活動が求められます。
・選考のリードタイムを短縮する |
少しの工夫で質の高い採用活動を行えるため、ご紹介するポイントをぜひ取り入れていきましょう。
(1)選考のリードタイムを短縮する
選考のリードタイムをできるだけ短縮し、スピーディーな連絡、合否判断などを意識しましょう。
書類選考に時間がかかる、面接の日程をなかなか決められないという状態では、せっかく応募してくれた求職者が先に選考の進んだ他社に流れてしまう可能性が高いです。また、レスポンスの遅さは企業に対する不信感にもつながり、ネガティブな印象から選考辞退となるケースもあります。
優秀な人材を逃さないためにも、面接回数を減らす、求職者への連絡を迅速に行う、オンライン面接を導入するといった対応が重要です。書類選考で通過判断に時間を要している場合は、「まずは求職者に会って判断する」スタンスでいると、面接までスムーズに進められ、書類ではわからなかった人材の優秀さに気付ける可能性があります。
(2)候補者体験(CX)の向上に取り組む
候補者体験(CX)とは、候補者の企業認知から入社までのプロセスにおけるさまざまな「体験」を意味します。例えば「応募」のプロセスでは、「企業説明会で企業理解を深められた」「応募に対するレスポンスが早かった」などの体験が挙げられます。
候補者にとって有意義と思われるような体験を提供できた場合、自社のファンが増えたり企業イメージが向上したりするでしょう。自社に対する満足度が高い人材に入社してもらえれば、定着率や生産性アップも期待できます。
自社に興味をもつ候補者が多ければ多いほど優秀な人材と出会える可能性が高まるため、採用活動において候補者体験(CX)の向上に取り組むことは重要です。
💡候補者体験のタッチポイントと改善方法について詳しくまとめた記事はこちら |
(3)状況に応じて複数のチャネルを併用する
採用チャネルは、状況に応じて複数併用することをオススメします。採用チャネルはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、いくつかのチャネルを併用するとお互いのデメリットをカバーできたり、より優秀な人材に出会いやすくなったりするでしょう。
例えば、早期の人材確保を目指しつつ、継続的に採用活動も安定させたい場合は、求人広告とソーシャルリクルーティングを併用すると転職潜在層にもアプローチできるため、将来的な採用候補者を増やせる可能性があります。
自社の採用課題や採用計画から、複数チャネルの併用も検討しましょう。
5.まとめ |
採用チャネルとは、人材を採用したい企業が活用する媒体や手段のことです。採用チャネルには求人広告やダイレクトリクルーティングなどの種類があり、それぞれリードタイムや発生する料金などが異なります。
採用を成功させるには、自社に適した採用チャネルを選ぶことが重要です。採用ターゲットと採用計画を明確にし、ターゲットが多く利用しているチャネル、目標人数を採用しやすいチャネルといった観点から、活用すべき採用チャネルを見極めましょう。
ただし、適切な採用チャネルを選べば必ず採用成功するというわけではありません。候補者へ真摯に対応したり選考期間を短くしたりなど、採用活動全体の質を上げる意識や工夫も必要であることを、念頭に置いておきましょう。
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