女性版骨太の方針2025とは?いつから?企業視点でわかりやすく解説!

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「女性版骨太の方針2025」とは、女性を取り巻く課題の解消や、誰もが自分らしく生きられるために、重点的に取り組む事項や方針をまとめたものです。

「女性版骨太の方針」を参考にすると、政府が取り組む施策や自社が対応すべき事柄の把握につながるでしょう。

この記事では、「女性版骨太の方針2025」がいつから始まるのかや、具体的な内容について解説します。

 

この記事でわかる事
  • ・女性版骨太の方針2025が始まる時期
  • ・女性版骨太の方針2025の内容

 

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 CONTENTS

  1. 女性版骨太の方針2025とは

  2. 女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり

    2-1 全国各地における女性の起業支援 
    2-2 地域における魅力的な職場、学びの場づくり
    2-3 地域における人材確保・育成及び体制づくり
    2-4 地域における安心・安全の確保
  3. 全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくり

    3-1 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化
    3-2 仕事と育児・介護の両立の支援
    3-3 仕事と健康課題の両立の支援
    3-4 職場等におけるハラスメントの防止

  4. あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大

    4-1 企業における女性活躍の推進
    4-2 政治・行政分野における男女共同参画の推進
    4-3 科学技術・学術分野における女性活躍の推進
    4-4 国際的な分野における女性活躍の推進等

  5. 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化

    5-1 男女の性差に配慮した施策の推進
    5-2 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献
  6. まとめ

 

 

 

1|女性版骨太の方針2025とは

「女性版骨太の方針2025」とは、女性を取り巻く課題を解消し、女性が活躍できる環境を作るために、重点的に取り組む事項や方針をまとめたものです。女性を取り巻く課題とは、日本における固定的な性別役割分担意識によって生じる家事・育児・介護の負担の偏りなどが挙げられます。

また、女性のワークライフバランスの両立支援だけでなく、誰もが安心・安全に暮らせること、自分らしく生きられることなどを目指した取り組みも示されています。

「女性版骨太の方針」は、毎年6月頃、政府が当該年度と翌年度に重点的に取り組む事項として決定しており、「女性版骨太の方針2025」は令和7年(2025年)6月10日に定められました。

「女性版骨太の方針2025」では、次の5つの重点事項について具体策がまとめられています。

  • ①女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり
    ②全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくり
    ③あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大
    ④個人の尊厳が守られ、安心・安全が確保される社会の実現
    ⑤女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化

本記事では、①②③⑤の具体策についてご紹介しています。

「④個人の尊厳が守られ、安心・安全が確保される社会の実現」に関しては、「配偶者等からの暴力への対策の強化」や「性犯罪・性暴力対策の強化」「生涯にわたる健康への支援」などについてまとめられています。

参考:内閣府「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針

 

 

 

2|女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり

「女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり」では、女性が地方を離れる動きが加速している状況に対し、原因究明や解消に取り組み、「女性にも選ばれる地方」を実現することが重要としています。

内閣府の調査によると、若い女性が出身地域を離れた上位の理由として、「希望する進学先が少なかったから」「やりたい仕事や就職先が少なかったから」「地元から離れたかったから」という回答が挙げられています。

状況の改善に向けた取り組みは、次の4つです。

  • ・全国各地における女性の起業支援
    ・地域における魅力的な職場、学びの場づくり
    ・地域における人材確保・育成及び体制づくり
    ・地域における安心・安全の確保

それぞれの内容をご紹介します。

参考:内閣府「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針

 

 

 

 

2-1.全国各地における女性の起業支援 

「全国各地における女性の起業支援 」では、次の8つの取り組みを掲げています。

  • ①地域の男女共同参画センター等における女性の起業支援
    ②女性起業家の育成に向けた取組  
    ③女性起業家による資金調達への支援
    ④地域密着型事業の立ち上げ支援 
    ⑤アントレプレナーシップ教育の推進 
    ⑥固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)等に着目した広報啓発
    ⑦ フリーランスの就業環境の整備 
    ⑧女性起業家に対するハラスメント対策

 

(1)地域の男女共同参画センター等における女性の起業支援

女性が起業を成功させられるように、全国各地の男女共同参画センター等をサポートの拠点とし、セミナーの開催やロールモデルとの出会い、起業を目指す仲間とのネットワーク形成などに取り組みます。

また、地域に残る固定的性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消に向けて、啓発素材の作成・提供などによる支援も実施。

 

(2)女性起業家の育成に向けた取組 

政府と民間が外部有識者からの推薦に基づいて選定された企業に対し、集中支援を行うプログラム(J-Startup)において、女性起業家の割合を2033年までに20%以上とすることを目指します。また、女性起業家支援ネットワークを構築し、女性起業家を総合的に支援。

 

(3)女性起業家による資金調達への支援

「女性、若者/シニア起業家支援資金」等による資金調達支援を実施するほか、女性起業家に積極的に投資する方針の民間ファンド等への出資等を促進し、女性の起業を引き続き後押しします。

 

(4)地域密着型事業の立ち上げ支援

地域密着型事業の立ち上げを支援する「ローカル 10,000 プロジェクト」について、新たに「女性・若者の活躍に関連する事業」を重点支援の対象とし、女性活躍に向けた取り組みを資金面から後押しします。

 

(5)アントレプレナーシップ教育の推進  

全国の大学生、大学院生、高等専門学校生等を対象に、社会課題の解決やビジネスでの起業など、「新たな価値を生み出していく精神」を育むアントレプレナーシップ教育の充実を図ります。

 

(6)固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)等に着目した広報啓発

各地域において、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)等による悪影響が女性に生じないように、企業等の管理職や経営層の意識改革と理解の促進に向け、広報啓発に取り組みます。

 

(7)フリーランスの就業環境の整備

発注者が、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」におけるフリーランスへのハラスメント対策やワークライフバランスの実現に対する配慮などを円滑に実施できるように、発注者に対して周知・啓発を実施。また、同法違反の申出があった場合は、調査等適切に対応します。

 

(8)女性起業家に対するハラスメント対策  

女性起業家支援ネットワークに参加するベンチャーキャピタル等の支援機関に対し、女性起業家へのハラスメントの防止に関する研修を実施。

 

 

 

 

2-2.地域における魅力的な職場、学びの場づくり

「地域における魅力的な職場、学びの場づくり」で示されているのは、下記14の取り組みです

  • ①改正女性活躍推進法の着実な施行
    ②求職者に対する情報公表の促進
    ③男女間賃金(給与)差異の是正に向けた取組の強化
    ④「L字カーブ」解消に向けた取組の強化
    ⑤「同一労働同一賃金」の遵守の徹底 
    ⑥「新・女性デジタル人材育成プラン」の実行
    ⑦長時間労働の是正
    ⑧多様で柔軟な働き方の推進
    ⑨地方や中小企業における女性の登用推進
    ⑩中小企業における柔軟な働き方、ダイバーシティ経営の推進
    ⑪地域働き方・職場改革等の推進
    ⑫農林水産業における女性活躍の推進
    ⑬建設産業における女性活躍・定着の促進
    ⑭各地域の魅力的な大学づくりに関する取組の推進

 

(1)改正女性活躍推進法の着実な施行

令和7年度末に期限を迎える女性活躍推進法について、10年間期限を延長し、女性活躍のさらなる推進に取り組みます。また、改正女性活躍推進法による女性管理職比率と男女間賃金差異の情報公表の義務化とともに、取り組みを促進。女性の健康課題に対する取り組みの推進や、ハラスメント対策の強化も行います。

 

💡女性活躍推進法の内容と企業の取り組みについてまとめた記事はこちら

女性活躍推進法とは?改正ポイントと企業が実践すべき施策5選【事例付き】

 

(2)求職者に対する情報公表の促進

女性活躍推進データーベースがさらに活用されるように、機能強化やコンテンツの充実等によるユーザビリティの向上を図ります。データベース登録企業数やえるぼし認定企業数の増加にも取り組みます。

 

(3)男女間賃金(給与)差異の是正に向けた取組の強化

男女間賃金差異を簡易分析できるツールの活用促進や、特に中小企業を対象としてコンサルティング等を実施。また、男女間賃金差異が大きい業界に対して、アクションプランの策定を促進、取り組みを進めます。

 

(4)「L字カーブ」解消に向けた取組の強化

非正規雇用の女性労働者に対し、正社員転換や処遇改善等を行う事業主へ助成利用の後押し・制度導入支援をするとともに、非正規雇用労働者への就職支援やリスキリングの推進に取り組みます。

 

(5)「同一労働同一賃金」の遵守の徹底

「同一労働同一賃金」の履行確保に向けた取り組みを引き続き強力に推進しつつ、「同一労働同一賃金ガイドライン」等の必要な見直しについて議論し、結果を踏まえて所要の措置を講じます。

 

(6)「新・女性デジタル人材育成プラン」の実行

デジタル分野におけるジェンダーギャップ解消のために、「新・女性デジタル人材育成プラン」に基づいて、デジタルスキルの習得や、デジタル分野への就労を支援。

 

(7)長時間労働の是正 

人手不足のなか長時間労働を是正するには、生産性を向上させることが求められるため、必要な設備投資への支援を行います。法定労働条件の履行確保に向け、監督指導体制の充実強化にも取り組みます。

 

(8)多様で柔軟な働き方の推進

テレワーク等の柔軟な働き方や勤務間インターバル制度を含めた労働時間制度の在り方について検討し、必要な措置を講じます。また、勤務間インターバル制度の導入に意欲的な企業の支援や、同制度の効果を周知します。

 

(9)地方や中小企業における女性の登用推進

地方や中小企業で働く女性の活躍を支援するため、中小企業を対象として、女性管理職の登用に関する課題等についてのコンサルティング等を実施。また、「なでしこ銘柄」を活用し、地方企業へ女性活躍推進を波及します。

 

💡なでしこ銘柄のメリットと認定基準についてまとめた記事はこちら

なでしこ銘柄とは?メリット・デメリットから申請方法までわかりやすく解説

 

(10)中小企業における柔軟な働き方、ダイバーシティ経営の推進

テレワークの普及促進に向けて、助成金の活用や無料相談対応などの支援を実施。また、地方の中小企業が、事業特性を活かしつつ多様な人材が働きやすい経営を実現できるように、ダイバーシティ経営の実践に向けた支援を行います。

 

(11)地域働き方・職場改革等の推進 

「若者や女性にも選ばれる地方」を実現するため、若者や女性の「働きがい」と「働きやすさ」を向上させていく地域社会の変革に取り組みます。今後、3~5年ほど先行的な地方公共団体の成果等を蓄積し、全国的な波及を目指していきます。

 

(12)農林水産業における女性活躍の推進

農林水産業における女性理事の割合向上や女性登用ゼロからの脱却に向けた取り組みなどを一層推進。また、女性が能力を発揮しやすいように、ジェンダーギャップの解消に向けた啓発を行いつつ、女性農業経営者を育成します。

 

(13)建設産業における女性活躍・定着の促進

建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」に基づき、建設産業の魅力向上・発信、働きやすい現場の実現、女性活躍・定着促進に向けた取り組みの裾野拡大を図ります。

 

(14)各地域の魅力的な大学づくりに関する取組の推進

大学を活用した地方創生の取り組みを推進するとともに、地域に不可欠な人材育成機能の確保を図るなど、各地域の魅力的な大学づくりに関する取り組みを推進。

 

 

 

 

2-3.地域における人材確保・育成及び体制づくり

「地域における人材確保・育成及び体制づくり」では、自治体へのさまざまな支援などについて記されています。

具体的には、次の5つです。

  • ①男女共同参画機構の設立及び男女共同参画センターの機能強化
    ②地域女性活躍推進交付金による自治体への支援 
    ③新しい地方経済・生活環境創生交付金による自治体への支援
    ④地方公共団体の女性活躍の取組への支援
    ⑤女性活躍に取り組む地方公共団体の好事例の横展開等 

 

(1)男女共同参画機構の設立及び男女共同参画センターの機能強化

「独立行政法人男女共同参画機構法案」および「独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」が成立後、速やかに男女共同参画機構の設立準備などに取り組みます。

また、男女共同参画センターの機能強化が求められているため、男女共同参画機構の設立後、同センターを強力に支援できるように、各地域における関係者間のネットワーク構築や課題の把握に必要な支援策を検討

 

(2)地域女性活躍推進交付金による自治体への支援 

地域女性活躍推進交付金を活用し、女性デジタル人材や女性起業家の育成、困難を抱える女性への相談支援など、関係省庁の施策とも連携しながら支援を実施。

 

(3)新しい地方経済・生活環境創生交付金による自治体への支援

地方公共団体の自主性と創意工夫に基づく独自のジェンダーギャップ解消に向けた取り組みを、計画から実施まで、新しい地方経済・生活環境創生交付金により支援。

 

(4)地方公共団体の女性活躍の取組への支援

地方公共団体の女性活躍の取り組みを推進するため、三大都市圏等の人材を地域の課題解決の即戦力として活用する「地域活性化起業人」や、都市地域から条件不利地域に住民票を異動した者を地域の課題解決に活用する「地域おこし協力隊」の仕組みを通じた地域の担い手確保の取り組みを積極的に支援

 

(5)女性活躍に取り組む地方公共団体の好事例の横展開等

地方公共団体が女性職員の活躍推進や中小企業等の支援をするには、首長が深くコミットメントし、女性活躍推進法「見える化」サイトを活用したうえで女性活躍を加速する取り組みを地域社会へ広げていくことが必要です。

そのため、男性の意識と行動の変革を目指すリーダーの会についても、地域シンポジウム等を通じて地方公共団体等における女性活躍推進の好事例の横展開を図ります。

 

 

 

 

2-4.地域における安心・安全の確保

ここでは、地域における防災や女性警察官の登用拡大など、8つの項目が掲げられています。

  • ①能登半島地震調査の結果を踏まえた男女共同参画の視点からの取組の推進
    ②防災・復興に関する政策・方針決定過程への女性の参画拡大
    ③防災の現場等における女性の参画拡大
    ④消防吏員、消防団員への女性の加入促進
    ⑤自衛官への女性の加入促進
    ⑥女性警察官の採用・登用の拡大
    ⑦男女共同参画の視点に立った民間との連携・協働体制の構築
    ⑧男女共同参画の視点を取り入れた防災教育の推進

 

(1)能登半島地震調査の結果を踏まえた男女共同参画の視点からの取組の推進

女性と男性が災害から受ける影響やニーズの違いに十分に配慮された災害対応が、災害に強い社会の実現には不可欠です。そのため、これまでの災害を通じて明らかになった課題や取組事例を積極的に展開するとともに、防災・災害対応における女性の参画拡大をさらに進めていきます。

 

(2)防災・復興に関する政策・方針決定過程への女性の参画拡大

中央防災会議および地方防災会議の委員に占める女性の割合の向上に取り組みます。また、災害対応に男女共同参画の視点が初動段階から反映されるよう、女性の参画拡大を図る意義について積極的に周知し、意識を向上させます。

 

(3)防災の現場等における女性の参画拡大

平常時から防災・危機管理担当部局へ女性職員を配置することで、災害時には女性と男性で異なる支援ニーズに適切かつ迅速に対応できるため、国や地方公共団体の災害対応の現場への女性参画を促進。

 

(4)消防吏員、消防団員への女性の加入促進

消防吏員に占める女性の割合を令和8年度当初までに5%とする目標達成を目指し、女性消防吏員の採用に向けた積極的なPR広報を行いつつ、女性専用施設等(浴室・仮眠室等)の職場環境整備についても支援。

 

(5)自衛官への女性の加入促進 

令和12年度までに全自衛官に占める女性割合を12%以上、令和7年度末までに佐官以上の幹部自衛官に占める女性割合を5%以上とする目標達成に向けて、女性隊員の採用・登用を積極的に行います。

併せて、隊舎・艦艇等における女性用区画の計画的な整備、隊員の意識改革、仕事と育児・介護等の両立支援等を一層推進。

 

(6)女性警察官の採用・登用の拡大 

地方警察官に占める女性の割合を令和8年度当初に12%程度とするという目標達成に向けて順調に推移しているため、引き続き両立支援制度の推進などをしながら女性警察官の採用・登用を拡大していきます。

 

(7)男女共同参画の視点に立った民間との連携・協働体制の構築

地方公共団体で災害対応に携わる女性職員や女性防災士等、組織の枠を超えた女性の防災人材のつながり強化のため、民間支援団体とも連携し、全国的な女性防災リーダーのネットワーク構築に向けた取り組みを推進。

 

(8)男女共同参画の視点を取り入れた防災教育の推進

子供の発達段階に応じ、災害において女性と男性で受ける影響やニーズが違うことや、地域防災力を高めるには女性の参画やリーダーシップが重要であることの理解促進を図るため、継続して情報提供や働きかけを行います。

 

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3|全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくり 

女性が住んでいる場所やライフステージに関わらず、個性と能力を十分に発揮し、自分らしく生きていけるように、所得向上や経済的自立を実現できることが重要とされています。

また、男女問わず多様で柔軟な働き方や、共育ての実現に向けた取り組みなども推進しています。

取り組み内容は次の4つです。

  • ・女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化
    ・仕事と育児・介護の両立の支援 
    ・仕事と健康課題の両立の支援
    ・職場等におけるハラスメントの防止

参考:内閣府「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針

 

 

 

 

3-1.女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化

「求職者に対する情報公表の促進」や「「L字カーブ」解消に向けた取組の強化」など、女性の所得向上等に関する前述の項目も含めて、12の取り組みが示されています。

ここでは、前述した項目を除く6つの取り組みについてご紹介します。

  • ①女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等の検討
    ②「年収の壁・支援強化パッケージ」の着実な実行と年金制度等の見直し
    ③医療、介護、福祉などの分野で働く方々の賃上げ
    ④教育訓練給付金の活用の促進
    ⑤雇用保険の適用拡大
    ⑥ひとり親家庭への支援

 

(1)女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等の検討

女性の所得向上・経済的自立を実現するには、ライフスタイルや働き方への影響が中立的な制度・慣行の構築が不可欠なため、現行の社会保障制度や税制等について見直しを行います。

 

(2)「年収の壁・支援強化パッケージ」の着実な実行と年金制度等の見直し

「年収の壁(106 万円・130 万円)」を意識せずに働けるように、当面の対応策として「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行します。

 

(3)医療、介護、福祉などの分野で働く方々の賃上げ 

令和6年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定における賃上げ措置が最大限に活用されるよう、また、さらなる賃上げに向けた支援策が現場で働く方々に行き届くよう、引き続き取り組みます。

 

(4)教育訓練給付金の活用の促進

自ら教育訓練に取り組む労働者への支援を強化するため、「雇用保険法等の一部を改正する法律(改正雇用保険法)」に基づき、令和6年10月より給付率を引き上げた教育訓練給付金について制度の周知に取り組みます。

 

(5)雇用保険の適用拡大

改正雇用保険法に基づく、週所定労働時間10時間以上20時間未満の労働者への雇用保険適用について、令和10年10月からの施行に向けて着実に準備を進めます。

 

(6)ひとり親家庭への支援

ひとり親家庭に対し、就業支援サービス支援を進めます。また、ひとり親を雇い入れ、人材育成・賃上げに取り組む企業を引き続き支援。

養育費の受領についても、令和13年に全体の受領率を40%、養育費の取り決めをしている場合の受領率を70%とすることを目指します。

 

 

 

 

3-2.仕事と育児・介護の両立の支援

「仕事と育児・介護の両立の支援」では、「長時間労働の是正」などの前述の項目も含めて、10の取り組みがあります。

前述した項目以外で挙げられているのは、下記の6つです。

  • ①「共働き・共育て」の実現に向けた取組
    ②仕事と介護の両立支援の促進
    ③外部サービス利用の普及による家事負担の軽減
    ④キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因に関する調査を踏まえた啓発
    ⑤仕事と育児の両立にも資する就学児の居場所づくり
    ⑥こども・若者のライフデザイン支援

 

(1)「共働き・共育て」の実現に向けた取組

男性の育児休業取得の促進や、育児時短就業給付と出生後休業支援給付の実施・周知、仕事と育児を両立できる職場環境の整備支援などを行います。

 

💡育児時短就業給付の概要と支給要件についてまとめた記事はこちら

【2025年4月開始】育児時短就業給付とは?導入背景や条件を解説!

 

(2)仕事と介護の両立支援の促進

企業・労働者向けの各種支援ツールや両立支援に関するガイドラインの活用促進によって介護離職を防止するとともに、全ての企業のマインドセット醸成や情報提供を行います。

また、両立支援等助成金について、介護休業中等の労働者の業務代替に関する拡充を踏まえた活用促進やさらなる制度の充実に取り組みます。

 

💡両立支援等助成金の種類と支給要件についてまとめた記事はこちら

女性活躍推進助成金を分かりやすく解説!支給額や要件とは?

 

(3)外部サービス利用の普及による家事負担の軽減

家事支援サービスについて、労働者が利用しやすいように効果的かつ面的な広報等に取り組みます。また、サービスの品質向上等の観点から、認証事業者の拡大に向けた方策やサービス提供スタッフの能力の基準について検討。

 

(4)キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因に関する調査を踏まえた啓発

男女が家事・育児等を分担して、共にライフイベントとキャリア形成を両立できる環境づくりに向けて啓発を図ります。

 

(5)仕事と育児の両立にも資する就学児の居場所づくり

就学児のいる親が希望に応じて働くことができる観点から、放課後児童クラブの待機児童の解消に向けた取り組みの強化、多様な学びの場の確保、放課後児童クラブにおける障害児受入推進等に取り組みます。

 

(6)こども・若者のライフデザイン支援

こども・若者が自らのライフデザインを描けるよう、さまざまなロールモデルに触れる機会、社会人との交流の場、乳幼児と触れ合う機会などを創出し、意識啓発や機会・情報の提供に取り組みます。

 

 

 

 

3-3.仕事と健康課題の両立の支援

「仕事と健康課題の両立の支援」では、前述の「改正女性活躍推進法の着実な施行」も含めて、5つの取り組みが掲げられています。

残りの4つの取り組みは下記のとおりです。

  • ①健診やセルフチェック、相談事業等の活用による女性の健康確保に向けた取組の推進
    ②女性の健康課題に取り組む企業の評価制度の活用・促進
    ③女性の健康課題に対応する施策の充実に向けた効果検証  
    ④働く女性の健康を支えるための更なる取組の推進

 

(1)健診やセルフチェック、相談事業等の活用による女性の健康確保に向けた取組の推進

月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性が活躍しながら充実した毎日を送れるように、事業主健診の標準的な問診票に月経随伴症状等に関する質問を追加

また、女性が受診などの適切な行動に結びつけられるように、セルフチェックの活用などの取り組みを企業などに促します。

 

(2)女性の健康課題に取り組む企業の評価制度の活用・促進

健康経営銘柄、健康経営優良法人、なでしこ銘柄等において、女性の健康課題に取り組み、成果を上げている企業等の好事例を集め、広く周知して企業における女性の健康課題への取り組みをより促進します。

また、改正女性活躍推進法を踏まえ、女性の健康課題に関して積極的に取り組んでいる企業を評価する仕組みを検討。

 

(3)女性の健康課題に対応する施策の充実に向けた効果検証 

女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は年間約3.4兆円(推計)との試算もあるため、女性の健康に関する取り組みの効果検証プロジェクトを実施し、施策の実施前後でどのような効果があったかを明らかにします。

資金やリソース・ノウハウが不足しがちな中小企業に対しては、女性特有の健康課題解決に向けた社内体制を整備するための支援を実施。先進的に女性の健康に関する施策に取り組んでいる中小企業も見える化します。

 

(4)働く女性の健康を支えるための更なる取組の推進

女性ならではの健康課題を解決すること等の重要性について、企業の経営層に理解・支援促進してもらえるように、女性従業員の健康支援について好事例を収集し、HPで公表します。

また、産業保健スタッフ、保健師、助産師、看護師、薬剤師、養護教諭等が、職場や地域などさまざまな場で、女性のライフステージごとの健康課題と対処法について知識の普及に取り組めるよう、人材育成を図ります。

 

 

 

 

3-4.職場等におけるハラスメントの防止

ここでは、前述の「改正女性活躍推進法の着実な施行」と「女性起業家に対するハラスメント対策」のほか、「ハラスメントの規範意識の醸成、カスタマーハラスメント・就活等ハラスメント対策の強化」を含めた3つが示されています。

「ハラスメントの規範意識の醸成、カスタマーハラスメント・就活等ハラスメント対策の強化」では、ハラスメントのない職場づくりに向けて必要な啓発活動を行うとしています。また、教職員の学生に対するハラスメントについても、各大学における取り組みの好事例の発信や、ハラスメント防止に関する研修教材の周知どを行います。

 

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4|あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大

あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大は、多様な視点を反映させるにあたり極めて重要なため、女性活躍推進をさらに強化します。

ここで示されているのは、次の4つです。

  • ・企業における女性活躍の推進
    ・政治・行政分野における男女共同参画の推進
    ・科学技術・学術分野における女性活躍の推進
    ・国際的な分野における女性活躍の推進等

参考:内閣府「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針

 

 

 

 

4-1.企業における女性活躍の推進

「企業における女性活躍の推進」では、前述の「改正女性活躍推進法の着実な施行」と「建設産業における女性活躍・定着の促進」を含む4つが示されています。

ほか2つは下記のとおりです。

  • ①プライム市場上場企業等における女性役員登用加速化に向けた取組
    ②公共調達等に関する取組の更なる促進

 

(1)プライム市場上場企業等における女性役員登用加速化に向けた取組

女性登用加速化セミナー」のアーカイブ動画などを活用し、プライム市場上場企業等における女性役員登用加速化に向けた啓発を行います。また、ダイバーシティ経営について、経営陣の考え方や具体的取り組みを示したレポートを各種支援ツールと併せて企業に発信

 

(2)公共調達等に関する取組の更なる促進

女性活躍推進法等に基づく認定等を受けた企業を加点評価する公共調達の取り組みについて、これまでの実施状況や競争参加者の特性等を踏まえつつ、特にさらなる実施余地がある公共工事等に関する調達をはじめ、各機関における取り組みをさらに促進

 

 

 

 

4-2.政治・行政分野における男女共同参画の推進  

前述の「改正女性活躍推進法の着実な施行」のほか、下記2つの取り組みが示されています。

  • ①政治分野における男女共同参画の推進
    ②行政分野における女性活躍の推進

 

(1)政治分野における男女共同参画の推進

女性の政治参画への障壁と解消に向けた必要な取り組みについて啓発するとともに、育児・介護等を事由とした委員会へのオンライン出席のためのルールを整備している地方議会の事例や実績、デジタル技術の活用等について広く周知。

 

(2)行政分野における女性活躍の推進

各府省において、各役職段階に占める女性の割合に関する数値目標を定め、女性登用に向けた取り組みを強化しつつ、目標や取り組み内容、実施状況について、公務員志望の女性等にわかりやすく公表特に技術系人材の採用は、課題の把握・分析を行うとともに、採用に向けた積極的広報活動等に取り組みます。

 

 

 

 

4-3.科学技術・学術分野における女性活躍の推進 

ここでは、次の2つの取り組みが示されています。

  • ①女性が少ない分野への進学者増に向けた取組の推進
    ②大学等における女性登用の促進

 

(1)女性が少ない分野への進学者増に向けた取組の推進

女子学生が少ない分野の大学入学者選抜において、入学者の多様性の確保に積極的に取り組む大学等に対し、国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助金による支援を行います。

また、女子中高生の理工系分野への進学促進に向け、理工系分野に対する興味・関心を喚起する取り組みを支援。ジェンダーバイアスが生じないように、幼児期の教育現場における固定的な性別役割分担意識などの解消に資する方策についても、引き続き調査研究します。

 

(2)大学等における女性登用の促進

学長、副学長および教授における女性登用を促進するため、国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助金などの大学への資源配分において、引き続きインセンティブを付与。併せて、女性を含むさまざまな人材が活躍できる環境整備のため、必要な施策を講じます。

女性研究者などが不安なく研究に取り組めるように、人事制度の改革に取り組む大学等への機関支援について、好事例の発展・展開も促進。

 

 

 

 

4-4.国際的な分野における女性活躍の推進等

在外公館の各役職段階に占める女性の割合(令和6年7月:公使、参事官以上8.8%、特命全権大使、総領事 7.1%)などを令和7年までに引き上げる目標(公使、参事官以上 10%、特命全権大使、総領事 8%)を着実に達成するため、女性職員の採用拡大、能力向上につながる人材配置を行います。

併せて、中途採用などにより管理職登用を直接行いつつ、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの分野において国際的に活躍できる人材を増やすため、若者も育成。

 

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5|女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化

男女共同参画の視点に立った計画や男女別の影響・ニーズに配慮した施策の推進が、誰もが暮らしやすい地域社会の実現に重要です。そのためには、女性の参画拡大やジェンダー統計の充実ど、男女別データの把握や分析を一層推進することが求められています。

ここでは、下記の2つが示されています。

  • ・男女の性差に配慮した施策の推進
    ・男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献

参考:内閣府「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針

 

 

 

 

5-1.男女の性差に配慮した施策の推進

「男女の性差に配慮した施策の推進」では、次の4つの項目があります。

  • ①男女共同参画の視点に立った政府計画の策定等の推進
    ②ジェンダー統計の充実
    ③男女共同参画と性差の視点を踏まえた研究の促進
    ④交通・まちづくり分野におけるジェンダー主流化の推進

 

(1)男女共同参画の視点に立った政府計画の策定等の推進

男女の性差を考慮するとともに、関連するデータの男女別の把握・分析を強化。あらゆる分野の政策・事業の計画、実施、評価において、男女別の影響やニーズの違いを踏まえた検討・立案を行います。

また、国の審議会等委員等について女性の割合が40%以上60%以下となることを目指すとともに、外部有識者が含まれる合議体において、外部有識者の構成員に性別の偏りがないよう努めます。

 

(2)ジェンダー統計の充実

男女の置かれている状況を客観的に把握するジェンダー統計をさらに充実させるため、重要性について周知啓発。

 

(3)男女共同参画と性差の視点を踏まえた研究の促進

性差を適切に考慮した研究・技術開発を促進するには、研究のダイバーシティ確保や、ジェンダーを重要な要因とし、その効果を科学的に検証する「ジェンダード・イノベーション」の概念を取り入れることが重要。

そのため、男女共同参画や性差の視点を踏まえた研究の促進、男女の研究者が共に働き続けやすい研究環境の整備の推進などの取り組みを着実に実施します。

 

(4)交通・まちづくり分野におけるジェンダー主流化の推進

「ジェンダー主流化」とは、社会的・文化的な性差の平等の実現を目的として、男女ごとの課題やニーズを踏まえたうえで政策・事業を行なっていくことです。交通・まちづくり分野において、ジェンダー主流化を推進し、女性や若者に選ばれる地域づくりを目指します。

 

 

 

 

5-2.男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献

女性に関連する国際会議や多国間協議におけるジェンダー平等に関わる各種の国際合意や議論を、国内施策に適切に反映して実施。また、国際会議や多国間協議で得られた情報について、各方面へ幅広く報告・周知します。

 

 

 

6|まとめ

「女性版骨太の方針」は、女性を取り巻く課題を解消するために重点的に取り組む事項として毎年6月頃に定められます。「女性版骨太の方針2025」では、女性活躍や男女共同参画など5つの事項について具体策がまとめられています。

女性の採用や管理職への登用強化など、企業がすぐにでも取り組める施策もあるため、「女性版骨太の方針2025」を参考にして、性差なく、男女ともに活躍できる職場環境をつくっていきましょう。

 

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