
男女平等に活躍できることを目指したポジティブ・アクションに取り組むと、社員数における女性比率の向上や女性の戦力化が期待できるため、メリットや企業例を知り、実践することが大切です。
この記事では、女性社員の活躍を推進したい企業様が取り組むべきポジティブ・アクションについて、目的やメリット、取り組み方法や事例などをわかりやすく解説します。
| この記事でわかる事 | 
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| 1|ポジティブ・アクションとは | 

ポジティブ・アクションとは、多くの企業様に根づいている男女の役割分担の違いなどの格差を解消し、男女が平等に能力を発揮したり活躍の機会を得たりすることを目指した取り組みのことです。例えば、女性の管理職比率が低い、女性社員は男性社員の補助的業務しかできていないなどの格差があると考えられます。
男女雇用機会均等法や女性活躍推進法などの女性社員の雇用・活躍を促す法律はありますが、女性社員を戦力として活用する意思が企業様になければ、男女間の格差は埋まらないでしょう。
ポジティブ・アクションに取り組めば、企業様の意識改革によって女性社員の積極的な活用につながるため、本質的な男女平等の働き方を実現できる可能性があります。
| 1-1.女性の活躍状況の推移 | 
ポジティブ・アクションに取り組むために、まずは女性の活躍状況を確認しましょう。
(1)男女別就業者数と女性の就業率の推移
厚生労働省の「令和6年版働く女性の実情」によると、昭和60年から令和6年までの女性の就業率は、緩やかに上昇傾向にあります。

(2)男女別の平均勤続年数の推移
次に、男女の正社員・正職員、正社員・正職員以外の勤続年数を確認すると、いずれも男性のほうが勤続年数が長く、正社員・正職員の場合は約4年の差があります。

(3)男女別の賃金差異の推移
男女の一般労働者(常用労働者のうち短時間労働者以外の者)の賃金推移を見ると、毎年男性のほうが賃金が高い状況です。一方、女性の賃金は上昇してきており、男女間の賃金格差も緩やかに狭まってきていることがわかります。

(4)男女の地位の平等感に関する割合
男女共同参画局の「女性活躍に向けた男女双方の意識改革・理解促進」によると、「家庭生活」「職場」「政治の場」「法律や制度の上」「社会通念・地域の慣習・しきたりなど」「自治会やPTAなどの地域活動の場」の項目において、「男性の方が優遇されている(「男性の方が非常に優遇されている」「どちらかといえば男性の方が優遇されている」の合計)」の割合が多いです。
「職場」においては、「男性の方が優遇されている」の割合が63.8%で、「平等」の回答割合は25.8%でした。
| 2|ポジティブ・アクションの目的 | 

ポジティブ・アクションを行う目的は、次の2つです。
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それぞれ解説します。
| 2-1.男女平等に活躍できるようにするため | 
ポジティブ・アクションに取り組むことで、男女平等に活躍できる社会の実現を目指します。男女間の格差は、賃金、雇用、業務内容など、さまざまなところで発生しています。しかし、女性の雇用率を上げるなどしても、女性に活躍の機会がなければ男女平等の社会とはいえないでしょう。
女性社員の能力に合わせて業務を任せる、男性社員と同じように研修を受けさせる、女性管理職として登用するなど、企業内での自主的な取り組みが重要なため、ポジティブ・アクションによって企業様の意識から改革することが求められます。
| ■ 男女雇用機会均等法とポジティブ・アクション 男女雇用機会均等法では性別を理由とした差別的取扱いを禁止していますが、第8条において、過去の女性労働者に対する取扱い等を原因とする男女間の格差解消のための取り組み(ポジティブ・アクション)は、法に違反しないとされています。 (※雇用管理区分や役職において、男性労働者と比較して女性労働者の割合が4割を下回っている場合に適用されます。女性労働者の割合が4割を下回っている場合でも、過去からの慣習などによった男女比率の差でなければ、女性優遇などをすると法律違反となる恐れがあります) 【具体例】 参考:内閣府「ポジティブ・アクションについて」 | 
| 2-2.社員の能力を引き出して企業の発展につなげるため | 
ポジティブ・アクションは男女平等を実現し、企業様のさらなる発展が望めるでしょう。
社員が能力を発揮できない職場環境は、モチベーションや生産性の低下を招き、企業様の業績の停滞、悪化につながりかねません。一方で、ポジティブ・アクションによって男女間の格差をなくせば、社員の能力を最大限引き出せるため、モチベーションアップによる生産性の向上や新たなビジネスの創出と発展につながる可能性があります。
企業様の発展は、企業様同士の公正な競争の助長となり、競争社会の活性化も実現するでしょう。
| 3|ポジティブ・アクションに取り組むメリット | 

ポジティブ・アクションへの取り組みは企業様にさまざまなメリットをもたらします。
ポジティブ・アクションに取り組む3つのメリットをご紹介します。
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| 3-1.企業の成長につながる | 
ポジティブ・アクションに取り組み、女性社員の活躍の場を広げることで、企業様の成長につながる可能性があります。例えば、女性向けの商品を男性社員のみで開発していた部署に女性が配属されることによって、女性目線の提案ができ、女性ユーザーにさらに喜ばれる商品を開発できるかもしれません。
商品や事業に女性の意見が入ると、さらなる成果を出せる可能性があるため、企業様の成長や社会的評価の向上が期待できるでしょう。
| 3-2.社員の離職率が低下する | 
男女ともに活躍できる職場環境は、社員のモチベーションや働きやすさが向上します。ポジティブ・アクションに取り組むと、企業様の意識や体制を改革でき、多様な働き方の受け入れや業務効率化につながるため、社員の離職率が低下するでしょう。
また、男女格差なく働きやすい環境は求職者にとっても魅力的に映る可能性が高く、継続的に応募が来てスムーズな人材確保や採用コストの削減も実現できます。
| 3-3.公共調達で加点評価を受けられる | 
ポジティブ・アクションへの取り組みによって、女性活躍推進やワークライフバランスをとりやすい職場環境を実現すると、「えるぼし認定」や「くるみん認定」を取得し、公共調達で加点評価されるメリットがあります。
また、人材育成などへの取り組みでは「人材開発支援助成金」を、非正規雇用労働者の正社員化などへの取り組みでは「キャリアアップ助成金」を受けられるかもしれません。
ポジティブ・アクションを行う際には、認定や助成金の対象となるか確認してみるといいでしょう。
| 4|ポジティブ・アクションの具体例 | 

男女間の格差をなくすには、ポジティブ・アクションへの積極的な取り組みが求められます。
ポジティブ・アクションに該当する具体的な取り組みを4つご紹介します。
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| 4-1.女性を積極的に採用する | 
女性社員が少ない場合に、女性を採用するための工夫を凝らしましょう。例えば、企業説明会で女性の働き方やキャリアについて話す、女性限定で企業見学会を開催するなどは、女性の企業様に対する興味や関心につながり、応募が増える可能性があります。
また、そもそも女性からの応募が少ない、選考辞退率が高いという企業様の場合は、女性が働きやすい職場であることを求人票でアピールできていないかもしれません。面接時に不適切な質問をしているケースも考えられます。そのため、現在の採用活動について見直し、改善することも重要です。
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| 4-2.女性の職域を拡大する | 
女性の職域拡大を目指し、女性が少ない、もしくはいない部署に女性を配置する場合は、女性が使いやすい設備を整えて働きやすさを向上させましょう。また、男性ばかりの環境で女性が一人だけでは、発言のしづらさや孤立感から能力を発揮できない可能性が高いため、女性の複数名配置の検討も求められます。配置前・後に継続的な能力開発研修を行い、能力を発揮しやすくすることも重要です。
なお、女性の職域が拡大しても、慣習上女性に任せがちなお茶出しや掃除を女性社員のみにさせていた場合、男女平等の実現とはいえないため、性差で業務負担に偏りがないようにする必要があります。
| 4-3.女性を管理職に登用する | 
女性の管理職を増やす場合は、昇進・昇格の評価基準の見直しや、性差に関わらず公正な評価ができる人材育成が大切です。
また、女性を管理職に登用したいと企業様が思っても、管理職の業務内容などから女性社員が望まない可能性もあるため、動機づけや管理職研修を行い、意欲向上を図ることやキャリアについて相談に乗ることも必要でしょう。
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| 4-4.男女平等な職場環境や制度を整備する | 
出産や育児を経た女性社員に働き続けてもらうには、ワークライフバランスを保ちやすい職場環境の構築が求められます。例えばリモートワークやフレックスタイム制の導入は、通勤時間の削減や育児の都合での出社が可能となり、負担を軽減できます。女性社員もキャリアを積みやすく、男性社員との格差を縮めることにつながるでしょう。
また、女性社員に限らず、男性社員も育児や介護など仕事と家庭との両立が必要なため、男女ともに働きやすい職場環境の構築や制度の整備が大切です。
| 5|ポジティブ・アクションの取り組み方法 | 

ポジティブ・アクションは、次の5つのステップを踏んで取り組んでいきます。
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ポジティブ・アクションに取り組む方法を解説します。
| 5-1.経営者を巻き込んでチームを確立する | 
ポジティブ・アクションは、企業様の意識から変えていく取り組みのため、経営者にポジティブ・アクションの必要性を理解してもらうことが大切です。経営者の理解や承諾を得ずに進めた場合、中断させられるリスクや思うように行動できない恐れがあるため、積極的かつ効果的に取り組めるように経営者を巻き込んでから行動しましょう。
また、ポジティブ・アクションの実行チームは、各部門から管理職や幹部社員、女性社員を選抜します。さまざまな部門や階級の社員がチームを組むことで、全社的に取り組みが周知されます。多様な立場の意見から新たな気付きも得られるでしょう。
| 5-2.現状を分析して課題を洗い出す | 
自社の女性社員の活躍状況を客観的に分析して、課題を洗い出します。
分析方法は、社員へのアンケートや自己申告、グループディスカッション、ヒアリングなどがあるため、意見を集めやすい方法を選択し、さまざまな立場の社員から意見や情報を収集しましょう。
| 5-3.目標を設定して計画を練る | 
洗い出した課題から目標を設定し、目標達成のための計画を練ります。目標は、「女性の採用拡大」「女性の職域拡大」「女性の管理職増加」「社内慣行の改善、職場環境の整備」などが挙げられます。
例えば、女性の採用拡大の場合には、女性社員の活躍やインタビューなどの積極的な情報発信や、女性不利な採用条件になっていないかの見直しを行います。「補助的な業務は女性」など社内慣行を改善する場合には、男女の業務内容に関する意識改革のための研修が考えられるでしょう。
設定した目標に対して、取り組む内容や達成期限、担当者などを具体的に定め、作成した計画書を全社に共有することで、取り組みや目標が可視化されて問題意識の定着にもつながります。
| 5-4.計画を実行する | 
計画に沿ってポジティブ・アクションを実行していきます。問題が発生した際には、放置せずに迅速に対応し、計画を頓挫させないことが大切です。計画の進行に難しさを感じた場合は、計画を見直し、適宜修正して取り組んでいきましょう。
また、計画の進捗を社員や経営者と共有すると、ポジティブ・アクションへの関心や取り組む意識を維持できるため、全社的にモチベーション高く、目標達成に向けて行動できる可能性があります。
| 5-5.成果を検証して改善する | 
ポジティブ・アクションへの取り組みの成果を検証し、効果の把握や改善を図りましょう。ポジティブ・アクションは、計画どおりに取り組んでも効果が出ない場合があるため、効果が出なかった原因を洗い出し、改善していくことが重要です。
例えば、「女性の採用拡大」の成果がなかった場合には、目標の達成期限が短い可能性があります。改善策としては、期限を延ばし、長期的目線で取り組むようにするなどが考えられるでしょう。
| 6|ポジティブアクションの取組事例 | 
ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業様の事例をご紹介します。
企業様のポジティブ・アクションの成功事例を参考に、良い点を自社に取り入れると、より効果的なポジティブ・アクションにつながるかもしれません。
| 6-1.【卸売・小売業】社員が働きやすい制度の設定 | 
| 事業内容 | 卸売・小売業 | 
| 設立 | 1950年代~ | 
| 社員数 | ~4000名(※取り組み当時の女性比率は全社員の3分の1ほど) | 
卸売・小売業の企業様は、女性の採用比率や女性の特定部署の配置比率、管理職比率を上げるために、具体的な数値目標を設定してポジティブ・アクションへの取り組みを始めました。
すると、新卒女性の特定の部署への配置比率が2年間で約50%上昇し、結果として特定部署の女性比率も1年間に2.5%上昇しました。また、女性の面接担当者を増やし、公正な面接が行われるように面接担当者へ研修も実施しています。
女性の活躍の場を広げるだけでなく、ライフイベントを経ても働きやすいように、育休後の復帰をスムーズにするための教育の実施や、育児・介護のほかに疾病・留学などを理由とした休職も可能とする制度も設けています。
| 6-2.【金融業】管理職育成や上司のサポートを実施 | 
| 事業内容 | 金融業 | 
| 設立 | 1940年代~ | 
| 社員数 | ~4000名(※取り組み当時の女性比率は全社員の3分の1ほど) | 
各部門長や経営層の方針を受けながら人事総務部が中心となりポジティブ・アクションに取り組んでいた企業様は、総合職の女性の採用拡大や女性社員の管理職登用増加、女性が少ない業務への女性社員の配置などを目標としていました。
面接時には性別に関係なく公正な選考を行うことを徹底した結果、女性の総合職の採用割合が2年間で8.4%上昇しました。総合職への転換試験も実施し、転換者も出て女性社員の総合職比率増加につながりました。
また、女性管理職の育成により、2年間で女性管理職の人数が3倍になり、顧客への説明などのサポートを上司が行い、女性が少ない業務への女性社員の配置が3年間で2倍の人数に増えるなど、成果を出しています。
| 6-3.【ITサービス業】約450名の女性管理職の増加を実現 | 
| 事業内容 | ITサービス業 | 
| 設立 | 1930年代~ | 
| 社員数 | ~30000名(※取り組み当時の女性比率は全社員の15%ほど) | 
アメリカに本社をもつ企業様は、アメリカ本社の会長がダイバーシティを経営課題として掲げたことで、自社の社員数や管理職者数の女性比率が低いことに気付き、ポジティブ・アクションへの取り組みを開始しました。
目標として具体的な数値を設定し、すべての採用面接への女性面接官の配置や、女子学生向けの集会の開催、女性の昇進意欲向上を目指したセミナーの実施などに取り組みました。
結果として、約5年間で社員の女性比率が約3%上昇し、部長や役員クラスなどを含む管理職に約450名の女性を登用するなど、女性社員の戦力化を実現しています。
| 7|まとめ | 
ポジティブ・アクションとは、男女が戦力として平等に活躍できるように、男女の役割的分担に関する意識の改革や、女性社員の採用や職域拡大などを実施する取り組みのことです。
全社的にポジティブ・アクションへ取り組むには、経営者が積極的に指揮を執るなど、重要課題であることを経営者自らが示すことが大切でしょう。
女性社員の意欲が湧かない、どうすればいいかわからないなど課題が発生した際には、厚生労働省が提供しているポジティブ・アクションに関するマニュアルを参考にすることをオススメします。
| 監修者プロフィール  小林 佳代子 新卒で(株)キャリアデザインセンター入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。働く20代向けオウンドメディアの立ち上げ、女性向けwebマガジン『woman type』の編集長を経て2018年『女の転職type』編集長に就任。 
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