定時退社を実現するために企業がやるべき8つの施策!ポイントを解説

Topics: 09_採用後の定着, 14_働く制度・環境

定時退社できる職場環境をつくると、企業にとってコスト削減できたり、求職者から選ばれやすくなったりなどのメリットがあります。

定時退社を実現したい企業は、ただ「定時退社」を掲げるだけでは従業員に意識が芽生えない恐れがあるため、施策やポイントを把握し、実施することが求められます。

この記事では、定時退社できる職場環境をつくるメリット・デメリットと重要なポイント、施策についてまとめているため、ぜひご参考にしてください。

 

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 CONTENTS

  1. 定時退社できる環境づくりに取り組む重要性とは
    1-1 従業員の働き方改革への意識向上
    1-2 業務効率化につながる
  2. 定時退社の職場環境をつくるメリット
    2-1 企業側のメリット
    2-2 従業員側のメリット
  3. 定時退社の職場環境をつくるデメリット
    3-1 企業側のデメリット
    3-2 従業員側のデメリット
  4. 定時退社できる職場環境を実現する重要ポイント
    4-1 適切な勤怠管理
    4-2 管理職が率先して帰宅
    4-3 組織文化の構築
    4-4 業務削減ツールの導入
  5. 定時退社できる職場環境を実現する8つの施策
    5-1 業務の見直しと効率化を図る
    5-2 ノウハウを共有する
    5-3 従業員の業務の幅を広げる
    5-4 社内コミュニケーションを活発化する
    5-5 評価制度を見直す
    5-6 オフィス環境を整備する
    5-7 ノー残業デーを設ける
    5-8 人材採用やアウトソーシングをする
  6. まとめ

 

 

 

1|定時退社できる環境づくりに取り組む重要性とは

企業が定時退社できる環境づくりに取り組む重要性を解説します。

 

 

 

 

1-1.従業員の働き方改革への意識向上

定時退社できる環境づくりに取り組むと、従業員の働き方改革に対する意識が向上します。働き方改革とは、働く人の個別の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することです。

現在、日本は少子高齢化社会となっており、労働人口が減少の一途を辿っています。企業は人材を確保することが困難になってきているため、定時退社を実現し、従業員の働きやすさを向上させることで、人材の定着がはかれるでしょう。

また、従業員によっては「残業することが当たり前」という考えを持っているかもしれませんが、企業が定時退社の実現に力を入れた場合、従業員の労働に関する意識が変わり、働き方改革を進められると考えられます。

 

 

 

 

1-2.業務効率化につながる

残業が常態化している企業は、業務に無駄があったり、必要以上の手間がかかっていたりする恐れがあります。定時退社を目指す場合、業務を見直し、不要な業務はないか、効率化を図れないかを検討することが求められ、業務の効率化につながるでしょう。

業務を効率化できれば、従業員の負担が減ったり、生産性が上がったりする可能性があるため、定時退社できる環境づくりに取り組むことは、従業員の満足度向上や企業成長の観点からも重要です。

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2|定時退社の職場環境をつくるメリット

定時退社の職場環境をつくるメリットを、企業側と従業員側にわけて解説します。

 

 

 

 

2-1.企業側のメリット

定時退社の職場環境をつくる企業側のメリットは、次のとおりです。

・コストを削減できる
・生産性が向上する
・求職者から選ばれやすくなる
・国から助成金を受けられる

 

(1)コストを削減できる

定時退社できる職場環境をつくると、人件費などのコスト削減につながります。

従業員が残業をすると、残業代にかかる人件費のコストがかさみます。また、照明やパソコンを使う際の電気代など、設備のコストもかさんでしまいます。定時退社によって残業がなくなればコストを削減でき、企業の手元に残る利益を増やせるかもしれません。

 

(2)生産性が向上する

定時退社によって残業がなくなった場合、労働時間が限られるため、従業員は時間内に業務を終わらせようと集中して取り組んだり、進め方を工夫したりします。

労働時間に対する業務の質が高まることで、企業の生産性向上が期待できるでしょう。

 

(3)求職者から選ばれやすくなる

定時退社できる職場環境は、従業員にとってワークライフバランスがとりやすく、働きやすいです。また、企業が従業員の健康や生活を気遣っていることもわかるため、求職者から魅力的に映る可能性があります。

人手不足が叫ばれている現代において、求職者から就職先として選ばれやすくなることは、採用活動で有利になるでしょう。

 

(4)国から助成金を受けられる

厚生労働省は、生産性を向上させ、時間外労働の削減や年次有給休暇等を促進する環境整備に取り組む中小企業向けに、働き方改革推進支援助成金を設けています。

支給額は、成果目標や達成状況によりますが、上限25万円から200万円で、賃金引き上げ達成時には別途金額が加算されます。

定時退社できる環境をつくりたい企業は、助成金について確認してみるといいかもしれません。

参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

 

 

 

 

2-2.従業員側のメリット

定時退社ができる職場環境は、従業員にとって3つのメリットがあります。

・ワークライフバランスをとれる
・心身を健康に保てる
・業務スキルがアップする

 

(1)ワークライフバランスをとれる

定時退社が実現できると、ワークライフバランスをとれるため、家族や友達との時間や、自分の時間を大切にできるメリットがあります。

終業後の時間を趣味や習い事に費やせば、スキルアップできたり視野が広がったりして、業務に活かせるスキルの習得や人としての成長にもつながるでしょう。

 

(2)心身を健康に保てる

定時退社によって残業がなくなると、心身にかかる負荷を減らすことが可能です。

残業は、自分のプライベートの時間が減ってしまい、ゆっくりしたり趣味などを楽しんだりする時間がとれなくなってしまいます。休息やストレス発散ができないと、心身に不調をきたし、病気を発症するリスクもあるでしょう。

そのため、定時退社の実現は、従業員の心身を健康に保てるメリットがあるほか、モチベーションアップや業務パフォーマンスの向上も期待できます。

 

(3)業務スキルがアップする

労働時間が限られる定時退社によって、従業員の業務スキルが向上する可能性あるでしょう。

やるべき業務を時間内に終わらせるべく、どのように効率化を図るか、どのように進めるかなどを考えるため、タイムマネジメントスキルや他者と連携するコミュニケーションスキルが高まるでしょう。

従業員の業務スキルの向上は、業務に対する意欲や満足度の向上にもつながり、社内にポジティブな影響がもたらされます。

 

 

 

3|定時退社の職場環境をつくるデメリット

定時退社の職場環境をつくると、さまざまなメリットがある一方で、デメリットもあるため注意が必要です。

定時退社の職場環境をつくる企業側と従業員側のデメリットを、それぞれ解説します。

 

 

 

 

3-1.企業側のデメリット

定時退社の職場環境をつくると、企業側に次のようなデメリットがあります。

・突発的な仕事を受けられないケースが起こり得る
・業務の質や進捗に影響が出る

 

(1)突発的な仕事を受けられないケースが起こり得る

定時退社を実施している場合、定時間際の突発的な仕事をその日に対応できないケースがあるかもしれません。急ぎで対応してもらいたかった顧客や取引先が不満を抱き、企業に対する信頼が損なわれる恐れがあります。

 

(2)業務の質や進捗に影響が出る

従業員がかかえる業務の量と労働時間のバランスを調整せずに定時退社を促進してしまった場合、従業員の業務の質や進捗に影響が出ることが考えられます。例えば、抱えている業務量が多いにも関わらず、会社の方針で定時で退社しなければならないと、急いで業務を仕上げるなどして、質が低くなるかもしれません。納期が近い状況でも定時になると退社し、業務進捗が滞ったり、納期に間に合わず顧客からの信頼が低下したりする恐れもあります。

また、業務途中で定時退社する部下の仕事を管理職が巻き取った場合は、管理職の業務量やストレスの増加につながるでしょう。

 

 

 

 

3-2.従業員側のデメリット

定時退社の職場環境をつくる従業員側のデメリットは、次のとおりです。

・タイムマネジメントが難しい場合がある
・自分のペースで仕事ができない

 

(1)タイムマネジメントが難しい場合がある

定時退社を実現するためには、時間内に業務を終わらせるためのタスク管理能力やタイムマネジメント力が必要になります。業務経験が浅かったり、まだスキルを伸ばせていない場合は、時間内に業務を終わらせることができず納期が遅れてしまったり、徐々に業務が溜まってしまう恐れがあるでしょう。

 

(2)自分のペースで仕事ができない

定時退社の推奨によって職場に残りづらい雰囲気になると、従業員のなかには自分のペースで仕事ができないと感じる方も出てきます。

例えば、日中は同僚や後輩から相談を受ける、接客をするなどして、自分の業務に集中できなかったり、仕事が増えたりする方もいるでしょう。

日中に進められなかった分の仕事を、定時後のほかの従業員が帰ったあとに集中して取り組みたいという方にとっては、定時退社を求められると自分の思うように仕事を進められず、ストレスとなる恐れがあります。

 

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4|定時退社できる職場環境を実現する重要ポイント

定時退社できる職場環境を実現する重要ポイントは、次の4つです。

・適切な勤怠管理
・管理職が率先して帰宅
・組織文化の構築
・業務削減ツールの導入

ポイントを確認して、定時退社できる職場環境を構築しましょう。

 

 

 

 

4-1.適切な勤怠管理

定時退社できる職場環境をつくるには、勤怠管理を適切に行うことが大切です。

従業員一人ひとりの勤務時間や残業時間などを適切に把握する仕組みが取られていないと、定時退社が習慣化しない場合に課題が見つけづらく、改善に取り組めない恐れがあります。

また企業によっては、定時になっても誰も席を立たない、定時の挨拶やアクションがないことで、従業員が帰りづらさを感じたり、定時退社が浸透しないケースがあります。

そのため、従業員の勤務時間・残業時間など適切な勤怠管理ができる体制をつくる、定時になったら終業を知らせる音楽が流れる、照明を落とす、終業の挨拶をするなどのアクションを起こすなどが必要でしょう。

 

 

 

 

4-2.管理職が率先して帰宅

従業員の定時退社を促すには、管理職が率先して帰宅し、帰りやすい雰囲気をつくることが重要です。

定時になって帰宅したくても、管理職が帰らないことで帰宅のしづらさを感じ、何かやることを無理やり見つけて残ってしまう従業員もいます。

管理職などの上司が先に帰れば、部下も気軽に帰宅できるため、まずは管理職が定時退社を意識することが求められます。

 

 

 

 

4-3.組織文化の構築

定時退社を社内に周知し、組織文化として構築しましょう。

一度定時退社を推奨したくらいでは、従業員に浸透せず、効果を得られない可能性が高いです。そのため、管理職から定期的に声かけを行なったり、自らが率先して定時退社したりなど、従業員が意識しやすいように積極的な行動を起こすことが求められます。

また、ノー残業デーを設けて定時退社に慣れさせる、定時退社の状況を従業員にヒアリングして自分事として捉えさせるなども、組織文化の構築につながるでしょう。

 

 

 

 

4-4.業務削減ツールの導入

便利なITツールの導入やDXの推進をして、業務削減や効率化をはかることが、定時退社の実現ポイントのひとつです。

例えば、顧客に提示する見積書や契約書を紙面で郵送している場合、PDF化してメールで送信すると、郵送の手間やコストを削減できます。また、迅速に相手に提示できるため、業務スピードも向上するでしょう。

煩雑な業務を減らす、工程を簡略化することで業務にかかる時間が減り、就業時間内に業務を終えられる可能性があります。

 

 

 

5|定時退社できる職場環境を実現する8つの施策

定時退社できる職場環境を実現したい企業は、下記8つの施策を取り入れることをオススメします。

・業務の見直しと効率化を図る
・ノウハウを共有する
・従業員の業務の幅を広げる
・社内コミュニケーションを活発化する
・評価制度を見直す
・オフィス環境を整備する
・ノー残業デーを設ける
・人材採用やアウトソーシングをする

 

 

 

 

5-1.業務の見直しと効率化を図る

業務の見直しと効率化を図ると、定時退社の実現につながります。

従業員の業務内容を見直し、簡略化できる点や無駄な点を洗い出し、改善や削減を行いましょう。従業員の業務負担を軽減するようなツールの導入も有効です。

 

 

 

 

5-2.ノウハウを共有する

ひとつの業務に関するノウハウや効率的な手順を従業員間で共有し、質やかかる時間に違いが生じないようにします。

優れたノウハウや手順を全従業員が理解し、実施できれば、人によってバラツキが出ることがないため、一定の時間で良質な成果を出せ、業務効率化と生産性向上が期待できます。

共有したノウハウや手順を、画像などを用いて書面やデータにまとめるなど、従業員が活用しやすいように工夫しましょう。

 

 

 

 

5-3.従業員の業務の幅を広げる

ジョブローテーションを行うなどして、従業員の作業可能な業務の幅を広げると、定時退社を実現しやすくなります。

従業員がさまざまな業務をできるようになれば、各業務の繁忙や担当者の離職、病欠に合わせて人材を異動させられるため、業務過多による残業を防止できる可能性があります。

従業員同士が部署の垣根を越えて助け合うことで、連携が強化され働きやすさも向上するでしょう。

 

 

 

 

5-4.社内コミュニケーションを活発化する

定時退社を実現できるように、手伝える仕事や困っていることがないかなどを管理職や従業員間で声を掛け合い、必要であればフォローします。

また、事前に退社時間の共有や残業の申告をすることもオススメです。退社時間を事前に共有しておくと、従業員は自分が告げた退社時間に合わせてモチベーション高く業務に取り組めたり、周りの理解によって気軽に帰りやすくなったりします。

残業の事前申告は、「申告しなければならない」という仕組みに残業のしづらさがあるため、定時退社を促すのに効果的です。申告した残業時間内に業務を終わらせなければならず、残業代目当てのダラダラとした業務も防止できます。

 

 

 

 

5-5.評価制度を見直す

定時退社を推奨することで、従業員には仕事が溜まるなどのデメリットが生じます。また、残業代が出ないことにより、給与が下がって不満を抱く方もいるでしょう。

そのため、定時退社の推奨が従業員のモチベーション低下を招かないように、評価制度の見直しをオススメします。例えば、月の残業時間が企業が定めた時間よりも短い従業員を評価する制度を設けるなど、定時退社することでメリットが生じる環境を整えましょう。

従業員個人だけでなく、部署ごとの残業時間によってもインセンティブを設けるなどすると、全社的に定時退社へ取り組める可能性があります。

 

 

 

 

5-6.職場環境を整備する

自社の職場環境が、整理整頓されていなくて書類がどこにあるかわからない、インターネット回線が重いなど、満足に働ける環境でなければ、定時退社を徹底しても業務が溜まる一方で、メリットを得られないでしょう。

まずは業務をスムーズに進められるように、職場環境を充実させることが大切です。働きやすさ向上を目指し、従業員に必要な設備などをヒアリングすることも効果的と考えられます。

 

 

 

 

5-7.ノー残業デーを設ける

ノー残業デーを設けると、全社的に「絶対に定時には帰らなければならない」という雰囲気になるため、従業員の定時退社に対する意識が高まる可能性があります。

一方で、ノー残業デーの日付を全従業員で統一してしまうと、部署の繁閑の違いによって、定時退社が難しい従業員もいるかもしれません。

定時退社によるデメリットを防ぐためにも、部署やチームごとにノー残業デーを設定できるようにするなど、柔軟な取り組みが大切です。

 

 

 

 

5-8.人材採用やアウトソーシングをする

定時退社に向けて業務をスムーズに進められるように、従業員のスキルに応じて任せる業務を調整したり、人事配置を換えたりすることも効果的です。

しかし、そもそも人材不足や適任者がいない場合は、社内の人材だけで業務効率化を図ることが難しいと考えられるため、必要に応じて、人材採用や業務をアウトソーシングすることもご検討ください。

自社に不足しているスキルや能力を持った人材を採用できれば、労働時間に対する業務の質が向上するでしょう。また、従業員のみでは手一杯の業務をアウトソーシングすることで、従業員の負荷が軽減されます。

人材採用で人材を補ったり他サービスを頼ったりして、定時退社の実現を目指しましょう。

 

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6|まとめ

定時退社できる職場環境をつくると、企業はコスト削減、従業員はワークライフバランスの充実などのメリットがあります。

定時退社を実現するには、管理職が率先して帰宅したり、ITツールなどを導入して業務効率化を図ったり、評価制度を見直したりすることが大切です。

従業員の状況を考えずに定時退社を強制すると、従業員の業務過多やストレスを招く恐れがあるため、働きやすい環境の整備や柔軟な取り組みを心がけ、理解を得ながら進めていきましょう。

 

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