採用ミスマッチが起きると、入社者の早期離職を招くなど、企業にとって大きなデメリットが生じます。
「採用しても人材が定着しない」「求めていたスキルレベルに達していなかった」というような状況にお悩みの企業は、採用ミスマッチが生じる原因を解消する必要があります。
この記事では、採用ミスマッチの現状と5つの原因、防止策をまとめているため、よりよい採用活動となるようにぜひご参考にしてください。
この記事でわかる事 |
・採用ミスマッチの現状 ・採用ミスマッチで生じるデメリット ・採用ミスマッチが起きる5つの原因 ・採用ミスマッチの防止策5選 |
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1.採用ミスマッチとは |
採用ミスマッチとは、採用した人材が自社に合わないことです。社風や働き方、業務内容、人間関係など、ミスマッチとなる要素はさまざまあり、相互理解の不足によって「思っていた人材(企業)と違った」という事態を招くことがあります。
選考や面接など、限られた時間のなかで自社情報を適切に伝えたり、求職者の適性を見極めたりすることが、採用ミスマッチの防止につながります。
(1)採用ミスマッチの現状
新規学卒者
厚生労働省の公表によると、新規学卒就職者(2021年3月卒業者)の就職後3年以内の離職率は次のとおりです。
それぞれの新規学卒者のうち、少なくとも3割以上の方が3年以内に離職していることがわかります。
中学 | 50.5% | 高校 | 38.4% |
短大等 | 44.6% | 大学 | 34.9% |
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」
産業別の離職率
2023年内での産業別の離職率を見ると、「生活関連サービス業,娯楽業」20.8%が最も高く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」19.3%、「宿泊業,飲食サービス業」18.2%となっています。
参考:厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況- 」
離職率上位3つの産業はいずれも入職率も高いですが、「生活関連サービス業,娯楽業」に関しては、離職率が入職率を上回っていることがわかります。
前職を辞めた理由
2023年内での転職入職者が前職を辞めた理由(男女別)の上位3つは、「その他の理由」(定年・契約満了、会社都合、出向など)や「その他の個人的理由」を除くと、下記のとおりです。
男性 | 女性 | |
1位 |
職場の人間関係が好ましくなかった(9.1%) |
職場の人間関係が好ましくなかった(13.0%) |
2位 |
給料等収入が少なかった(8.2%) |
労働時間、休日等の労働条件が悪かった(11.1%) |
3位 |
労働時間、休日等の労働条件が悪かった(8.1%) |
給料等収入が少なかった(7.1%) |
参考:厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況- 」
1位は男女ともに「職場の人間関係が好ましくなかった」でした。2位と3位も、男女で順番は違えど同じ理由であることがわかります。
「人間関係」に関しては、入社しないと同僚や上司との相性をはかることは難しいですが、オフィス案内や社員との交流会などを実施して少しでも自社の雰囲気や人柄に触れてもらうことはできるでしょう。
また、給料や労働条件については、適切に情報を伝えることでミスマッチを回避できると考えられます。
2.採用ミスマッチで生じるデメリット |
採用ミスマッチが生じると、企業にとって次のようなデメリットがあります。
・採用コストの増加 |
採用ミスマッチの防止意識が高まるように、デメリットを把握しておきましょう。
(1)採用コストの増加
採用ミスマッチによって入社者が早期離職すると、人材の採用や育成にかけたコストが無駄になったり、新たな人材の採用コストが増加したりするデメリットがあります。
採用コストには内部コストと外部コストがあり、それぞれ次のようなものが含まれます。
【採用コストの例】
内部コスト |
・採用担当者、面接官の人件費 |
外部コスト |
・求人広告の掲載費 |
株式会社リクルートの「就職白書2020」によると、新卒一人当たりにおける平均採用コストは93.6万円、中途採用の場合は103.3万円でした。
参考:株式会社リクルート「就職白書2020」
早期離職されてしまうと採用コストが無駄になるだけでなく、「入社者の活躍によって得られていたはずの利益」も消えてしまいます。また、新たに多額の採用コストもかかってしまうため、企業の経営戦略に影響を及ぼすでしょう。
💡採用コストの相場と削減方法について詳しくまとめた記事はこちら |
(2)既存従業員のモチベーションの低下
採用ミスマッチが起きると、既存従業員のモチベーションが低下したり、離職に至ったりする恐れがあります。
既存従業員は、入社者に対して自分の業務時間を削りながら社内ルールや業務を教え、育成します。しかし、入社者が早期に辞めてしまった場合、育成にかけてきた手間や時間が無駄になったと感じ、モチベーションが下がってしまう可能性が高いです。
また、入社者が育っていれば本来減るはずだった業務負担も変わらないままとなるため、現状維持の状況に落胆し、より理想に合った職場を求めて離職するリスクもあります。
既存従業員が離職して人手不足が進み、一人当たりの業務負担が増加するとさらに離職者が続出し、安定した経営自体が難しくなるかもしれません。
(3)企業イメージの悪化
採用ミスマッチによって早期離職者が増えると、企業イメージの悪化を招きます。
一般的に、離職率が高い企業よりも、離職率が低い企業のほうが「働きやすい環境」「従業員が大切にされている」と感じられるため、求職者から選ばれやすいと考えられます。求職者に限らず、取引先や顧客からもよいイメージを持たれるでしょう。
高い離職率は、求職者の応募を減少させたり、社会的にネガティブな企業だと認識されたりする可能性が高いため、人が集まらない、商品が売れないなどのマイナスな影響を受けるかもしれません。
3.採用ミスマッチが起きる5つの原因 |
企業にネガティブな状況を招く採用ミスマッチが起きてしまう原因として、次の5つが挙げられます。
・開示情報の抽象度が高い |
「採用ミスマッチが多い」とお悩みの企業は、自社が当てはまっていないか確認しましょう。
それぞれの原因について解説します。
(1)開示情報の抽象度が高い
自社について、開示している情報が少なかったり抽象度が高かったりすると、求職者は働き方や業務内容などを具体的にイメージできません。曖昧な情報では、求職者が「〇〇ということだろう」などと誤った認識をしてしまい、入社後にギャップを感じて採用ミスマッチとなる可能性が高いです。
例えば、「休日数が多い」という情報から、求職者は「土日祝休み」「夏期休暇が必ずある」などと思い込むかもしれません。「リモート可能」と書かれていれば、企業側は「試用期間中の3か月間は出社」のつもりでいても、求職者は「入社後すぐにリモートで働ける」と認識すると考えられます。
自社にとってプラスのイメージとなる情報しか伝えていない場合も、ミスマッチを引き起こすでしょう。意図的であるかないかに関わらず、入社前に企業のマイナスな面を聞かされていなかった求職者は、企業に対して不信感を募らせ、早期離職となる恐れがあります。
(2)企業と求職者の要件に乖離がある
企業と求職者の要件に乖離があると、採用ミスマッチが生じやすいです。
例えば、企業が設定した採用要件が「営業経験がある」のように漠然としている場合、「個人へ保険商品を営業した」「法人へITツールを営業した」など、さまざまな経験のある求職者が集まるでしょう。しかし、自社が「営業経験があれば仕事を任せられるだろう」と思って設定した要件でも、入社者にとってはギャップや働きにくさを感じるかもしれません。
片手間や思い込み、主観で要件定義すると、採用ミスマッチを招く恐れがあるため注意が必要です。また、理想が高すぎる要件を設定した場合は、そもそも採用市場に人材がいないという事態になり、採用活動に時間を要する可能性があります。
(3)面接や評価方法が属人化している
面接や評価方法が属人化している企業は、採用担当者や面接官によって評価にズレが生じるため、合否判断に時間がかかったり、ミスマッチ人材を採用したりするリスクがあります。
「自社に合う人材」「募集ポジションに必要なスキル」などを客観的に定義しておかないと、採用に携わるメンバー各々が思い込みや主観で求職者を評価してしまいます。「上司が高評価だから採用でいいだろう」などと、他者の判断を無条件に決定とするケースもあるかもしれません。
客観的な事実が活かされない評価体制で採用となった人材は、入社後に理想と現実のギャップを感じる恐れが大きいです。
(4)求職者を適切に見極められていない
採用ミスマッチは、求職者が自社に合うか、募集ポジションで活躍できるかなどを適切に見極められていないことでも発生します。
採用活動において求職者を見極める機会は、書類選考や面接などの限られたフローや時間しかありません。わずかな機会を最大限に活かし、スキルや志向性を適切に把握するには、必要な情報を求職者から引き出すヒアリング力が求められます。
ヒアリングが十分でなかったり、学歴や前職の企業名などで優秀さを判断したりすると、「求めていたスキルがなかった」「社風に合わなかった」という事態になりかねないでしょう。
(5)入社後のサポートが不足している
すでに社会人経験のある求職者でも、転職先は初めて勤務する企業で、いままでの企業とは社風や働き方、業務の進め方などが異なります。そのため、「経験者だから大丈夫だろう」と放っておいてしまうと、上手く自社に馴染めなかったり、不安や不信感を抱いたりして、早期離職の道を選ぶかもしれません。
離職に至らないケースでも、慣れない職場では自分の本来の能力を発揮することが難しく、活躍するまでに時間を要する恐れがあります。
入社後のサポートが不足し、入社者に「働きづらい」「居心地が悪い」などと思われてしまうと、採用ミスマッチが起きてしまうでしょう。
4.採用ミスマッチの防止策5選 |
既存従業員の離職や企業イメージの低下など、企業にとってのデメリットを生じさせないために、採用ミスマッチを防ぐことが重要です。
ご紹介する5つの防止策を実施し、自社が求める人材の採用に成功して、長く活躍してもらいましょう。
・求人原稿は具体的に作成する |
(1)求人原稿は具体的に作成する
求人原稿は、誰が見てもイメージが湧きやすいように、具体的な内容にして作成しましょう。
コツとしては、自社が求める人材を詳細に設定した「ペルソナ」を意識することです。ペルソナがワークライフバランスを重視する人材であれば、休日数の多さや残業時間の少なさを示すなど、アピールすべき項目、具体性を持たせるべき項目が明確になるため、ターゲットに刺さりやすい原稿の作成につながります。
一日の仕事の流れについて記載するのも効果的です。仕事の流れがわかると、求職者は入社後のイメージがより湧きやすくなります。オフィスや従業員の写真、動画などを載せれば、視覚的に自社の様子が伝わりやすくなるため、安心感から応募のハードルが下がったり、入社後のギャップを減らせたりできるかもしれません。
💡求人広告の効果的な書き方について詳しくまとめた記事はこちら |
(2)カジュアル面談を行う
採用ミスマッチを防ぐために、カジュアル面談の実施もオススメです。カジュアル面談とは、自社の従業員と求職者がカジュアルに話をする取り組みのことで、選考の前に行われます。
カジュアル面談の目的は、自社と求職者の相互理解を深め、マッチする人材に応募してもらうことです。求職者のニーズに合う情報や、自社の弱みなどを適切に提供して、ミスマッチを防ぐメリットがあります。
面談で話す内容を考えたり面談メンバーを確保したりする事前準備は求められますが、カジュアル面談が成功すると、ミスマッチ防止や応募者の増加など、大きな採用効果を得られるでしょう。
💡カジュアル面談の方法とポイントについて詳しくまとめた記事はこちら |
(3)採用・評価基準を明確にする
採用メンバー間で求職者に対する評価がブレないように、採用・評価基準を明確にしましょう。
ペルソナ設計や自社で活躍している社員の分析などを行なって、客観的な視点から必要なスキル・経験を設定することが望ましいです。採用・評価基準が定まったら、採用メンバー間で共有し、認識を統一しておきます。
基準に則って求職者を判断するには、面接評価シートの活用がオススメです。質問事項や評価項目がまとめられている面接評価シートを使うことで、採用メンバーの経験や主観に左右されずに求職者の能力を判断できます。人材の適切な見極めに役立てられるため、自社にマッチする優秀な人材の採用につながるでしょう。
💡面接評価シートの作り方と運用ポイントについて詳しくまとめた記事はこちら |
(4)面接官のトレーニングを行う
求職者に対して適切な質問を実施し、スキルや能力を見極めるには、面接官の質も高める必要があります。面接官には、人材の見極めと動機づけ、自社の広告塔としての対応という3つの役割があり、マッチする人材を見極められたとしても、動機づけをして入社意欲を向上させられなければ採用成功に至りません。
そのため、面接官のトレーニングを実施し、人材を見極めるヒアリング力と、動機づけや自社のイメージアップにつながる対応力を向上させることが大切です。
面接官のトレーニング方法としては、ロールプレイングの実施や面接のプロによる研修への参加などが挙げられます。
💡面接の目的別の質問例とNG質問について詳しくまとめた記事はこちら |
(5)入社前後のフォローアップを充実させる
採用となった人材は、入社後だけでなく、入社前から新たな職場に対する不安を抱いている傾向があります。そのため、入社前後のフォローアップを充実させ、不安を取り除いたり悩み解消に努めたりすることが重要です。
例えば、入社前にはオフィス案内や従業員との交流会を実施するなど、新たな職場にスムーズに慣れるようなイベントを行いましょう。入社後には、社内ルールや仕事の進め方を早期に覚えてもらったり、気軽に相談できたりするように、研修やメンター制度、1on1ミーティングなどを取り入れることをオススメします。
フォロー体制が整備されていると、信頼関係が構築されるのも早くなり、入社者に居心地のよさや働きやすさを感じてもらえるでしょう。
💡内定辞退を防ぐ方法と有効な施策例について詳しくまとめた記事はこちら |
5.まとめ |
採用ミスマッチが起きると、入社者の早期離職によって採用コストが増加したり、既存従業員の新たな離職を招いたりする恐れがあります。
転職者が前職を辞めた理由としては、人間関係の不和や労働条件のミスマッチなどが上位にあるため、企業は自社情報を適切に伝える、社内の雰囲気を感じてもらうなどの対策を施して、ミスマッチを防ぐことが大切です。
自社にマッチした人材に入社してもらい、末永く活躍してもらえるように、求職者視点に立って必要な情報提供やフォローを行なっていきましょう。
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