ドライバーを取り巻く環境は、2030年問題や働き方に対する考え方の変化、高齢化などがあり、採用に苦戦する企業も多いです。
このような採用難易度の高い環境下においても、ノウハウを活かすことで成功につなげることができます。
本記事では、ドライバー採用の市況やノウハウ、有効な採用手法と成功事例をまとめているため、自社のドライバー採用にご活用ください。
この記事でわかる事 |
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1.ドライバー採用の市況 |
ドライバー採用を成功させるには、まず、ドライバー採用の市況感を把握することが大切です。
採用の難易度やドライバー業を取り巻く環境はどのように変わるのかなどを知っておくと、採用活動への取り組み方に活かすことができます。
(1)ドライバーの有効求人倍率
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)についてー参考統計表ー」によると、2025年3月における常用(除パート)の自動車運転従事者の有効求人倍率は2.88倍でした。職業計の有効求人倍率は1.24倍のため、産業全体で見て、自動車運転従事者の有効求人倍率は高いといえるでしょう。
同じ「輸送・機械運転従事者」の枠内では、鉄道運転従事者は0.89倍、船舶・航空機運転従事者は0.72倍であり、ドライバー採用は輸送運転従事者のなかでも有効求人倍率が高く、採用が難しいことがわかります。
また、ドライバーの採用難は長年続いており、例年、貨物自動車運転者の有効求人倍率は全職業の数値より約2倍ほど高い状態です。
出典:公益社団法人全日本トラック協会「知っていますか?物流の2024年問題」
(2)ドライバーの2030年問題
ドライバーの2030年問題とは、ドライバー数の減少による輸送の停滞問題のことです。
ドライバー自身の健康確保や国民の安全確保の観点から、2024年4月よりトラックドライバーの年間時間外労働の上限が960時間(36協定を結んだ場合)となりました。しかし、ドライバー不足を長時間労働で補っていた企業が多いため、荷物の配送が滞り、円滑な経済活動に支障を来すと懸念されています。
2030年には、高齢ドライバーの退職や少子化による人手不足の影響を受けて、さらに輸送能力が不足する恐れがあります。国土交通省の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」によると、2030年度に不足する輸送能力の割合は34.1%、不足する営業用トラックの輸送トン数は9.4億トンとなる予測です。
人材を確保すれば2030年問題の解決を図れるかもしれませんが、ドライバー採用を取り巻く環境は厳しいため、採用活動に工夫が求められます。
2.ドライバー採用が難しい3つの理由 |
ドライバー採用がなぜ難しいのか、理由は3つあります。
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それぞれの内容を解説します。
(1)労働時間と給与のバランス
ドライバーは、労働時間が長いのに給与は安いという傾向があります。厚生労働省の「統計からみるトラック運転者の仕事」から、トラック運転者の年間労働時間・年間収入額と全産業平均との比較を下表にまとめました。
全産業平均 | 大型トラック運転者 | 中小型トラック運転者 | |
年間労働時間 | 2136時間 | 2544時間 | 2508時間 |
年間収入額 | 507万円 | 485万円 | 438万円 |
年間労働時間は、全産業平均よりもトラック運転者のほうが400時間ほど多いことがわかります。一方、年間収入額はトラック運転者のほうが低く、中小型トラック運転者の場合、全産業平均より約70万円も低いです。
「稼ぎたいから」ではなく「トラックの運転が好き」でドライバーになる方もいますが、長時間労働と安い収入という現状は、ドライバーとして働く意欲を削いでしまうでしょう。
(2)ドライバーの高齢化
ドライバーは、ほかの職業よりも平均年齢が高いです。前述の厚生労働省の同ページより、トラック運転手の平均年齢をまとめました。
全産業平均 | 大型トラック運転者 | 中小型トラック運転者 | |
平均年齢 | 43.4歳 | 49.9歳 | 47.4歳 |
年齢構成比を見てみると、ドライバーは若手が少なく、比較的高年齢の人材が多いことがわかります。若手が少ない職場は、若手人材が飛び込みにくさを感じるため、人材確保の難易度を高めてしまいます。
出典:厚生労働省「統計からみるトラック運転者の仕事」
(3)仕事に対する考え方の変化
近年、仕事に対する考え方に変化が生じており、仕事優先の生活からプライベート優先の生活を重視する人材が増えています。
例えば、「休日日数が多ければ多少給与が低くてもいい」「プライベートを大切にしたいから残業をしたくない」などの考えがあり、「給与の高さ」「大手企業」といったポイントだけでは求職者の心を動かせない可能性が高いです。
なかでもドライバー採用は、労働時間が長くプライベートの時間が減ってしまうため、採用が難しいでしょう。
3.ドライバー採用のノウハウ5選 |
ドライバー採用はほかの職種と比較して有効求人倍率が高く、採用が難しいです。
しかし、人材を採用できないとドライバーの高齢化や給与の低さなどによって人が出ていく一方になるため、採用活動を工夫し、人材確保に努めることが重要です。
いまからご紹介するドライバー採用のノウハウ5つを、ぜひ取り入れてみてください。
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(1)求人は携帯端末で見られることを意識する
基本的に自動車に乗って移動しているドライバーは、スマートフォンなどの携帯端末で求人を見ることがほとんどです。そのため、読みやすさを意識し、文章量を短めにする、スマートフォン専用サイトを作るなどの工夫が求められます。
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(2)車両や配送エリア等の業務内容を詳細に記載する
求職者に自社理解を深めてもらえるように、車両や配送エリア、積み込み・積み下ろしの方法などの業務内容は詳細に記載しましょう。自社の業務内容を正しく理解してもらえれば、ミスマッチの防止につながります。
また、一日の仕事のスケジュールも載せると、求職者が自社で働くイメージを抱きやすくなります。
使用する車両
使用する車種(軽バン、2tトラック、4tトラック、大型トラックなど)を記載することで、必要な免許や運転スキルを伝えられます。現在就業に必要な免許を持っていなくても、取得までサポートする旨を載せれば、未経験者からの応募も集められるでしょう。写真があれば車両のイメージも湧きやすいです。ドラレコやバックモニター、カーナビなどの車載機器を伝えると、安心感も高められます。
トラックの内装・外装の装飾可否も載せることをオススメします。可の場合、「トラックの装飾が好きでドライバーになった方」や「トラックが大好きな方」に刺さるでしょう。
配送エリア
近距離、中距離、長距離など、主な配送エリアを記載すると、求職者にとって自分のライフスタイルに合った働き方ができるかの判断材料になります。
日帰りか、車中泊が発生するのか、車中泊の場合車内にベッドスペースはあるか、高速道路は利用できるかといった内容は求職者が気になるポイントのため、併せて示しましょう。
積み込み・積み下ろしの方法
積み込みや積み下ろしの方法は、業務における体力的な負担の目安になります。例えば、手積み・手下ろしが多い場合、身体への負担が大きいですが、フォークリフトを使ったパレット積み・パレット下ろしであれば負担を軽減できます。作業時間も短縮されるため、体力に自信がない男性や女性の応募に対するハードルを下げられるでしょう。
配送する荷物の種類や重量、積み込み場所や積み下ろし場所も記載して、よりリアルな作業イメージを持ってもらえると、業務に関する不安も払拭できます。
業務内容の記載例
NG例 | OK例 |
トラックでの配送ドライバー募集! トラックで店舗まで荷物を運んでもらいます。基本的にフォークリフトを使った積み込み・積み下ろしです。 未経験者も歓迎!免許取得をサポートします。 |
4tトラックでのルート配送ドライバー募集! 業務内容は、4tトラックでのルート配送です(ルートは固定です!)。建材やサッシなどの建築関連用品を地元の販売店に配送してもらいます。 積み込み・積み下ろしは主にフォークリフトを使うので、肉体労働が苦手な方も安心です。まれに手積み・手降ろしが発生するケースもありますが、重労働にはなりません。 未経験者も歓迎!トラックやフォークリフトの運転免許取得をサポートします(取得費用は全額会社が負担!)。 業務に慣れるまでは先輩社員が同乗するので、安心しながら成長できます。 |
(3)給与情報は手当や年収例まで示す
給与情報が曖昧だと、求職者は「基本給はいくらなのか」「手当はあるのか」と疑問や不安が湧き、応募をためらってしまいます。求職者に安心して応募してもらうには、手当や年収例まで詳細かつ明確に示すことが重要です。
また、「ドライバーは労働時間が長いのに給与が低い」というネガティブなイメージを払拭する必要もあります。例えば、大型トラックやフォークリフトなどの特殊自動車のドライバーは給与が高い傾向があり、走行距離や配送件数で給与が増加する歩合給を取り入れている場合は、高収入も訴求できるでしょう。
自社の手当の厚さや給与の高さ、将来的な収入を魅力に感じてもらえると、応募数の増加が期待できます。
NG例 | OK例 |
年収400万円以上 |
初年度から年収400万円以上! ・月給350,000円~400,000万円以上 ・年収例 ・各種手当 |
(4)休日や長時間労働の有無について明示する
ドライバーは長距離運転や荷物の積み下ろしなどで、心身に負担がかかる仕事です。体力回復のためにしっかり休めるかなどを気にする求職者もいるでしょう。また、現在はワークライフバランスを重視する求職者も多いため、休日や長時間労働の有無、休日出勤の頻度が注目されています。
求職者に働きやすさを感じてもらえたり入社後のミスマッチを防いだりするには、休日等の情報を漏れなく載せることが求められます。
NG例 | OK例 |
完全週休2日制(基本的に土日) |
完全週休2日制(基本的に土日) ・有給休暇 従業員のワークライフバランスを大切にしているので、働き方について柔軟に対応します! |
(5)電話応募も受け付ける
採用サイトのフォームだけでなく、電話応募も受け付けましょう。
求職者のなかには、「直接電話して応募したい」と考える方が一定数いるため、求人には「電話応募歓迎」の旨も記載することをオススメします。
記載例 |
【応募方法】 ・電話応募 本社もしくはご希望の営業所までお気軽にお電話ください。 【〇〇本社】~~~(電話番号) (担当者名)宛 |
4.ドライバー採用に有効な採用手法 |
ドライバー採用には、次の3つの採用手法が有効です。
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それぞれの特徴をご紹介します。
(1)総合求人サイト
総合求人サイトは、さまざまな職種、雇用形態の求人情報が掲載されており、利用者の属性も幅広いため、多様な人材からの応募を集められる可能性があります。例えば、未経験者採用や女性採用を叶えられるかもしれません。
一方で、総合求人サイトの利用者は主に「職種名」や「勤務地」で検索するため、マッチしないと自社の求人を見てもらえないでしょう。イニシャル型(求人掲載時に費用が発生)のサイトの場合は、採用できないと費用ばかりがかかってしまいます。
💡求人媒体の特徴や料金、選び方についてまとめた記事はこちら |
(2)ドライバー専門の求人サイト
ドライバー専門の求人サイトは、ドライバー経験者やドライバー職を探している方が活用する求人サイトのため、即戦力人材や、ドライバーとして働くことに意欲的な人材からの応募を集められるでしょう。
ただし、ドライバーの求人数が多く、即戦力人材を求める競合他社との競争も激しいです。給与や待遇など、自社に優位性があったり魅力を伝えたりできないと、スムーズな採用が難しいかもしれません。
ドライバー専門の求人サイトとして、「ブルル」「ドラEVER」「ドラピタ」などが挙げられます。
(3)求人検索エンジン
求人検索エンジンとは、インターネット上の求人情報をまとめて検索できるサービスです。無料で求人掲載できるため、費用をかけずにドライバーの採用活動を行えます。利用者も多く、幅広い人材に求人情報を伝えられるでしょう。
一方で、掲載されている求人数が多く、他社に埋もれてしまう恐れがあります。応募獲得には、求人原稿の書き方を工夫したり露出度を増やすオプションに申し込んだりすることが求められるでしょう。
代表的なサービスには、「Indeed」や「求人ボックス」などがあります。
💡無料求人掲載サイトと向いている企業についてまとめた記事はこちら |
5.ドライバー採用の成功事例 |
弊社(株式会社キャリアデザインセンター)が運営する転職サイト「type」に求人を掲載し、ドライバー採用に成功した企業事例をご紹介します。
自社のドライバー採用に工夫点などを活かしていきましょう。
(1)長期掲載とメールツールの活用で合計8名の採用に成功!
採用課題
業績好調によるドライバーの増員募集で「type」を利用。
以前より、ドライバーの専門サイトで募集をかけてもあまり効果がなく、苦戦していたため、スカウトメール機能や費用を抑えたプランがある「type」への掲載を決めました。
運用における工夫点
ドライバー採用は難しいため、1件でも多くの応募を集められるように長期掲載を実施。ワンプライスで2原稿作成できる「type」の特徴を活かし、事業の中心地である神奈川県と全国の2つにわけて求人情報を発信しました。
また、より多くの求職者に求人を見てもらえるように、スカウトメールといいね機能を同時に運用。迅速な候補者対応や柔軟な面接対応も意識して取り組みました。
採用結果
神奈川県2名、沖縄県6名の計8名の採用に成功。
━ 採用事例の詳細はこちら ━ |
(2)スカウトメールを効率よく活用!二種運転免許保有者含む3名の採用に成功
採用課題
グループ全体で大型採用を目指していた企業は、typeを含む複数の媒体でコンスタントに採用する必要がありました。
また、採用業務を3名で行なっていたため、業務効率を向上させることも課題でした。
運用における工夫点
「検索条件のヒット数がタイムリーに表示される機能」や「送信先のおすすめピックアップ機能」がついているtypeのスカウトメールを活用し、応募されやすい層をメインターゲットにして効率よくアプローチ。
求人広告は、従業員の人柄が伝わるようにインタビュー記事を掲載。人柄重視の採用だったため、お客様とコミュニケーションをとることの楽しさも訴求しました。
また、少ない採用担当者数でも効率的かつ漏れなく業務を進行できるように、日付ごとや時間ごとにやることを明確化し、認識の統一を図りました。
採用結果
二種運転免許を持つ1名を含む3名の採用に成功。
━ 採用事例の詳細はこちら ━ |
6.まとめ |
ドライバー採用は、労働時間が長いのに給与が低いという労働環境や、ワークライフバランスを重視する人材の増加によって、難易度が高まっています。
苦戦しがちなドライバー採用を成功させるノウハウとしては、携帯端末でも見やすいように求人広告を工夫したり、業務内容や給与などを詳細かつ明確に載せたりすることが重要です。
自社のターゲット層やリソースに合った求人媒体を活用し、ドライバー採用を成功させましょう。
いかがでしたか。もし中途採用について悩まれている、自社にとって適切な手法が分からないといった場合は、ぜひ弊社キャリアデザインセンターにご相談ください。エンジニア採用・女性採用に特に強みを持ち、あらゆる中途採用ニーズに対応できるサービスを運営しております。
サービスの詳細については、下記弊社中途採用サービス概要のご案内ページをご覧ください。
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事業内容
・キャリア転職の専門情報サイト『type』『女の転職type』などの運営 ・転職フェアの開催 ・人材紹介事業(厚生労働大臣許可 13-ユ-040429) ・質の高い就職活動を情報誌、イベント、情報サイト、人材紹介で支援する『type就活』サービス ・パンフレット、ノベルティー採用HP作成などのアウトソーシング事業 ・IT業界に特化した人材派遣サービス(厚生労働大臣許可 派13-315344) ・Webマガジン『エンジニアtype』『Woman type』『20’s type』の企画・編集・運営 など、 企業の採用活動をサポートする総合的なソリューションサービスを提供しています。
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