近年注目されるようになった「オンボーディング」。新入社員の早期退職に悩まれている企業様の中には、このオンボーディングの導入を検討されている人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、「オンボーディング」について、目的や導入方法、具体的な実施手順を解説します。
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1.オンボーディングとは? |
オンボーディングの定義と目的について解説します。
(1)オンボーディングの定義
オンボーディングとは、新入社員が組織にスムーズに適応し、業務を迅速に開始できるようにサポートするプロセスです。具体的には、企業文化や業務内容の理解、必要なツールの使い方、チームとの関係作りなどが含まれます。このプロセスは、従業員が長期的に成功できる土台を築くための重要なステップです。
(2)オンボーディングの目的と重要性
オンボーディングの主な目的は、新入社員が早期に業務に慣れ、成果を上げられるようサポートすることです。これにより、社員のエンゲージメントが高まり、早期離職率の低減や生産性の向上が期待できます。また、企業文化や価値観への共感を促し、長期的なキャリア形成をサポートすることも大切な目的です。効果的なオンボーディングは、社員が自信を持って業務を進められるようにし、組織への忠誠心を育みます。
2.オンボーディングが企業に与える4つの効果 |
オンボーディングが企業にもたらす主な効果は次の4つです。
・従業員のエンゲージメント向上 ・定着率の改善と離職率の低減 ・生産性向上と業績向上 ・企業文化の強化 |
それぞれの効果が企業に与える影響を見ていきましょう。
(1)従業員のエンゲージメント向上
オンボーディングは、新入社員が役割を理解し、企業文化に慣れるための最初のステップです。これによって、社員は業務に対する意欲が高まり、企業へのコミットメントも強化されます。結果として、職場の活気が増し、モチベーションも向上します。
(2)定着率向上と離職率低減
効果的なオンボーディングは、新入社員が早期に職場に適応できるようサポートします。初期段階でしっかり支援することで、社員の満足度が向上し、早期離職のリスクが減少します。企業文化の理解が深まることで、社員は長期的に働きたいという意欲が高まります。
(3)生産性向上と業績向上
質の高いオンボーディングにより、新入社員は早い段階で業務に必要なスキルを習得し、自信を持って業務に取り組めます。その結果、生産性が向上し、業績にも良い影響を与えることができます。
(4)企業文化の強化
オンボーディングは、企業文化や価値観を新入社員に伝える重要なプロセスです。早い段階で企業文化に適応できるよう支援することで、組織の一体感が生まれます。社員が企業のビジョンやミッションに共感し、その実現に貢献できると感じることは、文化を強化するための重要なステップです。
3.オンボーディングの導入方法と実践的な手順 |
オンボーディングの導入方法と実践的な手順を解説します。
(1)計画段階での準備
効果的なオンボーディングを実施するためには、事前の準備が不可欠です。まず、オンボーディングの目的を明確にし、新入社員が直面するであろう課題や質問を予測して準備します。必要な準備項目は以下の通りです。
・オンボーディングのスケジュールを作成 ・必要なリソース(ツール、マニュアルなど)を準備 ・担当者やメンターの決定 |
(2)初日のオンボーディング
初日は新入社員の第一印象を決定づける重要な日です。オンボーディングを成功させるために、初日には以下の内容を実施しましょう。
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・オリエンテーションを実施し、企業のビジョンや文化を伝える
・チームメンバーを紹介し、リラックスできる自己紹介を行う
・デスク周りの準備とウェルカムイベントを実施する
(3)初週のオリエンテーション
初週は新入社員が業務を理解するための基礎を築く重要な時期です。この期間中に以下の内容を実施しましょう。
・業務フローやツールの紹介 ・メンターとの定期的なミーティング ・他部門との交流を深め、相互理解を進める |
(4)進捗確認とフィードバック(30日、60日、90日)
オンボーディングは短期間で終わらせるものではありません。進捗確認を行い、定期的なフィードバックを提供することが大切です。
・30日目:初期段階の適応度を確認し、課題に対応 ・60日目:業務スキルの向上度を評価 ・90日目:パフォーマンスレビューとキャリア開発の議論 |
(5)オンボーディングの振り返りと改善
オンボーディング終了後に、実施した内容について振り返りを行い、改善点を見つけて次回に活かすための意見交換を行いましょう。
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4.オンボーディングを成功に導く6つの重要ポイント |
オンボーディングを成功させるための6つの重要ポイントをご紹介します。
(1)事前準備をしっかり行う
オンボーディングは、実施前の準備をしっかりと行うことが重要です。オンボーディングの実施やプログラムを関連部署へ事前に伝えられていなかった場合、新入社員の入社当日に社員間でいざこざが生じるなどし、新入社員のモチベーションを下げることにつながりかねません。
オンボーディングの事前準備が十分な場合は、社員間の連携がとれており、新入社員の教育もスムーズに行える可能性が高いため、新入社員の成長速度を高められるでしょう。
(2)組織全体で新入社員をサポートする
オンボーディングは人事担当者のみでなく、組織全体で新入社員をサポートすることが求められています。そのため、新入社員が困っているようであれば積極的に声をかけたり、気遣ってあげたりすることが大切です。
また、新入社員は誰に相談をしていいのか分からず、最初は戸惑うことが考えられます。相談ケースごとに担当者の名前や内線番号を伝えておくことで、頼れる先が示されていることから安心につながるでしょう。
(3)教育体制の整備
新入社員が業務や社内ルールを早期に身につけるために、教育体制を整えます。たとえば、いつでも見返せるようにマニュアルを作成し、渡しておいたり、社内ルールや文化を見られる社内サイトを伝えておいたりするといいでしょう。
また、OJTやOff-JTを実施し、実務や業界全般の知識を深めさせることも、新入社員の成長に効果的でしょう。同じ業務でも、教育者によりやり方などの内容が異なると、新入社員を困惑させてしまうため、教育者同士の認識をそろえておくことが大切です。
(4)組織内の期待値をすり合わせる
組織内には多くの部署があるため、新入社員に対する期待値もさまざまです。また、新入社員も入社にあたり、企業様に求めている期待値があるため、お互いの期待値にギャップがある場合、新入社員に「この企業は自分には合わない」と思われてしまいかねません。
まずは組織内の新入社員に対する期待値をすり合わせ、新入社員が企業に対して抱いている期待値もヒアリングし、お互いに齟齬がないようにしましょう。期待値の齟齬がなくなればギャップの発生も抑えられるため、新入社員の意欲的な成長につながるオンボーディングを実施できる可能性があります。
(5)目標を細かく設定する
新入社員に長期的な達成を目指した大きな目標のみを与えた場合、すぐに成果が見られなかったり、難しさを感じたりして、業務に対するモチベーションが低下する恐れがあります。
そのため、目標を細かく設定し最終目標の達成を目指すスモールステップ法を取り入れ、新入社員に小さな成功体験を積み重ねさせることで、モチベーションの維持や意欲的な行動につなげられるでしょう。
(6)定期的にフィードバックする
新入社員の言動を見て、できている点や改善すべき点をフィードバックすることで、新入社員の自信につながり、業務の生産性が向上する可能性があります。
新入社員はさまざまな業務や社内ルールを覚え、実施していきますが、初めてのことの場合、やり方が合っているのか、できているのかが分からないでしょう。また、より効率的に行える方法がほかにあるかもしれません。
適宜フィードバックすることで、新入社員が自身を客観視することにつながり、さらなる成長を促せるでしょう。
5.オンボーディング導入時の課題とその解決策 |
オンボーディングプロセスは新入社員の成功に大きく影響しますが、導入時にはいくつかの注意点や課題が伴います。これらをうまく乗り越えることで、オンボーディングをより効果的に実施でき、従業員が長期的に活躍できる環境を提供することができます。以下では、オンボーディングを導入する際の注意点と課題について、具体的な解決方法を提案します。
(1)過剰な情報提供を避ける方法
新入社員にとって、オンボーディング初期段階での情報量は多すぎると混乱を招く可能性があります。過剰な情報提供は、社員が必要な情報を整理する時間を奪い、圧倒されることにも繋がりかねません。そこで、情報提供には戦略的なアプローチが求められます。
・情報を段階的に提供
初日は基本的な情報(会社のビジョン、役割、社内規定など)に絞り、以降は業務に関連した具体的な情報を少しずつ提供します。1週間目は業務の流れや必要なツールに焦点を当て、1ヶ月目からは個別の業務に関する詳細を伝えると良いでしょう。
・優先順位をつける
重要な情報から順に伝えることで、社員が急に全てを覚えようとする負担を減らせます。最初の2〜3日で学ぶべき核心的なポイントを絞り、それ以降に補足的な情報を追加します。
・情報へのアクセスを確保する
新入社員が自分のペースで情報を振り返り、再確認できるリソース(例えばオンラインマニュアルやFAQ)を用意することで、過剰な情報を一度に与えずに済みます。
(2)リソース不足や人員不足による課題
オンボーディングは多くのリソースや人員が関わるプロセスであり、リソースや人員不足によって十分なサポートが行き届かない場合があります。特に中小企業やリソースが限られている企業にとって、オンボーディングの実施は大きな負担となることがあります。
・効率的なオンボーディングツールの導入
オンボーディングソフトウェアやクラウドベースの学習管理システム(LMS)を導入することで、リソースを節約しつつ、情報提供や進捗確認を自動化できます。これにより、手作業による負担を減らし、担当者が従業員に対して直接的なサポートを行う時間を確保できます。
・メンター制度の活用
既存の社員をメンターとして指名し、オンボーディングプロセスをサポートしてもらう方法も有効です。メンターは、新入社員の疑問に答え、定期的に進捗をチェックする役割を担います。これにより、管理職や人事部門の負担を軽減できます。
・オンボーディングの優先順位付け
すべての新入社員に対して完全に手厚いサポートを行うことが難しい場合、重要な業務に従事する社員を優先し、段階的にサポートを提供する方法も検討しましょう。
(3)オンラインとオフラインのオンボーディングのバランス
リモートワークが普及する現代において、オンラインとオフラインのオンボーディングのバランスを取ることが重要です。オンラインオンボーディングには効率的に情報を提供するメリットがありますが、対面での交流がないと企業文化への理解が深まりにくいという課題もあります。
・オンラインコンテンツの充実
オンラインで提供するコンテンツ(例えば動画やウェビナー)は、柔軟に視聴できるため、社員が自分のペースで学ぶことができます。オンラインツールを活用して、研修資料やチェックリスト、FAQなどを提供しましょう。
・対面での交流の重要性
オンラインオンボーディングがメインとなる場合でも、定期的な対面の交流やビデオ通話を組み合わせて、チームとのコミュニケーションや企業文化への適応を促進することが重要です。ウェルカムイベントや1対1のミーティングを設けることで、孤立感を防ぎます。
・ハイブリッド形式の導入
オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド形式でのオンボーディングを行うことで、効率性と個別のサポートを両立できます。オンラインで基礎的な知識を提供し、オフラインで実務的な経験や文化的な理解を深めることができます。
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6.まとめ |
オンボーディングとは、企業が採用した社員に対して行う教育プログラムのことで、早期に職場に慣れて戦力となってもらうことを目的として導入されます。
オンボーディングに取り組むと、社員の定着率が上がったり、組織力が向上したりするメリットがありますが、準備に手間がかかるなどのデメリットもあるため、注意が必要です。
組織全体で新入社員をサポートし、改善点などを適切にフィードバックして、オンボーディングを成功させましょう。オンボーディング以外に早期離職を防ぐ施策もあるため、オンボーディングと併せて実施することをオススメします。
#オンボーディング
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