日本の女性の活躍状況は、国際的に見て進んでいるとはいえず、日本企業の成長のためにも女性が活躍できる環境を構築していく必要があります。
しかし、女性活躍を推進したいと思っていても、さまざまな課題があり取り組みが難しいと感じている企業も多いです。
この記事では、女性活躍推進に関する企業が抱える課題と解決のポイントをまとめています。女性活躍推進の現状とメリットも併せて紹介しているため、ぜひご参考にしてください。
この記事でわかる事 |
・女性活躍推進の現状 ・女性活躍推進における課題と解決ポイント ・女性活躍推進に成功している企業の事例 |
1|女性活躍推進の現状 |
女性活躍推進の現状を、女性の労働力割合や雇用形態、管理職割合などから見てみましょう。
参考:厚生労働省「雇用の分野における女性活躍推進等に係る現状及び課題」
1-1.女性の労働力人口割合 |
令和5年における、女性の労働力人口は3,124万人、総労働力人口に占める女性の割合は45.1%です。女性の労働力人口割合は徐々に上昇傾向にあります。
女性の年齢階級別の労働力率を見てみると、平成25年よりも令和5年のほうがカーブが浅いことがわかります。結婚や出産で退職する女性が減ってきているため、労働力率がM字カーブではなく台形に近づきつつあるといえるでしょう。
1-2.女性の年齢別の雇用形態 |
女性の年齢別の雇用形態を見ると、正規の職員・従業員の割合が一番高いのは25~29歳で、その後年齢が上がるにつれて減少傾向にあることがわかります。一方、パート・アルバイトや契約社員など、非正規雇用の割合が増えています。
令和5年における女性の役員を除く雇用者は2,709万人、うち、正規の職員・従業員数は1,268万人(46.8%)、非正規の職員・従業員数は1,441万人(53.2%)で、非正規の職員・従業員のほうが過半数を超えている状況です。
1-3.管理職に占める女性割合 |
令和4年の管理職に占める女性割合は、係長級24.1%、課長級13.9%、部長級8.2%です。昭和60年から右肩上がりに上昇していますが、役職が上がるほど女性管理職が少ないことがわかります。
また、他国と比較してみると、他国が30%ほどかそれ以上の数値を出しているのに対し日本は13.2%と低く、国際的に見るとまだまだ女性の管理職登用が進んでいない状況といえます。
1-4.女性の平均勤続年数 |
令和4年における女性の平均勤続年数は9.8年です。男性が13.7年のため、約4年の差があることがわかります。男女の平均勤続年数の差はありますが、女性の平均勤続年数は徐々に上昇しています。
女性の勤続年数別の推移を見てみると、「15~19年」「20年以上」といった長期の年数の増加が著しいです。一方で、男性の勤続年数「20年以上」と比較すると約半数の割合で、依然として男女の働き方に差があるといえます。
1-5.男女間の賃金差異 |
令和4年における女性の賃金の割合は、男性の賃金の75.7%です。正社員・正職員の場合は78.2%ですが、いずれにしても男女間に賃金の差異があることがわかります。
男女間で賃金差異が生じる大きな要因として、役職や勤続年数の違いが挙げられます。
国際的に見ても、日本の男女間の賃金差異は大きい状況です。
2|女性活躍推進に取り組むべき理由 |
女性活躍推進に取り組むと、次のようなメリットが期待できます。
・求職者から選ばれやすくなる |
企業が女性活躍推進に取り組むべき理由を解説します。
2-1.求職者から選ばれやすくなる |
女性活躍推進に取り組んだ場合、女性が働きやすい職場環境が構築されます。産育休がとりやすくなるほか、子育てと仕事を両立できるようにリモートワークやフレックスタイム制度が導入されるケースもあるでしょう。
休みがとりやすい、柔軟な働き方ができるという職場は、男女問わず支持されるため、求職者にも魅力に映る可能性が高いです。
少子化の影響で人手不足により採用難が叫ばれている現代において、求職者から選ばれる企業になると他社よりも採用を優位に進められます。
2-2.従業員の働きやすさが向上する |
女性が出産や育児などのライフイベントを迎えても働き続けられる休暇制度や復職制度を設けたり、柔軟な働き方を導入したりすると、従業員のライフイベントに理解のある企業として従業員から認識されるでしょう。
制度や働き方が整っていたり豊富であったりすると、女性に限らず、従業員全体の働きやすさが向上するため、生産性や企業に対する満足度、定着率も高まります。
高い定着率は、余分な採用費用や育成費用をかけずに済み、予算をほかの重要な部分に充てることも可能になります。
2-3.業務効率化につながる |
女性活躍推進の一環で女性を採用した場合、業務の効率化が期待できます。
例えば、子育てで時短勤務をしている女性は、子どものお迎えに間に合うように定時でぴったり帰宅することを意識して仕事をしています。定時で仕事を終えるには、限られた時間のなかで効率的に仕事を進める必要があるため、業務に工夫を凝らしている方が多いです。
女性従業員の効率的な業務進行方法をほかの従業員も取り入れれば、全社的に業務スピードが上がるなどして、企業の成長が促進されるでしょう。
2-4.企業に多様性が生まれる |
性別に限らず、国籍やライフスタイル、価値観など、さまざまな要素が異なる人材が多く在籍していると、企業に多様性が生まれ、従来の組織編成では浮かばなかったアイデアが出たり、新たな課題に気付けたりする可能性があります。
性別の観点から見ると、男性が多い職場に女性が入ることで女性目線の商品やサービスが生まれ、新たな顧客層を取り込めるかもしれません。既存商品を女性のニーズも満たせるものに改良でき、顧客の幅を広げられるケースもあるでしょう。
いままでの組織になかった価値観や視点を取り入れることは、企業が発展し続けるために必要です。
2-5.市場からの評価が上がる |
女性活躍推進に取り組む企業は、市場からの評価が上がり、投資家から注目されるというメリットがあります。
例えば、経済産業省と東京証券取引所が共同し、女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定しています。また、ESG投資では、投資判断において企業の女性活躍推進への取り組みに注目が集まっている傾向です。
💡なでしこ銘柄の認定メリットや申請方法についてまとめた記事はこちら |
ほかにも、「えるぼし」や「くるみん」認定もあり、認定されると社会的によいイメージを持たれる、低金利融資を受けられるなどのプラスの影響があります。
💡えるぼし認定の基準やメリットについてまとめた記事はこちら |
💡くるみん認定の種類や申請方法についてまとめた記事はこちら |
3|女性活躍推進における課題 |
女性活躍推進に取り組むことは重要ですが、次のような12の課題を感じるケースがあるため、難しさを感じる企業も多いでしょう。
・社内に必要性が浸透しない |
女性活躍推進における各課題を解説します。
3-1.社内に必要性が浸透しない |
女性活躍推進における課題として、取り組む必要性が社内に浸透しないことが挙げられます。
管理職や男性従業員だけでなく、女性従業員にも必要性が理解されていないと、制度の整備や女性従業員の管理職への登用などが進みません。
職場の方針や働く環境が変わることにネガティブな印象を抱き、不満を募らせる従業員が出てくる恐れもあります。
3-2.育休明けの女性従業員がブランクを感じ、モチベーションが下がってしまう恐れがある |
育休から復帰した場合に、長期間職場を離れていたことにより、知らない間に行われていた人事異動やルール改定などで働く環境や人間関係に変化が生じると、仕事や環境にストレスを感じてしまうケースがあります。そのため、育休から復帰した社員の仕事へのモチベーションが下がってしまう可能性もあります。また、ライフイベントを機に自身の働き方が変わったことも、戸惑いや不慣れな状況からモチベーションの低下を招くと考えられます。
モチベーションが下がるとパフォーマンスも下がり、働きにくさから離職に至るかもしれません。
3-3.昇進に意欲的になれない女性従業員がいる |
女性従業員を管理職に登用しようと思っても、従業員自身が管理職になりたがらないと、女性の管理職比率を高めることが難しいです。
弊社が「女の転職type」会員に行なったアンケート「管理職ってどう?管理職について聞いてみました。」によると、管理職経験がない方の54.9%が「今後管理職になりたくない」と回答しています。
なりたくない理由の上位3つは、「責任が重くなる」「残業時間が増えそう」「自分にできる自信がない」で、管理職に対してマイナスなイメージを持っていたり、自分に務まるのか不安を感じていたりすることがわかります。
3-4.女性従業員にとってマイナスな配慮をしてしまう |
女性活躍推進への取り組みを正しく理解しないと、周りの従業員が女性従業員にとってマイナスな配慮をしてしまう恐れがあります。
例えば、時短勤務の女性従業員に気を遣って追加の仕事を頼まない、そもそも業務量を減らすという行為は、女性従業員の仕事への満足度や成長意欲を低下させるでしょう。また、リーダーへのチャレンジ意欲がある従業員を、知識や経験を積ませないままリーダーに抜擢した場合、上手くメンバーをまとめられず、自信の低下や居心地の悪さを感じさせるかもしれません。
女性活躍推進は、女性の働き方を制限する、女性の意志を闇雲に尊重するという意味ではないことを理解しましょう。
3-5.女性従業員への業務を選別する |
女性従業員には男性従業員よりも簡単な業務しか任せないなど、業務の選別をすることが女性活躍推進の課題として挙げられます。
「家事や子育てで忙しい女性には、長時間取り組むような責任ある仕事は任せられない」と考えてしまうと、女性従業員のスキルアップにつながるような機会を減らしてしまう恐れがあります。
補助的な業務ばかり任せた場合、女性従業員の仕事に対するモチベーションが下がったり、成長できず管理職になれなかったりして、女性の活躍が妨げられます。
3-6.業務負担が偏る |
会社のマンパワーが不足していたり、急な欠員に対応できる体制が整っていないと、産育休中や子どもの急な体調不良・お迎えなどで女性従業員が欠勤すると、ほかの従業員への負担が生じてしまう恐れがあります。特に突発的な欠勤の場合は、ほかの従業員にとって業務が突然追加されることになるため、フォロー体制が整っていないと不満が生じかねません。
欠勤する女性従業員も「迷惑をかけている」という心苦しい思いを抱き、双方にネガティブな影響を与える恐れがあります。
3-7.ワークライフバランスを保つ制度が未整備 |
産育休や介護休暇など、ワークライフバランスを保つ制度が整備されていないと、女性活躍が進みにくいです。
妊娠や出産、介護というライフイベントが起きた際に仕事との両立が難しくなるため、女性従業員の多くが退職を選択するリスクがあります。業務経験豊富な従業員の退職は企業にとって大きな損失であり、新たな人材を採用・育成するコストも発生して、デメリットばかりが生じます。
長時間労働が常態化している環境や不規則に変化する労働時間もワークライフバランスを保ちにくく、従業員の離職や体調不良を招く可能性が高いです。
3-8.ロールモデルとなる女性従業員がいない |
ロールモデルとなる女性がいないと、女性従業員は自分が管理職になるイメージが湧かず、意欲も低下してしまう恐れがあります。
例えば「管理職として働きながら育児をしている」という女性従業員がいる場合、「将来的に家庭と仕事を両立できる」と感じた女性従業員が管理職を目指そうと思えるかもしれません。
ロールモデルの有無は、女性従業員の管理職に対するモチベーションに影響をもたらすでしょう。
3-9.施策を導入しても利用されない |
女性活躍を推進するために施策を導入しても、社内理解が進んでいなかったり利用手順にわかりづらさがあったりすると、利用されない恐れがあります。
産育休制度を利用することに抵抗感があって利用できずに離職してしまう、手続きに複雑な書類提出や承認が必要で手間がかかるため利用されないなどのように、せっかく導入した施策を効果的に活用できないと女性活躍が進まないでしょう。
社内理解を進めるためには意識改革を行ったり、また意識的に従業員が利用しやすい制度づくりに取り組む必要があるでしょう。
3-10.固定的な性別役割分担意識がある |
固定的な性別役割分担意識があることも、女性活躍推進における課題のひとつです。
管理職に「女性に管理職は向かない」「女性は男性のサポート役に回ったほうがいい」などのアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)があると、女性従業員に管理職へのステップを歩ませなかったり任せる業務を限定したりするでしょう。
一方、女性従業員は「男性のほうが責任ある仕事に向いている」などのアンコンシャスバイアスをもち、重要な仕事を避けてしまうケースがあります。
適性や意志は各人で異なるため、アンコンシャスバイアスに縛られて物事を判断しないことが重要です。
3-11.どのように取り組めばいいかわからない |
女性活躍を推進することは大切だとわかっていても、どのように取り組めばいいかわからなくて行動に移せないという課題もあります。
とりあえず何かしようとアクションを起こしたとしても、従業員の意識改革ができておらず効果がなかったり、工夫がなくて失敗に終わったりする恐れがあります。
例えば、女性採用をする際には「女性が応募したくなる求人」の作成が求められますが、ポイントを把握せず好き勝手に作成してしまい、応募が集まらないということがあるでしょう。
3-12.女性従業員とのコミュニケーションが難しい |
男性の管理職の方は、女性従業員とのコミュニケーションに難しさを感じているケースも少なくありません。
同性である男性の部下とはスムーズにコミュニケーションをとれたとしても、女性従業員に対してはどのように指導していいかわからない、セクハラになるんじゃないか、などの困惑や不安から、積極的に話しかけられない方もいます。
コミュニケーションを活発にとれないと信頼関係を構築できず、女性従業員との相互理解を深められなかったり、悩みや不満などを相談してもらえなかったりします。
4|女性活躍推進の課題を解決するポイント |
女性活躍推進にはさまざまな課題があることがわかりました。
女性活躍を推進するには課題の解決が求められるため、いまからご紹介する11のポイントを自社に取り入れることをオススメします。
・企業方針を社内へ明確に示す |
4-1.企業方針を社内へ明確に示す |
従業員の女性活躍推進に関する理解を深めるために、企業方針を社内へ明確に示しましょう。
例えば、女性活躍を推進する目的やメリットを研修などで従業員に伝えたり、女性管理職比率や女性従業員比率の目標数値を具体的に設定したりすると、従業員も女性活躍推進に協力してくれる可能性があります。
4-2.女性の採用数を増やす |
女性活躍を推進するにあたり、女性の採用数を増やすことも重要です。
女性を採用ターゲットにする場合、女性採用向けの求人サイトの利用や転職イベントへの出展を検討しましょう。女性特化型の媒体であれば女性求職者が多くいるため、数多くの応募を集められる可能性があります。
女性目線を意識した求人を作成するなど、採用活動を工夫することで、女性採用を成功させられるでしょう。
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4-3.女性のキャリア意識を高める |
女性が管理職になりたいと思えるように、女性のキャリア意識を高める研修を実施しましょう。キャリアデザイン研修やマネジメント研修などを行えば、キャリアアップをポジティブに受け取ってもらえたり、スキルアップをはかれたりします。
ただし、管理職に対してネガティブなイメージをもっている方も多いため、研修の効果を高めるにはネガティブイメージを払拭することが大切です。管理職は残業ばかり、ひとりだけに責任が重くのしかかっているという実態では、研修をしても管理職になろうと前向きに思えないでしょう。まずは管理職の働き方の改善が重要といえます。
4-4.評価制度を見直す |
自社の評価制度が、女性従業員に不利な内容になっていないか見直します。家事や育児の負担が多い女性にとって、長時間労働や転勤は難しい働き方です。「残業が多い従業員」「転勤を受け入れる従業員」を高く評価する制度を設けている場合、時短勤務などをしている女性は評価されず、キャリアアップできないでしょう。
女性活躍を推進するには、多様な働き方でも公正に評価される制度が求められるため、自社の評価制度を見直して改善すべき点は改善していきましょう。
4-5.柔軟な働き方ができる制度を導入する |
女性従業員が育児や介護などとのワークライフバランスを保てるように、柔軟な働き方ができる制度を導入することをオススメします。
通勤時間を削減できるリモートワーク制度や、出退勤の時間を自分で決められるフレックスタイム制度を導入すると、子どもの保育園への送迎や行事、要介護者の通院などの時間調整がしやすくなるでしょう。女性従業員はキャリアを断絶することなく、私生活も充実させられるため、モチベーションの向上が期待できます。
一方で、制度を導入しても使いにくい雰囲気があると、形だけで効果を得られません。従業員が積極的に制度を利用できるように、経営層など上の立場の方からの情報発信や、定期的な広報活動、また導入しやすいフローを整備することで、従業員の制度利用のハードルが下がると考えられます。
4-6.女性従業員とのコミュニケーションは共感を意識する |
女性従業員とのコミュニケーションに難しさを感じている場合は、「共感」を意識すると信頼関係を築ける可能性があります。
女性は具体的なアドバイスよりも共感を求める傾向があるため、女性従業員の話をまずは傾聴し、寄り添うような言葉をかけるといいでしょう。また、女性従業員に対して相談したり褒めたりすると、「自分は必要とされている」という思いが湧き、モチベーションが高まります。
セクハラとならないかが心配でコミュニケーションが消極的になってしまう場合は、ハラスメントの防止研修などを実施し、セクハラなどに該当する言動の理解を深めることが大切です。
4-7.企業事例を参考にする |
女性活躍推進における自社の課題の対策がわからない、どのように進めればいいか計画を立てられないという場合は、すでに女性活躍推進に取り組んでいる企業事例を参考にすると、自社がとるべき行動も見えてくるでしょう。
女性活躍推進に取り組んでいる企業は多く、事業内容や企業規模などもさまざまです。企業事例の一部は後述の「女性活躍推進に成功している企業の事例」でご紹介しています。
4-8.職場を離れていても情報共有を怠らない |
女性従業員が産育休などで職場を離れている間も、情報共有を怠らないようにしましょう。社内報がある場合は、復職後に情報遅れが生じないよう、社内の最新情報を休職中の従業員へ届けます。休職中であっても従業員同士がコミュニケーションをとれる機会を設けたり、復職前面談を実施したりすることも大切です。
密な情報共有やコミュニケーションは、職場復帰後の従業員が孤立感に苛まれる事態を防止できます。
4-9.偏りなくフォローし合う環境を整える |
女性従業員の産育休や育児に関する突発的な欠勤などで業務負担の偏りが発生しないように、フォロー体制の整備が求められます。
従業員の業務配分に注意したり、女性従業員の欠勤時の業務体制をあらかじめ整えたりしておくことで、業務の偏りによる不満の発生などを抑えられるでしょう。
また、育児をしている従業員が「子どもがいるから突発的な休みはしょうがない」と開き直ったり、育児をしていない従業員が「自分のためだから休みにくい」と感じたりする環境は、好ましくありません。
育児の有無に関係なく、お互いに気持ちよく働けて、気兼ねなく休めることを意識して職場環境・雰囲気をつくっていきましょう。
4-10.女性が相談しやすい環境を整える |
女性には、生理や妊娠・出産など、女性特有の悩みも生じやすいです。女性特有の悩みは男性の上司に相談しにくく、辛さや不安を抱えたまま仕事に取り組むこともあるでしょう。また、仕事や私生活の悩みも、内容によっては男性への相談がはばかられるケースもあります。
そのため、相談窓口やカウンセラーを設けるなど、女性が相談しやすい環境を整えることをオススメします。女性従業員が相談によって自分の悩みを解消できれば、モチベーションや自社への満足度がアップするでしょう。
女性従業員や女性管理職が増えると、女性同士のコミュニティができて相談しやすくなるとも考えられるため、環境の整備だけでなく女性採用の増加や管理職への登用も効果的です。
4-11.ロールモデルをつくる |
育児をしながら管理職として仕事でも活躍しているなど、女性のロールモデルをつくると、女性従業員は仕事とプライベートの両立ができるとわかり、昇進意欲が向上する可能性があります。
前述と同様のアンケート「管理職ってどう?管理職について聞いてみました。」で、「尊敬できる女性管理職の有無が管理職になりたい気持ちに影響する」かどうかを質問したところ、半数以上の方が「影響がある」と回答しています。
ロールモデルの存在は女性従業員にとって大きいといえるため、ロールモデルをつくるために女性の積極的な採用や、管理職への登用を促進しましょう。
5|女性活躍推進に成功している企業の事例 |
女性活躍推進に成功している企業の事例を3つご紹介します。
企業事例を参考にすると、どのような取り組みをすればいいかがわかるため、自社に取り入れられる事柄はぜひ取り入れてみてください。
参考:厚生労働省「女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集」
5-1.建設業のマイナスイメージを払拭した事例 |
・建設業は3K(「きつい」「汚い」「危険」)というマイナスなイメージがある
・若手の減少などで担い手不足
・働き手確保のために、建設業に興味を持ってもらうことが重要
・新3K(「給与」「休日」「希望」)を実現できる職場にする
・女性従業員が現場をパトロールして汚い箇所や危険個所を指摘し、改善した
・パトロールによって女性従業員の現場業務に対する興味付けにもつながった
・従業員の意識改革として生理研修を実施した
・プラチナくるみん認定、プラチナえるぼし認定を取得し、企業イメージがアップした
・女性を含め、応募者が増加した
・従業員のエンゲージメントが向上した
・事務職から技術職へのキャリアチェンジを行う女性がいた
5-2.出産を理由に退職する女性を0にした事例 |
・出産や子育てを理由に退職してしまう女性従業員が多い
・女性が育児や介護によってキャリアを中断せず、働き続けられる環境をつくる
・育休からの復職後、従業員が働きやすいように勤務時間を柔軟に選択できるようにした
・従業員の意向を確認するアンケート調査を実施
・アンケート結果をもとに、キャリアコンサルタントによる面談を実施し、キャリアプランの見直しや社内改革に活かす
・感謝を伝え合う仕組みをつくり、従業員が書き込んだメッセージを社長がすべて読み上げている
・育児休業取得の体制が整備され、女性が出産を理由に退職することがなくなった
・復職後、柔軟な働き方を選択できることで、さまざまなロールモデルができた
・感謝を伝え合う仕組みで、職場の雰囲気がよくなったり従業員のモチベーションが高まったりしている
5-3.休暇取得率の向上や残業時間の削減を実現した事例 |
・休暇を取得しにくいと感じている従業員が多い
・時間外労働を削減したい
・年齢層がさまざまな従業員で構成された組織で、ワークライフバランスを保てる制度の整備や時間外労働の削減などに取り組み、人材の定着率を上げたい
・育児の短時間勤務制度を、法を大幅に上回る13歳まで可能にした
・勤務時間を30分単位で繰上げや繰下げできるようにした
・育児、配偶者の出産、リフレッシュなどの特別休暇を設けた
・定時退社日やオンライン会議などを導入した
・育児中の従業員の要望をヒアリングした
・計画年休や休暇取得の促進によって、年間の平均取得率が70%以上となった
・月の平均残業時間が約半分くらいにまで削減できた
・従業員の満足度や企業に対する信頼度が向上した
・女性だけでなく、男性の育休取得も増えた
・企業イメージがアップし、応募者数も増え続けている
・離職率が低下した
6|まとめ |
日本において、女性の労働力や管理職割合は増加傾向にあるものの、非正規雇用者が多かったり国際的に見て数値が低かったりと、まだまだ推進状況はよくないといえます。
女性活躍推進では、女性従業員が管理職になりたがらない、制度を整えても利用されないなどの課題があるため、従業員全体の意識改革をしたり、企業方針を明確に示したりすることが大切です。
女性活躍推進への取り組みは、女性従業員に限らず企業や男性従業員にもメリットをもたらします。さまざまな企業事例も参考にしながら、ぜひ積極的に行動に移していきましょう。
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ブログ編集部
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