育児短時間勤務制度とは、育児をする従業員のワークライフバランスを保てる制度で、育児・介護休業法に定められています。
育児短時間勤務制度は企業に義務化されているため、対象期間や条件などを把握し、適切に運用することが求められます。
この記事では、育児短時間勤務制度の内容や企業のメリット、2025年4月から新たに始まる育児時短就業給付制度についてまとめているため、ぜひご参考にしてください。
この記事でわかる事 |
・育児短時間勤務制度の内容 ・育児短時間勤務制度を導入する企業のメリット ・2025年4月開始の育児時短就業給付の内容 |
CONTENTS |
1|育児短時間勤務制度とは |
育児短時間勤務制度とは、3歳に満たない子を養育する労働者が希望した場合、所定労働時間を一日6時間(5時間45分~6時間)に短縮できる制度のことです。
育児短時間勤務制度は、育児・介護休業法の23条に定められており、法改正によって2010年(平成22年)から就業規則等に規定し、制度化することが事業主に義務化されました。
一日の労働時間を短縮できる育児短時間勤務制度の導入により、従業員は子供の送迎がしやすくなるなど、ワークライフバランスを保ちやすくなり、心身への負担を軽減することができます。
参考:厚生労働省「Ⅸ-3 所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度) 」
参考:厚生労働省「育児・介護休業法が改正されます!」
1-1.2025年4月開始の育児時短就業給付とは |
育児時短就業給付とは、2歳未満の子を養育している時短勤務の労働者に対し、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給する制度です。
育児時短就業給付は、「共働き・共育て」の推進や育児とキャリアの両立の観点から、2025年(令和7年)4月に新たに創設される制度です。
制度の対象者 |
①2歳未満の子を養育するために時短勤務制度を利用したこと |
支給額 |
時短勤務中に支払われた賃金額の10% |
参考:厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」
2|育児短時間勤務制度を導入する企業のメリット |
育児短時間勤務制度を導入すると、企業にとって次のようなメリットがあります。
・育児を理由とした離職の防止 |
各メリットについて解説します。
2-1.育児を理由とした離職の防止 |
育児短時間勤務制度を導入すると、従業員の育児を理由とした離職を防止できるメリットがあります。
厚生労働省の資料によると、令和5年度に女性が「出産・育児」を理由として離職した年齢と割合は、高い順に「30~34歳」4.8%、「35~39歳」4.6%、「25~29歳」3.4%でした。
同年齢層の男性の割合と下表にまとめると、「出産・育児」を理由とした女性の離職が男性と比べて高いことがわかります。
男性 | 女性 | |
25~29歳 | 0.1% | 3.4% |
30~34歳 | 0.7% | 4.8% |
35~39歳 | 0.1% | 4.6% |
参考:厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況-」
育児には、子供の体調不良や保育所への送迎などが伴い、フルタイムで働いていると時間の使い方が難しく、負担になることがあります。育児の負担から戦力である従業員が離職してしまうと、生産性の低下や新たな人材を雇うコストが生じるなどして、大きな損失となるでしょう。
そのため、育児短時間勤務制度を導入し、従業員が育児と仕事を両立しやすい環境を整えることで、離職による損失を回避できる可能性があります。
また、育児をする従業員だけでなく、介護をする従業員も短時間勤務制度を利用すれば、介護による負担を軽減でき、介護離職の防止にもつながります。
2-2.企業イメージの向上 |
育児短時間勤務制度の導入は、企業イメージを向上させる効果もあります。育児短時間勤務制度は、育児をする従業員が希望すれば所定労働時間を6時間に短縮できる制度のため、従業員が子供との時間を大切にできたり、余裕を持って育児に取り組めたりします。
従業員がワークライフバランスを保ちやすい制度を導入している企業は、社会から好意的な印象を持たれるでしょう。また、育児とキャリアの両立を目指す女性にとっても、長く活躍できる企業として認識され、転職先の候補に挙がる可能性も高まります。
3|育児短時間勤務の対象期間 |
育児短時間勤務制度の対象期間は、子が3歳になるまでです。
一方で、3歳から小学校に就学するまでの子を養育する労働者に対しても、短時間勤務制度の措置を設けることが努力義務とされています。
3歳以降の育児短時間勤務制度の措置が難しい場合は、「テレワーク」や「始業時間の変更」などの代替措置を講じ、従業員が柔軟に働ける環境を整えましょう。
参考:厚生労働省「Ⅸ-3 所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)」
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A (令和6年 11 月 19 日時点)」
4|育児短時間勤務の対象条件 |
育児短時間勤務制度の対象となる従業員の条件は、下記のとおりです。
①3歳に満たない子を養育していること |
育児短時間勤務制度は、従業員の性別を問いません。無期雇用労働者だけでなく、有期雇用労働者も制度の対象で、配偶者が専業主婦(夫)であっても利用できます。
また、労使協定で「業務の性質上等、短時間勤務制度を講じることが困難な場合は適用除外」とされていると対象外になりますが、導入困難な業務でも制度を導入しているケースもあるため、可能な限り適用対象とすることが望ましいです。どうしても適用が難しい場合は、「育児休業に関する制度に準ずる措置」「フレックスタイム制度」「時差出勤の制度」「保育施設の設置運営等」の代替措置を講じる必要があります。
管理職は、労働時間等に関する規定が適用除外されているため、育児短時間勤務制度の対象外です。しかし、育児短時間勤務制度に準じた制度の導入は可能なため、一般の従業員だけでなく管理職のワークライフバランスも保てるように制度導入を検討しましょう。
参考:厚生労働省「Ⅸ-3 所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度) 」
参考:厚生労働省「両立支援のひろば」
参考:厚生労働省「所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)関係」
5|育児短時間勤務中の給与 |
育児短時間勤務制度を利用する従業員は、労働時間がフルタイム時より減少するため、比例して給与も減額します。時間外労働もなく、残業代も発生しませんが、役職手当や資格手当、住宅手当などは労働時間の影響を受けないため、フルタイム時と金額の差はありません。
【給与の例】 |
フルタイム時と異なる給与が支払われる場合は、「給与の決定、計算および支払い方法」と「給与の締め切りおよび支払時期」について就業規則への記載が求められます。
また、労働時間の減少分について給与を支払わないことは問題ありませんが、下記は不利益な取り扱いとなるため行なってはいけません。
【禁止行為】 |
参考:厚生労働省「資料」
6|まとめ |
育児短時間勤務制度を導入すると、育児をする従業員が働きやすくなるため、育児を理由とした離職を防止できたり企業のイメージが社会的に向上したりするメリットがあります。
育児短時間勤務制度の対象期間は子が3歳になるまでですが、小学校に就学するまでの子を養育する従業員に対しても措置を講じることが努力義務化されているため、可能な限り対応して、従業員の満足度をさらに高めていきましょう。
2025年4月からは育児時短就業給付も始まります。制度の内容を把握しておくと、スムーズに手続きできるでしょう。
#育児短時間勤務
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