女性管理職を増やしたいと思っても、向いている人がわからず、悩んでいる企業も多いかもしれません。
女性管理職に向いている人には「冷静さがある」「コミュニケーション能力が高い」など複数の特徴があり、特徴にマッチする女性を管理職にすると、女性従業員や企業にさまざまなメリットをもたらす可能性があります。
この記事では、女性管理職に向いている人の特徴や女性管理職登用の現状、女性が管理職になるメリットについてまとめています。
CONTENTS |
1|女性管理職登用の現状 |
女性管理職登用の現状を、企業における女性管理職の割合と、管理職として働く女性の現状から見ていきましょう。
1-1.企業における女性管理職の割合 |
男女共同参画局によると、令和5年(2023年)における女性管理職の割合は「係長級」23.5%、「課長級」13.2%、「部長級」8.3%でした。
平成元年(1989年)からの推移を見ると、増減を繰り返しながらも、少しずつ右肩上がりに増えていっていることがわかります。
参考:男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版」
しかし、諸外国と比較すると、管理的職業従事者の女性の割合が30%を超える国が多いのに対し、日本は14.6%と低い水準です。
参考:男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版」
1-2.管理職として働く女性の現状 |
弊社が行なった調査「管理職って、つらい?管理職に就いてよかったこと、つらいことを聞いてみました。」より、管理職として働く女性の現状をご紹介します。
【質問項目】 |
※アンケート実施期間/2023年2月1日~2月12日
※有効回答数/女性179名、男性194名
※調査方法/女の転職type会員、type会員、クラウドワークスによるWeb調査
管理職(部下を持った)経験がある方に「管理職になってよかったか」を尋ねたところ、「非常によかった」21.9%、「まあまあよかった」53.9%で、合計75.8%の方が「管理職になってよかった」と感じています。「よくなかった」と答えた方が16.8%のため、約4.5倍という結果でした。
よかった理由の上位3つは、「自分の成長に繋がる」67.4%が最も高く、「部下の成長など新たなやりがいが増える」57.3%、「自分の裁量で決められることが増える」50.0%でした。
「よかったと思うことはない」の回答は7.3%のため、多くの女性が「よかった」と思える点があることがわかります。
また、次のようなコメントもあり、業務改善などを積極的に行なっている女性も多いようです。
【その他コメント】 |
「管理職になってよかった」点がある一方で、「責任が重い」62.4%、「経営層と部下の板挟みになる」48.9%、「責任は増えても給与が上がらない」47.8%などのつらい点も挙げられています。
「つらいと思うことはない」が1.7%のため、多くの女性がつらさも感じているといえるでしょう。
その他、下記のようなコメントもあり、仕事のしづらさやプライベートとの切り替えに悩んでいる女性もいることがわかります。
【その他コメント】 |
管理職経験のある女性に「一般社員に戻れるなら戻りたいか」を尋ねたところ、「わからない」が39.9%で最も高い結果となりました。しかし、「いいえ(戻りたくない)」が31.8%で、「はい(戻りたい)」の28.3%よりも高く、管理職を続けたいと思っている女性が多いことがわかります。
「一般社員に戻らない」と答えた女性に理由を問うと、上位3つの理由が「自分自身の成長のため」61.8%、「人材育成にやりがいを感じるから」60.0%、「組織(チーム)作りにやりがいを感じるから」49.1%でした。
管理職として働く女性は、管理職のよさとつらさを味わいながら、迷いつつも前向きに取り組んでいるといえるでしょう。
2|女性管理職に向いている人の特徴とは |
女性管理職に向いている人の特徴として、次の7つが挙げられます。
・感情的にならず常に冷静 |
女性管理職を増やしたいと考えている企業は、特徴に当てはまる女性を管理職候補にすると、後述するメリットをより受けやすくなるでしょう。
2-1.感情的にならず常に冷静 |
管理職になると、部下から相談を受けたり、トラブル発生時に対処したり、業務の進捗を気にかけたりなど、さまざまなシーンで対応が求められます。
忙しさから苛立ちなどを顔や態度に出すと、周りは話しかけづらくなり、スムーズな業務が難しくなるかもしれません。
そのため、自分の感情に左右されず、不測の事態が起きても常に冷静に対処できる女性は、管理職に向いているといえるでしょう。
2-2.コミュニケーション能力が高い |
コミュニケーション能力の高さは、管理職にとって必要です。管理職は、部下、上司、顧客、取引先など、さまざまな立場の人と関わるため、相手との信頼関係を築けるような気持ちのよいコミュニケーションをとれる女性が管理職に向いています。
例えば、自分の意見ばかり言わない、意見が異なっても相手の立場や気持ちを尊重して折衷案を出す、相手を不快にさせるような言動をとらないなどです。
管理職が周りとの信頼関係を築ければ、職場の雰囲気がよくなったり、取引先から新たな仕事の依頼があったりして、自社によい影響を与えるでしょう。
2-3.周りを信じ適宜サポートする |
管理職の仕事には、部下を育てることも含まれます。管理職が「自分がやったほうが早いから」と部下の仕事を受け持ってしまうと、部下の成長の機会を奪うことになるでしょう。スキルアップできない部下は、不満を感じてモチベーションが低下し、スキルアップできる企業へ転職する恐れがあります。
そのため、管理職には、部下や周りを信じ、仕事を任せられる女性が向いています。また、仕事を丸投げするのではなく、業務の進捗はどうか、困っていることはないかなどを気にかけ、適宜サポートできることも必要な要素です。
2-4.何事にも挑戦する |
何事にも挑戦する成長意欲の高い女性は、管理職に向いています。未知の領域、未経験の分野に挑戦することは、多くの人がためらいを覚えますが、成長意欲が高いと「スキルアップしたい」「自分のためになる」と前向きに捉えられて、果敢に挑戦できるでしょう。
また、挑戦して失敗しても引きずることなく、糧として業務に活かしていくため、成功・失敗のいずれも成長につなげられます。女性管理職自身のスキルが向上するだけでなく、一緒に取り組んだり知識やスキルを共有してもらったりしたチームや企業全体の成長も期待できます。
2-5.意欲的な姿勢でチームを引っ張る |
チームで活動しているという意識があり、周りを引っ張れる意欲的な女性は、管理職として活躍できると考えられます。
管理職がチームのモチベーションを高めるような声かけを行えたり、管理職自身が目標達成に向けた行動をとれていたりすると、チームメンバーも目標達成への意欲が湧いて、チーム一丸となって業務に取り組める可能性が高いです。
自分のため、チームのために積極的に仕事へ打ち込める女性は、周りから信頼や尊敬を集めやすいため、管理職に向いているでしょう。
2-6.自己管理能力が高い |
管理職は、部下のマネジメントなどの業務が増え、ストレスや責任が大きくなるため、感情が不安定になったり体調を崩したりしやすいかもしれません。また、プライベートでも育児や介護などで疲労が溜まるケースもあるでしょう。
仕事で感情や体調の影響を受けていては本来の能力を発揮できず、周りに迷惑をかける恐れがあります。パフォーマンス高く業務に取り組むには、溜まったストレスを上手に発散したり、健康的な生活で疲労をとったりなど、自分の感情や体調をコントロールすることが大切なため、自己管理能力が高い女性が管理職に向いています。
2-7.物事を俯瞰して見られる |
重要な意思決定をする機会が多い管理職は、物事を俯瞰して見られることが重要です。物事を狭い視野で見てしまうと、その場限りの判断になって大きなミスを招く恐れがあります。また、戦略に沿った指揮を執れず、計画が頓挫して周りからの評価が下がるかもしれません。
そのため、なぜこの業務をするのか、自分に求められている役割はなにかなど、物事を俯瞰して見られる女性は、管理職になっても広い視野で目標達成に向けた適切な判断を下せたり、部下に指示を出せたりすると考えられます。
3|女性が管理職になりたくない理由 |
弊社が行なったアンケート調査「管理職ってどう?管理職について聞いてみました。」の結果から、管理職になりたくない女性の割合や理由をまとめました。
※アンケート実施期間/2021年6月4日~6月17日
※有効回答数/864名
※調査方法/女の転職type会員に対してWeb上で調査
3-1.管理職になりたくない女性は約55% |
管理職経験がない女性に「今後、管理職になりたいと思うか」と尋ねたところ、「あまりなりたくない」42.9%が最も高い回答となりました。「絶対になりたくない」12.0%を含めると、「なりたくない」と答えた割合は54.9%で、「なりたい」の39.1%より高い割合です。
「管理職になりたい」と答えた女性に理由を問うと、「自身の成長に繋がる」が最も高く78.7%、次いで「キャリアの幅が広がる」72.2%でした。
3-2.管理職になりたくない理由1位は「責任が重くなる」 |
「管理職になりたくない」と答えた女性に理由を尋ねると、1位は「責任が重くなる」68.6%、2位は「残業時間が増えそう」50.8%、3位は「自分にできる自信がない」50.3%でした。
1位と2位の割合には大差があるため、「責任の重さ」に対して不安を感じている女性が多いことがわかります。
そのほか、下記のようなコメントもあります。プライベートと仕事の両立を気にかけている女性も多いです。
【その他コメント】 |
4|女性が管理職になるメリットとは |
女性が管理職になるメリットを、「働く女性にとってのメリット」と「企業にとってのメリット」にわけてご紹介します。
4-1.働く女性にとってのメリット |
女性が管理職になると、働く女性にとって次のようなメリットがあります。
・自己成長につながる |
各メリットを解説します。
管理職は、部下を育てたり業務の指揮を執ったりするため、マネジメント能力が向上したり新たな知識や技術が身についたりします。社内外の方々と広く関わる機会も多く、人脈形成にもつながるでしょう。
前述した「管理職になってよかった」点の1位にもあったように、「自己成長につながる」ことは管理職としてのやりがいであり、メリットにもなります。
企業や職種によって異なりますが、管理職になると年収がアップする可能性が高いです。
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、女性管理職の役職別の賃金(月)は下記になります。
役職 | 賃金(月) | 年齢 | 勤続年数 |
部長級 | 520,100円 | 52.1歳 | 18.6年 |
課長級 | 435,000円 | 49.2歳 | 18.8年 |
係長級 | 337,600円 | 45.8歳 | 17.1年 |
非役職者 | 253,200円 | 40.7歳 | 9.3年 |
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」
それぞれ約10万円ほどの差があるため、管理職になるとやりがいとともに年収アップを目指せるかもしれません。
管理職になると裁量が大きくなるため、業務スケジュールや量をある程度コントロールできるようになり、ワークライフバランスをとりやすくなります。
また、女性管理職がワークライフバランスを重視し、仕事とプライベートを両立するように働きかけたり、業務効率化を図ったりすることで、部下の働きやすさやモチベーションの向上にもつながるでしょう。
管理職経験がある女性は、転職で有利になるメリットがあります。管理職経験によってマネジメント能力が培われているため、優秀な人材を求める企業からスカウトされる可能性が高いです。また、女性活躍推進をする企業は、女性管理職のロールモデルを求めている傾向があり、声をかけられる機会も増えるでしょう。
つらさや悩みを感じながら続けた女性管理職という立場は、しっかりと成長に結びつき、さらなる活躍の機会を得られると考えられます。
女性活躍推進法の内容と取り組みポイントをまとめた記事はこちら |
4-2.企業にとってのメリット |
女性が管理職になると、企業にとって下記のようなメリットがあります。
・個人が能力を発揮しやすくなる |
6つのメリットを得られるように、女性管理職の登用を進めていきましょう。
管理職が女性の場合、同性である女性従業員は、男性管理職には話しづらい妊娠など女性特有の相談もしやすいと考えられます。悩みを打ち明け、理解者を得た従業員は前向きに業務に取り組めて、能力を発揮できるでしょう。
また、女性従業員に限らず、誰でも相談しやすい雰囲気を作ることで、従業員の状況把握や適切なサポートにつながるため、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
企業が女性管理職を増やすと、女性が働きやすい職場、活躍しやすい職場として社会的評価が高まり、優秀な人材の確保につながる可能性があります。
少子化の影響で採用が難しくなっている現代において、自社のイメージ向上やブランディングを図れれば、長期的な目線で採用成功していけるでしょう。
女性の活躍推進への取り組みが優良な企業を認定する制度「えるぼし認定」を受けると、厚生労働省のサイトに「えるぼし認定企業」として掲載されるため、さらなるアピール効果が期待できます。
えるぼし認定基準や企業事例についてまとめた記事はこちら |
女性管理職が増えると、女性従業員が悩みを相談しやすくなったり、女性ならではの目線で職場環境が整えられたりして、誰もが働きやすい組織を構築できる可能性があります。
働きやすさの向上によって、従業員は長く働きたいと思えるようになるため、離職率が低下し、企業の安定した経営につながります。
また、離職率が低い企業という強みは採用活動でのアピールポイントとなり、人材確保がしやすくなるでしょう。
「3|女性が管理職になりたくない理由」でお伝えしたように、女性は仕事とプライベートの両立を気にかけている傾向があります。仕事とプライベートを両立している女性管理職のロールモデルがあれば、管理職に対するマイナスなイメージを持つ女性も、モチベーション高く管理職を目指そうと思えるかもしれません。
女性管理職の登用は、女性の管理職に対する意識改革につながり、自社の女性活躍を推進できると考えられます。
管理職が男性ばかりの職場より、女性管理職の比率も高い職場は、多様性に富んでいるといえます。企業に多様性があれば、多角的な視点で事業や経営を進められるため、課題解決できたりイノベーションを起こせたりして、企業成長できるでしょう。
また、多様性の重要さを実感でき、性別のみでなく、国籍や年齢などにも縛られない採用や登用も促進される可能性があります。
ESG投資とは、財務情報のほか、非財務情報である環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素も含めた投資のことです。ESGも投資判断に組み込むことで、長期的なリターンの改善を目指しています。
女性活躍情報はESG投資に活用されており、「投資や業務において活用している女性活躍情報はどのようなものですか」という質問に対して、「女性役員比率」や「女性管理職比率」と答えた割合がほかの情報と比較して高いです。
参考:男女共同参画局「女性活躍情報がESG投資にますます活用されています~すべての女性が輝く令和の社会へ~」
そのため、女性管理職を増やすと、「成長性がある企業」としてESG投資で注目される可能性があります。
5|まとめ |
企業の女性管理職の割合は高まってきているものの、世界的に見るとまだまだ低水準です。
女性がモチベーション高く管理職を目指せるように、働きやすい職場環境作りや意識改革、キャリアプランを構築できるような研修の実施などに取り組んでいきましょう。
女性を管理職に登用する際には、ご紹介した「女性管理職に向いている人」の特徴をぜひご参考にしてください。
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