
勤務間インターバル制度とは、終業から次の始業までの間に一定時間以上の休息時間を設けるという制度です。
努力義務とされている勤務間インターバル制度ですが、導入の必要性が説かれ続けており、義務化の動きもあります。
勤務間インターバル制度について、いつから義務化されるのか、2026年における現状と最新のスケジュールについて解説します。
| この記事でわかる事 |
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1.勤務間インターバル制度とは?背景と目的 |
勤務間インターバル制度とは、勤務終了後から次の勤務時間までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設ける制度のことです。
働き方改革が進んでいても、長時間労働などによって心身に不調をきたす労働者は多くいます。勤務間インターバル制度は、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、ワークライフバランスのとれた働き方を実現する目的で設けられました。
2.勤務間インターバル制度の義務化はいつから?2026年最新スケジュール |
勤務間インターバル制度は、「労働時間等設定改善法」の改正によって、2019年4月1日より企業の努力義務として施行されました。
その後、2024年8月の「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、2028年までに「勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満とする」「勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上とする」という数値目標が掲げられました。
勤務間インターバル制度はいつから義務化されるのか、現状や今後についてご紹介します。
(1)【2024年4月〜】すでに義務化・ルール適用された「適用猶予業種」
業務の特性上、建設業、自動車運転業務(トラック・バス・タクシー等)、医師については、時間外労働の上限規制の適用が2024年3月末まで猶予されていました。しかし、2024年4月からは新たな規制が適用され、特に医師と自動車運転業務については、勤務間インターバルの確保が実質的に義務化・ルール化されています。
| 業務 | 勤務間インターバル |
| 医師 |
・24時間以内に9時間(通常の日勤および宿日直許可のある宿日直に従事させる場合) |
| 自動車運転業務 |
継続11時間以上とするよう努めることを基本とし、9時間が下限 ※宿泊を伴う長距離運送の場合、8時間下限が週2回まで可。その場合、運行終了後12時間以上を確保 |
参考:厚生労働省「労働時間法制の具体的課題について」
(2)【2026年最新】完全義務化への動向と一般企業の現状
2025年10月に行われた労働条件分科会の資料「労働時間法制の具体的課題について」では、勤務間インターバル制度の抜本的な導入促進と、EUの基準を踏まえた「11時間確保」を原則とした義務化が提言され、2026年にも施行される可能性がありました。
しかし、2025年12月に労働基準法改正法案の通常国会への提出が見送られ、勤務間インターバル制度の施行時期が不透明になりました(2026年2月時点)。政権交代により、高市首相の「労働時間規制の緩和」の指示と厚生労働省の「規制強化」の方向性が真逆で、労働規制に関する再調整が必要になったことが理由と考えられています。
参考:「労基法改正、通常国会提出見送り 首相の規制緩和指示踏まえ」
なお、「令和6年就労条件総合調査の概況」によると、2024年における勤務間インターバル制度の導入状況は、「導入している」5.7%、「導入を予定又は検討している」15.6%、「導入予定はなく、検討もしていない」78.5%でした。
「導入予定はなく、検討もしていない」の理由として最も多かったのは「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」57.6%でした。なお、「当該制度を知らなかったため」は18.7%あり、勤務間インターバル制度が周知されていない現状も見て取れました。
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3.休息時間は何時間に設定すべき?基準と運用ルール |
勤務間インターバル制度の導入にあたり、休息時間や運用ルールなどを把握しておくことが求められます。
基準やルールについて解説します。(2026年2月時点)
参考:厚生労働省「勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル」
(1)厚生労働省が推奨する「9時間〜11時間」の考え方
厚生労働省は、勤務間インターバル制度の休息時間(インターバル時間)を9時間~11時間と設定しています。9時間は、現実的な休息時間とされており、助成金の対象も9時間が下限です。
11時間に関しては、EU労働時間指令で定められている国際的な基準として取り入れています。また、インターバルが11時間未満の場合、ストレスや起床時の疲労感が大きく、心身に悪影響が出るという調査結果もあるため、望ましい基準として11時間以上の休息時間を推奨しています。
(2)翌日の始業時間に食い込んだ場合の「労働時間の取り扱い」
勤務間インターバル制度を導入した場合、翌日の始業時間に食い込むケースもあります。
勤務間インターバル制度例
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上記のようなケースが発生した場合は、「①重複した時間を労働時間とみなす」「②翌日の勤務開始時刻を繰り下げる」の2パターンの対処が考えられます。
先ほどの例を踏まえて、パターンごとの対応を下表にまとめました。
| パターン | 勤務間インターバル制度の対応 |
| ①重複した時間を労働時間とみなす |
所定の始業時間から実際の勤務開始時間までの時間を労働時間とみなす (例)始業時間9時から実際の勤務開始時間10時までの1時間を労働時間とみなす |
| ②翌日の勤務開始時刻を繰り下げる |
・勤務開始時刻の繰り下げに合わせて終業時間も繰り下げる ・勤務開始時刻は繰り下げるが、終業時間は繰り下げない |
なお、フレックスタイム制を導入している場合は、清算期間内で労働時間を調整できるため、翌日の始業時間にインターバル時間が食い込んだ場合の影響はないでしょう。ただし、コアタイムとインターバル時間が重複したケースについては、対応を検討しておくことが求められます。
(3)テレワークや直行直帰の場合のカウント方法
インターバル時間には、生活・睡眠時間のほかに通勤時間も含まれます。そのため、従業員の通勤時間も考慮してインターバル時間を設定することが重要です。
通勤時間がないテレワークの場合は、終業後からインターバル時間を確保して次の就業を開始します。
直行直帰の職種については、「自宅を出発した時間」と「自宅に到着した時間」を記録し、通勤時間を差し引いてインターバル時間を考えます。例えば、通勤時間が往復2時間の場合、プラスで9時間のインターバル時間を設ければ、従業員は心身を休められるでしょう。
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4.勤務間インターバル制度に罰則はあるのか? |
勤務間インターバル制度に違反した場合の罰則の有無について解説します。
リスクを把握し、不名誉な事態を回避するためにも確認しておきましょう。
(1)直接の罰則はないが行政指導の対象になり得る
勤務間インターバル制度は、2026年2月時点で一般企業に対しては「努力義務」とされています。あくまで強制される義務ではないため、制度が未導入でも直接の罰則はありません。
一方で、制度を導入しているにも関わらず適切に運用されていない、長時間労働が常態化しているというケースでは、行政指導の対象になり得るでしょう。
なお、勤務間インターバル制度は今後義務化される可能性があるため、制度についての理解とこれからの動向に注意を払うことが大切です。
(2)安全配慮義務違反のリスク
前述のように、勤務間インターバル制度に罰則はありませんが、安全配慮義務に違反した場合、従業員や親族から損害賠償を請求される恐れがあります。企業名が公表され、社会的信用が失墜するリスクもあるでしょう。
勤務間インターバル制度に関しては、「脳・心臓疾患の労災認定」で「勤務間インターバルが短い勤務」も、労災認定における負荷の程度を評価する項目として挙げられています。そのため、従業員の心身を守り、企業としての義務を全うできるように、勤務間インターバルを確保することが重要です。
5.義務化に向けた企業の導入ステップと実務対応 |

勤務間インターバル制度は、調整によって現行の内容が変更されるかもしれません。しかし、義務化される可能性や、従業員のワークライフバランス向上を考慮して、導入することをオススメします。
下記、勤務間インターバル制度の導入3ステップと実務対応を解説します。
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(1)現状の勤務実態(インターバル不足)を把握する
まずは、従業員の勤務実態を把握します。タイムカード、PCログ、事業者の現認等の客観的な記録などによって、従業員のインターバル時間や、不足している部署、業務内容、役職の傾向を分析しましょう。なぜインターバルが不足しているかの理由を、現場にヒアリングして確認することも大切です。
現状の把握は、適切なインターバル時間の設定につながります。例えば、インターバル時間が9時間未満の従業員が9割を超える場合、インターバルを最初から11時間に設定すると円滑な業務進行に支障が出るでしょう。そのため、まずは9時間に設定して業務フローなどを整備し、徐々に11時間を目指すほうが混乱を招かずに済みます。
(2)就業規則・労使協定の整備と記載例
次に、勤務間インターバル制度に関する概要やルールを就業規則や労使協定に定めます。制度設計の際に検討すべき項目は下記のとおりです。これらを就業規則等に明記しましょう。
また、勤務間インターバル制度について定めた内容は、イントラネットや社内報、社長からのメッセージ、研修、説明会などで全従業員へ周知し、理解と遵守を徹底することが大切です。
| 項目 | 内容 |
| ①適用対象 |
制度の適用対象となる従業員の範囲 |
| ②インターバル時間数 |
勤務終了から次の勤務開始までの間で確保すべき休息時間 |
| ③インターバル時間によって翌日の勤務開始時刻を超えてしまう場合の取り扱い |
「重複した時間部分を働いたものとみなす」か「翌日の勤務開始時刻を繰り下げるか」など |
| ④インターバル時間を確保できないことが認められるケース |
インターバル制度の適用除外となるケースの設定(緊急事態・トラブル対応等) |
| ⑤インターバル時間の確保に関する手続き |
「翌日の勤務開始時刻をずらす」「適用除外ケースへの対応」などが生じた際の申請手続きについて定める(例:前日に上司や同僚へメールで連絡するなど) |
| ⑥インターバル時間を確保できなかった場合の対応方法 |
確保できなかった経緯の把握(例:上司から人事部へ理由書を提出する)や、インターバル時間を確保しやすい職場環境づくり(例:業務配分を見直す)など |
| ⑦インターバル時間を確保するためのルール |
「夜間のメール・チャットの禁止」「接待は22時までとする」「遅番の翌日の早番は禁止」など |
就業規則の記載例(一部)
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(3)勤怠管理システムの更新と自動チェック機能
労働時間やインターバル時間を適切に管理するには、労働時間の管理方法を見直し、「見える化」することが重要です。
例えば、勤怠管理システムのアップデートを行い、従業員のログイン・ログアウト時刻からインターバル時間を自動チェックし、確保できていない場合はアラートが表示されるなどの機能があると、管理しやすくなります。
勤怠管理システムを使っていないという場合は、勤務間インターバル制度とともに導入を検討することをオススメします。
| 💡勤怠管理システムの選び方について詳しくまとめた記事はこちら |
6.勤務間インターバル制度導入で活用できる助成金 |
厚生労働省は、2025年度において勤務間インターバル制度の導入に活用できる助成金を設けていました。
2026年度も助成金が設けられる可能性があるため、動向をチェックしておきましょう。
ここでは、2025年度の「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」についてご紹介します。
(1)助成金の支給要件と対象経費
助成金の支給要件や対象となる経費・取組、成果目標についてまとめています。
| 項目 | 内容 |
| 対象となる事業主 (中小企業事業主のみ) |
①労働者災害補償保険の適用事業主であること ③すべての対象事業場において、交付申請時点および支給申請時点で36協定が締結・届出されていること |
| 対象となる経費・取組 |
いずれか1つ以上を実施していること ・労務管理担当者に対する研修 |
| 成果目標の設定 |
事業実施計画で指定した各事業場において、以下のいずれかに取り組む ①新規導入(勤務間インターバルが未導入) ②適用範囲の拡大(9時間以上の勤務間インターバルを導入済) ③時間延長(9時間未満の勤務間インターバルを導入済) |
なお、助成金の支給額や上限額は次のとおりです。
支給額
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上限額
| インターバル時間 | 「新規導入」の取り組み | 「適用範囲の拡大」または 「時間延長」の取り組み |
| 9時間以上11時間未満 |
100万円 |
50万円 |
| 11時間以上 |
120万円 |
60万円 |
※賃金額の引き上げを成果目標に加えた場合は、引き上げた労働者数や企業規模に応じて、6万円~720万円を上記上限額に加算
(2)助成金受給に向けた申請スケジュール
2025年度の場合、2025年4月1日から交付申請の受付を開始しました。
申請スケジュール
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なお、国の予算の関係で、受付締切日前に予告なく受付終了する可能性があるため、助成金を活用したい場合は余裕を持って受付を済ませましょう。
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7.まとめ |
勤務間インターバル制度は、一部義務化されている業務もありますが、一般的には努力義務です。しかし、従業員の健康や安全への配慮、ワークライフバランス向上などの観点から、義務化を待たずに導入を検討することが望ましいです。
従業員の労働時間の実態を把握し、自社に適したインターバル時間の設定と規則の整備を行なって、さらなる「働きやすい企業」を目指していきましょう。
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