ジョブ型雇用とは?定義やメンバーシップ型との違い、メリット・デメリットを解説!

Posted by type部(法人企業マーケティング担当) on May 29, 2024 9:15:00 AM

Topics: 法律・制度

日本の働き方はこれまで、年功序列や終身雇用、新卒一括採用といった考え方が根付いていました。しかし、時代の変化とともにグローバル化が進み、ここ数年で働き方に対する価値観も多様化しました。

そんな中で、日本で主流とされていきた「メンバーシップ型」といわれる雇用システムから欧州で主流の「ジョブ型」に切り替える企業が大手を中心に増えており、現在注目を集めています。

本記事ではジョブ型雇用とはどのような制度なのか、注目が集まる背景、そしてメンバーシップ型雇用との違いやジョブ型雇用のメリット・デメリットについてご紹介します。

 

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   1.ジョブ型雇用とは

 

ジョブ型雇用人事制度とは、明確な仕事内容(職務)に対して、適した人材を採用する制度です。

雇用において、職務記述書(ジョブディスクリプション)といわれる、職務内容・ポスト・責任範囲と権限・勤務地・雇用時間・必要なスキル・資格・経験・評価方法・評価基準 等を詳細に記載したもの作成し、雇用契約を結びます。

契約条件の範囲内で働いてもらうことが前提のため、別部署への異動や他拠点への転勤、昇進・降格が基本的に無いのも特徴です。

 

 

 

   2.ジョブ型雇用が注目されている背景

 

┃2-1 終身雇用制度や年功序列をはじめとする日本型雇用習慣の限界

1929年の世界大恐慌の時代にパナソニックの創業者松下幸之助が始め定着させた終身雇用制度ですが、時代の変化とともに、経済状況の悪化や労働者の減少などの要因から終身雇用を維持することが難しい企業が増え、導入企業が年々減少傾向にあります。

また、終身雇用に付随して根付いた年功序列型の賃金体系も、能力がある人が正統に評価がされないことで優秀人材のモチベーション低下を招いたり、成果主義の会社へと流動してしまうリスクがあります。

こうした日本型雇用習慣の崩壊が要因のひとつです。

 

 

┃2-2 少子高齢化に伴うダイバーシティの高まりと推進

少子高齢化による労働力人口の減少を受けて注目を集めたのが、市場の要求の多様化に応じて多様な人材を雇用し最大限の力を発揮させようとする考え方である『ダイバーシティ』です。日本では特に、外国人や女性、シニア層の労働参加率向上への取り組みを本格化させています。

異なる立場・価値観を持つ従業員が増え、働き方に対するニーズも多様化する中で、雇用契約が明確に定義されたジョブ型雇用はダイバーシティを推進していく中で相性が良く、注目を集めています。

 

 

┃2-3 コロナ禍におけるリモートワーク(在宅勤務)の普及

新型コロナウイルス感染症の拡大によって日本国内でも働き方としてリモートワーク(在宅勤務)を導入する企業が急速に増えました。対面から非対面での業務になったことで、個々の勤務実態や仕事の過程が見えづらくなり、マネジメントや評価が以前より難しくなりました。そんな中で、職務内容や評価基準が明確で、成果で評価を行えるジョブ型雇用はリモートワークにマッチしており、導入する企業が増えています。

 

 

┃2-4 優秀人材の獲得競争とDX化

優秀な人材の獲得競争激化も要因の一つです。特に、IT業界をはじめとする専門性の高い分野で活躍している人材は希少価値が高く、日本のみならず世界中から必要とされています。また近年、日本国内のDX化推進に伴いIT業界以外でも専門スキルを有する人材が必要とされており、国内外で獲得競争が激しくなっています。

こうした状況下で外資系企業も交えた獲得競争に対応するために、グローバルスタンダードであるジョブ型雇用制度を導入し、必要としているスキルを有する人材に好条件を提示できる環境を整えています。

 

 

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   3.メンバーシップ型雇用とは

 

ジョブ型雇用と対照的な雇用システムが「メンバーシップ型雇用」です。年功序列や終身雇用を前提とした、日本で根付いている雇用システムで「日本型雇用」とも呼ばれています。

主に新卒をはじめとする潜在的なポテンシャルを有した人材を採用し、その後、適材適所で仕事を割り振り、部署移動や転勤などで職務をローテーションさせながら知識やスキルを身に着けさせ人材育成を図る方針の雇用システムです。

 

 

 

   4.ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い

 

以下、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の比較です。それぞれの特徴と違いを見てみましょう。

  ジョブ型 メンバーシップ型
仕事内容 職務記述書(ジョブディスクリプション)で明確に規定 明確に定められていない
キャリア形成 専門性が高まる マルチスキルが身につく
評価・給与 業務内容・成果に基づき決定 年功序列や役割など総合的判断
人材の流動性 高い(解雇が比較的容易) 低い(解雇は厳しく制限)
採用形態 経験者採用(通年採用) 新卒一括採用
 

 

 

 

   5.ジョブ型雇用導入の企業メリット・デメリット

 

┃5-1 メリット① 専門性の高い人材を採用・育成できる

ジョブ型雇用では、予め仕事内容に必要なスキルや経験などを提示し職務にマッチする人材を集うため、専門性の高い人材を採用することができます。

また、職務記述書に明記された範囲外の職務は行うことが無いため、より職務に専念できる環境が整っており専門性を高めることが可能です。

評価も仕事の遂行能力(成果)に対して行われ給与が決定するため、自発的にスキルを身に着ける風土が醸成されやすく、個人パフォーマンスの高い組織形成が可能です。

 

 

┃5-2 メリット② 組織の生産性を高め、業務効率化が叶う

適材適所で人材配置ができるため、個々の能力が発揮されやすく組織の生産性向上に繋がります。また、予め職務範囲や責務を明確化し募集を行うことで、不要な業務が可視化されやすくなり業務効率化が叶います。

 

 

┃5-3 メリット③ リモートワーク(在宅勤務)制度と相性が良い

仕事の遂行能力(成果)に対して評価を行うため、個々の勤務実態や仕事の過程が見えづらいリモートワーク環境においても、マネジメントや公平な評価がしやすく相性が良いです。

 

 

┃5-4 デメリット① 流動性が高いため、長期的な雇用・人材育成には不向き

ジョブ型雇用は終身雇用を前提としていないため、自社よりもより良い条件が整っている会社やキャリア形成が叶う会社があれば転職されるケースも多く、長期的な雇用や人材育成には不向きです。

 

 

┃5-5 デメリット② 会社都合の配置転換や柔軟な職務追加が難しい

ジョブ型雇用は予め詳細な職務内容を提示して採用を行うため、採用後は範囲外の職務依頼を行うことはできません。会社都合での部署移動や転勤といった配置転換も不可能です。

 

 

┃5-6 デメリット③ 帰属意識が芽生えづらく、組織の一体感が育みづらい

ジョブ型雇用では自身の担当業務のみに専念するため、チーム内で協力し合いながら業務に取り組むといった意識が芽生えにくく、組織の一体感を感じづらい一面もあります。

 

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   6.ジョブ型雇用の導入企業事例3選

 

以下、具体例としてジョブ型雇用制度を導入した企業の事例をご紹介します。

 

┃6-1 株式会社日立製作所

2020年8月に社員30万人にジョブ型人材マネジメントの運用を始めることで大きな話題を呼んだ株式会社日立製作所は、2020年4月から「ジョブ型」雇用・採用を一層強化。これまで技術系職種で希望の事業分野への配属を確約する「ジョブ型」採用を行っていたが、一部のジョブを対象に学歴別一律の初任給額ではなく、対象の技能、経験および職務の内容などを考慮した、個別の処遇設定を行うことが可能な環境を整備。2021年春には管理職を対象にジョブ型雇用制度を導入した。

 

┃6-2 KDDI株式会社

KDDI株式会社は2020年8月より、新人事制度として「KDDI版ジョブ型」人材マネジメントを導入。働いた時間ではなく、成果や挑戦および能力を評価・称賛し、処遇へ反映することを目的としている。

KDDIジョブ型 5つの考え方
市場価値重視、成果に基づく報酬
職務領域を明確化し、成果、挑戦、能力を評価
Willと努力を尊重したキャリア形成
KDDIの広範な事業領域をフル活用した多様な成長機会の提供
「企業の持続的成長」と「ともに働く人の成長」

 

┃6-3 富士通株式会社

富士通株式会社は2020年4月より幹部社員を対象にジョブ型人事制度を導入。従来の制度と比較して「人」ではなく、グローバルに統一された基準により「ジョブ」(職責)の大きさや重要性を格付けし、報酬に反映。より大きな職責にチャレンジすることを促し、そこで成果を上げた人をタイムリーに報いることを目的としている。

「ジョブ」(職責)は、売上などの定量的な規模の観点に加えて、レポートライン、難易度、影響力、専門性、多様性等の観点から、職責の大きさ/重要性の観点から格付けされる。この格付けはFUJITSU Levelと呼ばれ、給与はFUJITSU Levelに基づいた金額で支給する仕組みで統一されている。

最後までお読みいただきありがとうございました。

少しでもお役立ていただけますと幸いです。

 

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