アルムナイ採用とは?導入フローやメリット・デメリットを徹底解説

アルムナイ採用とは?導入フローやメリット・デメリットを徹底解説-08-250324

アルムナイ採用とは、自社の退職者を再雇用して人材を確保する手法です。

少子高齢化の進行や働き方に対する考え方の変化などにより、アルムナイ採用は効率的な人材採用手法として注目を集めています。

アルムナイ採用の意味やメリット・デメリット、成功のポイントと導入フローについてご紹介します。

 

この記事でわかる事

・アルムナイ採用の概要

・アルムナイ採用のメリット・デメリット

・アルムナイ採用の成功ポイント

・アルムナイ採用の導入フロー

 

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   1.アルムナイ採用とは

アルムナイ採用1-08-250324アルムナイ採用とは、自社の退職者を再雇用する採用手法のことです。

「アルムナイ(alumni)」は、英語で「卒業生」や「校友」を意味する「alumnus」の複数形であり、意味合いが転じて、現在では人事分野において「離職者」「退職者」を指す言葉として使われるようになりました。

アルムナイ採用は、即戦力人材や自社のルールなどを理解している人材の確保につながるため、質の高い採用を実現できます。

 

 

 

(1)カムバック採用との違い

カムバック採用とは、自社をやむを得ない理由で退職した従業員を再雇用することです。退職者を再雇用する点において、アルムナイ採用とカムバック採用は同じですが、退職者の理由が異なります。

アルムナイ採用は、キャリアアップのための転職や独立など、自発的な退職者を指して使われます。一方のカムバック採用は、結婚や配偶者の転勤、育児、介護などで勤務し続けることが難しくなり、やむを得ず退職した従業員の再雇用を指すのが一般的です。

 

 

 

(2)アルムナイ採用が注目される背景

アルムナイ採用が注目される背景として、次の3つが挙げられます。

・労働力人口の減少
・転職の一般化
・人的資本経営の考え方の普及

 

   労働力人口の減少

日本は現在、少子高齢化が深刻化しています。厚生労働省「我が国の人口について」によると、15~64歳の人口は、2020年には7509万人でしたが、2040年には6213万人に減少すると推計されています。

労働力人口の減少は、企業の人材確保を難しくさせ、採用難に陥る企業を増加させるでしょう。また、せっかく採用できても、ミスマッチが生じて早期離職されてしまうと企業にとって大きなダメージです。

そのため、自社にマッチした人材の効率的な獲得方法として、アルムナイ採用に注目が集まっています。

 

   転職の一般化

一昔前の日本企業は、終身雇用が一般的であり、転職することにネガティブなイメージを持たれることも少なくありませんでした。現在は働き方の多様化によって人々の意識が変わり、転職が一般化しているため、企業は快く退職者を送り出す、退職者は転職後も前企業の動向を気にするなど、良好な関係を維持できるケースが多いです。

もちろん退職理由にもよりますが、企業と退職者の関係性がポジティブなものになりやすい状況は、即戦力人材を求める企業にとってアルムナイ採用を取り入れやすいでしょう。

 

   人的資本経営の考え方の普及

人的資本経営の考え方が普及していることも、アルムナイ採用が注目を集めている背景のひとつです。

人的資本経営とは、人材を資本として捉え、人材の価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげるという考え方です。

経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書」によると、退職者が社外で経験を積み自社に戻ることを推奨していたり、優秀なアルムナイと優良な関係を構築することを重要と捉えたりしています。

 

 

 

   2.アルムナイ採用のメリット

アルムナイ採用2-08-250324アルムナイ採用を自社に取り入れると、さまざまなメリットを得られます。

・採用・育成コストを抑えられる
・自社にマッチしている即戦力人材を採用できる
・従業員エンゲージメントの向上を図れる
・新たな視点や知見を取り入れられる

 

 

 

(1)採用・育成コストを抑えられる

人材採用にあたり、有料の求人サイトや人材紹介を活用すると費用が発生しますが、アルムナイ採用は退職者本人からの応募や既存従業員からの推薦で採用するため、採用コストを抑えられます。

また、すでに自社での勤務経験のある人材は、業務や社内ルールなどを思い出し、慣れるのも早く、一般的な採用者よりも育成コストがかからないでしょう。

 

 

 

(2)自社にマッチしている即戦力人材を採用できる

アルムナイとして採用される人材は、自社での勤務経験者であり、自社の社風や業務をすでに理解しているため、即戦力として採用できるメリットがあります。

業務や社内ルールに限らず、従業員と採用者が一緒に仕事をしていた経験があれば、スムーズに連携でき、人間関係の問題も生じにくく、全体的に高いマッチング率の採用を実現可能です。

 

 

 

(3)従業員エンゲージメントの向上を図れる

アルムナイ採用で人材を確保できる企業は、退職者が「また戻って働きたい」と思えるような、働きやすい職場環境であるといえます。また、退職者と企業が継続的に良好な関係を築けている点も、従業員にとっては「辞めた従業員も大切にしてくれる企業」として好意的に映るでしょう。

そのため、既存従業員のエンゲージメントが向上し、生産性が高まるなどの効果が期待できます。社会的にも企業評価が上がることで、顧客や採用応募数の増加につながります。

 

 

 

(4)新たな視点や知見を取り入れられる

自社を離れ、他社で働いたり起業したりした人材は、自社内では得られなかった新たな視点や知見を持っている可能性があります。アルムナイ採用によって、社外で培った経験やスキルを自社に活かすことができれば、新たな視点からのビジネス展開や業務の効率化を実現でき、自社の成長につながるでしょう。

変化の激しいビジネス環境で優位に立つには、さまざまな視点や知見を取り入れて柔軟に変化していくことが大切なため、大きなメリットです。

 

 

 

   3.アルムナイ採用のデメリット

アルムナイ採用3-08-250324即戦力人材を従業員の推薦などから採用できるアルムナイ採用は、採用や育成コストを抑えられるメリットがあります。また、企業のブランディングにもつながるでしょう。

一方で、アルムナイ採用には次のデメリットもあるため注意が必要です。

・既存従業員の退職ハードルが下がる
・待遇面で既存従業員が不満を抱く恐れがある
・スキルギャップが生じるケースがある
・社内の受け入れ態勢を整える必要がある

アルムナイ採用のデメリットについて解説します。

 

 

 

(1)既存従業員の退職ハードルが下がる

自社の退職者を再雇用するアルムナイ採用は、「辞めても戻れる」という安心感を従業員に与えてしまい、従業員の退職ハードルが下がるかもしれません。

退職者が増えてしまうと、円滑な業務が難しくなり、生産性が下がって大きな損失となる恐れがあります。離職率の高さも、社会的にマイナスな印象を与えてしまうでしょう。

 

 

 

(2)待遇面で既存従業員が不満を抱く恐れがある

アルムナイ採用で自社に戻ってきた人材の待遇に対し、既存従業員が不満を抱く恐れがあります。例えば、長年働いている従業員よりも採用者の方が地位の高いポジションに就いたり、給与が高かったりする場合、長年貢献してきた既存従業員は自分たちが軽んじられていると感じ、モチベーションが低下するかもしれません。

業務に影響が出るだけでなく、採用者と既存従業員の不和によって職場の雰囲気が悪化すると、人間関係のストレスから離職者が増えることも考えられます。

 

 

 

(3)スキルギャップが生じるケースがある

自社の退職者がもともと優秀な人材であったとしても、ビジネス環境の変化や長期の離職により、自社の業務と人材にスキルギャップが生じるケースがあります。

特に、自社と異なる業界で働いていた人材の場合、現在の業界事情や業務フローに在籍当時培ったスキルや経験を活かせない可能性が高いため、スキルがマッチするかの十分な見極めが求められます。

スキルギャップを埋めるには、研修などの実施が必要となり、コストや負担の増加も懸念されます。

 

 

 

(4)社内の受け入れ態勢を整える必要がある

アルムナイ採用をするにあたり、人材の評価方法や賃金設定を整備する、既存従業員にアルムナイ採用の理解を促すなど、社内の受け入れ態勢を整えることが必要です。

現在の評価・賃金制度の見直しや改善、従業員の理解促進などの対応は時間を要するため、忙しい業務のなかで取り組むには手間がかかるでしょう。

 

 

 

   4.アルムナイ採用を成功させる4つのポイント

アルムナイ採用4-08-250324アルムナイ採用を成功させるには、次の4つのポイントを意識することが大切です。

・円満退職を心がける
・退職者と定期的な交流を図る
・受け入れ制度を整える
・柔軟な雇用条件を用意する

アルムナイ採用を成功させて、コストを抑えながら自社の成長につなげましょう。

 

 

 

(1)円満退職を心がける

アルムナイ採用で退職者から応募を得るには、円満退職し、退職後も企業に対して好意的であることが前提条件として挙げられるでしょう。

円満退職を実現するには、従業員が納得したうえで退職できるように管理する「イグジットマネジメント」への取り組みが求められます。退職希望者への面談を実施して不満を聞き出したり感謝を伝えたりなど、丁寧に対応することで、自社へポジティブな感情を抱いたままの退職となるため、再雇用につながりやすくなります。

 

 

 

(2)退職者と定期的な交流を図る

アルムナイ採用を成功させるには、企業が受け入れ態勢を整えるだけでなく、退職者の気持ちのフォローも大切なため、定期的に交流を図れる取り組みの導入が必要です。

例えば、SNSやメールマガジンなどで自社に関する情報を発信する、退職者同士がつながれるプラットフォームを設ける、退職者と既存従業員が交流するイベントを開催するなどが挙げられます。

退職者と交流し続けることで、「再雇用」というハードルが下がり、応募を促進できます。

 

 

 

(3)受け入れ制度を整える

アルムナイ採用される人材が既存従業員と軋轢なく働けるようにするには、不公平感のない制度の整備や、誰もが働きやすい職場環境、雰囲気の醸成が求められます。

評価・賃金制度を見直して誰もが納得できるように整えたり、既存従業員の理解を促してアルムナイ採用へのポジティブな感情を引き出したりなどの対応をすると、アルムナイ採用の成功につながるでしょう。

 

 

 

(4)柔軟な雇用条件を用意する

さまざまなライフイベントの発生によって、アルムナイ採用される人材が自社に在籍していた当時と同じ勤務条件で働けるとは限りません。

そのため、フレックスタイム制度やリモートワーク制度などの柔軟な働き方ができる制度の整備や、人材に合った雇用条件を用意して、優秀な人材確保の機会損失とならないように対応しましょう。

 

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   5.アルムナイ採用の導入フロー

アルムナイ採用5-08-250324アルムナイ採用の導入フローは、下記のとおりです。

①目的と再雇用条件を明確にする
②再雇用制度があることを周知する
③アルムナイネットワークを構築する
④コンタクトを取り、アルムナイ採用を行う
⑤即戦力化のためのオンボーディングを行う

導入フローを確認して、即戦力人材の確保につながるアルムナイ採用を自社で活用しましょう。

 

 

 

(1)目的と再雇用条件を明確にする

まずは、アルムナイ採用の目的と再雇用条件を明確にします。従業員の退職に対するハードルの低下を防ぐためにも、再雇用対象者となる条件を勤続年数や実績・業務スキル、退職理由などから定めることが大切です。目的が明確であれば、再雇用条件を設定しやすくなるでしょう。

また、応募が増えるように、柔軟な働き方を実現できる条件にすることも求められます。既存従業員との不和が生じないように、不公平感のない給与や待遇の設定も重要です。

 

 

 

(2)再雇用制度があることを周知する

アルムナイ採用という、再雇用制度があることを社内に周知します。再雇用条件まで周知しておくことで、従業員の安易な退職を防げるでしょう。

日頃からの周知のほか、退職者に対しては退職時に改めて説明したり、退職後の交流時に定期的に伝えたりすると、アルムナイ採用できる機会が増えて安定的な人材確保につながる可能性があります。

 

 

 

(3)アルムナイネットワークを構築する

退職者と定期的に交流できるように、アルムナイネットワークを構築します。

SNSやメール、アルムナイ採用の支援サービスの活用や、実際に会えるイベントの開催など、どのような方法で退職者と接点を持ち続けるかを検討し、導入・実施していきましょう。退職者との交流は、ポジティブな関係維持だけでなく、自社にない知見や思考の吸収にもつながります。

応募を促すことに注力しすぎると、退職者は交流自体を楽しめなくなり、接点を絶ってしまう恐れがあるため、情報発信内容や交流時の意識には注意が必要です。

 

 

 

(4)コンタクトを取り、アルムナイ採用を行う

退職者へメールや電話などでコンタクトを取り、アルムナイ採用を実施します。退職者の自社への再入社意欲を高められるように、自社の業績や経営戦略、自社で実現できること、魅力などを伝えましょう。

また、退職者の希望の働き方もヒアリングして、お互いが納得いく雇用条件をすり合わせることが大切です。再雇用に関しての不安点なども確認し、解消しておくと、前向きに検討してもらえるでしょう。

 

 

 

(5)即戦力化のためのオンボーディングを行う

オンボーディングとは、新入社員が自社に早期に慣れ、活躍できるようにサポートするプロセスのことです。アルムナイ採用をした人材が自社での勤務経験を持っていても、月日が経てば組織の体制や業務なども変わるため、戸惑いや不安を覚えるでしょう。

即戦力として活躍してもらうには、現在の体制や業務を理解してもらい、一緒に業務を進める従業員との仲を深めてもらうことが必要であり、オンボーディングの実施が人材の即戦力化につながります。

 

💡オンボーディングの効果とポイントについてまとめた記事はこちら

オンボーディングとは?目的と重要性、企業に与える4つの効果と導入方法を解説!

 

 

 

   6.まとめ

アルムナイ採用は、自社の退職者を再雇用する手法であり、即戦力人材の確保につながる可能性が高いです。また、転職や起業で培った知識や経験を自社の業務に活かすことで、企業の成長も図れます。

一方で、既存従業員の退職に対するハードルが下がることや評価制度の見直し、アルムナイ採用の周知といった受け入れ態勢を整える必要があるなど、懸念点や手間も生じるでしょう。

アルムナイ採用を成功させるために、ご紹介したポイントや導入フローをぜひご参考にしてください。

 

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