前回の記事では、女性雇用に向けて国が今行ってる取り組みについてご紹介しました。では、実際に女性雇用において、企業は何を準備したら良いのか、この記事でお伝えできたらと思います。
CONTENTS3 女性が活躍する企業の特徴とは |
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1|女性の活躍が今注目されている理由とは |
前安部首相が掲げていた「アベノミクス」政策の一つであった「女性の活躍推進」。
2020年5月に女性活躍推進法が改正され、女性の積極採用・活躍促進に向けた行動計画提出、情報公表の義務化の対象企業の幅が広げられたり、管理職における女性の割合を上げる取り組みがなされていたりと日本社会全体で女性活躍推進が強化されています。
なぜ今、女性の活躍推進が注目されているのでしょうか。
(1)|少子高齢化による働き手不足の深刻化 |
現代の日本社会においては少子高齢化社会による働き手不足の深刻化が問題となっています。
厚生労働省のデータによると、平成28年の出生率は過去最小、平成17年には死亡率が出生率を上回り、日本社会は人口減少化の局面に入りました。
また少子化が進む一方、高齢化も急速に進んでおり、2040年時点で65歳の人は男性の約4割が90歳まで、女性の2割が100歳まで生きると推計されると発表されています。
参考:令和2年版 厚生労働白書 - 厚生労働省資料
参考:令和元年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(令和2年版少子化社会対策白書)- 内閣府資料
そこで、国は活用しきれていない労働力を活かしていくことに注目しました。それが「女性雇用」です。
(2)|女性の労働力が十分に活用されていない |
そもそも、労働力確保が急務となり初めて女性が注目されたわけではなく、女性の雇用においてはさまざまな課題が存在していました。まず、就労を希望しているにも関わらず働くことができていない女性が多く存在することです。
以下の図は内閣府ホームページに掲載された、2021年における年齢別での女性の労働力率と、女性就業希望者の折れ線グラフです。
労働力率(青の折れ線)だけでみると、子育てする女性が増える傾向にある30代前半~40代前半にかけて落ち込む一方、働くことを希望しているが求職していない「就業希望者(赤の折れ線)」でみると30代~40代で特に落ち込んでいるわけではありません。この就業希望者は171万人に昇ります。
※参考:男女共同参画白書 令和3年版 - 女性の就業希望者の内訳(令和3(2021)年)- 内閣府ホームページ
さらに、この就業できていない女性たちの求職していない理由は、「出産・育児のため」が25%、「介護・看護のため」が6%と、多くの女性が家庭の事情で就業したくてもできていないという現状があるのです。
(3)|ダイバーシティへの取り組みが強化されている |
ダイバーシティとは、一般的に「多様性」と訳され、企業の経営におけるダイバーシティの推進については「多様な属性・を持つ人材の活用促進」のことを指します。
ここでの属性とは性別や年齢、人種や年齢だけではなく、人柄や価値観、能力などさまざまな要素を指します。一人ひとりの能力や考え方などの個性を活かして、社会を豊かにしていこうという考え方です。
現代の日本においては、上述した労働人口の減少や、グローバル化への対応が急務になっていること、また働き方や消費活動の多様化などが背景となり、ダイバーシティの推進が強化されるようになりました。
女性の活躍促進はダイバーシティ推進施策の中のひとつと言えます。
女性を積極的に採用することにおいて、大事な要素の一つが女性が「働きたい」と思える環境づくりをされているかです。
特に意識をしていなくても、任せる仕事内容に男性と女性で違いが生まれていたり、そもそも管理職における男女の比率に大きく差がついている場合は、何かしら男性と女性との間で無意識的に区別をしてしまっている可能性もあります。
些細なことであっても、それが少しずつ積もっていくと、社員が働きづらいと感じてしまう課題が生まれてしまうケースもあるのです。
まずは働く女性(女性問わず社員ひとりひとり)に寄り添い、どのようなキャリア・働き方をしたいのかという考えを尊重し環境や制度改善を進めていくことが大切と言えます。
女性の活躍推進を行うことで、企業にとってもたくさんのプラスな影響があります。
たとえば、「企業のイメージアップ」「多様性が生まれることで、企業の成長にもつながる」「国からの認定がもらえる制度があり、企業ブランディングにもなる」などです。
詳しくは下記の記事でもおまとめしております。
女性採用のメリットについてさらに詳しく読む |
3|女性が活躍する企業の特徴とは |
では、女性が活躍している企業の特徴とは、どのようなものなのでしょうか。女の転職typeでは、女性ユーザー向けに「女性の活躍」についてアンケートを実施しました。アンケート結果をもとに、女性視点で女性が活躍している企業の特徴を考えていきましょう。
(1)|自分の会社で「女性が活躍している」と回答したのは約8割 |
「あなたの会社で女性は活躍していますか?」
女の転職type会員に対してWEB上でアンケート調査をしたところ、「女性が活躍している」と答えた方が約8割。
一方で、女性の活躍を阻害する要素については、「パートナーの協力不足」、「産休・育休が取りにくい」、「復帰後に仕事を任されない」、「時短や在宅勤務ができない」など、働く環境が十分に整っていないという意見が多く寄せられました。
(2)|女性が考える「女性の活躍」は『結婚・出産後も長く働く』 |
女性が活躍している状態として最も多かったのは、「結婚・出産後も長く働く」で約7割でした。その他回答の中でも、「出産子育ての際に、業務を安心して引き継ぐことができ、戻ってこれること。」という回答もありました。
次いで「責任のある仕事を任される」が6割、「高い収入を得る」が約5割。また4位には、「女性の管理職が多い」が入っています。
ただし、40代以上だけに絞ってみると最も多かったのは「責任のある仕事を任される」で約6割。20代30代の回答と比べてポイントが高い項目は「高い年収を得る」で約5割。年齢が上がると仕事の成果や得られる評価に対してシビアな視点で「女性活躍」を捉えていることが分かりました。
(3)|女性が思う「女性の活躍を阻害している原因」 |
さらに、「女性の活躍を阻害している原因は何だと思いますか?」という質問をしたところ、7割以上の女性が、パートナーの協力不足による「家事・育児の負担が重い」と回答。さらに、「男性優位の会社が多い」「時短勤務・在宅勤務など自由な働き方ができない」など、会社やパートナーの協力体制が十分ではないと考えている女性が多いということが分かりました。
また、以降の順位でも「産休・育休が取りにくい」という回答や、「産休・育休復帰後は責任のある仕事を任されない」という回答も多くの割合を占めました。「産休・育休復帰後は責任のある仕事を任されない」については30代の回答が多く、実際に産育休復帰後に感じた意見もあるのではないでしょうか。
(3)|女性が活躍している企業の特徴とは |
上記の回答から、女性が思う「女性が活躍している企業の特徴」とは、特に女性において働き方の変化が起こることの多い「結婚」や「出産」などのライフイベントなどを迎えても、長く働ける環境があるということが一つ挙げられるでしょう。
ここでの「長く働ける」というのも、時短勤務や在宅勤務など家庭と両立できるような柔軟な働き方ができることに加え、産育休復帰後も仕事で活躍できるチャンスがあることなどキャリアの面でも長く働けるという意味合いも含まれているかと思います。
また、日本社会においてはまだまだ管理職における女性比率の低さが指摘されていますが、性別によって仕事内容やポジションなどに差がなく、責任のある仕事を任されることや管理職になれることも女性が活躍しているという企業の特徴の一つと言えるでしょう。
4|女性が活躍できる環境づくりのために、各企業は何をやっている? |
(1)|女性社員が活躍するための工夫をしている企業は45.9% |
女性が活躍できる環境づくりのためにまず実施すべきことは、社内の意識改革です。
社内の意識改革では、「会社全体の意識改革」「女性自身の意識改革」「男性管理職の意識改革」の3つの軸で進めていく必要があります。
(2)|各企業が行っている取り組み例 |
1ヵ月の製品研修、2日間の接遇研修、試用期間3ヶ月間のフォロー研修、その後も先輩のフォローサポート体制を徹底している。(10年以上/女性/人材サービス/11~100名)
先輩の案件に入ったり、アポイントへの同行を増やしたり、業務理解の時間を濃くしている。(~5年/女性/企業サービス/11~100名)
女性に限らないが、就業前の研修、就業後のアフターフォローを行っている。(~10年/男性/人材サービス/101~500名)
現場の色んな人と関わりながら研修を行う。現場の上司が週一で1on1mtgを行っている。年の近い先輩が教育担当としてつくブラザー制度を導入している。(~5年/女性/人材サービス/501~1,000名)
支店によっては、男性ばかりなので女性一人で委縮しないような雰囲気づくりや対応をして、本社等の他部署の女性との電話だけでも関りを増やしている。(~10年/男性/住宅・不動産、建築・土木/10名以下)
業務をまたいだ繋がりができるように2ヵ月に一度の親睦会、半月に一度の全社懇親会(~10年/男性/IT、通信、インターネット/11~100名)
極力女性同士のつながりも作りようにしている。(~10年/男性/その他業種/501~1,000名)
初日の夜は食事会を実施しており、中途でも同期の繋がりを作ってもらっている。(~10年/女性/ファッション、ジュエリー/1,001~5,000名)
女性管理職も多く輩出している。(~5年/男性/IT、通信、インターネット/1,001~5,000名)
その方のライフスタイルに合わせた働き方の提案(それ以上/男性/医療・福祉/1,001~5,000名)
先産休・育休の取得と復帰実績多数で、シフトのある勤務体制ですが、子育て中の方に関しては、時間固定や時短勤務といった多様な働き方があり、女性職員が働きやすい環境です。(~5年/女性/医療・福祉/11~100名)
「女性の長期就業」という観点は常に意識しており、制度設計には力を入れています。また、性別関係なく制度作りをしている点も女性が活躍できる環境づくりに繋がっていると思います。(~5年/女性/人材サービス/501~1,000名)
どんな課題を背景に、どんな取組をしたのか、またどんな効果があったのかを下記是非参考にしていただき、各企業で一般事業主行動計画を策定し、積極的に女性活躍の取組をしていただきたいと思います。
5|女性活躍のために企業が取り組むべき7つのポイント |
女性活躍のために企業が取り組むべきポイントとして、以下の7つが例として挙げられます。
女性活躍のために企業が取り組むべき7つのポイント
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それぞれについて、詳細を解説していきます。
(1)|まずは自社の女性活躍状況と課題を把握する |
女性活躍推進法の基本原則では、「男女の職場と家庭の両立を図りやすくするための環境整備」「女性が職業生活と家庭生活との両立するために、本人の意思を尊重する」といった内容が明記されています。
ここでは、女性だけではなく、男女問わす全社員が職場と家庭を両立できるようにサポート体制を整えていくことが重要です。
(2)|社内の意識改革の実施 |
女性が活躍できる環境づくりのためにまず実施すべきことは、社内の意識改革です。
社内の意識改革では、「会社全体の意識改革」「女性自身の意識改革」「男性管理職の意識改革」の3つの軸で進めていく必要があります。
<具体的な取り組み例>
■管理職の仕事内容ややりがい、どのようなスキルが身につくのかなど魅力を伝えるようにする ■キャリアアップのための研修を実施する
■上司から社員一人ひとりに自身の能力・業務姿勢に対する評価をFBする場を定期的に設け、現時点での自分の能力を正しく把握できるようにする
■管理職の能力がある人材を男女問わず常に探すようにし、その社員の意見を尊重しながらも管理職への選択肢を提案するようにする |
<具体的な取り組み例>
■男性管理職も含め、女性管理職を増やす必要性を伝え、意識づけを行う ■男女問わず社員が管理職へのキャリアアップすることを見据えた教育訓練を管理職に実施する
■評価や昇進の検討、仕事の割り振りにおいて意識的に男女差が生まれないよう意識する
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(3)|女性が多様なキャリアを選択できる仕組みづくり |
<具体的な取り組み例>
■まずは社員ひとりひとりが考えるキャリアプランのヒアリングを行う ■社員自身のキャリアプランを考える上司とのMTGを定期的に実施し、中長期的な育成プランを作成する ■多様なキャリアプランに対応できるよう、会社がキャリアや働き方の選択肢を増やす努力をする ■社員がキャリアチェンジや働き方を変える希望を出してきた際には、できるだけ社員にとって最適な選択ができるよう社内の連携や調整に取り組む
■個人のキャリアに対する考えを尊重した上で、会社からもさまざまなキャリアの選択肢を提案するようにする
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(4)|女性社員の状況や想いを理解する取り組みと、メンタルヘルスケア対策 |
<具体的な取り組み例>
■悩みを相談しやすい環境づくりのために、日頃からコミュニケーションを活発にする ■女性と男性で抱えるストレスが異なる(女性は家庭との両立や体力的な問題、人間関係などをはじめ、男性よりもストレスの種類が多様と言われています)ことを理解する
■定期的なストレスチェックの実施
■管理職へのメンタルヘルスケア研修の実施
■カウンセラーなど専門の相談窓口の設置
■職種又は雇用形態の転換者・再雇用者・中途採用者に対する研修やメンタリング等によるサポートの実施
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(5)|女性社員のキャリアアップのための教育体制強化 |
<具体的な取り組み例>
■女性社員向けに実施するマネジメントスキルアップ研修 ■女性社員向けに実施する、自身のキャリア形成を考えるキャリアデザイン研修
■女性社員向けに実施するマネジメントスキルアップ研修
■社員を教育する管理職向けの教育訓練
■意欲と能力のある女性労働者の積極的発掘と、選抜した人材の集中的な育成
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(6)|出産・育児中の女性を含む全社員へのサポート環境づくり |
女性活躍推進法の基本原則では、「男女の職場と家庭の両立を図りやすくするための環境整備」「女性が職業生活と家庭生活との両立するために、本人の意思を尊重する」といった内容が明記されています。
ここでは、女性だけではなく、男女問わす全社員が職場と家庭を両立できるようにサポート体制を整えていくことが重要です。
<具体的な取り組み例>
■職場と家庭が両立できる環境が整っているか自社の現状把握と改善 (例)
・長時間労働ゆえに仕事と家庭の両立が困難になっていないか
・男女がともに両立支援制度を利用できる状況にあるか ・出産・子育て等をしながら働き続けることを支援する職場風土であるか ・職場と家庭の両方において男女がともに貢献できる職場風土となっているか など ■在宅勤務、時短勤務・時差出勤制度の導入
■社内保育所、社内搾乳室の設置
■有給休暇取得を時間単位・半日単位で取得できるようにする
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(7)|活躍する女性のロールモデルを作る |
女性社員が自身のキャリアパスを描く際に、職場で活躍している女性社員の存在は自身長く働くイメージを沸かせるプラスな影響を与えます。
また、以前弊社「女の転職type」が実施した女の転職typeユーザーへのアンケート調査によると、「尊敬できる女性管理職の有無は、管理職になりたい気持ちに影響する?」という質問に対して「とても影響がある」と回答した方は25.1%、「やや影響がある」と回答した方は31.4%と、半数以上が尊敬できる女性の上司の存在がキャリアアップへの意欲に影響すると回答しました。モデルケースとなる女性の管理職がいることが管理職になることへの前向きな後押しになることがうかがえます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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ブログ編集部
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