女性の就業率は上昇傾向にありますが、女性が働きやすい職場を構築できている企業は必ずしも多いとはいえず、なかには妊娠・出産や育児を理由として辞めてしまう社員もいるでしょう。
女性が働きやすい職場を構築すると、企業にとってさまざまなメリットがあるため、企業の成長や女性活躍推進の観点から、女性の働きやすさ向上につながる取り組みの実施が求められます。
女性が働きやすい職場環境について、取り組むメリットや取り組み内容をご紹介します。
この記事でわかる事 |
・女性が働きやすい職場環境 ・女性が働きやすい職場をつくるメリット ・女性が働きやすい職場にするための取り組み内容 |
CONTENTS |
1|働く女性を取り巻く環境 |
まずは働く女性を取り巻く環境について見ていきましょう。
日本における女性の就業率と働く女性が直面する課題について解説します。
1-1.日本における女性の就業率の現状と推移 |
日本における女性の就業率を見ると、2014年から右肩上がりに上昇し、現在では50%を超えていることがわかります。
一方で総務省の発表によると、2023年における男性の就業率は69.5%で、女性の2023年の就業率53.6%と比較すると15%ほどの差があるのが現状です。
参照:総務省「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の要約」
1-2.働く女性が直面する主な課題 |
女性の就業率は増えており、女性が働きやすい職場環境になってきているといえますが、まだまだ課題は残っています。
弊社が「女の転職type」会員に行なったアンケートで、「女性の活躍を阻害しているもの」について質問したところ、1位が「男性優位の会社が多い」69.4%、2位が「時短勤務・在宅勤務など自由な働き方ができない」57.3%、3位が「保育所、学童などの不足」42.0%という結果になりました。
参照:女の転職アカデミア「女性の活躍って?職場の状況、管理職、ロールモデルについて聞いてみました。」
日本には「男性は仕事、女性は家庭」という根強い性別役割分担意識があるため、女性のほうが家事・育児の負担割合が大きい傾向です。一方で、柔軟な働き方が整備されていない、子供を預けられる場所がないというケースも多く、働きながら家事や育児をすることに難しさを感じて退職する女性も少なくありません。
仕事を辞めないケースでも、時短勤務によって評価されず昇進・昇給できない、責任ある仕事を任せてもらえずスキルアップできないという状況になり、男性とのキャリアの差は広まってしまいます。
男女で差が生じてしまう職場環境や選択肢の少ない働き方、キャリアサポート不足が、女性の活躍を阻害する課題といえるでしょう。
2|女性が働きやすい職場環境とは |
女性が活き活きと働き、活躍するには、働きやすい職場環境を整えることが求められます。
女性が働きやすい職場として、次の4つが挙げられるでしょう。
・出産・育児や介護のサポート体制が充実している |
詳しく解説します。
2-1.出産・育児や介護のサポート体制が充実している |
妊娠・出産、育児、介護など、さまざまなライフイベントに対応したサポート体制が充実している職場は、女性が働きやすいです。
サポート体制が整っていない場合、女性社員は子供の体調不良による突発的な休みをとりづらくて居心地の悪さを感じたり、育休などの長期の休みをとれなかったりして離職してしまう恐れがあります。
ライフイベントに応じたサポート体制が充実している環境であれば、女性社員は気兼ねなく休めたりワークライフバランスを維持できたりして、ポジティブに働けるでしょう。
2-2.柔軟な働き方が可能な制度がある |
出社のみでしか就業できなかったり、働く時間帯が固定されていたりという企業の場合、育児や介護をする女性にとって時間の使い方に不自由さがあるため、両立の難しさから離職するケースも多いです。
例えば、子供の送迎に合わせて時短勤務をしたい、在宅で介護をしながら仕事をしたいという場合、働く場所や時間帯が固定されていると柔軟に働けません。
企業が柔軟に働ける制度を導入していれば、女性社員にニーズに合った働き方を選択してもらえて、辞めずに済む働きやすい職場となります。
2-3.女性管理職が多い |
女性管理職が多い職場は、女性が働きやすい職場として挙げられます。女性が家事・育児などのライフイベントと両立しながら昇進している環境は、女性の活躍がサポートされていたり、性別による対応の違いがなかったりするため、女性にとって等身大で働きやすい職場です。
また、女性管理職が多いと女性特有の悩みを相談しやすくなることで、不安感が軽減され、離職する女性社員も減るでしょう。活躍している女性を身近で見ている女性社員は、キャリアアップ志向を刺激されて管理職への昇進意欲も高い傾向があります。
2-4.男女平等な評価・表彰制度がある |
男女平等な評価・表彰制度がある職場は、性別による不公平がなく、妊娠・出産などで職場を離れる女性でも昇進の機会があるため、女性にとって働きやすい職場です。
能力ではなく、勤務時間や期間を重視する評価制度では、産休などで職場を離れる期間が長くなりがちな女性にとって、昇進・昇給の機会が減少し、モチベーションが低下してしまいます。
性別に関係なく、誰もが評価・表彰される制度があれば、女性社員も仕事への意欲が出て、能力を発揮しやすくなるでしょう。
3|女性が働きやすい職場をつくるメリット |
女性が働きやすい職場は、ライフイベントのサポート体制が整備されており、柔軟な働き方ができる環境です。また、女性管理職が多く、評価・表彰制度が男女平等であることも挙げられます。
女性が働きやすい職場をつくると、次のメリットを得られます。
・優秀な人材の確保と企業成長 |
メリットについて、具体的にご紹介します。
3-1.優秀な人材の確保と企業成長 |
女性が働きやすい職場をつくると、優秀な人材の確保と企業成長につながる可能性があります。
現在は少子高齢化が深刻化しており、労働力不足に悩む企業も多いです。厚生労働省の資料によると、令和6年8月において、さまざまな産業で労働力不足が起きていることがわかります。
参照:厚生労働省「労働経済動向調査(令和6年8月)の概況」
労働力人口が少ないなか、優秀な人材を採用して企業を成長させていくには、男性の採用にこだわらず、優秀な女性の採用を目指したり女性ならではの視点を事業に取り入れたりすることが求められます。
そのため、女性からの応募が増えるように、アピールポイントとして女性が働きやすい職場環境をつくることが必要です。
💡求人票の禁止表現や例外について詳しくまとめた記事はこちら |
3-2.ダイバーシティ推進による企業イメージの向上 |
女性が働きやすい職場をつくることで、ダイバーシティ推進による企業イメージの向上が期待できます。
ダイバーシティとは「多様性」を意味する言葉で、ダイバーシティ推進とは女性や外国人、障がい者、高齢者など、さまざまな属性の人材を積極的に活用する取り組みを指します。
多様な方々を活用するには、誰もが働きやすい職場づくりが必要です。女性が働きやすい職場は、サポート体制や柔軟な働き方ができる制度が整っているため、個別の事情にも対応しやすく、ダイバーシティを積極的に推進できるでしょう。
ダイバーシティを推進すると、「属性による差別や偏見がない企業」というポジティブな印象を社会から持たれて、自社のファンが増えたり多数の採用応募を受けられたりすると考えられます。
3-3.労働環境改善による社員のモチベーション向上 |
女性が働きやすい職場は、柔軟な働き方ができたり休暇制度が整っていたりするため、男性にとっても働きやすいです。残業時間が少ない、個別の事情に合わせた働き方ができるという労働環境は、子育てや介護をする男性や、プライベートを大切にしたい男性にも望ましく、仕事に対するモチベーションが向上するでしょう。
モチベーションが高い社員が増えれば、職場の雰囲気がよくなったり生産性が向上したりします。社員にとって長く在籍したい職場になると、定着率が向上し、安定した経営が可能です。生産性が向上すれば、自社の成長・発展が期待できます。
4|女性が働きやすい職場にするための取り組み内容 |
女性が働きやすい職場にするためには、下記の取り組みが求められます。
・出産・育児をサポートする制度の充実 |
各取り組みについて具体的にご紹介します。
4-1.出産・育児をサポートする制度の充実 |
前述の弊社が行なったアンケートで、「女性の活躍を推進するために、職場ではどんな取り組みをしてる?」と質問したところ、「出産・育児をサポートする制度の充実」が1位で31.4%、次いで「時短・リモートワークなど勤務形態の多様化」30.4%、「女性の管理職を増やす」26.9%でした。
参照:女の転職アカデミア「女性の活躍って?職場の状況、管理職、ロールモデルについて聞いてみました。」
「出産・育児をサポートする制度の充実」としては、産休・育休やベビーシッターの利用料補助、オフィス内保育所の設置、子供の送迎や行事に合わせた時間単位の有休取得などが挙げられるでしょう。また、育児等で突発的に休む社員の業務をスムーズに引き継げる体制整備も、休暇を取る社員の「申し訳ない」という精神的な負担軽減につながると考えられます。
女性特有のライフイベントとして、生理もあります。生理休暇を取得しやすい環境も、女性は働きやすいと感じるでしょう。
女性社員が気兼ねなく制度を利用できたり、ポジティブな協力体制が敷かれたりするように、制度を充実させることや利用方法についての研修などを実施し、社員の理解を深めておくことも大切です。
💡生理休暇の意味と導入ポイントについて詳しくまとめた記事はこちら |
4-2.時短・リモートワークなど雇用形態の多様化 |
女性が働きやすい職場にするには、時短勤務制度やリモートワークなど、雇用形態を多様化し、柔軟な働き方を実現することが求められます。
育児や介護をしながら出社・フルタイムで働くことは、社員の状況によっては大きな負担となる可能性があります。そのため、短時間勤務制度でプライベートの時間を増やしたり、リモートワークで通勤の時間を削減したりすると、ワークライフバランスを保てて負担の軽減につながるでしょう。
ほかにも、フレックスタイム制度を導入すれば、社員は都合のいい時間に働けて、育児・介護と仕事を両立しやすくなります。
社員に対して、どのような働き方があるとワークライフバランスを保ちやすいかのアンケートをとったりヒアリングしたりすると、ニーズに合った対応ができるでしょう。
💡時短勤務の内容と注意点について詳しくまとめた記事はこちら |
4-3.女性管理職や女性社員を増やす |
生理や妊娠による体調不良など、女性特有の症状によって通常業務が難しくなったり働き方が負担となったりするケースがあります。女性特有の症状に関することは、同性相手のほうが相談しやすいため、女性管理職や女性社員を増やすと女性の働きやすさが向上するでしょう。
女性管理職や女性社員を増やすには、偏りのない評価制度や、公正・平等に人材を評価する採用制度の整備が求められます。女性採用に特化した媒体を利用し、管理職や管理職候補を外部から募集することもオススメです。
また、弊社のアンケートによると、尊敬できる女性管理職の有無は管理職になりたい気持ちに影響するという女性が過半数を超えているため、女性管理職のさらなる増加や女性活躍の促進にもつながります。
参照:女の転職アカデミア「管理職ってどう?管理職について聞いてみました。」
4-4.女性のキャリア支援制度を整える |
女性が自分の能力を正しく評価し、自信を持って活躍できるように、キャリア支援制度を整備しましょう。日本は性別役割分担意識が根強く、社会や企業の慣習によって「女性に管理職は無理」と考える男性や、「私には管理職は務まらない」と自分を過小評価する女性もいます。
女性が働きやすい職場にするには、社員一人ひとりの性別役割分担意識をなくし、女性も管理職を目指したいと思えるような環境の構築が必要なため、男女平等に、管理職研修やリーダー研修などの研修を実施しましょう。
また、妊娠・出産などで職場を離れる期間が影響しない評価制度の導入や資格取得費用の補助、資格手当の付与、成績を出した社員への豪華なご褒美などを行い、キャリアアップの意欲やモチベーションを高めることも大切です。
5|まとめ |
日本における女性の就業率は上昇傾向にあるものの、性別役割分担意識や固定された働き方など、女性が働きやすい職場環境を実現するにはまだまだ課題があります。
女性が働きやすい職場環境にすると、優秀な人材の確保と企業成長につながったり、社員のモチベーションや企業イメージが向上したりするメリットがあるため、出産・育児のサポート制度や雇用形態を充実させることが大切です。
女性が働きやすい職場は男性の働きやすさも高まります。自社の職場環境を整えて、女性社員に限らず誰もが活躍できる労働環境を目指しましょう。
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