人事戦略の意味とは?戦略の立て方と活用できるフレームワークを解説!

Posted by type部(法人企業マーケティング担当) on Sep 11, 2024 10:00:00 AM

Topics: 01_採用基礎知識

人事戦略とは、人事に関する業務を改善し、組織の生産性向上を目指す戦略を意味しますが、「策定フローがわからない」「活用できるフレームワークを知りたい」と悩む人事担当者も少なくありません。

この記事では、人事戦略の意味と立て方、活用できるフレームワークと策定のポイントをまとめているため、ぜひご参考にしてください。

 

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   1.人事戦略とは

人事戦略の意味と、「人材人事」「戦略人事」との違いを解説します。

 

 

 

(1)人事戦略の意味

人事戦略とは、採用活動や人材育成・配置など、人事に関する業務を改善し、組織の生産性向上を目指す戦略を意味します。

例えば、「自社が求める人材を採用できない」「社員の育成が成果に結びつかない」などの人事に関する悩みや課題がある場合は、人事戦略を策定すると解決できる可能性があります。

 

 

 

(2)人材戦略との違い

人材戦略は、人事戦略と同様の意味です。「人材戦略」「人事戦略」ともに、英語で「Human resources strategy」と表記します。

日本の企業の多くは、人材に関する業務を行う部署を「人事部」と称しているため、「人材戦略」よりも「人事戦略」と使ったほうがわかりやすいでしょう。

 

 

 

(3)戦略人事との違い

戦略人事とは、企業の経営目標の達成を目指して人材採用や配置などを行うことです。戦略人事は「戦略的人的資源管理」とも呼ばれます。

人事戦略との違いは、企業の経営まで踏み込み、企業にとって必要な経営資源のひとつである「ヒト」の観点から課題解決のための戦略を立てる点です。

経営に関する人事活動であれば戦略人事、人事業務の効率化や生産性向上を目指した人事活動であれば人事戦略と考えると、わかりやすいかもしれません。

 

 

 

   2.人事戦略を策定する理由

働き方改革や労働力人口の減少、新型コロナウィルスの蔓延など、世の情勢は変化し、働く人の仕事に対する考え方や価値観も変化しています。

例えば、ワークライフバランスがとれる働き方を求めたり、リモートワークで働くことを望んだりする求職者が多い場合は、採用活動で自社の働きやすさをアピールすると、採用成功できる可能性を高められるでしょう。

効果的な採用活動や社員の育成など、自社の生産性を高めるための行動を起こすには、人事戦略を立て、施策を打ち出していくことが重要です。

 

 

 

   3.人事戦略の立て方

人事戦略の立て方は、次の4つのステップです。

・経営戦略の理解
・人事戦略の策定
・人事施策の検討
・人事施策の優先順位付け

人事戦略の立て方を解説します。

 

 

 

(1)経営戦略の理解

まずは、経営戦略を理解しましょう。

人事戦略は、経営目標や自社のマーケット状況などを理解し、連動させて立てることで、目標達成するために人事がすべきことが明確になります。

 

 

 

(2)人事戦略の策定

経営戦略を理解したら、人事戦略を策定していきます。

人事戦略は、最終目標(KGI)と中間目標(KPI)を立てると、数値として具体的に成果を分析できるため、管理や評価がしやすくなるでしょう。

 

 

 

(3)人事施策の検討

目標達成するための人事施策を実行し、効果を検証していきます。フレームワークを用いて自社の課題を可視化すると、人事施策を打ち出しやすくなるでしょう。

人事施策は、情報収集を行うことで有効的な課題解決策が見つかる可能性があります。また、固定観念にとらわれず、柔軟な発想で施策を考えることも大切です。例えば、「OJTのほうが効率的に育成できる」と思い込んでいる場合は、OFF-JTも試してみると、質の高い教育によって社員のスキルやモチベーションが向上するかもしれません。

 

 

 

(4)人事施策の優先順位付け

洗い出した人事施策に優先順位を付けていきます。すべての施策を実行するのは予算の関係で難しいと考えられるため、目標達成に向けて優先して実行すべき施策を検討します。

予算を管理、決定する経営層などから予算に関して了承を得ておくと、施策をスムーズに実行できるでしょう。

 

 

 

   4.人事戦略に使えるフレームワーク

人事戦略を立てる際には、自社の現状を把握し、課題を明確にすることが求められます。

人事戦略に使えるフレームワークを5つご紹介します。

・SWOT分析
・TOWS分析(クロスSWOT分析)
・ロジックツリー分析
・根本原因分析
・CATWOE分析

 

 

 

(1)SWOT分析

SWOT(スウォット)分析は、自社の状況を強み(Strength)、弱み(Weakness)という内部環境と、機会(Opportunity)、脅威(Threat)という外部環境から分析するフレームワークです。

  プラス要因 マイナス要因
内部環境

強み(Strength)

機会(Opportunity)
外部環境

弱み(Weakness)

脅威(Threat)

 

【強み(Strength)】
自社や商品の長所(例:ワークライフバランスがとりやすい)

【弱み(Weakness)】
自社や商品の短所(例:給与が他社と比べて低い)

【機会(Opportunity)】
社会や市況の変化などで自社にプラスとなる要素(例:ワークライフバランスを重視する求職者が多い)

【脅威(Threat)】
社会や市況の変化などで自社にマイナスとなる要素(例:少子化)

 

 

 

(2)TOWS分析(クロスSWOT分析)

TOWS(トゥーズ)分析とは、クロスSWOT分析とも呼ばれるフレームワークで、SWOT分析で洗い出した内容から具体的に施策を考える際に活用できます。

TOWS分析(クロスSWOT分析)では、SWOT分析の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)という4項目を下記のように組み合わせます。

  内部環境

強み(Strength)

弱み(Weakness)
外部環境

機会
(Opportunity)

強み × 機会

弱み × 機会

脅威
(Threat)

強み × 脅威

弱み × 脅威

 

【強み(Strength) × 機会(Opportunity)】
強みや機会を最大に活かし、積極的な戦略を練っていく

【強み(Strength) × 脅威(Threat)】
脅威に自社の強みで対処する

【弱み(Weakness) × 機会(Opportunity)】
自社の弱みを補完するために機会を利用する

【弱み(Weakness) × 脅威(Threat)】
脅威を最小化する

 

 

 

(3)ロジックツリー分析

ロジックツリー分析とは、ひとつの問題に対して木が枝分かれしていくように課題を掘り下げていき、解決策を探すフレームワークです。左から右に枝分かれさせていき、右にいくにつれてより具体的な方法になるようにします。

人事戦略においては、例えば「3年以内に社員を100名にする」から「中途採用で30人確保する」と「離職率を10%未満にする」に枝分かれし、それぞれ「採用サイトの作成」や「労働環境の整備」などとさらに解決策が具体的になっていきます。

ロジックツリー分析を活用すると、解決策を可視化できるため、全体像の把握につながったり、優先順位をつけやすかったりします。

 

 

 

(4)根本原因分析

根本原因分析とは、問題の原因を特定し、再発防止を図るために活用できる手法です。原因がわからない場合に根本原因分析を実施すると、特定できる可能性があります。

例えば、自社の高い離職率の原因を特定したい場合は、従業員にアンケートを取ったり、退職者にヒアリングしたりして、収集した情報を分析すると、根本原因が特定できるかもしれません。

根本原因が判明したら、解決策を実施してきましょう。

 

 

 

(5)CATWOE分析

CATWOE(キャトウ)分析は、状況分析や課題の深掘りに活用できるフレームワークです。

「CATWOE」のアルファベットは、それぞれ下記を意味します。

Customers:問題や解決策の影響を受ける人
Actors:問題の実行者
Transformation process:問題解決に必要なプロセス
World view:問題解決に影響を与える価値観
Owner:問題の責任者
Environmental cunstraints:問題解決に影響する外的要因

 

例えば、人員不足で採用活動を行なっている企業の場合、次のように当てはめられます。

Customers:現場社員
Actors:採用担当者
Transformation process:人材を確保する
World view:企業の価値観
Owner:経営層
Environmental cunstraints:多数の競合他社

 

「現場社員」を「人員不足で仕事が大変な現場社員」、「企業の価値観」を「実力主義」「ポテンシャル重視」などと具体的に当てはめると、状況分析がしやすくなります。

 

 

 

   5.人事戦略策定のポイント

人事戦略策定のポイントは、次の4つです。

・企業の目的・価値・文化を明確化する
・職務・役割を明確化する
・人材配置・異動を見直す
・評価・処遇を見直す

ポイントをそれぞれ解説します。

 

 

 

(1)企業の目的・価値・文化を明確化する

人事戦略の策定において、自社の目的・価値・文化・存在意義・社会への影響を見直し、明確にします。

現代は変化が激しく、インターネットが急速に発展したり、働き方が多様化したりしています。顧客のニーズも変化しているため、自社のことを深く理解し、求める人材の採用や適した人材育成をして、時代に対応できる組織になるように戦略を立てていく必要があるでしょう。

 

 

 

(2)職務・役割を明確化する

従業員の職務や役割を明確化すると、従業員の評価がしやすくなったり、従業員ごとに適した教育を行えたりします。従業員のスキルアップを図れる教育を実施できると、人手不足の市況で採用活動を行わなくても企業の生産性を高められる可能性があります。

また、従業員も自分の職務や役割が明確になることで、自分の仕事に意義を感じ、モチベーションが向上するかもしれません。

 

 

 

(3)人材配置・異動を見直す

従業員にモチベーション高く業務を行なってもらうには、能力や個性を発揮しやすい部署へ配置することが重要です。適材適所へ従業員を配置するには、従業員一人ひとりのスキルや適性を把握しておくことが求められます。

また、従業員が自分の能力を発揮できる部署がわかるように、ジョブローテーションを導入するといいでしょう。異動願いが出しやすい環境を整備することも大切です。

 

 

 

(4)評価・処遇を見直す

評価制度や処遇を見直し、経営目標や計画と乖離していないか確認します。経営目標を達成できても、評価制度が低めに設定されていては従業員の意欲を削いでしまうため、評価や処遇が目標などに適しているかを見直すことが求められます。

また、公平な評価で従業員に納得感を抱いてもらえるように、上司や部下、同僚など複数人から評価される「360度評価」を取り入れることもオススメです。

 

 

 

   6.まとめ

人事に関する業務を改善して、組織の生産性を高める戦略を意味する人事戦略は、効果的な採用活動や社員の育成のために策定することが求められます。

ご紹介したフレームワークを人事戦略を立てる際に活用すると、自社の現状の把握や課題の発見につながる可能性があるため、取り入れてみてください。

変化の激しい現代だからこそ、経営戦略と連動させた人事戦略を策定し、自社の生産性を高めていきましょう。

 

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