女性社員の活躍推進を促す法律に女性活躍推進法がありますが、男女平等に活躍できることを目指したポジティブ・アクションという取り組みもあります。
ポジティブ・アクションに取り組むことで、社員数における女性の比率が上がったり、女性の戦力化が見込める可能性があるため、ポジティブ・アクションのメリットや企業例を知り、実践することが大切です。
この記事では、女性社員の活躍を推進したい企業様が取り組むべきポジティブ・アクションについて、目的やメリット、取り組み方法や事例などをわかりやすく解説します。
この記事でわかる事 |
・ポジティブ・アクションとは ・ポジティブ・アクションに取り組む3つのメリット ・ポジティブ・アクションに取り組む上での課題と解決策 |
CONTENTS |
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1|ポジティブ・アクションとは |
ポジティブ・アクションとは、多くの企業様に根づいている男女の役割分担の違いなどの格差を解消し、男女が平等に能力を発揮したり、活躍の機会を得たりすることを目指した取り組みのことです。
例えば、女性の管理職比率が低い、女性社員は男性社員の補助的業務しかできていないなどの格差があると考えられます。
男女雇用機会均等法や女性活躍推進法などの女性社員の雇用や活躍を促す法律はありますが、女性社員を戦力として活用する意思が企業様になければ、男女間の格差は埋まらないでしょう。
ポジティブ・アクションに取り組むことで、企業様の意識改革ができ積極的に女性社員の活用を行えるため、本質的な男女平等の働き方の実現につながる可能性があります。
1-1.女性の活躍状況の推移 |
ポジティブ・アクションに取り組むために、まずは女性の活躍状況を確認しましょう。
昭和60年から令和3年までの労働力に締める女性の割合の推移を見てみると、緩やかに上昇していますが、労働力の半数を占めていません。
次に、男女の正社員・正職員、正社員・正職員以外の勤続年数を確認すると、いずれも男性のほうが勤続年数が長く、正社員・正職員の場合は約4年の差があります。
男女の正社員・正職員の賃金推移を見ると、毎年男性のほうが賃金が高い状況です。また、女性の賃金は上昇してきていますが、男女間の賃金格差も緩やかに上昇していることがわかります。
内閣府の男女共同参画局が「社会において男性が優遇されている原因」について面接調査をしたところ、男女ともに最も多かった回答が「社会通念・慣習・しきたりなどが根強い」でした。男性よりも女性の意見が大幅に多かった回答は「女性が能力を発揮できる環境等が十分ではない」「育児、介護の制度等が整備されていない」などです。
参考:男女共同参画に関する4か国意識調査(日本、アメリカ、スウェーデン、ドイツ) -男女共同参画局-
平成7年に行われた調査ですが、現在の女性活躍の実態を見ると、男女平等にならない原因がいまだに解消されていないと考えられます。
2|ポジティブ・アクションの目的 |
ポジティブ・アクションを行う目的を解説します。
2-1.男女平等に活躍できるようにするため |
ポジティブ・アクションに取り組むことで、男女平等に活躍できる社会の実現を目指します。男女間の格差は、賃金、雇用、業務内容など、さまざまなところで発生しています。しかし、女性の雇用率を上げるなどしても、女性に活躍の機会がなければ男女平等の社会とはいえないでしょう。
女性社員の能力に合わせて業務を任せる、男性社員と同じように研修を受けさせる、女性管理職として登用するなど、企業内での自主的な取り組みが重要なため、ポジティブ・アクションによって企業様の意識から改革することが求められます。
■ 男女雇用機会均等法とポジティブ・アクション 男女雇用機会均等法では性別を理由とした差別的取扱いを禁止していますが、過去の女性労働者に対する取扱いなどによって発生している男女間の格差解消のためのポジティブ・アクションの取り組みは、第8条において法に違反しないとされています。 (※雇用管理区分や役職において、男性労働者と比較して女性労働者の割合が4割を下回っている場合に適用されます。女性労働者の割合が4割を下回っている場合でも、過去からの慣習などによった男女比率の差でなければ、女性優遇などをすると法律違反となる恐れがあります。) 【具体例】 参考:ポジティブ・アクションについて -厚生労働省資料- |
2-2.社員の能力を引き出して企業の発展につなげるため |
ポジティブ・アクションは男女平等を実現し、社員が自らの能力を最大限引き出して活躍できるため、企業様のさらなる発展が望めるでしょう。
社員が能力を発揮できない職場環境は、社員のモチベーションや生産性の低下を招き、企業様の業績の停滞、悪化につながりかねません。一方で、男女間の格差をなくし、社員が適材適所で活躍できれば、社員の働く意欲が向上し、生産性が上昇したり、新たなビジネスが生まれたりして事業がさらに発展する可能性があります。
企業様の発展は、企業様同士の公正な競争の助長となり、競争社会の活性化につながるでしょう。
3|ポジティブ・アクションに取り組む3つのメリット |
ポジティブ・アクションへの取り組みは企業様にさまざまなメリットをもたらします。
ポジティブ・アクションに取り組む3つのメリットをご紹介します。
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3-1.企業の成長につながる |
ポジティブ・アクションに取り組み、女性社員の活躍の場を広げることで、企業様の成長につながる可能性があります。例えば、女性向けの商品を男性社員のみで開発していた部署に女性が配属されることによって、女性目線の提案ができ、女性ユーザーにさらに喜ばれる商品を開発できるかもしれません。
商品や事業に女性の意見が入ることで、さらなる成果を出せる可能性があるため、企業様の成長や社会的評価の向上が期待できるでしょう。
3-2.社員の離職率が低下する |
男女ともに活躍できる職場環境は、社員のモチベーションや働きやすさ向上につながるため、社員の離職率が低下する可能性があります。
ポジティブ・アクションは、ただ女性の雇用率を上げたり、管理職登用を増やしたりするだけでなく、企業様の意識や体制の改革も行うため、多様な働き方の受け入れや業務効率化を図ることも可能です。
求職者にとって男女格差なく働きやすい環境は魅力的に映る可能性が高いため、応募者が多数いるなどして継続的な人材確保や採用コストの削減ができるでしょう。
3-3.ポジティブ・アクション能力アップ助成金を受け取れる |
ポジティブ・アクションに取り組むことで、「ポジティブ・アクション能力アップ助成金」という助成金制度を利用できる可能性があります。
助成金を受け取るためには、下記の要件を満たし、申請期限までに申請が必要です。また、受給できる額は、大企業15万円、中小企業30万円で、1事業主1回限りです。
■ポジティブ・アクション能力アップ助成金を受け取る要件 ①「女性の職域拡大」または「女性の管理職登用等」のいずれかの取り組みの数値目標を設定している ②①の数値目標を「ポジティブ・アクション情報ポータルサイト」内の「ポジティブ・アクション応援サイト」または「女性活躍推進宣言コーナー」に掲載している ③「女性の職域拡大」または「女性の管理職登用等」に必要な能力開発のための研修実施計画を策定し、②のあとに計30時間以上のポジティブ・アクション研修を実施している ④②のあとに、6か月経過後かつ3年以内に数値目標を達成し、支給申請日まで達成した状態を継続している ⑤達成した数値目標に関わる女性労働者のうち少なくとも1名が③のポジティブ・アクション研修に参加している
■申請期限 ・1月1日から6月末日までの目標達成→同年7月1日から8月末日まで |
参考:ポジティブ・アクション能力アップ助成金 -厚生労働省資料-
4|ポジティブ・アクションの具体例 |
男女間の格差をなくすためには、さまざまな取り組みがあるポジティブ・アクションに積極的に取り組むことが求められます。
ポジティブ・アクションに該当する具体的な取り組みをご紹介します。
4-1.女性を積極的に採用する |
女性社員が少ない場合に、女性社員を採用するための工夫を凝らしましょう。例えば、企業説明会などで女性の働き方やキャリアについて話したり、女性限定で企業見学会などを開いたりすると、女性が企業様への興味や関心を抱き、応募につながる可能性があります。
また、そもそも女性からの応募が少ない、選考辞退率が高いという企業様の場合は、求人票で女性が働きやすい職場であるというアピールが足りなかったり、面接時の質問に不適切な言動が含まれていたりするかもしれません。
女性採用に向けた新たな取り組みをするほかに、現在の採用活動について見直し、改善することも重要でしょう。
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4-2.女性の職域を拡大する |
女性の職域を拡大するために、女性が少ない、もしくはいない部署に女性を配置する場合は、女性が働きやすいように使いやすい設備を整えるといいでしょう。また、男性ばかりの環境で女性が一人だけでは、孤立したり、発言がしづらかったりして、能力を発揮できない可能性が高いため、女性を複数名配置することも検討しましょう。
女性が業務に慣れ、能力を発揮しやすいように、配置前や配置後に継続的な能力開発研修を行うことも重要です。
女性の職域が拡大しても、慣習上女性に任せがちなお茶出しや掃除を女性社員のみにさせていた場合、男女平等の実現とはいえないため、男性社員もお茶出しや掃除をするなど、性差で業務負担に偏りがないようにする必要があります。
4-3.女性を管理職に登用する |
女性の管理職を増やす場合は、昇進や昇格の評価基準を見直したり、性差に関わらず公正な評価ができる人材を育成したりすることが大切です。
また、女性を管理職に登用したいと企業様側が思っても、管理職の業務内容などから女性社員が望まない可能性もあるため、動機づけや管理職研修を行なって意欲を向上させたり、キャリアについて相談に乗ったりすることも必要でしょう。
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4-4.男女平等な職場環境や制度を整備する |
出産や育児を経た女性社員に働き続けてもらうためには、ワークライフバランスを保ちやすい職場環境を構築することが求められます。例えば、リモートワークやフレックスタイム制度の導入は、自宅での仕事や育児の都合で出社ができるため、仕事が生活の負担になりづらい可能性があります。女性社員もキャリアを積めるようになり、男性社員との格差を縮めることにつながるでしょう。
また、女性社員に限らず、男性社員も育児や介護など、仕事と家庭との両立が必要なため、男女ともに働きやすい職場環境の構築や制度を整備することが大切です。
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5|ポジティブ・アクションの取り組み方法 |
ポジティブ・アクションは、次の4つのステップを踏んで取り組んでいきます。
ポジティブ・アクションに取り組む方法を解説します。
5-1.経営者を巻き込んでチームを確立する |
ポジティブ・アクションは、企業様の意識から変えていく取り組みのため、経営者にポジティブ・アクションの必要性を理解してもらうことが大切です。
経営者の理解や承諾を得ず、一部の社員のみでポジティブ・アクションに取り組んだ場合、中断させられたり思うように行動できなかったりする恐れがあります。積極的に効果的なポジティブ・アクションに取り組むためにも、経営者を巻き込んでから行動を開始しましょう。
また、ポジティブ・アクションの実行チームは、各部門から管理職や幹部社員、女性社員を選抜します。さまざまな部門や階級の社員がチームを組むことで、全社的に取り組みが周知されたり、多様な立場の意見から新たな気付きが得られたりするでしょう。
5-2.現状を分析して課題を洗い出す |
自社の女性社員の活躍状況を客観的に分析して、課題を洗い出します。
分析方法は、社員へのアンケートや自己申告、グループディスカッションやヒアリングなどがあるため、社員からの意見を集めやすい方法を選択し、さまざまな立場の社員から意見や情報を集めましょう。
5-3.目標を設定して計画を練る |
洗い出した課題から目標を設定し、目標達成のための計画を練ります。目標は、「女性の採用拡大」「女性の職域拡大」「女性の管理職増加」「社内慣行の改善、職場環境の整備」などが挙げられます。
例えば、女性の採用を拡大したい場合には、採用活動で女性社員の活躍やインタビューなどを積極的に情報発信したり、採用条件が女性不利な内容になっていないか見直したりします。「補助的な業務は女性」など社内慣行を改善する場合には、男女の業務内容に関する意識改革のための研修を社員に実施することが考えられるでしょう。
設定した目標に対して、取り組む内容や達成期限、担当者などを具体的に定め、作成した計画書を全社に共有することで、取り組みや目標が可視化されて問題意識の定着にもつながります。
5-4.計画を実行する |
計画に沿ってポジティブ・アクションを実行していきます。計画はあくまで計画のため、予期せぬ出来事が起きたり順調にいかなかったりすることもあるでしょう。問題が発生した際には、放置せずに迅速に対応し、計画を頓挫させないことが大切です。計画の進行に難しさを感じた場合には、計画を見直し、適宜修正して取り組んでいきましょう。
また、計画の進捗を社員や経営者と共有することで、ポジティブ・アクションへの関心や取り組む意識を維持できるため、全社的にモチベーション高く、目標達成に向けて行動できる可能性があります。
5-5.成果を検証して改善する |
ポジティブ・アクションへの取り組みの成果を検証し、効果の把握や取り組みの改善を図りましょう。ポジティブ・アクションは、計画どおりに取り組んでも効果が出ない場合があるため、効果が出なかった原因を洗い出し、改善していくことが重要です。
例えば、「女性の採用拡大」の成果がなかった場合には、目標の達成期限が短い可能性があるため、期限を延ばし、長期的目線で取り組むようにすることなどが考えられます。
6|ポジティブ・アクションに取り組む上での課題と解決策 |
ポジティブ・アクションに取り組むにあたり、企業様はさまざまな課題を抱える可能性があります。企業様が抱える課題を解決していくことで、女性の活躍が推進されたり、男女平等になったりするため、課題を放置せず取り組んでいくことが大切です。
ポジティブ・アクションに取り組む上での課題と解決策をご紹介します。
6-1.女性の応募者を増やしたい |
女性の応募者を増やしたい企業様は、女性の応募が少ない理由を分析してみましょう。社内の女性社員や、家族や友人などの社外の方の自社に対するイメージを収集することで、女性の応募が少ない理由を把握できるかもしれません。
理由の分析結果から、「業務内容が明確に伝えられていない」「女性の興味を引きづらい業種である」などが判明した場合は、例えば採用担当者を女性にし、女性目線で自社の魅力を発信してもらうと効果を得られる可能性があります。
自社の知名度が低く、そもそも応募数が少ない場合は、地域の活動に積極的に参加して認知度向上を図ることが応募数増加につながるかもしれません。
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6-2.女性社員の意欲を引き出す上司の対応 |
女性社員が希望していない部署に配属された場合に、上司が適切な対応をできないと、意欲的な業務をしてもらうことが難しいです。一方で、企業様の多くは、女性社員に限らず男性社員の人事異動も必ずしも社員本人の希望どおりにかなえられるわけではないでしょう。
そのため、社員に対する企業様の要求や社員の能力、社員が希望する業務などから総合的に判断されて人事配置がされることや、職域を広げることの意義、必ずしも希望がかなうわけではないことなどを理解させることが大切です。
併せて、部下の意欲を向上させるためのコミュニケーションをとったり、なるべく社員の希望を反映した人事異動ができる体制や、希望を聞く機会を設けるよう社内体制を整えたりすることが求められます。
部下と適切なコミュニケーションがとれるように、上司に管理職研修を受けさせることも検討しましょう。
6-3.女性に意欲をもって管理職になってもらいたい |
女性に管理職になってもらいたいと思っていても、「女性は管理職になりがたらない」「女性に管理職は無理ではないか」「男性社員が快く思わない」など、偏見や不安を抱いている企業様もいるかもしれません。
弊社「女の転職type」会員に行なった調査によると、管理職に「あまりなりたくない」「絶対になりたくない」と答えた割合の合計は54.9%で、管理職になりたい派の39.1%より多い結果でした。
※会員アンケート「第29回管理職ってどう?管理職について聞いてみました」
※アンケート実施期間:2021年6月4日~6月17日
※有効回答数:864名
※調査方法:女の転職type会員に対してWeb上で調査
「管理職になりたくない理由」を尋ねてみると、「責任が重くなる」「残業時間が増えそう」「自分にできる自信がない」が上位で、その他には「家庭との両立が不安」などがありました。
しかし、「管理職になりたくない理由」のなかの「残業時間」や「家庭との両立」に関しては、職場環境を改善することで解消される可能性があります。また、「責任」や「自信」に関しても、社内のサポート体制が充実していたり、マネジメント研修などを受けさせて自信をつけさせたりすれば、精神的負担や不安の軽減につながるでしょう。
企業様が柔軟な働き方を導入したり、社員に対し「管理職」に対する意識改革を行なったり、男女問わず管理職向けの研修を受けさせたりすることで、女性の管理職登用は増加すると考えられます。
女性の管理職を増やそうと思った際に、ノウハウがなくて教育方法がわからなかったり、女性社員が抱くキャリアプランに初めて意識を向けたりする企業様も多いかもしれません。
女性の管理職登用のために、管理職として必要な自社に関する知識や労務知識などを得られる研修を実施したり、マネジメント力やリーダーシップ能力を身につけられる社外研修に参加させたりするといいでしょう。
また、女性社員のキャリアに関する相談に乗り、キャリア開発に向けた中長期的な教育プランを構築することも大切です。
管理職が長らく男性ばかりの企業様の場合は、女性の管理職を登用することに対して、男性社員から不満や反対意見が出るかもしれません。男性社員から不満が出るのは、長年蓄積されてきた「男性が管理職になるのが当たり前」という慣行や社風によるもののため、客観的事実である男女間の格差や、ポジティブ・アクションの必要性を理解してもらう必要があります。
一方で、女性を優先的に管理職に登用するなど、女性優遇の取り組みを行う際には、男性社員やほかの女性社員に配慮して時限的な取り組みにするなど、運用方法に注意しましょう。
6-4.出産などを経ても女性社員に長く働いてもらいたい |
出産、育児、介護などのライフイベントが発生しても、女性社員に長く働いてもらいたいという企業様は、サポートできる体制を構築しましょう。女性社員がライフイベントによって退職することは、企業様の戦力の減少を意味するため、短時間勤務やリモートワーク制度などの柔軟な働き方ができる制度を導入したり、産育休などの制度を利用しやすい環境を作ったりすることが重要です。
また、育休から職場復帰した女性社員が、子供の病気などで早退したり休暇をとったりすることを職場の迷惑になると感じ、退職してしまうケースもあります。
そのため、女性社員が伸び伸びと仕事をし、必要であれば早退や休暇を気兼ねなくとれるように、管理職から「子供のために早く帰りなさい」など声掛けする積極的なサポート体制が大切です。
6-5.女性社員の戦力化を社内に周知したい |
女性社員の活躍を推進したいと思っても、「女性は補助業務でいい」と思っている男性社員や、補助業務であまり責任がないことを求めている女性社員がいる場合、女性社員の戦力化の理解を社員から得ることが難しい可能性が高いです。
そのため、まずは男女双方の意識を改革するために、他社の女性の戦力化の成功事例を社内に共有したり、男性社員に任せていた業務を女性社員に任せ、仕事に対する姿勢を変えたりすることが求められます。
社員の意識を変え、女性社員の戦力化を周知するには経営者自らの言葉と行動が必要なため、経営者が積極的に女性社員の戦力化の重要性を説いたり、戦力化に向けたチームを立ち上げたりするといいでしょう。
女性社員に責任感をもって働いてもらうためには、企業様にある「女性に責任ある仕事は任せづらい」「時間外労働はさせられない」などの女性を業務から遠ざける意識を変え、業務体制を整えることが大切です。
例えば、男女問わず、全員が力を出し切ることが目標達成のために必要であることを自覚させたり、業務成績などを可視化して実績を意識させたり、パート社員を正社員登用して教育を施したりすることが挙げられます。
企業様が性差に関わらない業務体制を敷くことで、女性社員に業務に対する責任感が生まれ、意欲や生産性の向上が見込めるでしょう。
女性社員を戦力化するために、女性社員に対して期待していることを伝えたり、女性社員を受け入れる職場環境を整えたりすることが求められます。
女性社員が企業様から期待されていることがわからない場合、指導される内容と自分が思っている働き方にギャップを感じ、力を存分に発揮できず戦力となれない恐れがあります。また、清潔でない職場環境の場合は、女性社員が働くことに対してストレスを感じ、早期異動願いや離職につながりかねません。
そのため、女性社員に対してキャリア相談に乗ったり、研修を行なったりすることや、女性社員の意見を聞きながら職場環境を清潔で働きやすい場に整えることが大切です。
上司や部下、同僚とのコミュニケーションに難しさを感じることは、男女問わず誰でも経験があると思います。女性社員のなかには、管理職に登用されたことをきっかけに同僚から距離を置かれたり、若手社員との意思疎通がとれていなかったりする方がいるかもしれません。
そのため、女性社員が戦力となるに伴って生じる疎外感をなくすために、女性社員に対して期待していることを理解してもらったり、メンター制度によってサポート体制を敷いたりするといいでしょう。
また、女性社員同士のコミュニケーションの活性化やスムーズな意思疎通を図るために、社内ネットワークの構築も検討しましょう。
6-6.女性社員の育成とキャリア開発をしたい |
女性社員の採用や職域を増やすにあたり、配属部署も広がると思いますが、各部署での女性社員の育成やキャリア開発の難しさに頭を抱えている企業様もいるかもしれません。
例えば、ほかに女性社員がいない部署に配属された女性社員が先輩などに悩みの相談のしづらさを感じたり、見て覚える教育方法しか行なっておらず、直接的に女性社員を育成する方法がなかったりすると、戦力化に時間がかかる恐れがあります。
女性社員の育成は各部署に任せるのではなく、メンターを選任して全社的に育成や指導をする体制を整えたり、女性社員本人の希望を聞きながら育成計画やキャリア開発計画を作成したりすることが大切です。
企業様が社内外のロールモデルとなる女性の姿や働き方を女性社員に情報提供すると、女性社員が自分のキャリアパスを具体的に思い描けるようになる可能性があるため、キャリア開発計画の作成に効果的でしょう。
6-7.ポジティブアクションで成果を出したい |
ポジティブ・アクションに取り組んでも、ほかの取り組みを優先するなどして中途半端になってしまったり、そもそも経営者の認識が甘く、表面的にしか取り組んでいなかったりする場合、ポジティブ・アクションの成果は出づらいでしょう。
ポジティブ・アクションで成果を出したい場合には、経営者や経営者層が重要な経営課題という認識をもち、全社員に周知して、全社的に協力しながら取り組むことが大切です。
具体的には、女性社員の活躍推進宣言をして全社員に共有したり、事業計画にポジティブ・アクションを組み込み、目標数値や計画内容を明確に示したり、経営会議などで進捗を報告したりするといいでしょう。
また、ポジティブ・アクションのプロジェクトチームが、ポジティブ・アクションの取り組みを継続的に社内発信することも、社員のポジティブ・アクションに対する意識を高めるのに有効な可能性があります。
ポジティブ・アクションを効果的に進めていくために、「ポジティブ・アクションの推進状況チェックリスト」の活用をオススメします。ポジティブ・アクションの推進状況のチェックリストは、厚生労働省の「中堅・中小企業の経営者のための女性社員の戦力化●ポジティブ・アクション 実践的導入マニュアル●」のP100にあるため、ご確認ください。 |
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7|ポジティブアクションの取組事例 |
ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業様の事例をご紹介します。
企業様のポジティブ・アクションの成功事例を参考に、良い点を自社に取り入れると、より効果的なポジティブ・アクションにつながるかもしれません。
7-1.【卸売・小売業】社員が働きやすい制度の設定 |
事業内容 | 卸売・小売業 |
設立 | 1950年代~ |
社員数 | ~4000名(※取り組み当時の女性比率は全社員の3分の1ほど) |
卸売・小売業の企業様は、女性の採用比率や女性の特定部署の配置比率、管理職比率を上げるために、具体的な数値目標を設定してポジティブ・アクションへの取り組みを始めました。
すると、新卒女性の特定の部署への配置比率が2年間で約50%上昇し、結果として特定部署の女性比率も1年間に2.5%上昇しました。また、女性の面接担当者を増やしたり、公正な面接が行われるよう、面接担当者へ研修を実施したりしています。
女性の活躍の場を広げるだけでなく、ライフイベントを経ても働きやすいように、育休後の復帰をスムーズにするための教育を行なったり、育児や介護のほかに疾病や留学などを理由とした休職も可能とする制度を設けたりしています。
7-2.【金融業】管理職育成や上司のサポートを実施 |
事業内容 | 金融業 |
設立 | 1940年代~ |
社員数 | ~4000名(※取り組み当時の女性比率は全社員の3分の1ほど) |
各部門長や経営層の方針を受けながら人事総務部が中心となりポジティブ・アクションに取り組んでいた企業様は、総合職の女性の採用拡大や女性社員の管理職登用増加、女性が少ない業務への女性社員の配置などを目標としていました。
面接時には性別に関係なく公正な選考を行うことを徹底した結果、女性の総合職の採用割合が2年間で8.4%上昇しました。総合職への転換試験も実施し、転換者も出て女性社員の総合職比率増加につながりました。
また、女性の管理職の育成により、2年間で女性の管理職人数が3倍になったり、顧客への説明などのサポートを上司が行い、女性が少ない業務への女性社員の配置が3年間で2倍の人数に増えたりするなど、成果を出しています。
7-3.【ITサービス業】約450名の女性管理職の増加を実現 |
事業内容 | ITサービス業 |
設立 | 1930年代~ |
社員数 | ~30000名(※取り組み当時の女性比率は全社員の15%ほど) |
アメリカに本社をもつ企業様は、アメリカ本社の会長がダイバーシティを経営課題として掲げたことで、自社の社員数や管理職者数の女性比率が低いことに気付き、ポジティブ・アクションへの取り組みを開始しました。
取り組みの目標として具体的な数値を設定し、すべての採用面接に女性面接官を配置したり、女子学生向けの集会を開いたり、女性の昇進意欲向上を目指したセミナーを実施したりしました。
結果として、約5年間で社員の女性比率が約3%上昇したり、部長や役員クラスなどを含む管理職に、約450名の女性を登用したりなど、女性社員の戦力化を実現しています。
8|まとめ |
ポジティブ・アクションとは、男女が平等に戦力として活躍できるために、男女の役割的分担に関する意識を改革したり、女性社員の採用や職域の拡大などを実施したりする取り組みのことです。
ポジティブ・アクションへ全社的に取り組むためには、人事部など一部の人材に任せるのではなく、経営者が積極的に指揮を執るなど、重要課題であることを経営者自らが示すことが大切でしょう。
女性社員の意欲が湧かない、どうすればいいかわからないなど課題が発生した際には、厚生労働省が提供しているポジティブ・アクションに関するマニュアルを参考にすることをオススメします。
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