「パラダイムシフト」という言葉を聞いたことがあっても、意味や使い方を知らない企業も多いかもしれません。
パラダイムシフトは人々の考え方や捉え方に変化が生じることです。時代の変化についていくためには、企業のパラダイムシフトへの対応はとても重要といえます。
この記事では、パラダイムシフトの意味や例、企業がとるべき取り組みについてご紹介します。
目次 |
1│ パラダイムシフトとは? |
パラダイムシフトの意味や使い方、例を解説します。
1-1 パラダイムシフトの意味・使い方 |
パラダイムシフトとは、その時代の一般的な考え方が、革新的なアイデアの誕生によって変化することを意味します。
パラダイムシフトの「パラダイム(paradigm)」は、アメリカの科学者、哲学者であるトーマス・クーンの著書『科学革命の構造』の中で、科学論を定義する言葉として挙げられました。
その後、専門的だった「パラダイム」の定義は、「その時代の物事の見方・考え方」などに解釈が拡大され、科学に限らず、ビジネスや産業分野などの幅広い分野で使われるようになりました。
「パラダイム(paradigm)」に「移動」や「切り替え」を意味する「シフト(shift) 」がついた「パラダイムシフト」は、現在、「その時代の物事の見方が切り替わること」「画期的なサービスによって市場構造が変化すること」などの幅広い意味で使われています。
パラダイムシフトは、「パラダシムシフトが起きている」「パラダイムシフトしている」「パラダイムシフトが求められる」のように使われます。
1-2 パラダイムシフトの例 |
パラダイムシフトは、歴史的にも、近代でも、さまざまな分野で起こっています。
パラダイムシフトの例をご紹介します。
人類の長い歴史の中で、多くの科学者がさまざまな説を唱えてきました。ダーウィンの進化論、コペルニクス、ガリレオの地動説、ニュートンの万有引力など、唱えられてきた説がその時代において、「一般的な見方や考え方」を覆すことで、パラダイムシフトを起こしました。
総務省の調査によると、スマートフォンは2010年頃から急速に普及し始め、2020年においては約9割の世帯が保有しています。スマートフォンの普及に反するように、パソコンや固定電話の保有率が下がっていることも分かるでしょう。
参考:第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 -総務省-
従来の情報収集方法は、テレビや新聞が主でしたが、スマートフォンを使いインターネットにアクセスすることによって、瞬時に多くの情報を得られるようになりました。また、アプリを活用して自分の使いやすいようにカスタマイズできたり、SNSやチャットで相手とコミュニケーションが取れたりなど、「携帯電話」の考え方が一新されました。
世界的に見てキャッシュレス化が遅れている日本ですが、2010年から徐々にキャッシュレス化が浸透し、2021年には32.5%の比率になりました。
参考:キャッシュレス更なる普及促進に向けた方向性 -経済産業省-
キャッシュレス決済の場合、他者と接触がなかったり、現金を取り出す手間がかからなかったりする利便性などから、従来の「現金で物を買う」という考え方から「キャッシュレス決済で物を買う」という考え方にパラダイムシフトしているといえるでしょう。
2│ パラダイムシフトが加速している背景 |
パラダイムシフトが加速している背景には、次の3つが挙げられます。
・インターネットの普及 ・デジタル技術の発展 ・新型コロナウイルス感染症の流行 |
具体的に解説していきます。
2-1 インターネットの普及 |
1993年にインターネットが商用サービスとして開始され、1995年から2000年頃にかけて普及し始めました。1997年におけるインターネットの利用率は20%を下回っていましたが、2009年には80%近くにもなり、2020年には83.4%の数値を出しています。
参考:第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0 -総務省-
参考:第2部 基本データと政策動向 -総務省-
インターネットの普及は、情報収集方法や実店舗からオンラインショップへの販売方法の変化など、さまざまな事柄のパラダイムシフトにつながっています。
2-2 デジタル技術の発展 |
現代は、ネットワークの高速化や、AI、クラウドサービス、IoTの発展など、デジタル技術の進化が目覚ましいです。
デジタル技術が発展することで、仕事や私生活においての利便性が向上し、考え方や物事の捉え方が変化をもたらされるため、パラダイムシフトが起こります。
例えば、リモートワークの普及によって、「仕事は出社するもの」という考え方が変化しつつあるといえるでしょう。
2-3 新型コロナウイルス感染症の流行 |
新型コロナウィルス感染症の流行によって、非接触、非対面の生活スタイルが推奨されました。
その結果、現金の授受が発生しないキャッシュレス決済や、満員電車を避けるためのリモートワーク、実店舗に出向かない宅配サービスが一般化するなど、人々の生活スタイルに変化を生じさせました。
3│ ビジネスにおけるパラダイムシフトとは |
パラダイムシフトに対応することは、企業が存続し、安定したビジネスを行なっていくために重要です。
ビジネスにおけるパラダイムシフトの意味と、ビジネスで見られるパラダイムシフトの例をご紹介します。
3-1 ビジネスにおけるパラダイムシフトとは |
パラダイムシフトが起こると世の中の考えが変わり、いままで「当たり前だ」と思われていたものが変化します。発生した変化は消費者の行動に影響を与えるため、企業は変化に対応することが求められるでしょう。
企業が時代の流れの変化に気付かなかったり、従来のやり方に固執したりして、消費者の求める商品やサービスを提供できなかった場合、消費者離れが起き、経営の悪化から企業の存続危機に陥りかねません。
そのため、企業は時代の流れに敏感になり、パラダイムシフトの発生に応じた事業や経営方針を打ち立てることが大切です。
3-2 ビジネスにおけるパラダイムシフトの例 |
ビジネスにおけるパラダイムシフトの例をご紹介します。
従来は、家や車などを「所有」することが「価値」という考え方でしたが、シェアリングエコノミーやサブスクリプションなどのサービスが浸透し、自分が必要なときに利用できる「共有」に価値を見出す方が増えています。
例えば、普段車に乗らない方の場合は、カーシェアリングを活用することでガソリン代や維持費をかけずに車に乗ることができるでしょう。
サブスクリプションに関しては、定額制の動画配信サービスや服のレンタルを利用することで、DVDや服の置き場所に困らなかったり、お店に行く手間がかからなかったりするメリットを受けられます。
ITの発展により、働き方の多様化が進んでいます。従来は、「出社して仕事をする」「社員はみんな同じ時間帯に仕事をする」という働き方が一般的でしたが、デジタル技術が向上し続けている現代において、場所や時間にとらわれない働き方が浸透し始めています。
例えば、出社せずに自宅やカフェなどで仕事をするリモートワーク、出退勤時間を自由に決められるフレックスタイム制度、観光地で仕事をするワ―ケーションなどが挙げられるでしょう。
固定的な働き方の考えが覆された結果、採用活動においても多様な働き方に注目している求職者が多くいるため、企業は対応していくことが求められます。
IT革命によって、モノの性能や捉え方に対してもパラダイムシフトが起こりました。例えば、カメラはフィルムカメラからデジタルカメラ主流の時代となり、携帯電話にカメラ機能がついたことで、写真は携帯電話で撮れるという考えが広まりました。
また、テレビはアナログ放送からデジタル放送に移行し、テレビ画面だけでなく、携帯電話やカーナビ、パソコンなどでもテレビが見られるようになったため、「屋内でないとテレビが見られない」という認識がくつがえされたでしょう。
そのほか、交通系ICカードの普及によって、切符がなくても電車に乗れるようになるなど、モノのデジタル化やモバイル化はさまざまなパラダイムシフトを起こしました。
近年は、SDGsやESG投資など、環境に配慮した事業経営や、従業員の働きやすさを向上させる取り組みをする企業などが評価されるようになっています。
従来の企業価値は、財務情報によって考えられていましたが、現代は社会貢献の面や持続性など、非財務情報も重視されているため、企業の在り方にパラダイムシフトが起きているといえます。
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4│ 企業として対応すべきパラダイムシフトへの取り組み |
企業は自社が継続的に事業を行なっていくためにも、パラダイムシフトに対応することが重要です。
企業が行うべきパラダイムシフトに対する取り組みは、次の3つが挙げられます。
・多様な働き方への対応 ・人事評価制度の見直し ・採用手法と採用基準の見直し |
それぞれの取り組みについて詳しく解説します。
4-1 多様な働き方への対応 |
働き方に対してパラダイムシフトが起きている現代において、多様な働き方へ対応することは重要です。例えば、リモートワーク制度を設けた場合、育児や介護で出社が難しい従業員が継続して就業できるようになったり、採用活動時に出社ができない事情を抱える優秀な人材からの応募があったりするかもしれません。
多様な働き方を受け入れることで、従業員の働きやすさ向上につながり自社に対する満足度が高まると考えられます。また、採用活動においても、人材にとって魅力的に映る可能性が高いため、安定して人材確保ができるなどのメリットがあるでしょう。
リモートワークについて詳しくまとめた記事はこちら |
4-2 人事評価制度の見直し |
人事評価制度を見直して、自社の従業員に対する評価の公平性や透明性を高めていきましょう。働き方や働く時間が異なる多様な人材を受け入れる場合、既存の評価制度では公正な評価をつけられない可能性が高いです。
そのため、従業員から不平や不満が出ないような人事評価制度を確立し、従業員に周知することが求められます。
エンジニアの評価制度について詳しくまとめた記事はこちら |
4-3 採用手法・採用基準の見直し |
現在は売り手市場のため、企業は「待ち」の採用ではなく、「攻め」の採用を行う必要があります。ダイレクトリクルーティングを行い、求職者に対して積極的にスカウトメールを送ったり、SNSで個別にアプローチしたりして、優秀な人材を確保することが大切です。
また、多様な人材の受け入れを考えてリモートワーク制度を導入し、「出社」を必須としていた採用基準を緩和するなどの対応も求められるでしょう。
ブログ編集部
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