パタハラ対策【2026年最新】企業の法的リスクと取るべき措置

パタハラ対策【2026年最新】企業の法的リスクと取るべき措置1-14-20260709

 

近年、男性の育児休業取得が促進される中で、「パタハラ(パタニティハラスメント)」が企業にとって看過できない経営リスクとなっています。

2022年の育児・介護休業法改正により男性育休の取得促進は加速し、ハラスメントに対する企業の責任は一層重くなりました。本記事では、人事労務担当者や経営層の皆様へ、パタハラの基礎知識から法的義務、具体的な防止策、万一発生した場合の対応までを解説し、パタハラ対策が企業の持続的な成長と優秀な人材確保に不可欠であることをご説明します。

 

この記事でわかる事

・パタハラの基礎知識と、企業が放置することで直面する深刻な法的・経営的リスク

・最新の法改正トレンドを踏まえた、企業に義務付けられている「4つの防止措置」の全容

・パタハラを根絶する組織風土の作り方と、万が一発生した場合の正しい対応フロー

 

 CONTENTS

  1.  パタハラ(パタニティハラスメント)とは?基本を理解する

    1-1 パタハラの定義と2026年最新の動向
    1-2 マタハラ(マタニティハラスメント)との違い
    1-3 【具体例】これってパタハラ?該当する言動・行為一覧

  2.  なぜパタハラは起きるのか?企業に潜む3つの根本原因

    2-1 原因1:経営層・管理職の無理解とアンコンシャス・バイアス
    2-2 原因2:属人化した業務体制と「お互い様」文化の欠如

    2-3 原因3:男性の育休取得率の現状と同調圧力

  3.  企業が直面するパタハラの法的リスクと経営への深刻な影響

    3-1 育児・介護休業法で定められた事業主の法的責任
    3-2 措置義務違反による行政指導や企業名公表のリスク
    3-3 【裁判例】パタハラが争点となった近年の重要判例を解説
    3-4 人材流出、採用競争力の低下、企業イメージ悪化という経営リスク

  4. 【2026年最新版】法律で義務付けられた企業が講ずべき4つの防止措置

    4-1 措置1:ハラスメント防止方針の明確化と全社への周知・啓発
    4-2 措置2:相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するための体制整備
    4-3 措置3:ハラスメント発生後の迅速かつ適切な対応フローの構築
    4-4 措置4:原因や背景となる要因を解消するための措置(併せて講ずべき措置)

  5. 【実践編】パタハラを根絶し、男性育休を推進する組織風土の作り方

    5-1 管理職向け研修の具体的な進め方と主要なポイント
    (1)アンコンシャス・バイアス研修の導入
    (2)法的リスクだけでなく、マネジメント視点でのメリットを伝える
    (3)育休取得を前提とした業務プロセスの見直し(属人化の解消)

    5-2 取得経験者の声を活かすロールモデルの積極的な発信

  6. もしパタハラが発生したら?人事担当者が取るべき初期対応と事後措置

    6-1 Step1:事実関係の迅速かつ正確な確認とプライバシー保護
    6-2 Step2:被害者への配慮措置と行為者への厳正な対処
    6-3 Step3:再発防止策の策定と全社へのフィードバック

  7. パタハラ対策に関するよくある質問(Q&A)

    7-1 Q. どこからが「業務上の指導」でどこからが「パタハラ」ですか?
    7-2 Q. 育休中の社員の業務はどのようにカバーすればよいですか?
    7-3 Q. パタハラ対策に活用できる助成金や認定制度はありますか?

  8. まとめ

 

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1|パタハラ(パタニティハラスメント)とは?基本を理解する

 

 

1-1.パタハラの定義と2026年最新の動向

「パタハラ(パタニティハラスメント)」とは、育児・介護休業法における「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」の一種であり、男性労働者が育児休業などの制度を利用しようとした際に受ける嫌がらせや不利益な取扱いを指します。

2026年現在、男性の育休取得が社会的に推進される中、2022年の法改正で企業に個別周知・意向確認義務が課されるなど、男性が育児休業を取得しやすい環境整備が求められています。その一方で、制度利用を阻むパタハラの問題が顕在化し、対策が急務の課題となっています。

 

 

1-2.マタハラ(マタニティハラスメント)との違い

パタハラとマタハラ(マタニティハラスメント)は、ともに育児・介護休業法で防止措置義務の対象となる「育児休業等に関するハラスメント」ですが、背景に違いがあります。パタハラは「男は仕事、女は育児」という固定観念に根ざし、男性の育児参加を阻害します。

一方マタハラは、「妊娠・出産が仕事の妨げになる」といった女性のライフイベントへの偏見が主な原因です。これらの背景を理解することが実効性のある対策に繋がります。

 

 

1-3.【具体例】これってパタハラ?該当する言動・行為一覧

パタハラは主に「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」に分類されます。前者は育休申請を妨害する行為で、「育休を取るなら昇進は諦めろ」といった言動が該当します。

後者は育児中の労働者への嫌がらせで、「育児で時短勤務の社員に嫌味を言う」といった行為です。業務上の指導との線引きが難しい「グレーゾーン」も存在しますが、言動が「育児休業等の権利行使を妨げる意図があるか」「就業環境を害する目的や結果を伴うか」が判断基準となります。

参考:厚生労働省「妊娠・出産、育児・介護休業等に関するハラスメントとは

 

2|なぜパタハラは起きるのか?企業に潜む3つの根本原因

パタハラ対策【2026年最新】企業の法的リスクと取るべき措置2-14-20260713

 

 

2-1.原因1:経営層・管理職の無理解とアンコンシャス・バイアス

 

パタハラの最大の原因の一つは、経営層や管理職、特に年配者に根強く残る「男性は仕事、育児は女性の役割」といった無意識の偏見「アンコンシャス・バイアス」です。

悪気なく発せられる「男が育休なんて取る時代じゃなかった」といった言動は、育休希望者にとって大きなプレッシャーとなり、ハラスメントに該当する可能性があります。このバイアスの存在に気づきを促すアプローチが重要です。

 

 

2-2.原因2:属人化した業務体制と「お互い様」文化の欠如

 

特定の個人に業務が集中し、情報やノウハウが共有されていない「業務の属人化」が進む職場では、育休取得による一時的な人員減が大きな負担となり、「迷惑をかけられた」という感情を生みやすいです。

また、チーム内で「お互い様」の精神で助け合う文化が不足していると、育休取得者が孤立し、「迷惑をかける存在」と見なされ、ハラスメントに繋がりかねません。個人に依存しない業務体制と協力的な風土づくりが不可欠です。

 

 

2-3.原因3:男性の育休取得率の現状と同調圧力

日本の男性育休取得率は年々上昇していますが、女性(80.2%)と比較すると依然低い水準(令和5年度30.1%)にとどまっています。この低い取得率は、職場に育休取得のロールモデルが少ないことを意味し、「自分が第一号になるのは気が引ける」といった心理的壁や「同調圧力」を生み出します。

育休取得を相談した男性社員に対し、「他の誰も取っていないのに」といった否定的な反応が繋がりやすく、これがパタハラの温床となります。

参考:厚生労働省「令和5年度育児休業取得率の調査結果公表、改正育児・介護休業法等の概要について

 

3|企業が直面するパタハラの法的リスクと経営への深刻な影響


パタハラ対策を怠ることは、企業の存続すら危うくする重大な経営リスクに繋がります。

 

 

3-1.育児・介護休業法で定められた事業主の法的責任

 

パタハラ対策は、育児・介護休業法第25条で事業主に明確に義務付けられた法的責任です。男性労働者が育休制度利用に関して嫌がらせを受けたり不利益な取扱いを受けたりすることを防ぐため、企業はハラスメントを許さない方針の明確化、相談窓口の整備、発生時の迅速な対応といった措置を講じる必要があります。

 

 

3-2.措置義務違反による行政指導や企業名公表のリスク

 

ハラスメント防止措置義務を怠った企業には、行政指導が入り、改善されない場合は「勧告」が行われます。この勧告に従わない企業に対しては、企業名が公表されるという重い措置が待っています。

企業名公表は、企業の社会的な信頼を著しく失墜させ、採用活動の困難化、取引先からの信用問題、さらには融資への影響など、事業の継続に直接的な打撃を与える深刻なリスクとなります。

 

 

3-3.【裁判例】パタハラが争点となった近年の重要判例を解説

 

育児休業を申し出た男性社員が、上司から不当な言動を受け、復職後に降格や不利益な配置転換を受けたケースでは、裁判所は一連の言動と取扱いはハラスメントに当たると認定し、企業に多額の損害賠償を命じました。

育休取得者の意向を無視した一方的な降格・配置転換は、労働者の権利行使を妨げるものとして厳しく評価される傾向にあり、企業は具体的な対応を検討する際の重要な指針とすべきです。

 

 

3-4.人材流出、採用競争力の低下、企業イメージ悪化という経営リスク

 

パタハラは法的リスクに留まらず、長期的な経営悪影響を及ぼします。第一に、ハラスメントが横行する職場は優秀な人材の離職に繋がり、企業の競争力を低下させます(人材流出リスク)

第二に、SNSなどで「パタハラ企業」の評判が広まれば採用ブランドが毀損され、人材獲得が困難になります(採用競争力低下リスク)。第三に、ESG投資やSDGsの観点から人権配慮に欠ける企業は市場からの評価を落とし、企業価値を損ないます(企業イメージ悪化リスク)。

 

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4|【2026年最新版】法律で義務付けられた企業が講ずべき4つの防止措置

パタハラ対策【2026年最新】企業の法的リスクと取るべき措置3-14-20260713

育児・介護休業法で事業主に義務付けられているハラスメント防止措置は、以下の4つに分けられます。

 

 

4-1.措置1:ハラスメント防止方針の明確化と全社への周知・啓発

 

企業は、パタハラを許さないという方針を就業規則や服務規律に明記し、行為者には厳正に対処する旨を示します。この方針を経営トップからのメッセージ、社内報、研修などを通じて全従業員に周知・啓発することが重要です。特に管理職向け研修では、自身の無意識の偏見に気づく機会を提供します。

 

 

4-2.措置2:相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するための体制整備

 

 従業員が安心して相談できる環境を整備するため、複数の相談窓口(人事部、外部機関など)を設置します。相談窓口の存在を周知徹底し、「相談によって不利益な取扱いを受けない」ことを保証します。

相談担当者にはハラスメントに関する専門知識と傾聴スキルを習得させる研修を定期的に実施し、対応品質を確保します。

 

 

4-3.措置3:ハラスメント発生後の迅速かつ適切な対応フローの構築

 

パタハラの相談があった際には、事前の対応フローに沿って対処します。

具体的には、「①相談受付」→「②事実関係の迅速・正確な確認」→「③被害者への配慮措置」→「④行為者への措置」→「⑤再発防止策」のステップです。この過程では、関係者のプライバシー保護と守秘義務を最優先し、公正な調査と解決を目指します。

 

 

4-4.措置4:原因や背景となる要因を解消するための措置(併せて講ずべき措置)

 

ハラスメントの根本原因を解消するため、育休取得者がいても業務が円滑に進むよう業務体制を見直します。業務の属人化を解消するためのマニュアル作成や情報共有の仕組みづくり、複数担当制の導入などが有効です。

また、育休取得をためらわせるような人事評価制度の見直しや、育児休業を取得しやすい職場風土を醸成するための管理職研修もこの措置に含まれます。

 参考:厚生労働省「職場におけるハラスメント 対策パンフレット 

 

5|【実践編】パタハラを根絶し、男性育休を推進する組織風土の作り方

 

法的な義務遵守だけでなく、男性育休を組織の力に変える「攻め」の組織風土改革を進めることが、企業の競争力を高めます。

 

 

5-1.管理職向け研修の具体的な進め方と主要な3つのポイント

 

管理職研修は、単なる法律知識の伝達に留まらず、行動変容を促す内容が重要です。

 

(1)アンコンシャス・バイアス研修の導入

管理職研修にアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)研修を導入します。チェックリストやグループワークを通じて、自身の「男性はこうあるべき」「育児は女性がするもの」といった偏見に気づいてもらい、ハラスメントの加害者になるリスクを自分事として捉え、自身の言動に対する意識を高める効果が期待できます。

 

(2)法的リスクだけでなく、マネジメント視点でのメリットを伝える

管理職に対し、法的リスクだけでなく、男性部下の育休取得支援がマネジメント業務に与えるプラスの効果を伝えます。「業務の属人化解消によるチームの危機管理能力向上」「部下のエンゲージメント向上による生産性向上」「多様な働き方を許容するマネージャーとしての市場価値向上」といった具体的なメリットを提示し、前向きな行動を促します。

 

(3)育休取得を前提とした業務プロセスの見直し(属人化の解消)

業務プロセスの見直しは、「業務が回らない」という管理職の不安を解消する本質的な対策です。業務マニュアルのクラウド化による共有、チーム日報の導入、特定の担当者にしかできない業務をなくすジョブローテーションなどを推進し、「メンバーがいつ休んでも大丈夫なチーム作り」を管理職の重要なミッションとします。

 

 

 

5-2.取得経験者の声を活かすロールモデルの積極的な発信

 

実際に育休を取得した男性社員に、社内報インタビューや座談会などで体験談を語ってもらうことで、ポジティブなロールモデルを積極的に発信します。

育休取得前の不安や、育児を通じて得られた新たな視点、復帰後の仕事への活かし方などを共有することで、後に続く社員が育休取得の具体的なイメージを持ちやすくなり、管理職の不安も軽減されます。

 

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6|もしパタハラが発生したら?人事担当者が取るべき初期対応と事後措置

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万が一パタハラが発生した場合、冷静かつ毅然とした初期対応と事後措置が、被害の拡大を防ぎます。

 

 

6-1.Step1:事実関係の迅速かつ正確な確認とプライバシー保護

 

パタハラ事案発生時は、まず相談者から具体的な事実をヒアリングし、次に行為者や第三者からも事情を聴取して多角的に事実関係を把握します。

この際、人事担当者は中立的な立場を堅持し、関係者全員のプライバシー保護と守秘義務を徹底することで、二次被害を防ぎ、公正な調査を行います。

 

 

6-2.Step2:被害者への配慮措置と行為者への厳正な対処

 

パタハラの事実が認められた場合、最優先で被害者への配慮措置を講じます(例:産業医面談、配置転換)。行為者に対しては、就業規則の懲戒規定に基づき、事案の悪質性に応じて厳正な処分を行います。

処分が恣意的でないよう、事実認定の根拠と処分の理由を明確に記録し、説明責任を果たします。

 

 

6-3.Step3:再発防止策の策定と全社へのフィードバック

 

個別の事案対応で終わらせず、根本的な原因(閉鎖的な風土、管理職の認識不足など)を分析し、再発防止策を策定・実行します。具体的には、対象部署への追加研修、業務プロセスの改善などです。

さらに、個人が特定されない範囲で事案の概要と会社の対応を全社にフィードバックし、ハラスメント防止への会社の毅然とした姿勢を示します。

 

7|パタハラ対策に関するよくある質問(Q&A)

 

パタハラ対策における現場からの疑問に対し、具体的に回答します。

 

 

7-1.Q. どこからが「業務上の指導」でどこからが「パタハラ」ですか?

 

「業務上の指導」と「パタハラ」の境界線は、現場で判断に迷うことが多いです。判断基準は、「その言動に業務上の必要性があるか」と「その態様が社会通念に照らして相当な範囲か」の2点です。

例えば、「男のくせに育休は甘え」といった業務上の必要性のない発言や、育休取得を理由とした「時期をずらせないのか」「みんな迷惑している」といった言動は、労働者の権利行使を妨げ、就業環境を害する可能性が高く、パタハラと判断される可能性が極めて高いことを認識すべきです。

 

 

7-2.Q. 育休中の社員の業務はどのようにカバーすればよいですか?

 

育休中の社員の業務カバーは、短期的・直接的な対策と、中長期的・根本的な対策の両面からアプローチします。短期的には、派遣社員などの代替要員の確保や、既存メンバーでの業務分担(評価・手当でのインセンティブ検討)が考えられます。

中長期的には、業務の標準化・マニュアル化、複数担当制の導入、RPAやAIツールなどのDX活用による定型業務の自動化を進め、業務の属人化を解消します。人事部が主導し、全社的な仕組み構築と各部署支援が必要です。

 

 

7-3.Q. パタハラ対策に活用できる助成金や認定制度はありますか?

 

企業がパタハラ対策や男性育休取得促進に取り組むことを後押しするため、国や自治体は支援制度を設けています。代表的なのは、厚生労働省の「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」で、男性社員が育休を取得した場合に企業へ助成金が支給されます。

また、「くるみん認定」や「プラチナくるみん認定」は、仕事と子育ての両立支援に関する要件を満たした企業が認定を受けられる制度で、「子育てサポート企業」としてのイメージを対外的にアピールでき、採用活動における大きな強みとなります。

 

8|まとめ

 

パタハラ対策は、育児・介護休業法で定められた法的義務を遵守し、行政指導や企業名公表、裁判といったリスクを回避する「守り」の経営であることはもちろん、それ以上に「攻め」の経営戦略として捉えるべきです。多様な人材が能力を発揮できる健全な職場環境は、企業の競争力向上、ひいては企業価値を高めます。「男だから」という古い価値観に縛られず、社員のライフイベントを尊重し、柔軟な働き方を許容する企業こそが、次世代の優秀な人材に「選ばれる企業」となるでしょう。本記事の知識が、貴社がより魅力的な組織へと変革していく一助となれば幸いです。

 

#パタハラ

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