
「ガラスの天井」は、女性が活躍するために解消すべき障壁として、世界的に用いられている言葉です。
日本においてもガラスの天井は存在しており、性別や属性に関係なく誰もが能力を認められ、理想のキャリアを実現できるように企業や組織は解消に努める必要があります。
この記事では、ガラスの天井の意味と「壊れたはしご」との違い、日本の現状、解消に取り組むメリットと具体的な施策についてまとめているため、ぜひご参考にしてください。
| この記事でわかる事 |
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CONTENTS |
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1|ガラスの天井とは? |
「ガラスの天井」という言葉は、1978年にアメリカで初めて使われました。英語では「グラスシーリング(glass ceiling)」といいます。
「ガラスの天井」の意味と、関連する表現「壊れたはしご」との違いについて解説します。
1-1.ガラスの天井の意味 |
「ガラスの天井」とは、スキルや能力、実績のある人材が性別や人種などを理由にキャリアアップできない状態を指し、主に女性の昇進が阻まれることに対して使われます。ガラスという物理的な障壁があることで、キャリアアップの道筋は見えているのに、ある役職から昇進できなくなることの比喩表現です。
ガラスの天井が生じている背景には、「男性から昇進させる企業風土」や「育児中の女性に重要なポジションは無理」などのアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)があります。
1-2.「壊れたはしご」との違い |
「壊れたはしご」とは、そもそも女性がキャリアアップしづらい状況を表しています。最初からはしごが壊れていると上っていけないため、下位の役職に就くことも難しいという比喩表現です。
ガラスの天井が「いまの役職からさらなる昇格を阻む障壁」であるのに対し、壊れたはしごは「最初から役職に就くことを阻む障壁」を表す点に違いがあります。
2|日本におけるガラスの天井の現状 |
日本におけるガラスの天井の現状を、下記2つの項目から見てみましょう。
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2-1.ジェンダーギャップ指数 |
ジェンダーギャップ指数とは、スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が経済、教育、健康、政治の分野ごとに算出している「各国の男女の平等」を表した数値のことです。「0」が完全不平等、「1」が完全平等となり、「1」に近いほど男女平等であるといえます。
男女共同参画局の「男女共同参画に関する国際的な指数」によると、2025年の日本のジェンダーギャップ指数は148か国中118位で、総合の値は0.666でした。なお、1位はアイスランドで、数値は0.926となっています。
日本は4分野のうち「政治」「経済」の値が低いです。「経済」に関しては、労働参加率の男女比や管理的職業従事者の男女比などが項目としてあり、日本企業の多くにガラスの天井の存在がうかがえるでしょう。
2-2.女性管理職比率 |
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2024」によると、日本の管理職に占める女性の割合は12.9%です。おおむね30~40%の国が多いなか、日本の女性管理職割合の低さが目立ちます。
また、厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」によると、令和6年度における役職別の女性管理職の割合は、「係長相当職」21.1%、「課長相当職」12.3%、「部長相当職」8.7%、「役員」21.1%でした。係長、課長、部長と役職が上がるにつれて女性管理職の割合が減っているため、ガラスの天井が昇進を阻んでいると考えられます。
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3|ガラスの天井の解消に取り組む企業メリット |

世界的にも、日本においても存在するガラスの天井は、解消することが望ましいです。
ガラスの天井の解消に取り組むと、次のようなメリットを得られる可能性があります。
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具体的にどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
3-1.企業イメージの向上 |
近年、女性活躍推進法や育児・介護休業法など、女性活躍や働きやすさを向上させる法律の整備や、多様な人材を活用し自社の競争力を強化するダイバーシティ経営の推進が行われています。
そのため、ガラスの天井の解消に取り組むことは、企業として社会的に求められている事柄に真摯に向き合うことにつながり、企業イメージの向上が期待できます。また、長時間労働の抑制やワークライフバランスの促進などは、法律遵守も実現します。法的リスク回避の点でも、ガラスの天井解消への取り組みは重要です。
| 💡女性活躍推進法の影響とポイントについて詳しくまとめた記事はこちら |
3-2.優秀な人材の確保 |
ガラスの天井のない企業は、女性にとって「キャリアアップできる」「理想の働き方ができる」などと魅力的に見えます。自社で働きたいと求職者に思ってもらえれば、自然と応募が集まり、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
また、在籍している女性従業員も適正に評価されながら昇進できるため、離職するリスクが低いです。自社に定着し、長期にわたって業務をこなした場合、生産性も高まって企業のさらなる発展が見込めます。
3-3.ESG投資における評価向上 |
ESG投資とは、財務情報に加え、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素も考慮して行う投資のことです。男女共同参画局の「女性活躍情報がESG投資にますます活用されています」によると、50%以上の機関投資家が投資判断に女性活躍情報を活用しており、女性役員や管理職比率などの情報開示を求めています。
ガラスの天井の解消は、女性管理職の増加など女性のさらなる活躍につながるため、ESG投資における自社の評価が高まり、資金を得やすくなるでしょう。
4|ガラスの天井の解消に向けた企業の施策 |

ガラスの天井の解消に向けて、下記の施策に取り組みましょう。
・組織の現状把握・働きやすい環境の整備
・女性管理職の育成
・従業員の意識改革
企業に必要な取り組みについて、詳しく解説します。
4-1.組織の現状把握 |
自社のガラスの天井について、現状を把握します。ガラスの天井の有無、どのような障壁があるのかなどを従業員にヒアリングやアンケートを行なって調査しましょう。
社内の調査員相手には正直に話しづらいと感じ、本音を隠す従業員もいるかもしれないため、社外機関に協力してもらうこともオススメです。
4-2.働きやすい環境の整備 |
女性が出産・育児などのライフイベントを経ても継続して働き、キャリアを積めるように、働きやすい環境を整備しましょう。例えば、リモートワークやフレックスタイム制、短時間勤務制度などを取り入れると、ワークライフバランスを実現できると考えられます。
ただ環境や制度を整備するだけでなく、周知して利用を促進することや、誰もが気兼ねなく利用できる職場の雰囲気づくりも大切です。
| 💡短時間勤務制度のメリットや注意点について詳しくまとめた記事はこちら |
4-3.女性管理職の育成 |
ライフイベントによってガラスの天井が生じないように、女性管理職を早期に育成し、さらに昇格するための条件を満たした状態にすることが求められます。例えば、課長へ昇格するのに係長経験が一定年数必要な場合、女性に早期から係長職を任せれば経験を積むことができ、出産などが生じても復帰後に昇格しやすくなります。
そのため、ジョブローテーションで女性従業員に早期からさまざまな業務を経験させる、リーダーを任せるなどして、管理職昇格への意識づくりとスキルアップを図ることが重要です。
| 💡女性管理職に向いている人の特徴について詳しくまとめた記事はこちら |
4-4.従業員の意識改革 |
ガラスの天井はアンコンシャスバイアスによっても生じるため、アンコンシャスバイアス研修などを実施して従業員の固定観念や偏見をなくしましょう。
なお、男女共同参画局の「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」によると、「同程度の実力なら、まず男性から昇進させたり管理職に登用するものだ」と考える役職別の割合は、若い世代かつ高い役職ほど多い傾向があります。
全社的な研修も大切ですが、特に管理職の意識改革がガラスの天井の解消につながると考えられます。
5|まとめ |
ガラスの天井は、女性のさらなる昇進を阻む障壁の比喩表現です。日本のジェンダーギャップ指数や女性管理職比率を見ると、日本企業や組織においてガラスの天井が存在しているといえます。
企業がガラスの天井の解消に取り組むと、イメージの向上や女性従業員の定着、採用活動での人材確保につながる可能性があります。自社のガラスの天井を把握し、環境整備などに取り組んで、女性従業員のさらなる活躍を推進しましょう。
#ガラスの天井
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