
残業時間の削減や有休の取得促進、勤務間インターバルの導入など、自社の働き方改革を進めたい企業は、「働き方改革推進支援助成金」を活用すると取り組みやすくなります。
2026年度(令和8年度)は5つのコースが用意されているため、自社に合ったコースを選びましょう。
この記事では、働き方改革推進支援助成金の概要や2026年度(令和8年度)の主な変更点、コース内容、申請の具体的な流れをご紹介します。
| この記事でわかる事 |
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・働き方改革推進支援助成金の概要 |
目次
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1.働き方改革推進支援助成金とは |
政府が行っている働き方改革推進支援助成金制度について、概要や2026年度(令和8年度)の主な変更点などをご紹介します。
参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」
(1)働き方改革推進支援助成金とは?
働き方改革推進支援助成金とは、労働時間の削減や有給休暇の取得促進などの職場環境改善に取り組む中小企業に対し、実費の一部を助成する制度のことです。
2026年度(令和8年度)は、下記5つのコースが用意されています。
働き方改革推進支援助成金の5つのコース
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「取引環境改善コース」は、トラックドライバーの時間外労働削減のために、荷待ち・荷役時間短縮に向けた取引環境整備を行った場合に、助成金の対象となります。
また、「団体推進コース」は、中小企業事業主の団体傘下の事業主が、雇用する労働者の労働条件改善のための取り組みを実施した場合、事業主団体に対して助成するコースです。
残り3つ「業種別課題対応コース」「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」の詳細は後述します。
(2)2026年度(令和8年度)の主な変更点と予算の注意点
2026年度(令和8年度)の主な変更点
2026年度(令和8年度)における、働き方改革推進支援助成金の主な変更点は下表のとおりです。
コースの新設や要件の緩和などがある一方で、廃止された措置等もあるため確認しておきましょう。
| 項目 | 対象コース | 変更内容 |
| ①賃上げ加算に係る倍加措置の追加 | 業種別・時短・インターバル |
賃上げの加算額を「通常の2倍」から「通常の2.5倍」に引き上げ |
| ②割増賃金加算の新設 | 業種別・時短・インターバル |
賃上げ加算に加え、割増賃金率の一定以上引き上げなどをした中小企業に対し加算 |
| ③取引環境改善コースの新設 | ー |
荷主等が運送業者の荷待ち等の時間短縮に取り組み、成果を上げた場合に助成 |
| ④成果目標「所定外労働時間の削減」の追加 | 業種別 |
制度導入だけでなく、労働時間削減も評価できるように成果目標として追加 |
| ⑤インターバルコースの交付・支給要件の緩和 | インターバル |
・制度適用対象者を労働者の1/2以上から1/4以上に緩和 |
| ⑥上限額の特例・倍加措置の廃止 | 業種別・時短・インターバル |
賃上げ加算における労働者30人以下・3%引き上げの倍加措置を廃止 |
| 団体 |
助成上限額を500万円に統一(1,000万円の助成上限額の特例を廃止) |
2026年度(令和8年度)のスケジュールと予算
2026年度(令和8年度)の申請受付期間は、「2026年(令和8年)4月13日(月)から同年11月30日(月)17時」です。
ただし、働き方改革推進支援助成金は国の予算額に制約されるため、期限前に受付を終了する可能性があります。
申請を検討している企業は、早めに申請したほうが安心です。
(3)注目される「勤務間インターバル導入コース」の拡充
「勤務間インターバル」とは、勤務終了後から次の勤務開始までに、一定時間以上の休息時間を設けることです。
勤務間インターバルは、従業員のプライベート時間や睡眠時間を確保し、心身不調や過重労働を防ぐために、2019年4月から企業へ制度導入が努力義務化されています。
前述のように、2026年度(令和8年度)は勤務間インターバル導入コースの支給要件が緩和、助成額の引き上げが行われました。すでに努力義務となっている背景もあるため、拡充されたこの機会に勤務間インターバルの導入を検討しましょう。
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2.企業が働き方改革に取り組む3つのメリット |

残業の削減や有休を取りやすい職場環境の構築といった働き方改革に取り組むと、次の3つのメリットを得られる可能性があります。
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どのようなメリットがあるのか、各項目を詳しく解説します。
(1)生産性が向上する
働き方改革によって従業員がワークライフバランスを保ちやすくなると、適切な睡眠時間の確保や趣味によるストレス発散などができるようになります。睡眠不足による集中力の低下や、ストレスからのモチベーション低下などが起きづらくなるため、生産性が向上するでしょう。
また、注意散漫によるケガ・事故のリスクも軽減可能です。心身の余裕は、労災回避や業務の質向上、クリアな思考によるアイデアの創出などさまざまな面でプラスに作用するでしょう。
(2)従業員の不調リスクを抑えられる
「休みたいときに休める」「業務効率化によって残業が減った」などの職場環境は、従業員のプライベートの時間を充実させられます。心身の疲労の回復はもちろん、趣味や家族との時間を確保できることで、リフレッシュにもつながるでしょう。
従業員が体調不良を起こすリスクが減れば、欠勤・休職を防止できて業務を円滑に進められます。また、従業員自身が長期的かつ意欲的に働けると、職場の活気や良好な雰囲気の醸成も期待できます。
(3)人材の定着や応募率の増加を図れる
働きやすい職場は、従業員にとってワークライフバランスを保ちやすく、心身への負担が少ないため、定着率が向上しやすいです。また、自社の人材定着率や働き方改革の取り組みについて求人票などに載せれば、求職者にとって魅力的に映り、応募が増える可能性があります。
人材が定着し、応募者も安定して獲得できる場合、人手不足による業務停滞を避けられるでしょう。ベテラン従業員が多く在籍することで、質の高い人材育成やスムーズな業務進行も実現でき、企業の成長スピードも加速します。
3.企業の課題に合わせて選べる3つの活用コース |
「従業員の年休取得が少ない」「残業が多く、従業員のプライベート時間を確保できない」など、企業によってさまざまな課題があります。
自社の課題に合ったコースを選べば、助成金を得ながら改善できるでしょう。
働き方改革推進支援助成金のうち、次の3つのコースについて支給要件をご紹介します。
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なお、助成額はいずれのコースも下記のとおりです。
助成額
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参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」
(1)業種別課題対応コース
業種別課題対応コースは、時間外労働の上限規制が適用されている業種や、長時間労働が課題となっている特定の業種の中小企業が対象です。
コースは、業種ごとに次の5つにわかれます。
業種別課題対応コースの対象業種
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業種ごとに選択できる成果目標は次のとおりです。
| 対象業種 | 成果目標・助成上限額 |
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建・運・病・砂・情 |
①時間外・休日労働時間数を月60時間以下に設定(または月60時間を超え月80時間以下) 最大上限額:250万円 |
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②所定外労働時間数を労働者1人あたり5時間以上削減 最大上限額:100万円 |
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③年次有給休暇の計画的付与を新たに導入 上限額:25万円 |
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④時間単位年休と1種以上の特別休暇を新たに導入 上限額:25万円 |
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⑤運送業等及び指定病院等は10時間以上、その他は9時間以上の勤務間インターバルを導入 最大上限額:170万円 |
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建 |
⑥週休2日制の推進(4週5日以上に休日を増やす) 最大上限額:100万円 |
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病 |
⑦医師の働き方改革の推進で下記を実施する 上限額:50万円 |
(2)労働時間短縮・年休促進支援コース
労働時間短縮・年休促進支援コースは、時間外労働の削減や年次有給休暇、特別休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業を対象としています。
例えば、「設備が古くて生産性が悪い」「手動で行っている労務管理のミスを減らしたい」などの課題がある企業は、利用を検討するといいでしょう。
| 対象事業主 | 成果目標・助成上限額 |
| ・労働者災害補償保険の適用を受けている中小企業事業主 ・年5日の年次有給休暇の取得に向けて、年休管理簿や就業規則等を整備している ・全ての指定事業場について、労働時間等設定改善法及び労働時間等設定改善指針に基づく措置の実施を事業実施計画に盛り込んでいる |
①時間外・休日労働時間数を月60時間以下に設定(または月60時間を超え月80時間以下) 最大上限額:150万円 |
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②年次有給休暇の計画的付与の導入 上限額:25万円 |
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③時間単位年休と1種以上の特別休暇を新たに導入 上限額:25万円 |
(3)勤務間インターバル導入コース
勤務間インターバル導入コースは、2019年4月から努力義務化されている勤務間インターバル制度の導入をサポートします。
インターバル制度の導入に向けて、「生産性を向上させられるようにシステムを導入したい」などのケースでも利用可能なため、積極的に活用するといいでしょう。
| 対象事業主 | 成果目標・助成上限額 |
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・労働者災害補償保険の適用を受けている中小企業事業主 |
【新規導入】(①に該当する事業場を有する場合) 新規に所属労働者の1/4を超える労働者を対象とする勤務間インターバルを導入する 最大上限額:150万円 |
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【適用範囲の拡大】(②に該当する事業場を有する場合) 対象労働者の範囲を拡大し、所属労働者の1/4または半数を超える労働者を対象とする 最大上限額:75万円 |
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【時間延長】(③に該当する事業場を有する場合) 所属労働者の1/4または半数を超える労働者を対象とし、休息時間数を2時間以上延長して9時間以上とする 最大上限額:75万円 |
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4.成果目標の設定と支給対象となる経費 |
「業種別課題対応コース」「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」の3つについて、成果目標の具体的な設定例や支給対象となる経費をご紹介します。
また、助成額の加算制度である「賃金の引上げ」「割増賃金率の引上げ」についてもまとめているため、ぜひご確認ください。
参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金申請パンフレット」
(1)成果目標の具体的な設定例
成果目標は、コースや業種によって異なります。
成果目標の具体的な設定例をいくつかご紹介します。
| 成果目標の設定例 | 実施内容例 |
| ①労働時間の削減 |
外部の専門家にコンサルティングを依頼し、業務プロセスの見直しを実施する |
| ②時間単位年休と1種以上の特別休暇を新たに導入 |
「年次有給休暇を1時間単位で取得できること」の就業規則への記載と、「病気休暇」「ボランティア休暇」などの特別休暇の導入および規定を行う |
| ③勤務間インターバルの新規導入 |
業務効率化のためにITツールを取り入れ、作業時間を短縮化。就業規則を改定したうえで勤務間インターバル制度を導入した |
(2)支給対象となる経費
働き方改革推進支援助成金は、改善事業を実施し、成果目標を達成することで支給を受けられます。
改善事業(支給対象となる取組)は、下記のとおりです。
改善事業(支給対象となる取組)
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(3)「賃金引き上げ加算」による助成額の最大化
各コースの成果目標に加えて、「労働者の時間当たり賃金額の引き上げ」と「所定割増賃金率の一定以上の引き上げ」も加算制度として適用可能です。
加算制度も活用すると、助成額を最大化できるでしょう。
「賃金の引上げ」の上限額の加算
| 引上げ率/引上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 |
| 3%以上引上げ | 6万円 | 12万円 | 20万円 | 1人当たり2万円 (上限60万円) |
| 5%以上引上げ | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人当たり8万円 (上限240万円) |
| 7%以上引上げ | 36万円 | 72万円 | 120万円 | 1人当たり12万円 (上限360万円) |
※常時使用する労働者が30人超の場合は上表。10人以上30人以下の場合は、達成した成果目標の助成上限額に上表の5%及び7%以上の引上げについて2倍の上限額が加算される(10人未満の場合は2.5倍)。
「割増賃金率の引上げ」の上限額の加算
| 要件 | 加算額 |
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月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げること |
25万円 |
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月45時間を超えて月60時間以内の時間外労働時間に係る所定割増賃金率を5割以上とし、交付申請後から事業実施予定期間の終期までに、いずれか1か月における時間外労働の時間数を、交付申請日の属する月を基準として労働者1人あたり10時間以上削減すること |
75万円 |
5.助成金の申請から受給までの具体的な流れ |

働き方改革推進支援助成金の申請から受給までの流れは、下記になります。
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申請の流れを解説します。
参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金申請パンフレット」
(1)交付申請書の作成と労働局への提出
まずは、交付申請書を作成し、都道府県労働局へ提出します。労働局が交付もしくは不交付を決定し、通知を受領してから改善事業を実施します。
交付申請前に「改善事業」の契約などをした場合、助成対象外となるためタイミングには注意が必要です。交付決定がされるまでは「見積もり」までにとどめておきましょう。
また、交付申請から改善事業を実施し、交付額の確定に至るまで、平均5~6か月程度かかります。支給申請には期限があるため、計画的に進めることが大切です。
なお、2026年度(令和8年度)の交付申請期限は、2026年(令和8年)11月30日(月)17時(必着)です。
(2)働き方改革推進支援センターの無料相談
働き方改革推進支援助成金に関する取り組みについて、不明点や質問が生じた場合は、働き方改革推進支援センターへ相談することをオススメします。
働き方改革推進支援センターは、長時間労働の是正や賃金引上げなどの課題に対応しています。社労士等の専門家が1回2時間程度、3回を標準として企業への無料訪問相談を行い、解決方法の提案などをしてくれるため、成果目標の達成がしやすくなるでしょう。
(3)事業実施報告の完了と助成金の受給
事業実施期間が終了したら、助成金の支給申請を行います。成果目標が未達の場合、助成金は支給されません。また、実施期間中に事業を廃止した場合も助成金の対象外です。
支給の申請期限は、2026年度(令和8年度)の場合、コースごとに下記の日程になります。
支給申請期限
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なお、場合によっては、助成金の受給後に次の3点についても手続きが必要です。
| 必要な手続き | 発生するパターン | 手続きの期限 |
| 消費税仕入税額控除額の確定報告 | 税込額で支給を受けた場合等 |
消費税・地方消費税の申告後速やかに |
| 賃上げ加算の状況報告 | 成果目標として追加した場合 |
「6箇月後基準日」から起算して30日以内 |
| 財産処分の申請 | 取得した財産を売却等する場合 |
処分前にあらかじめ |
6.まとめ |
働き方改革推進支援助成金を活用すると、取り組みに応じて助成金を得られるため、自社の労働条件や職場環境を改善しやすくなります。
長時間労働の削減やワークライフバランスを保ちやすい休暇の導入などは、従業員の働きやすさ向上につながり、人材の定着率も高まると考えられます。
ぜひ働き方改革推進支援助成金を活用して、資金面での負担を軽減しながら制度や職場環境の整備に取り組みましょう。
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