少子高齢化が進行している現代において、優秀な人材の確保は企業様にとって大きな課題といえます。企業は優秀な人材の流出を防ぐためにも、社員がスムーズに育休復帰し、能力を発揮できる環境を整えることが重要です。社員が安心して育休の取得や職場復帰するために必要不可欠となる「育休復帰支援プラン」というものがあります。
今回はこのプランの策定をすることにより、さまざまなメリットがある「育休復帰支援プラン」の内容や、社員に対し企業様が行なえる支援について解説します。
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1|育休復帰支援プランとは |
育休復帰支援プランとは、社員の円滑な育休取得や育休後の職場復帰を中小企業様が支援することを目的とした計画書のことで、育休復帰支援プラン作成のマニュアルとして【~円滑な育休取得から職場復帰に向けて~中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル】が厚生労働省から普及されています。
2|育休復帰支援を導入するメリットとは |
優秀な人材を確保できる |
企業様が育休復帰を支援することにより、社員は安心して育休取得、職場復帰できる可能性が高まるため、優秀な人材の確保につながるでしょう。
企業様が社員の育休取得や職場復帰に対して関心がない場合、制度対象者は育休の取得しづらさを感じたり、職場への復帰意欲が削がれたりして、妊娠や出産をきっかけに退職してしまう恐れがあります。
育休復帰支援プランの導入は、社員の育休取得や職場復帰に関する企業様の意欲的な姿勢が分かるため、社員も制度の利用や職場復帰がしやすくなるでしょう。
企業制度の見直しができる |
育休復帰プランの導入により、企業制度の見直しを行えるため、よりよい職場環境の構築ができるでしょう。
育休復帰支援のステップ1にあるチェックリストには、たとえば「妊産婦から請求があった場合に時間外労働をさせていないか」や「育児中の女性社員から請求があった場合に育児時間を与えているか」という旨のチェック項目があります。
チェックリストは法律に基づいて作成されているため、チェックリストに沿うことで企業様の制度の充実度の把握につながり、未整備の制度を整備できます。
働きやすい職場環境を構築できる |
育休復帰支援プランを策定するにあたり、担当者が一人しかいない、社員同士お互いの業務進捗度を把握できていないなど、職場環境の問題点が浮き彫りになるでしょう。
スムーズな育休取得や職場復帰のためには、社員の誰もが働きやすい職場環境を構築することが求められます。また、時短勤務やテレワークなど多様な働き方の導入も、職場復帰後の社員が仕事と育児を両立しやすくなると考えられるため、育休復帰支援プラン策定をきっかけに多方面から職場環境の整備ができます。
助成金の対象になる |
育休復帰支援プランを策定し、社員が育休を取得、のちに育休から復帰した場合、両立支援等助成金制度の「育児休業等支援コース」の対象となり、要件を満たす場合育休取得時と職場復帰時に最大30万円の助成金が支給されます。
次に、育児休業等支援コースについて解説いたします。
3|育児休業等支援コースとは |
社員が仕事と家庭を両立できる職場環境づくりを行う企業様を支援する、両立支援等助成金制度に「育児休業等支援コース」があります。
育休復帰支援プランを作成することで、中小企業様のみ「育児休業等支援コース」の「育休取得時・職場復帰時」の助成金の対象となる可能性があります。
■支給対象 育休復帰支援プランを策定し、社員が育児休業を取得した中小企業事業主 ■支給額 ■支給要件 【育休取得時】 【職場復帰時】 |
4|プラン策定前に確認すべき育休・復職支援制度について |
育休復帰支援プランを策定する前に、どのような育休・復職支援制度があるのか確認しておきましょう。
育児休業制度 |
育児休業制度とは、育児・介護休業法に定められた両立支援制度のひとつで、働いている方が育児のために仕事を休業できる制度です。
原則、子供が1歳未満の場合に、勤めている企業に申し出ることで育児休業を取得できます。しかし、子供が1歳になるまでに保育所に入れなかった場合は、最長2歳まで休業の延長が可能です。
※育児・介護休業法は、男性の育休取得を促進するため2022年4月1日に改正されました。育児・介護休業法の改正内容については「【2022年4月から育児・介護休業法が改正】就業規則の見直しポイントをわかりやすく解説!」をご覧ください。 |
育児休業制度のなかにはパパ・ママ育休プラスや、2022年10月から施行されるパパ休暇があります。それぞれ詳しく解説します。
パパ・ママ育休プラスについて |
パパ・ママ育休プラスとは、両親が育休を取得する場合に、原則子が1歳未満の場合に取得できる育休が、子が1歳2か月に達するまで延長される制度です。
■ 取得要件 ①配偶者が子が1歳未満の間に育休を取得していること |
パパ・ママ育休プラスは、父親と母親双方が育休を取得する際に利用できる制度のため、一方が専業主婦(夫)の場合は利用できません。
また、育休をあとから利用した方が子が1歳2か月になるまで育児休業できるため、母親が先に育休を取得し、母親の育休期間中に父親も育休をとり、母親より先に復帰した場合はパパ・ママ育休プラスの対象外となります。
そのため、パパ・ママ育休プラスを取得できるパターンは、次のようになります。
■パパ・ママ育休プラス利用のパターン例 ・産休明けの母親が育休を取得し、職場復帰のタイミングで父親が育児休業する |
パパ・ママ育休プラスを利用した場合でも、ひとり当たりの育休取得最大日数は、産後休業含め1年間です。
パパ休暇について |
2022年10月1日より施行されるパパ休暇とは、原則一度しか取得できない育休を、父親が子の出生後8週間以内に利用した場合には再度取得できる制度です。
■ 取得要件 ①父親が子の出生後8週間以内に育休を取得していること |
子の出生後8週間以内に4週間まで休業でき、2回に分割して取得可能です。たとえば、配偶者が産後休業中に育休を取得し、配偶者の負担を減らしたり、のちに再度育休を取得し、配偶者の職場復帰をサポートしたりできます。
参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 -厚生労働省資料-
5|育休取得率・育休からの復帰率について |
現状の育休取得率や復帰率はどのくらいなのでしょうか。男女別の育休取得率と復帰率、出産・育児を機に退職した女性の理由を見てみましょう。
育休取得率と復帰率の割合 |
厚生労働省の調査によると、女性と男性それぞれの育休取得率は次のようになっています。
【育休取得率】
女性 | 男性 | |
平成30年度 | 82.2% | 6.16% |
令和元年度 | 83.0% | 7.48% |
令和2年度 | 81.6% | 12.65% |
男性に関しては徐々に育休取得率が増加していることが分かります。
また、育休からの復帰率については、次のような状況です。
【育休からの復帰率】
女性 | 男性 | |
平成24年度 | 89.8% | 99.6% |
平成27年度 | 92.8% | 99.9% |
平成30年度 | 89.5% | 95.0% |
復帰率から、女性のうち約7~10%、男性のうち最大5%の方が復帰せず退職していることが分かります。
約5割の女性が出産・育児を機に退職 |
厚生労働省の調査によると、約5割の女性が出産後に退職しています。「妊娠・出産を機に退職した理由」で最も多い約4割を占めたのが「就業継続意思はあったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」でした。
両立が難しいと感じた具体的な理由で最も多かったのが、「気力と体力がもたなそうだった(もたなかった)」ことでしたが、ほかにも就業に関する理由が多く挙げられました。
■ 仕事と育児の両立が難しかった理由 ・気力、体力がもたなそうだった(もたなかった) |
女性が出産後に就業を継続したり、育休から復帰したりするためには、仕事と育児が両立できるように企業様の協力やサポートが必要であるといえるでしょう。
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6|育休復帰支援プラン策定のステップ |
中小企業様が社員の育休復帰を支援するためには、3つのステップを踏み育休復帰支援プランを作成することが求められています。
育休復帰支援の3つのステップについて解説します。
ステップ1:育休復帰支援のために企業が実施すべき事項 |
ステップ1は、企業様が実施すべき事項として、雇用環境の整備や制度の周知など、5つの項目があります。
まずは、企業様が社員に対し、法令に沿った対応をしているかチェックします。
「妊娠~出産期に関する措置・制度」「育児期に関する措置・制度」「職場の環境改善に関する措置・制度」の3つのチェックリストがあるため、それぞれ「はい」「いいえ」で回答し、「いいえ」であった内容は措置や制度の整備が求められます。
育休を取得しやすい雰囲気や職場環境を整備することが求められています。
育児・介護休業法では、次の4つのうちいずれか1つを実施することが義務付けられているため、環境整備のために複数実施したり、企業様独自の取り組みをしたりするといいでしょう。
■ 職場環境整備のため、いずれか1つが義務化されている項目 ・育休と産後パパ育休に関する研修の実施 |
制度を周知する主な方法は、「全社的な周知」「経営者・管理職への周知」「制度対象者への通知」の3つです。
3つの方法で周知するメリットがあります。
■ 周知方法ごとのメリット ・全社的な周知 ・経営者・管理職への周知 ・制度対象者への通知 |
法律で定められている措置や制度以外に、企業様が独自にテレワークなどの措置や制度を取り入れることで、育休復帰支援につながるでしょう。
また、育休中の社員と定期的なコミュニケーションをとって自社の変化を伝えたり、職場復帰に向けた研修を実施したりすると、社員が円滑に職場復帰できる可能性が高まります。
厚生労働省は、【~円滑な育休取得から職場復帰に向けて~中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル】内で職場環境の整備や制度周知に活用できるツールを用意しているため、自社の育休復帰支援促進に向け活用するといいでしょう。
ステップ2:安心して育休取得や職場復帰するための情報提供 |
ステップ2では、制度対象者が安心して育休取得や職場復帰できるように企業様が支援を行います。
制度対象者に育休や産後パパ育休制度、育児休業給付、育休中の社会保険料の取り扱いなどを周知し、取得の意向確認を行います。業務の引き継ぎや制度対象者の育休取得がスムーズになるよう、妊娠や出産の申し出からなるべく早期に個別周知、意向確認を行うことが望ましいです。
制度対象者へ周知や意向確認を行う際には、取得をやめさせるような言動をしないよう注意しましょう。
制度対象者との面談や人事担当者の労務管理などに活用できる各種ツールが【~円滑な育休取得から職場復帰に向けて~中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル】に掲載されているため、制度対象者の育休取得や職場復帰支援に役立てましょう。
ステップ3:育休復帰支援プランの策定 |
ステップ3で、企業様は制度対象者の育休取得や職場復帰が円滑となるよう、育休復帰支援プランを策定します。
制度対象者の業務を引き継ぐために、制度対象者が担っていた業務の内容を把握したり、職場のメンバーで分担したりします。職場メンバーの業務負担が増加することが考えられるため、育休制度についての理解を促すことや、業務の効率化を図ることが求められるでしょう。
企業様は、育休取得者が円滑に職場復帰できるよう、育休取得者とコミュニケーションを図ったり、スキルアップ支援を行なったりすることが大切です。育休取得者は、職場のメンバーとコミュニケーションを取ることで職場の様子が分かるため、職場復帰への不安が軽減されるでしょう。
育休取得者とメールなどでコミュニケーションを取ることを計画している場合には、育休取得者の負担とならないよう、事前に意向を確認しておきましょう。
職場復帰した社員は、すぐに仕事のペースを取り戻すことが難しかったり、仕事と育児の両立で不安を抱えたりするかもしれません。そのため、企業様は職場復帰した社員に対してしばらくの間、面談や業務のサポートを行うことが望ましいです。
「大変そうだから」と、職場復帰した社員の能力に見合わない業務を任せることは、社員のモチベーションを下げてしまう恐れがあるため、社員の能力に見合う業務を任せることが大切です。
特定の社員のみが対応できる業務があったり、担当者が一人しかいなかったりする場合、育休取得や子供の体調不良による急な有休取得、業務の遂行が円滑に行えなくなる恐れが高いでしょう。
そのため、業務に必要な資格取得者を増やしたり、担当者を複数名にしたりするなど、働き方を見直すことが重要です。
7|育休復帰のために企業ができる支援とは |
社員が安心して育休復帰を果たすためには、企業側の支援が不可欠といえるでしょう。
企業が社員のためにできる支援を解説します。
育児休業制度について理解を深める |
企業は、育児休業制度について理解を深めることで、必要な社内環境や支援できる事柄を把握でき、実現に繋げられるでしょう。
また、企業様が育児休業制度について理解することで、社員へも分かりやすく周知徹底できるようになるため、企業様全体で制度対象者を支援する体制が整えられます。
ハラスメントの防止措置を行う |
企業は、妊娠や出産、育児による休業取得者に対し、ハラスメントが行なわれないよう防止措置をとることが重要です。
たとえば、育休などの制度についてや、ハラスメント実施者に対する処分の詳細を社内報などで社員に周知するといいでしょう。
また、ハラスメントが行なわれてしまった際に、被害者が相談できる窓口を設置しておくと、被害者の負担を減らせたり、早期の問題解決につながったりする可能性があります。
対象者とのコミュニケーションをはかる |
育休取得者は長期間職場から離れてしまうため、職場の状況が分からず、職場復帰に対して不安を感じている可能性が高いです。
そのため、上司は育休取得者がスムーズに職場復帰できるように、育休取得者に社内報を送ったり、職場の状況を適宜伝えたりして、定期的にコミュニケーションを図り不安を解消しましょう。
育休から復帰後も、復帰者が不安や問題を抱えていないか把握するために、上司は面談を実施してフォローすることが大切です。
復帰支援プログラムを組み立てる |
企業は、職場復帰した社員が仕事と育児を両立できるよう、復帰支援プログラムを組み立てることが重要です。たとえば、柔軟な働き方ができるように時短勤務やテレワークを導入したり、残業をさせなかったりといった支援が考えられます。
また、有給休暇とは異なる休暇制度である「子の看護休暇」を周知、取得を促すことも、職場復帰した社員に働きやすさを感じてもらえるでしょう。
復帰者によっては、キャリアプランに不安を抱えている恐れがあるため、今後のキャリア形成について面談を実施したり、キャリア形成の支援となる研修を受講させたりすることも復帰支援に効果的です。
業務をサポートする |
復帰者は、子供の体調不良などで急遽仕事を休まなければいけない状況になる可能性があるため、社員がお互いの業務をサポートできる職場環境を構築しておくことが求められます。
担当者をひとりに絞らず、メイン担当とサブ担当を配置する「ジョブ・シェアリング」を行なったり、お互いの業務の内容や進捗を可視化するシステムを導入したりすることで、円滑な業務遂行に繋がるでしょう。
8|まとめ |
育休復帰支援プランとは、社員の育休取得や育休後の職場復帰を企業様が支援することを目的とした計画書のことで、作成すると、両立支援等助成金制度の対象となる可能性があります。
育休復帰支援プラン導入のメリットは、優秀な人材の確保や働きやすい職場環境の構築など、たくさんあります。 企業様による社員の育休取得や復帰のサポートは、社員が安心して働き続けられる環境づくりにつながるため、離職率を低下させたり、社員のワーク・ライフ・バランスを推進したりできるでしょう。
是非、育休復帰支援プランを策定し、支援策を検討してみてはいかがでしょうか。今後の参考になりますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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