採用活動において、採用メンバー間の認識に相違があると、自社が求める人材を逃したり、ミスマッチ人材を採用したりする恐れがあります。
面接評価シートを活用すれば、自社が求める人材の認識や、面接における評価基準を採用メンバー間で統一できるため、中途採用が成功する可能性が高まるでしょう。
この記事では、面接評価シートの作り方やメリット、デメリットを解説します。
この記事でわかる事 |
・面接評価シートの役割と活用するメリット ・面接評価シートの作り方と運用のポイント ・面接評価シートの評価基準と評価項目 |
1.面接評価シートとは |
(1)面接評価シートとは?
面接評価シートとは、採用面接において候補者の能力や適性を評価するためのツールです。このシートには、面接官が評価すべき項目や基準が整理されており、面接後のフィードバックを一元管理することができます。人事担当者が面接結果を適切に比較・分析し、採用判断を下すために非常に重要な役割を果たします。
(2)面接評価シートの重要性と目的
面接評価シートは、採用プロセスをより公平かつ効率的に進めるために欠かせないツールです。以下のような重要な目的があります。
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評価基準の統一
面接官ごとの評価基準にばらつきが生じるのを防ぎ、候補者を公平に評価できるようにします。 -
客観的な判断材料の提供
面接官が候補者に対して感情的な偏りなく、客観的に評価できるよう支援します。 -
面接結果の記録・共有
面接結果を記録することで、後から面接内容を振り返りやすくなり、採用判断の透明性を高めます。 -
評価の改善とフィードバックの提供
評価結果を元に面接プロセスの改善点を見つけ、次回の面接に活かすことができます。また、候補者へのフィードバックも的確に行えるようになります。
このように、面接評価シートは採用活動をより体系的にし、面接の質を向上させるために非常に効果的です。

2.面接評価シートを活用するメリット |
面接評価シートを活用することで得られる主要なメリットを紹介します。採用活動の効率化や、公平な評価を実現するために、面接評価シートは欠かせないツールです。
面接評価シートを活用する4つのメリット
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(1)面接官間で採用基準を統一し、採用ミスを防ぐ
面接評価シートは、面接を実施する社員間で採用基準を統一できるため、採用判断にばらつきが生じることなく、公平な評価が可能になります。これにより、ミスマッチ人材の採用リスクを減らし、採用の質を向上させることができます。
(2)自社に最適な人材を見極めやすくする
面接評価シートには、自社が求める人材像や評価基準が明確に記載されています。これにより、面接経験が少ない社員でも、より的確に候補者の適性を評価できるようになります。結果的に、面接を通じて自社に最適な人材を見極めることができ、採用の精度が向上します。
(3)質問漏れや評価漏れを防止し、公平な面接を実現
面接評価シートは、面接中に質問すべき項目や評価項目をあらかじめ整理しておくため、面接官が重要な点を見逃すことなく、候補者を公平に評価することができます。これにより、評価の漏れや偏りを防ぎ、すべての候補者に対して一貫性のある評価を提供できます。
(4)面接データを蓄積・分析して、評価プロセスを改善
面接評価シートを活用することで、面接結果に関するデータを蓄積することができます。このデータをもとに、評価基準や評価項目の改善点を見つけ出し、次回以降の面接に役立てることが可能です。データ分析を繰り返すことで、より効果的な面接プロセスを構築し、候補者の見極め精度が向上します。
3.面接評価シートの作り方 |
面接評価シートは、採用活動をより効果的に進めるための重要なツールです。ここでは、面接評価シートの作成方法をステップごとに解説します。適切に作成されたシートは、採用基準の統一や面接の質向上に役立ちます。
面接評価シートの作り方
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(1)求める人物像を明確化する
面接評価シートを作成する前に、自社が求める人物像を明確にすることが重要です。求める人物像が曖昧だと、面接官間で評価基準にズレが生じ、採用ミスマッチを引き起こす可能性があります。採用基準を言語化し、社員間で共有することで、認識のズレを防ぐことができます。
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(2)面接での評価項目を設定する
求める人物像が明確になったら、次に面接で評価する項目を決めます。評価項目としては、以下のような内容が挙げられます。
・ビジネスマナー(身だしなみや態度)・募集ポジションに必要なスキル・経験
・志向性や企業文化への適応性
・キャリアプランやビジョンへの共感
面接評価シートのテンプレートを活用する際には、これらの項目を自社に合った形でカスタマイズしましょう。ポジションごとに評価項目を分けることで、評価がさらに具体的かつ適切になります。
(3)評価項目ごとの合格基準を決定する
評価項目を決定したら、次に各項目ごとの合格基準を設定します。評価基準は、数値(定量評価)と面接官のコメント(定性評価)の両方を組み合わせて設定することが推奨されます。
例えば、5段階評価を導入し、面接官の所感を記入するスペースを設けることで、定量的なデータと質的なデータの両方を得ることができます。評価基準を明確にしておくことで、面接後の合否判断がしやすくなり、採用の透明性が向上します。
(4)評価基準を点数化して定量化する
定量的な評価を行うために、評価基準を点数化しましょう。例えば、3段階評価(良い、普通、良くない)や5段階評価を導入することで、面接官が容易に評価を行えます。点数化することで、候補者をデジタルで管理しやすくなり、後からの比較や分析も効率化します。
(5)面接質問例を作成する
面接官による質問のバラツキを防ぐために、面接質問例を事前に作成しておくことが重要です。面接質問例を用意することで、面接官の経験やスキルの差による評価のブレを減らし、候補者をより公平に評価できます。これにより、質の高い面接を維持し、採用ミスを防ぐことができます。
(6)採用メンバー間で認識を一致させる
面接評価シートを作成した後、採用に関わるメンバー全員がその使用方法や評価基準を正しく理解し、一致させることが不可欠です。認識のズレが生じてしまうと、最終的にミスマッチな人材を採用するリスクが高まります。面接評価シートの使用方法や基準を共有し、認識の統一を図ることで、採用の質を向上させましょう。
4.面接評価シートの評価項目・評価基準例 |
面接評価シートを作成する際、評価項目や基準を明確にすることが大切です。ここでは、新卒・中途の候補者それぞれに対する評価項目と評価基準の具体例をご紹介します。
面接評価シートの評価項目・評価基準の例
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それぞれの評価項目について詳しく見ていきましょう。
(1)パーソナリティ(人柄)(新卒・中途)
パーソナリティは、候補者の素直さ、主体性、ストレス耐性、コミュニケーション能力などを評価する項目です。人柄は幅広いため、自社の文化やチームに合うかを見極めるための基準を設定します。
例えば、オープンクエスチョンを使って、候補者の過去の経験を掘り下げると効果的です。質問例として、「過去に困難な状況に直面した際、どのように乗り越えましたか?」などを使うと、パーソナリティの評価がしやすくなります。
(2)マナー(新卒・中途)
マナーの評価項目には、候補者の身だしなみ、言葉遣い、態度、振る舞いが含まれます。面接時の服装、髪型、姿勢や言葉遣いが適切か、相手を不快にさせるような態度がないかを確認します。
マナーは明確に判断できる項目が多いため、他の項目が5段階評価の場合、マナーに関しては3段階評価を採用するなど、基準を絞ることも一つの方法です。
(3)経験・業務スキル(中途)
中途採用では、経験や業務スキルが非常に重要な評価項目です。募集ポジションに必要な経験やスキル、専門知識を持っているか、過去の職務経験が自社の業務に適しているかを評価します。
具体的には、候補者の履歴書や職務経歴書に書かれた内容を確認し、そのスキルや経験が実際の業務にどれだけ活かせるかを判断します。これにより、候補者の実力を正確に評価できます。
(4)ビジネススキル(中途)
ビジネススキルは、対人理解力、分析的思考力、情報収集力、コミュニケーション能力などを含みます。例えば、候補者が相手の意図を正確に理解し、適切な対応をしているか、複雑な問題を分析し解決策を出す能力があるかを評価します。
候補者の成功体験や失敗体験を質問し、その話し方や反応を見て、評価することが効果的です。
(5)評価基準例
- 以下に、各評価項目に対する具体的な評価基準の例を示します。
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①経験・業務スキル 業務内容、役割
保有スキル実績 専門分野、資格 ②ビジネススキル 達成行動力 やり遂げたことについて、複数の具体例をすぐに話すことができる 明快で、具体的な目標を設定する。その目標もチャレンジングである 情報収集力 活字媒体や公表されている情報だけに頼らず、個人的なネットワークを利用した情報収集で、裏づけを取った事実を具体的に話すことができる 分析的思考力 選択の理由を尋ねられた場合、3つ程度の判断基準を説明できる なぜ特定の対応策を考えたのか、その理由をはっきりと説明できる 対人理解力 面接者の質問の意図をつかむのが早い 過去の出来事を話しているときに、関係者の表情について説明できる 社交性 成功の理由として、自分のネットワークを活用した情報収集や協力をあげる 色々な集まりや活動に積極的に参加した経験を、楽しそうに話す 顧客サービス力 相手の状況を把握し、的確な対応を取ったこと経験がある 相手から感謝された経験を話す 協働力 何かを達成したことを話す際に、自分がやったことだけではなく、仲間がどのような貢献をしてくれたかを説明する リーダーシップ グループ内部での葛藤に際して、メンバーの処遇や効果的な解決策を見出し、一層の努力・協働力を生み出した経験について自信を持って話す 自信 思うようにいかないことも、最終的にはうまくやり抜いた体験を持っている 過去の失敗を自分の責任として受け止め、失敗の原因を冷静に分析し、成功のための踏み台とした経験を話すことができる 柔軟性 自分の言葉にとらわれず、理解しやすい言葉で、相手のペースで話をする 状況に応じて、自分の立場や役割がどのように変化したかを認識している
5.面接評価シートのサンプル(テンプレート) |
面接評価シートは、採用プロセスにおいて候補者を効果的かつ公平に評価するための重要なツールです。ここでは、面接評価シートのサンプル(テンプレート)を提供します。縦型・横型といったフォーマットを選択できるため、各企業のニーズに合わせた使いやすいシートを利用できます。
このテンプレートでは、評価項目を「経験・業務スキル」と「ビジネススキル」という2つの主要な観点に分け、それぞれの基準を明確にしています。これにより、面接官が候補者を一貫して評価しやすくなります。評価データを蓄積し、面接評価シートを継続的に改善することで、候補者の選考精度を高め、面接官間の評価基準の標準化が進みます。
6.面接評価シートの運用ポイント |
面接評価シートを適切に運用するためには、いくつかのポイントを抑えることが重要です。以下に、面接評価シートの運用における効果的なコツと注意点を解説します。
面接評価シートの運用ポイント
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(1)データを集計しやすい形式にする
面接評価シートのデータは、評価結果を効率的に集計できる形式にすることが不可欠です。ExcelやGoogleスプレッドシートを活用することで、定量的な評価の集計や定性評価の分析が簡単になります。手書きや紙のシートで評価を行う場合、集計作業に時間がかかり、エラーが発生する可能性があるため、デジタル化することを推奨します。
(2)評価項目は必要最低限にする
面接評価シートの評価項目は、候補者の適性を適切に評価できる最低限の基準に絞ることが大切です。評価項目が多すぎると、面接官が時間をかけて評価を記入することになり、候補者との対話が疎かになる可能性があります。評価項目を絞ることで、面接の焦点が定まり、より効果的な評価が可能となります。
(3)定期的に面接評価シートの見直しを行う
面接評価シートは、定期的に見直し、改善することが重要です。過去の採用データを基に、実際に採用した人材が活躍しているかを確認し、その結果を評価項目や基準に反映させることで、より自社にマッチした人材の採用が可能となります。定期的な見直しを行うことで、評価精度の向上にもつながります。
(4)新卒採用と中途採用の評価基準を分ける
新卒採用と中途採用では評価基準が異なります。新卒採用は、社会人経験がない候補者のポテンシャルや協調性が重視されますが、中途採用は、ビジネススキルや即戦力としてのスキルが重要です。新卒と中途の採用では面接評価シートを分け、それぞれの評価基準に合わせた項目を設けましょう。
7.まとめ |
面接評価シートは、候補者の適性を正確に評価し、採用活動の効率化と標準化を図るために欠かせないツールです。評価基準を明確にし、面接官間での認識を一致させることが、ミスマッチ採用の防止に繋がります。
運用においては、データ集計の効率化や評価項目の絞り込み、定期的なシートの見直しが重要です。また、新卒と中途採用の評価基準を分けることで、より的確な候補者選定ができます。面接評価シートを活用し、採用活動を成功に導きましょう。
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監修者プロフィール![]() 小林 佳代子 新卒で(株)キャリアデザインセンター入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。働く20代向けオウンドメディアの立ち上げ、女性向けwebマガジン『woman type』の編集長を経て2018年『女の転職type』編集長に就任。
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