構造化面接とは、評価基準や質問項目をあらかじめ設定して実施する面接のことです。
面接官によって評価にばらつきがある、採用のミスマッチに悩んでいるという企業は、構造化面接を実施すると採用活動の質を高められる可能性があります。
構造化面接の特徴と非構造化面接、半構造化面接との違い、質問例とメリット・デメリットをご紹介します。
この記事でわかる事 |
・構造化面接とは ・構造化面接のメリット ・構造化面接の進め方 |
目次
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1-1 構造化面接の特徴
1-2 非構造化面接との違い
1-3 半構造化面接との違い -
2-1 面接官ごとの評価のばらつきを防げる
2-2 採用のミスマッチを抑えられる
2-3 採用の効率化につながる -
3-1 機械的な印象を与えてしまう可能性がある
3-2 候補者の新たな一面や自由な発想を引き出しにくい -
4-1 行動面接(過去の経験に基づいた質問)
4-2 状況面接(未来志向の仮説に基づいた質問) -
5-1 採用基準を明確化する
5-2 評価基準を決定する
5-3 質問項目を定める
5-4 面接の場で評価の起点となる質問をする
5-5 面接の場で候補者を掘り下げる質問をする
5-6 評価基準に従って合否を判定する -
6-1 想定質問と誘導質問を避ける
6-2 回答を適切に見極める
6-3 柔軟な対応を心掛ける
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1.構造化面接とは? |
構造化面接の特徴と非構造化面接、半構造化面接との違いを解説します。
(1)構造化面接の特徴
構造化面接とは、あらかじめ定めておいた評価基準や質問項目に則って実施する面接のことです。面接の内容がマニュアル化しており、候補者に対して同じ質問を定められた順番で質問していきます。また、面接官の経験や主観などに左右されずに候補者を評価できるという特徴もあります。
構造化面接は、もともと臨床心理学において、カウンセラーが相談者をアセスメント(観察・評価)する際に用いられるアプローチ方法のひとつであり、古くから実施されてきました。
近年は、先入観や思い込みなどの無意識のバイアス(アンコンシャスバイアス)の影響を受けづらい面接手法として、採用活動でも構造化面接が注目を集めています。
(2)非構造化面接との違い
非構造化面接とは、面接官が質問項目や質問の順番を自由に決めて行われる面接手法です。
非構造化面接は、候補者との面接のなかで、面接官が臨機応変に質問や話を進行していくため、マニュアル化されている構造化面接とは反対の手法といえます。
面接の自由度は高いですが、候補者の評価が面接官に左右されやすく、また、経験のない面接官でないと動機づけや見極めが難しいという特徴があります。
(3)半構造化面接との違い
半構造化面接とは、順番通りに決まった質問をしたのちに、自由に質問する面接手法です。構造化面接と半構造化面接の特徴を半分ずつ取り入れたような手法といえるでしょう。
構造化面接と異なり、候補者の回答で気になった部分を面接官の判断で深掘りすることが可能ですが、自由な質問についてはマニュアル化されていないため、面接官によって評価にばらつきが出やすいです。
2.構造化面接のメリット |
構造化面接を導入すると、次のようなメリットがあります。
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構造化面接のメリットを解説します。
(1)面接官ごとの評価のばらつきを防げる
構造化面接は、あらかじめ評価基準や質問項目が定められているため、面接官ごとの評価のばらつきを防げる点がメリットとして挙げられます。
評価にばらつきがあると、選考に時間がかかったり、入社させるべき人材を見極められなかったりする恐れがありますが、評価基準が統一されていれば、迅速に選考を進められるでしょう。
(2)採用のミスマッチを抑えられる
明確な評価基準は、採用のミスマッチを抑えることにもつながります。面接のマニュアル化によって、面接官ごとの評価にブレが生じなくなったり、アンコンシャスバイアスを排除できたりするため、候補者を客観的かつ公平に見極められるでしょう。
その結果、優秀な人材を落としてしまったり、ミスマッチ人材を採用したりといった事態を回避できる可能性が高まります。
(3)採用の効率化につながる
非構造化面接や半構造化面接の場合、自由な質問が繰り出されることで、質問を考える時間が生じたり、評価の判断材料にならない話が出たりするかもしれません。
一方の構造化面接は、あらかじめ質問が決められており、面接官が必要とする情報を収集しやすい面接手法のため、面接という限られた時間のなかで効率的に採用活動を行えます。
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3.構造化面接のデメリット |
構造化面接にはデメリットもあります。
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構造化面接の実施を検討する際には、デメリットも把握しておくことが大切です。
(1)機械的な印象を与えてしまう可能性がある
構造化面接は質問が決められており、面接官が自由に話をしないため、候補者に機械的な印象を与えたり、雰囲気が堅くなったりするデメリットがあります。候補者のなかには、尋問を受けているように感じる方もいるかもしれません。
面接の雰囲気が和みづらいため、候補者は緊張し、本来の自分を出せなかったり、企業に対してネガティブな印象を受けたりする恐れがあります。
(2)候補者の新たな一面や自由な発想を引き出しにくい
質問項目や順番がマニュアル化されている構造化面接は、候補者の新たな一面や自由な発想を引き出しにくいです。用意された質問に対する候補者の回答が想定内であることが多く、候補者の魅力を十分に確認できない恐れがあります。
構造化面接は候補者のスキルや能力を客観的に評価できますが、人柄や潜在能力、価値観を的確に把握することが難しい面接手法といえるでしょう。
4.構造化面接の質問例 |
構造化面接では、過去の経験に基づいた質問をする「行動面接」と、未来志向の仮説に基づいた質問をする「状況面接」を組み合わせると効果的だといわれています。
行動面接と状況面接の内容と質問例をご紹介します。
(1)行動面接(過去の経験に基づいた質問)
行動面接は、候補者の過去の経験を掘り下げる質問をして、回答から志向性や特性などを見極める面接のことです。
例えば、「あなたが仕事で最も達成感を得たことはなんですか?」のような質問から、下記の4項目を質問して話を深掘りしていき、候補者に対する理解を深めます。行動面接は、4項目のアルファベットの頭文字から、「STAR面接」とも呼ばれます。
・当時の状況(Situation) |
候補者の回答から、「自分の能力をどのくらい発揮できたか」「周囲からのサポートをどのくらい必要としたか」という点を5段階評価などで定量的に評価しましょう。
行動面接(STAR面接)の質問例を各項目でまとめました。
当時の状況(Situation)・あなたはどのような役割でしたか? 抱えていた課題(Task)・どのような問題が発生しましたか? そのときの行動(Action)・どのようにトラブルを解決しましたか? 成果、結果(Result)・行動の反省点はなんでしたか? |
(2)状況面接(未来志向の仮説に基づいた質問)
状況面接は、「もし、〇〇だったら」という仮説に基づいた質問をして、候補者の問題解決力や考え方などを見極める面接のことです。
自社で起こりそうな状況を仮定して質問すると、候補者が入社したあと、問題が起こった際の対処方法のイメージが湧きやすく、採用可否の判断材料になります。
状況面接の質問例は下記のとおりです。
質問例・お客様から理不尽なクレームを受けたら、あなたはどのように対応しますか? |
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5.構造化面接の進め方 |
構造化面接は、次の6ステップで進めていきます。各ステップを詳しく解説します。
①採用基準を明確化する |
(1)採用基準を明確化する
まずは採用基準を明確化します。自社が必要とする人物を、スキルや能力、志向性や行動特性などから具体的に定めていきます。
採用基準の明確化には、社員へのヒアリングやコンピテンシー診断などが有効です。入社する人物に求めるスキルを現場社員に聞いたり、自社で活躍している社員のコンピテンシー(行動特性)を分析したりして、より自社にマッチした人材の採用につながるようにしましょう。
(2)評価基準を決定する
採用基準のあとは、評価項目と評価基準を決定します。例えば、「主体性」「協調性」「コミュニケーション能力」などの評価項目に対し、「良い(3点)・普通(2点)・良くない(1点)」のように3~5段階で点数化できる評価基準を設定しておくと、評価しやすくなります。
設定した評価項目と評価基準を示した面接評価シートを用意しておけば、面接をスムーズに進行できるでしょう。
💡面接評価シートの作り方についてまとめた記事はこちら |
(3)質問項目を定める
評価項目や評価基準に基づいた質問を検討します。質問は、話の糸口となる起点の質問と、掘り下げる質問を決めましょう。起点の質問の例として、「あなたがこれまで一番苦労した仕事はなんですか?」「あなたが計画し、成功した経験を教えてください」などが挙げられます。
掘り下げる質問は、前述のSTAR面接で挙げたように、状況、課題、行動、成果について聞いたり、「なぜその目標を立てたか」「なぜその行動をとったか」などの理由を聞くといいでしょう。
起点の質問のほか、掘り下げる質問も用意することで、候補者の行動特性や志向性などの内面の見極めにも役立てられます。
(4)面接の場で評価の起点となる質問をする
実際の面接の場で、あらかじめ定めておいた起点となる質問をします。評価項目に沿った質問をしていき、候補者を評価していきましょう。
例えば、評価項目に「協調性」がある場合、「これまでの仕事でチームワークを発揮した経験を教えてください」という質問をします。
(5)面接の場で候補者を掘り下げる質問をする
起点となる質問をしたあとは、候補者を掘り下げる質問をします。例えば、「協調性」に関する起点の質問をし、回答を得たあとには「その結果どうなりましたか?」などと深掘りしていきます。
候補者の回答を面接評価シートにメモしておけば、のちに見返して、評価を再検討することも可能です。
(6)評価基準に従って合否を判定する
面接終了後は、設定していた評価基準に従って合否を判定します。質問に対する候補者の回答と評価基準を照らし合わせていきましょう。
評価基準に沿わない回答は評価の対象外にしたり、回答をメモしてある場合、採用に関わるほかのメンバーと一緒に判断したりして、評価基準に則り適切に評価することが大切です。
6.構造化面接の注意点 |
構造化面接を行う際には、3つの注意点があります。
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注意点をそれぞれ解説します。
(1)想定質問と誘導質問を避ける
想定質問
想定質問とは、候補者が質問を想定し、事前に回答を準備できる質問のことです。例えば、「志望理由を教えてください」「長所と短所を教えてください」など、面接で聞かれると想定される質問は、候補者が回答を準備していると考えられます。
準備された回答は、候補者の本音が隠されたり、よく評価されようと取り繕っていたりする可能性があるため、候補者の見極めが難しくなるでしょう。
誘導質問
誘導質問とは、企業が期待する回答を促すような質問のことです。例えば、「転勤は問題ありませんか?」「残業が平均〇時間ありますが、大丈夫ですか?」などの質問は、入社したい候補者にとって「はい」と答えざるをえないでしょう。
しかし、面接では「はい」と答えても、不満や不安を抱いている候補者は入社意欲が下がり、面接辞退や内定辞退となりかねません。誘導質問は、質問に対して本当に「問題がない」候補者とほかの候補者の見極めが難しいため、取り入れる場合は注意が必要です。
(2)回答を適切に見極める
面接では、候補者は自分をよく見せようと、本音を隠しているケースがあります。候補者の回答をすべて鵜呑みにした場合、採用のミスマッチが生じ、早期離職を招くなど自社にとってマイナスな影響が出る恐れがあるため、回答を適切に見極めることが大切です。
見極め方法として、回答を深掘りしたり、違う角度から質問したりするといいでしょう。また、構造化面接は堅い雰囲気になりがちのため、候補者がリラックスできる雰囲気づくりを意識し、本音で話しやすい場にすることも求められます。
(3)柔軟な対応を心掛ける
機械的な印象を与える構造化面接は、「仕事の自由度も低いかもしれない」と候補者に入社後の不安を抱かせる恐れがあるため、適性検査や筆記試験など、さまざまな工程を選考に組み入れることをオススメします。構造化面接以外も実施することで多角的な評価がしやすくなるほか、機械的な印象がなくなり、候補者の不安払拭につながると考えられます。
また、面接を開始してすぐに候補者が優秀だと判断した場合は、評価よりも動機づけに時間を使うなど柔軟な対応を心掛けると、採用成功につながりやすいでしょう。
7.まとめ |
構造化面接とは、あらかじめ定めてある質問項目や評価基準に従って実施する面接のことで、評価に一貫性をもたせられる一方、候補者の内面を引き出しにくいという特徴があります。
面接での質問を決める際には、候補者を適切に見極められるように、想定質問や誘導質問を避けたり、起点の質問のほかに掘り下げる質問を用意したりすることが大切です。
デメリットや注意点に気をつけつつ、構造化面接を工夫して実施し、自社とマッチ度の高い人材の採用成功につなげましょう。
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