採用計画があると効率的な採用活動につながりますが、採用計画の立て方がわからないという人事担当者もいらっしゃるでしょう。
採用計画の立て方にはステップやポイントがあるため、採用を成功させられるように把握しておくことが大切です。
採用計画の意味と立て方、立てるときのポイントと立案後に実施すべきことについてまとめています。採用計画のテンプレート例も併せてご参考にしてください。
この記事でわかる事 |
・採用計画の立て方 ・採用計画の立て方のポイント ・採用計画を立てたあとに実施すべきこと |
1.採用計画とは |
採用計画とは、企業の事業や経営の理想を実現するために、採用する人数や人材、手法などを明確にした計画のことです。
一般的には、次のような項目が計画に記されます。
・募集ポジション、配属先 |
人材の採用後は、早期に職場や仕事に慣れてもらえるようにフォローや教育を施すため、入社後フォローの施策の立案や教育者の選定なども併せて行われることが多いです。
(1)採用計画が必要な理由
採用計画は、採用に関わるメンバーの認識を統一したり、効率性を高めたりするために必要です。
採用計画を立てないと、いつまでにどのような人材をどうやって採用するかなどの方針が不明確になり、ターゲット外の人材を選考で通す、採用期日に間に合わないなどの事態が起こりえます。採用活動に身が入らず、ひとりも採用できないまま時間やコストばかりを消費していくことにもなりかねません。
採用計画がある場合、採用担当者や現場担当者などの採用に関わるメンバー間の認識を統一できるため、足並みを揃えたり密な連携をとれたりして、失敗のリスク回避につながるでしょう。また、採用期日や方向性が明確であれば、自社の採用活動が適切に行われているかの判断基準としながら、効率的なルートで採用成功に向けたアクションを起こせると考えられます。
2.採用計画の立て方 |
採用計画は次の6つのステップで立てていきます。
・採用要件を明確にする |
採用計画の立て方をご紹介します。
(1)採用要件を明確にする
自社の課題や経営方針などから、どのような人材を採用すべきかという要件を明確にします。
例えば、営業職を募集する場合、「法人営業〇年以上の経験者」「ファイナンシャル・プランニング技能検定2級の保有者」など、スキルや経験を具体的に設定しましょう。「営業経験者」や「コミュニケーション能力が高い人」といった要件では、個人・法人や年数を問わない営業経験者から応募が来て選考に時間がかかったり、「コミュニケーション能力」の認識が担当者によって異なり優秀な人材を逃したりする恐れがあります。
採用要件は具体的に設定することが望ましいですが、あまりにハードルを高くしすぎると転職市場に人材がいない、自社が採用できるような人材ではない、といったことが起こりえるため、注意が必要です。
(2)採用人数を明確にする
現在の業務内容や量から、自社が採用すべき人数を明確に設定します。
必要な人数を設定する前に、まずは現在の業務を見直し、業務効率化や不要な業務の排除ができないかを考え、実行に移しましょう。業務改善を行なったうえで、現在の業務と新たに追加される業務などの内容と、採用者の配属先となる部署にいる人数を鑑み、採用人数を見積もります。
見積もった採用人数で企業が目標とする利益を出せるかを検討し、利益を出せる場合はそのまま目標値としますが、利益を出せないと判断した場合は、業務の見直しと採用人数の再検討が必要です。
(3)ペルソナを設計する
ペルソナとは、年齢、性別、現職、年収、家族構成、ライフスタイル、趣味などを細かく設定した、自社が求める人物像のことです。
ペルソナを設計すると、自社が訴求すべきポイントが明確になったり、採用メンバー間の「採用したい人物」の認識が統一されたりするメリットがあります。
ただし、採用要件と同様に、細かく設定しすぎると転職市場に該当する人材がいなくなる恐れがあるため、注意してください。
💡採用ペルソナの作り方と設計の注意点についてまとめた記事はこちら |
(4)採用手法を選定する
採用手法は、転職サイトやダイレクトリクルーティング、人材紹介、リファラル採用、ミートアップなど、さまざまな種類があり、各手法によってメリット・デメリットや特徴が異なります。
自社の望む採用活動を行うには、例えばエンジニア採用ならエンジニアに特化した媒体、早期の採用なら転職顕在層が多く登録している転職サイトの利用など、状況に応じて選ぶことが大切です。
「自社の知名度が低い」「マンパワーが足りない」など、自社の採用課題から採用手法を選ぶと、解決につながり採用活動の質向上が期待できます。
💡中途採用手法の各特徴や料金体系についてまとめた記事はこちら |
(5)選考に関わるメンバーの役割を明確化する
採用活動の選考では、書類選考・適性検査・筆記試験・面接などが行われます。選考のなかで、誰がどのような役割を担うのか明確化しておくと、スムーズな進行が可能です。
例えば、現場担当者に面接への同席を依頼するのか、もしくは現場担当者のみに面接を任せるのかなどの選考における役割を決め、各自が滞りなくそれぞれの任務を全うできるような体制を整えておきましょう。
選考をスムーズに進められるとリードタイムが短くなり、求職者が他社に流れるリスクの軽減につながります。また、役割分担の明確化によって、サポートすべき内容やタイミングも掴みやすくなるため、協力しやすくなるでしょう。
(6)採用スケジュールを立てる
採用期日に合わせて、採用目標を達成できるようなスケジュールを立てていきます。募集や選考、面接などの採用フローを組み立てたうえで、採用期日から逆算して、いつ採用を開始すべきかを明確にしましょう。
採用スケジュールを立てる際には、求職者や企業の活発な時期と閑散期を参考にすることをオススメします。求職者が転職活動を活発に行う時期などを知ると、採用成功につながりやすいスケジュールを立てられる可能性があります。
募集をかけるタイミングだけでなく、内定を出すタイミングもあらかじめ決めておきましょう。本当に欲しい人材であれば最終面接日の当日に結果を通知するなど、他社への流出を防ぐ対策が必要です。
💡中途採用の活発時期・閑散期についてまとめた記事はこちら |
3.採用計画のテンプレート例 |
採用計画のテンプレート例をご紹介します。
「採用目標」や「採用要件」などの各項目ごとにまとめているため、採用計画の立て方としてご参考にしてください。
(1)採用目標
募集職種:採用人数 |
エンジニア職:1名 |
採用期日 |
20××年3月末 |
(2)採用要件
エンジニア職 |
【MUST(必須)要件】 【WANT(あると尚よい)要件】 |
営業職 |
【MUST(必須)要件】 【WANT(あると尚よい)要件】 |
(3)採用手法
転職サイト |
エンジニア職・営業職(各4週間掲載:〇万円) |
転職イベント |
エンジニア職(出展料:〇万円) |
(4)選考方法
書類選考 |
履歴書・職務経歴書 |
1次面接 |
採用担当者が対応 |
2次面接 |
現場担当者と管理職が対応 |
(5)採用スケジュール
1月~2月 |
採用計画の立案、母集団形成(求人広告掲載開始・転職イベントへの出展) |
2月~3月 |
選考(書類選考・面接)、合否連絡、入社前フォロー |
4月 |
入社 |
4.採用計画の立て方のポイント |
採用計画の立て方のポイントとして、次の3つを意識しましょう。
・自社と競合を理解する |
各ポイントを解説します。
(1)自社と競合を理解する
採用計画は、自社と競合を理解したうえで立てることが望ましいです。採用要件やペルソナを設計するにあたり、自社の社風や事業内容、経営理念、採用市場におけるポジションなどを整理すると、どのような人材が自社に合うか、自社が獲得できる人材レベルはどの程度かを把握できます。
また、競合が出している求人をチェックし、アピールポイントや給与、待遇、採用要件、働き方などを自社と比較することで、自社がどのような要件を設定すべきかを考えられるでしょう。
自社と競合だけでなく、採用市場と求職者の動向についても理解することをオススメします。現在の採用市場を知ると、採用の難易度によってスケジュールに余裕をもたせたり、採用手法を検討できたりします。求職者の動向を参考にして、応募を集めやすい要件を設定することも可能でしょう。
(2)採用要件はMUSTとWANTでわける
採用要件は、「MUST(必須)要件」と「WANT(あると尚よい)要件」にわけ、優先順位をつけます。MUSTが多いほど採用市場に該当する人材がいないという状況になりやすいため、WANTにできる要件がないか検討しましょう。
例えば、入社後の研修や業務で習得できるスキルや資格であれば、WANTにしてもいいかもしれません。多くの応募を獲得できるように、理想ばかりを詰め込まず、絶対に必要な要件となくてもいい要件を見極めることが大切です。
採用要件をMUSTとWANTにわけたら、採用メンバー間で共有し、選考時の求職者の評価にズレが生じないようにしましょう。
(3)現場と目線のすり合わせをする
採用計画は、現場と目線のすり合わせをしながら立てていくことが重要です。採用担当者のみで採用要件やペルソナを設定すると、現場が欲している人材と異なり、ミスマッチ採用につながる恐れがあります。また、現場担当者の面接で候補者が不合格となって採用までいかず、いちから採用活動をやり直すことにもなりかねません。
採用担当者と現場担当者の目線を合わせ、求める人物像や選考の評価を統一しておくことで、採用計画を効果的に活かせます。
5.採用計画を立てたあとに実施すべきこと |
採用計画を立てたあとは、下記5つを実施します。
・社内の協力体制を築く |
採用を成功させるために、それぞれの内容をご確認ください。
(1)社内の協力体制を築く
求人広告や自社サイトなどに載せるオフィス・従業員の写真や社員インタビューへの対応など、採用活動をするにあたって現場担当者の協力は不可欠です。
現場担当者に快く協力してもらえるように、協力が必要な理由や協力してもらえることで得られる現場へのメリットを説明しましょう。
協力してもらったことでどのような成果があったかも適宜報告すると、丁寧な印象を与えられて、次の採用活動でも協力体制を築けると考えられます。
(2)自社サイトやSNSを更新する
求職者の多くは、転職サイトなどの求人広告のほかに、企業サイトやSNSもチェックして企業の情報や実態を確認するため、自社サイトやSNSの更新が必要です。自社サイトやSNSが古い情報のまま全く更新されていない状態だと、「本当に採用する気があるのか」と求職者に思われてしまい、応募を避けられる恐れがあります。
自社サイトは自社運用の媒体であり、レイアウトや文章、写真を好きなように載せられるため、自社の魅力が伝わるように工夫して求人情報を掲載すると応募を増やせるでしょう。また、SNSはソーシャルリクルーティングにもつながるツールで、幅広い層へのアプローチや採用コストの削減を実現できます。
自社サイトやSNSをただ更新するだけでなく、上手に運用して、採用媒体として活用していきましょう。
💡オウンドメディアリクルーティングについてまとめた記事はこちら |
💡ソーシャルリクルーティングについてまとめた記事はこちら |
(3)募集に向けた事前準備をする
募集に向け、事前準備を行なっていきます。選定した採用手法の運用方法や求職者対応のルールの策定、求人広告の作成、採用メンバーのスケジュール確認などを実施しましょう。
求人広告を作成する際には、NG表現を記載しないように注意が必要です。また、効果を高める書き方もあるため、多くの応募を獲得できるように工夫することをオススメします。
💡求人広告の効果的な書き方とNG表現についてまとめた記事はこちら |
(4)選考を行う
採用計画に則り、選考を開始します。選考は、求職者が他社に流れないように、迅速に行うことが重要です。連絡などの対応が遅いと、求職者に不信感を抱かせたり他社の選考が先に進んだりして、辞退されてしまう恐れがあります。
また、応募状況やPV数などを分析し、必要に応じて求人広告の修正や採用手法の見直しもしましょう。スカウトメールなど、企業側から求職者に直接アプローチできるサービスを利用できる場合は積極的に活用すると、他社の求人に埋もれずに、自社が求める人材からの応募を集められる可能性があります。
スカウトメールは、「あなただから会いたい」という特別感を出したり、送る時間帯に気を配ったりなどのコツを取り入れて運用すると、開封率や返信率が上がり、効果を高められるでしょう。
💡スカウトメールの書き方とコツについてまとめた記事はこちら |
(5)内定者・入社者フォローをする
内定を出したからといって必ず入社してもらえるとは限らないため、内定者フォローを徹底することが大切です。例えば、フォローをまったく行なわなかった場合、入社することに不安を感じた内定者が内定辞退する可能性があります。また、企業に対する熱意が薄れてきたところで他社から内定をもらい、他社に流れてしまうことも考えられるでしょう。
そのため、内定後には、内定者の不安の払拭や自社への入社意欲の維持、向上に向けて、社員との座談会や交流会などの実施が望ましいです。
入社者に対するフォローは、早期離職防止につながります。企業によって社内ルールや業務の進め方は異なるため、入社者に経験やスキルがあっても、戸惑いや不安、悩みが生じやすいです。新たな環境に慣れない入社者を放置していると早期離職に至り、企業にとって大きな損失となるため、定期的に1on1を実施して、入社者の悩みの解消や業務に慣れるサポートをしましょう。
💡内定辞退につながる行動と防ぐ方法についてまとめた記事はこちら |
6.まとめ |
採用人数や求める人材、採用手法などを明確にした採用計画を立てると、採用メンバー間の認識を統一できたり、効率的なルートで採用活動を進められたりします。
採用計画の立て方としては、自社と競合、採用市場の理解を深めて、要件やペルソナを設計することがポイントです。また、ミスマッチ採用とならないように、現場とも目線をすり合わせておきます。
採用計画は、入社後フォローについても記すケースが多いです。入社者の早期離職は、入社者と企業の双方にとってデメリットしかないため、フォロー体制を整備して、優秀な人材を逃さないようにしましょう。
いかがでしたか。もし中途採用について悩まれている、自社にとって適切な手法が分からないといった場合は、ぜひ弊社キャリアデザインセンターにご相談ください。エンジニア採用・営業採用・女性採用に特に強みを持ち、あらゆる中途採用ニーズに対応できるサービスを運営しております。
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