「若手採用」という言葉をよく聞きますが、定義を知らないという人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
若手採用における「若手」の定義は、一般的に20代から30代を指し、「新卒」「第二新卒」などに分類されます。若手採用を成功させるには、転職動向やポイントを把握しておくことが大切です。
この記事では、若手採用の市況や転職動向、採用成功のポイントとオススメの採用手法をまとめているため、若手人材確保にぜひお役立てください。
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1.若手採用とは? |
若手採用とは、年齢が若い人材を採用することといえますが、年齢が明確に定められているわけではありません。
なぜなら、企業によって「若手」の捉え方が異なるからです。例えば、社内の平均年齢が50代であれば、30代後半でも若手と考えられます。30前半が平均年齢の企業は、20歳前後を若手と捉えるかもしれません。
そのため、すべての企業で「若手採用」の年齢認識が合致しているわけではないことを踏まえておきましょう。
(1)若手採用における「若手」の定義
企業によって異なる「若手」の年齢ですが、若手採用における「若手」は、一般的に20代から30代を定義している傾向があります。
若手採用における若手人材は、主に次の4つにわけられます。
分類 | 内容 |
新卒 | 主に大学卒業後、初めて就業する人材 |
既卒 | 学校卒業後、正社員経験がない人材 |
第二新卒 | 学校卒業後、正社員としての就業経験が3年未満の人材 |
中途 | 第二新卒よりも就業経験が長い人材 |
学校卒業後に就業経験がある人材は、社会人としてのマナーや業務スキルを身につけていると考えられるため、教育コストがかからなかったり、即戦力として期待できたりします。
一方の新卒など就業経験のない人材は、社風や企業文化が浸透しやすく、将来の幹部候補として育成しやすいです。
「若手」といっても人材の就業経験の有無や長さなどはさまざまなため、自社に必要な人材を見極めて採用ターゲットを設定することが求められます。
💡新卒採用と中途採用の違いについてまとめた記事はこちら |
2.若手採用の市況 |
若手採用を目指す企業は、まずは若手採用市況を把握することが大切です。
若手採用の市況について解説します。
(1)若手採用は企業ニーズが高い
若手採用は企業ニーズが高い傾向があります。
弊社(株式会社キャリアデザインセンター)が2023年に行なった「中途採用活動状況に関するアンケート調査」によると、「メンバークラス(若手)」を募集した企業が81%と最も高い割合を占めました。次いで「メンバークラス(中堅)」の78%です。
大きく差を開いて「課長クラス」22%、「経営者・部長クラス」10%のため、若手採用を目指している企業が多いことがわかります。
また、募集職種は「エンジニア経験者」45%、「営業経験者」40%、「バックオフィス経験者」29%が上位にあり、両方の結果を踏まえると、「若手の経験者」を多くの企業が求めているといえるでしょう。
背景には、キャリアアップを図って転職する意欲が高い年齢層であることや、勢いのある若手人材を取り入れて自社を活性化・成長させたいと思う企業が多いことが考えられます。
(2)若手採用が難しい理由
若手採用が難しい理由として、労働人口の減少と働き方に対する価値観の変化が挙げられます。
少子化による労働人口の減少
若手採用は企業ニーズが高い一方で、少子化の影響による労働人口の減少によって採用が難しい状況です。
総務省の資料によると、15歳から64歳の生産年齢人口は、2020年には7,509万人でしたが、2030年には6,875万人になると予測されています。その後も減少の一途を辿るという予測のため、若手採用はますます難しくなっていくでしょう。
参考:総務省「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」
働き方に対する価値観の変化
働き方改革や新型コロナウイルス蔓延によるリモートワークの普及によって、若手人材の働き方に対する価値観が変化しています。
仕事とプライベートの両立や充実を重視する傾向があるため、リモートワークやフレックスタイム制度などの柔軟な働き方を求めたり、残業時間や休日日数を意識して転職先を決めたりする求職者も多いでしょう。
企業が若手人材の希望どおりの環境を整えるには、新たなシステムの導入や制度の見直しなどが必要になりますが、早期の対応が難しい、そもそもコストや業務内容などから対応できないというケースもあります。
若手人材のニーズを満たせないことで、若手採用に苦戦してしまうでしょう。
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3.若手採用を成功させるポイント |
若手採用を成功させるには、若手人材が企業に求めるものを理解し、適切に伝える必要があります。
若手採用を成功させるポイントは次の4つです。
・仕事のやりがいや魅力を伝える |
各ポイントを具体的に解説していきます。
(1)仕事のやりがいや魅力を伝える
仕事にやりがいを求めている若手人材が多いため、自社の業務がどのように社会貢献しているか、役に立っているかなどのやりがいや魅力を伝えると、入社意欲を高められる可能性があります。
より具体的に業務内容が伝わるように、該当業務に従事している社員のインタビュー記事を求人票に載せたり、面接に参加してもらったりして、やりがいを訴求しましょう。
若手人材は、求人サイトや企業サイトだけでなく、SNSでも情報収集を行なっているケースが多いです。そのため、SNS媒体も活用して、多角的に魅力を発信することが求められます。
(2)ワークライフバランスを整える
ワークライフバランスを整えることは、若手採用を成功させるために重要なポイントのひとつです。前述のように、若手人材は仕事とプライベートの両立を重視し、転職先を選ぶ傾向があります。
出社だけでなくリモートワークも選択できる、就業時間を自分で決められる、残業時間が少ない、有休をとりやすいなどの職場は、若手人材にとって魅力に映る可能性が高いでしょう。
現状でワークライフバランスをとりにくい職場環境の場合は、環境を改善したり制度を整えたりして、働きやすい環境を構築することが望ましいです。
早期の改善が難しい場合でも、若手人材に現状を正直に伝え、今後の改善方針を明確に伝えられると、理解を得られるかもしれません。
(3)採用プロセスは年代によって変える
若手採用とひとくちにいっても年代はさまざまで、就業経験の有無や長さが異なります。
例えば、正社員の就業経験がない20代前半の人材の場合は、主にポテンシャル採用になり、人材の価値観や人柄などを重視して選考を行います。一方、すでに社会人経験が長い30代前半の人材の場合は、即戦力になることを求め、実績やスキル、経験を重視します。
「若手採用」で採用プロセスを一括りにしてしまうと、不要なスキルチェックやテストによって優秀な人材を落としたり、辞退されたりする恐れがあるため、求職者の年代や背景によって採用プロセスを変えましょう。
(4)自社で働くイメージを湧かせる
若手人材に自社で働くイメージを湧かせることで、不安解消につながり、前向きに入社を検討してもらえる可能性があります。
求職者ごとに働くことに対する理想は異なり、下記の4軸にわけられます。人材の理想に合った情報を提供できると、働くイメージを掴んでもらいやすくなるでしょう。
・企業理念(Philosophy) |
【例:求職者の理想別の伝えるべきこと】
転職者の理想 | 候補者に伝えるべきこと | |
企業理念(Philosophy) |
・人の役に立つ仕事をしたい |
・企業理念の意味 ・企業理念を掲げるまでの経緯 |
事業内容(Profession) |
・自分で意思決定できる仕事をしたい |
・募集ポジションの業務内容 ・業務の進行方法や得られるスキル |
人材・社風(People) |
・切磋琢磨できる職場で働きたい |
・社員の性格や人柄、志向性 ・社内の雰囲気 |
待遇・福利厚生(Privilege) |
・正当に評価される企業で働きたい |
・公正な評価制度や具体例 ・制度や育産休取得率などの数値 |
4.年代別の転職動向 |
弊社は2022年に、弊社のサービス「女の転職type」会員に対して「年代別の転職活動に関するアンケート」を行いました。
求職者が「転職したい」と思った理由を年代別に見ると、若手である20代、30代ともに、「年収アップしたい」が1位で、次いで「仕事内容が不満」があります。「残業時間が多い」は、40代と比較すると20代、30代が高いことがわかります。また、「家事・育児との両立」は20代の約2倍ほど、30代の割合が多いです。「リモートで働きたい」も30代が突出しています。
「会社選びで重視すること」を尋ねると、「給料・待遇が魅力的」が20代、30代ともに1位で、次いで「仕事内容が魅力的」が挙げられています。20代はほかの年代より「将来性がある」「社員が魅力的」であることを重視している傾向です。30代では、「柔軟な働き方(リモートワーク、時短など)」がほかの年代と比べて回答割合が高いことがわかります。
上記結果を踏まえて、20代、30代の転職動向を解説します。
(1)20代
20代のうち前半の、いわゆる第二新卒と呼ばれる求職者層は、企業選びに関する失敗経験などから転職先を探している傾向があります。
企業の知名度よりも働きやすさや待遇を気にして転職活動をするため、自社の業務体制や待遇、福利厚生などを明確に伝えると、魅力に感じてもらいやすいでしょう。
20代後半の人材は、自身のキャリアアップを視野に入れて転職活動をしているケースが多いです。業務内容や評価制度などを訴求し、思い描くとおりのキャリアが築ける環境であることを伝えられた場合、応募が集まる可能性があります。
(2)30代
30代はすでに仕事に関する価値観が確立していたり、即戦力として実力があったりします。子育て世代でもあるため、柔軟な働き方を求める方が多いです。
30代の採用を目指すには、仕事とプライベートが両立できるように、リモートワーク等で柔軟な働き方ができることや残業時間が少ないことなどをアピールすると、働きやすさを感じてもらえるかもしれません。
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5.若手採用を成功させるための採用手法 |
若手採用を成功させるための手法として、次の5つが挙げられます。
・求人広告 |
各採用手法の特徴を把握したうえで、自社に適した手法を選びましょう。
(1)求人広告
求人広告のサービスとして、Web求人サイトや紙媒体などが挙げられます。Webメディアに自社の情報を掲載し、求職者からの応募を受けたり、新聞折込や求人情報誌に求人情報を載せ、求職者に情報を届けたりします。
Web求人サイトのなかには、若手採用に強みがある媒体もあるため、若手人材を採用したい企業は利用すると効果的でしょう。また、スカウトメールを送信できるオプションがついている場合、求職者からの応募を待つだけでなく、直接アプローチできます。
紙媒体は、地元の求職者を採用する場合には有効ですが、Webに不慣れな層が活用する傾向があるため、若手採用にはあまり向いていないかもしれません。
💡求人広告の費用相場や比較表についてまとめた記事はこちら |
(2)人材紹介
人材紹介は、自社が求める人物を人材紹介会社がスクリーニングしたうえで紹介してくれる手法です。自社のパワーがかからなかったり、質の高い人材を紹介してもらえたりするメリットがあります。
求人広告と同様に、人材紹介のなかにも若手採用に特化しているサービスがあるため、若手採用に強みのあるサービスを利用しましょう。
ただし、報酬額の平均が年収額の約35%といわれており、ほかの採用手法よりもコストがかさむ恐れがある点に注意が必要です。
(3)リファラルサービス
リファラル採用とは、自社の社員から知人や友人などを紹介してもらい、通常の選考を経て採用する手法のことです。
紹介される人材は、自社社員から企業についての情報を得ているため、ミスマッチが起こりにくいです。また、求人掲載などをしないリファラル採用は、採用コストも抑えられるでしょう。
リファラル採用をサポートするサービスやツールを活用すると、より多くの人材を社員から紹介してもらえるかもしれません。
💡リファラル採用のメリットや運用方法についてまとめた記事はこちら |
(4)ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングは、XやInstagramなどのSNSを活用した採用手法です。企業が自社の魅力を情報発信していき、認知度や求職者の興味・関心を高め、自社のファンを増やしたり応募を促したりします。
20代、30代の若手人材はSNSを利用する傾向があるため、求職者へ情報を届けるだけでなく、コミュニケーション手段としても活用できるでしょう。
ただし、ソーシャルリクルーティングは転職潜在層向けの手法であり、早期の効果が期待できない点に注意してください。
💡ソーシャルリクルーティングの活用方法についてまとめた記事はこちら |
(5)ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者に直接アプローチする「攻めの採用手法」のことです。サービス媒体のデータベースにいる人材にスカウトメールを送り、自社の魅力を訴求して応募を促します。
自社が求める人材に直接声を掛けられるため、ミスマッチが起こりにくく、優秀な人材と積極的に接点を持てます。一方で、ターゲットの抽出や文面作成などでパワーがかかるというデメリットもあり、専任担当者を設けられない企業には向いていないといえるでしょう。
個の価値観を尊重する傾向が強い若手人材には、ダイレクトリクルーティングを活用して人材ごとに適したアプローチを行うと、特別感を抱いてもらえて応募率が高まると考えられます。
💡ダイレクトリクルーティングの成功ポイントについてまとめた記事はこちら |
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6.まとめ |
若手採用における「若手」の定義は一般的に20代から30代です。若手採用は企業ニーズが高い一方で、少子化の影響や労働に関する価値観の変化によって難易度が増しています。
若手採用を成功させるには、仕事のやりがいや魅力を伝えたり、ワークライフバランスをとれるように職場環境を整備したりすることが求められます。
ご紹介した若手採用向けの手法のなかから、自社に適した手法を選択し効果的に運用して、若手人材を採用していきましょう。
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