フォロワーシップは、社員(フォロワー)がリーダーを補佐するように主体性をもって行動したり考えたりすることを意味しており、管理職の負担軽減につながるなどの理由で現在注目を集めています。
フォロワーシップを育成したいと考えている企業は、「リーダーシップ」や「メンバーシップ」と混同しないように、違いを把握しておきましょう。
この記事では、フォロワーシップの意味や代表例、必要な能力をまとめているため、ぜひご参考にしてください。
目次
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1-1 フォロワーシップの意味
1-2 リーダーシップとの違い
1-3 メンバーシップとの違い -
2-1 人手不足による管理職の負担増加
2-2 ビジネス環境の変化 -
3-1 組織やチームの活性化
3-2 信頼関係の構築
3-3 モチベーションアップによる生産性の向上 -
4-1 模範的フォロワー
4-2 孤立型フォロワー
4-3 順応型フォロワー
4-4 消極的フォロワー
4-5 実務型フォロワー -
5-1 積極的に仕事を引き受ける
5-2 自分の考えや意見をしっかり伝える
5-3 自分の行動を客観的に捉え、検証する
5-4 他者に完璧を求めない
5-5 協調性があり、他者の気持ちを汲み取る
5-6 視野を広く持ち、全体への貢献を考える
5-7 ポジティブ思考で物事を捉え行動する -
6-1 自分のフォロワータイプを知ってもらう
6-2 研修を実施する
6-3 クリティカルシンキングを意識してもらう
6-4 自分なりの意見を持ってもらう
6-5 積極的にコミュニケーションを取る
1.フォロワーシップとは |
フォロワーシップの意味と、混同されやすい「リーダーシップ」「メンバーシップ」との違いを解説します。
(1)フォロワーシップの意味
フォロワーシップとは、リーダーのもとで仕事を行う社員(フォロワー)が、リーダーを補佐するように主体性をもって行動したり考えたりすることを意味します。「フォロワーシップ」という言葉は、カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の著書『The Power of Followership』で初めて紹介されました。
フォロワーシップの例として、リーダーの考えが誤っているときに臆することなく指摘したり、サポートが必要なときにはリーダーやメンバーを助けたりすることが挙げられます。
フォロワーシップは、自分のポジションでできることを最大限行うことのため、全社員が身につけられると企業の成長につながるでしょう。
(2)リーダーシップとの違い
リーダーシップとは、社員個人が企業全体にポジティブな影響を与えることを意味します。例えば、目的に向かってメンバーをまとめ、引っ張っていく行為がリーダーシップに該当するでしょう。
リーダーシップを発揮する社員を補佐し、ほかのメンバーが目的に向かって行動できるように促すフォロワーの行為が、フォロワーシップです。
(3)メンバーシップとの違い
メンバーシップとは、リーダーやフォロワーといったポジションに関係なく、個々に与えられた役割を果たすために力を発揮することです。
主にリーダーを補佐するフォロワーシップは、フォロワーというポジション上「フォロワーシップ」という名称ですが、メンバーシップの一部ともいえます。
2.フォロワーシップが注目されている背景 |
フォロワーシップが現在注目されている背景には、人手不足による管理職の負担増加や、ビジネス環境の変化があります。
フォロワーシップが注目されている背景を解説します。
(1)人手不足による管理職の負担増加
現在の日本は少子高齢化の影響で人手不足に陥っているため、マネジメントをしながら現場の業務も担うプレイングマネージャーとなる管理職が増えてきています。
プレイングマネージャーとなる管理職が増えると、部下や後輩の育成、業務管理などのマネジメントにリソースを割くことが難しくなるでしょう。
フォロワーシップは、負担が大きい管理職の手助けとなり、業務過多による心身の疲労を軽減させられる可能性があるため、組織にフォロワーシップが求められています。
(2)ビジネス環境の変化
ITの発展や顧客ニーズの多様化、新型コロナウィルス感染症の蔓延によるリモートワークの普及など、近年はビジネス環境が大きく変化し続けています。
企業がビジネス環境の変化に対応するには、リーダーの意思のみで物事を決めるのではなく、メンバーの考えや意見も取り入れ、最善策を模索していくことが重要です。
そのため、リーダーへ自発的に意見を伝えたり、能力を十分に活かしたりするフォロワーシップが、現在注目されています。
3.フォロワーシップの発揮で得られる3つの効果 |
フォロワーシップを発揮すると、次の3つの効果を得られます。
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得られる効果を具体的に解説します。
(1)組織やチームの活性化
フォロワーシップが組織やチームで発揮されると、補佐を得たリーダーが自分の役割により注力できるようになるため、目標達成へ向けて業務を進めやすくなります。
また、一人ひとりのメンバーが自発的に動くことで、組織やチーム内の業務に対する姿勢が活性化され、能動的な業務を実現できるでしょう。
(2)信頼関係の構築
フォロワーシップを発揮し、リーダーと同じ目線で物事を捉え、意見ができると、リーダーは自身と同じように目標達成を目指す存在だと認識できるため、メンバーに対し信頼感が高まります。メンバーもリーダーを信じているからこそサポートを行うため、お互いに強い信頼関係が構築できるでしょう。
組織やチーム内で信頼関係が構築されれば、円滑で建設的なコミュニケーションを取れ、相手の顔色を伺って意見が出せない、間違っているのに指摘できないといったマイナスな状態を避けられます。
(3)モチベーションアップによる生産性の向上
リーダーがひとりですべてのメンバーに業務の目的を理解させ、行動に移させることは難しい可能性があります。フォロワーシップを発揮する社員がいれば、リーダーの意思をメンバーに伝えたり、メンバーの業務や精神面をサポートしたりできるため、目標達成に近付くだけでなく、メンバーのモチベーションアップも期待できます。
モチベーション高く業務に取り組むメンバーが増えれば、自分事として物事を捉える、業務効率化を図るなど、ポジティブな行動を起こせる組織やチームになり、生産性が向上するでしょう。
4.フォロワーシップの5つのタイプ |
「フォロワーシップ」という言葉を初めて紹介したロバート・ケリー教授によると、フォロワーシップは「批判的思考」と「積極的関与」という2つの軸があり、それぞれの意味は下記のとおりです。
フォロワーシップの2つの軸①批判的思考 ②積極的関与 |
フォロワーシップの2つの軸は、さらに「模範的フォロワー」「孤立型フォロワー」「順応型フォロワー」「消極的フォロワー」「実務型フォロワー」の5つのタイプにわけられます。
(1)模範的フォロワー
模範的フォロワーは、批判的思考と積極的関与がともに高いフォロワーで、リーダーが誤っていると感じたときには建設的な批判をし、正しいと感じたときには積極的に協力します。
フォロワーとしての模範的な存在で、リーダーに厚い信頼を寄せられやすいでしょう。
(2)孤立型フォロワー
孤立型フォロワーは、批判的思考が高く、積極的関与が低い、評論家的存在のフォロワーです。
リーダーの指示や意見に対して建設的な批判や提言を行いますが、業務に積極的に関与しようとしないため、チームや組織での行動に向いていない傾向があります。
(3)順応型フォロワー
順応型フォロワーは、批判的思考が低く、積極的関与が高いフォロワーです。
リーダーに忠実に従うため、自分の考えがなかったり、イエスマンだと捉えられたりすることがあります。また、指示がなければ動けない「指示待ち人間」であるケースも多いです。
(4)消極的フォロワー
消極的フォロワーは、批判的思考と積極的関与がともに低いフォロワーで、リーダーに対し建設的な批判や提言をしない、業務にも積極的に関与しないといった特徴があります。
チームや組織へ貢献しようとしない、フォロワーとは呼べない存在といえます。
(5)実務型フォロワー
実務型フォロワーは、批判的思考と積極的関与のどちらかへ偏ることがない、中立的な立場のフォロワーです。
自分に与えられた仕事はきちんとこなしますが、ほかの仕事に対しては積極的に関わろうとせず、挑戦意欲が低い傾向があります。
5.フォロワーシップの代表例・必要な能力 |
フォロワーシップがある人材はどのような行動をとるのか、代表例は次の7つです。
・積極的に仕事を引き受ける |
上記の思考や行動は、フォロワーシップを発揮するのに必要な能力でもあります。
それぞれの項目を具体的にご紹介します。
(1)積極的に仕事を引き受ける
フォロワーシップのある人は、積極的に仕事を引き受け、リーダーをサポートしたり、組織に貢献しようとしたりします。
状況を把握し、自分がどのような行動をとるべきかを考えて実行できるため、周りの社員にも積極性が生まれるなどのよい影響を与え、組織やチームを活性化させるでしょう。
(2)自分の考えや意見をしっかり伝える
自分の考えや意見を持ち、必要な場面で相手にしっかりと伝えられることは、フォロワーシップがあるといえます。フォロワーシップがある人は、せっかくよい考えや意見を持っていても、相手に伝えなければ実現の機会を得ず、企業にとって損失となることを理解しているため、積極的にアイデアを提案するでしょう。
また、考えや意見を伝える際には、客観的事実を示すなどして、説得力のある話し方ができます。
(3)自分の行動を客観的に捉え、検証する
フォロワーシップがある人は、自分の行動を客観的に捉え、組織やチームに貢献できているか、周りにプラスとなる影響を与えられているかを検証します。
自らの行動を顧みて、組織やチームにとってマイナスな言動があれば改めるなどして、よりよい職場環境やチームプレーを実現していきます。
(4)他者に完璧を求めない
他者に完璧を求めず、適切なフォローを行うことは、フォロワーシップに必要な能力です。状況や体調などによってミスをしたり、業務が捗らなかったりすることは誰にでもあり、過度に叱責すると相手の業務に対する姿勢が消極的になる恐れがあります。
フォロワーシップを発揮できる人は「完璧な人間などいない」と理解しているため、メンバーの状況を把握し、ミスや業務進捗の遅れを防止するようにフォローします。
(5)協調性があり、他者の気持ちを汲み取る
組織やチームはさまざまな人と協力しながら業務を遂行するため、協調性をもち、他者の気持ちを汲み取りながら仕事を進められる人はフォロワーシップがあるといえます。
他者の立場や考え、気持ちを尊重し、お互いに気持ちのよいコミュニケーションを取れることで、チームワークの強化や信頼関係の構築につながるでしょう。
(6)視野を広く持ち、全体への貢献を考える
フォロワーシップがある人は、視野を広く持っているため、リーダーやチームメンバーのみでなく組織全体への貢献を考えられます。
組織全体へ貢献する仕事ができれば、企業の成長につながり、さらなる発展が期待できるでしょう。また、組織全体に目を向けられることで、フォロワーの意識が変わり、リーダーシップ能力が向上する可能性もあります。
(7)ポジティブ思考で物事を捉え行動する
フォロワーシップを発揮できる人は、常にポジティブ思考で物事を捉え、行動に移しています。例えば、リーダーの意見をただ否定するのではなく、よりよくなる方法を提案するなど、チームの利益となる行動をとるでしょう。
前向きな考えや行動はメンバーにもポジティブな意識を芽生えさせ、一体感をもって業務に取り組めたり、挑戦意欲を高められたりします。
6.フォロワーシップを育成するコツ |
組織やチームにおいてフォロワーシップはとても重要なため、社員のフォロワーシップを育成していくことが求められます。
フォロワーシップを育成するコツは、下記の5つです。
・自分のフォロワータイプを知ってもらう |
5つのコツをご紹介するため、社員のフォロワーシップ育成にお役立てください。
(1)自分のフォロワータイプを知ってもらう
社員に自分のフォロワータイプを知ってもらいましょう。フォロワータイプを把握できれば、自分に足りないことや模範的フォロワーになる方法を理解できるため、具体的な行動に移せる可能性があります。
例えば、順応型フォロワーの社員の場合は、リーダーの意見を自分なりに考え、思考したことを伝えるようにすると、批判的思考を養うことにつながります。
(2)研修を実施する
フォロワーシップを発揮するといっても、リーダーにとってフォロワーシップとなる行為がわからない社員もいるかもしれないため、フォロワーシップの理解を深められるような研修を実施することをオススメします。
例えば、メンバーがリーダーの立場を経験できるような研修を実施すると、リーダーがメンバーに求めることを深く理解できる可能性が高いです。研修で学んだことは、実際にメンバーとして業務を進める際に活かせるでしょう。
(3)クリティカルシンキングを意識してもらう
順応型のフォロワーばかり育成され、リーダーに対して意見を言う者がいなくなった場合、間違った道に進むなどして大きなトラブルや損失を招きかねません。
本質を見抜きながら仕事を進めるには、クリティカルシンキング(批判的思考)が大切です。そのため、社員がクリティカルシンキングを身につけられるように、リーダーの考えや意見に対して「本質は別にあるのではないか」「本当に合っているのか」を常に意識させましょう。
(4)自分なりの意見を持ってもらう
クリティカルシンキングを意識しても、考えを自分のなかだけに留めていてはフォロワーシップを発揮できていません。リーダーにとって適切な補佐とは、自分なりの意見や考えを伝え、業務を進めていく最善の方法を一緒に模索することといえるでしょう。
自分の意見を客観的な視点から伝えるようにすると、業務効率化や改善案の発見につながるなどして、チームや組織へ貢献できます。
(5)積極的にコミュニケーションを取る
日頃から社員同士が積極的にコミュニケーションを取り、良好な人間関係を築いておくと、言いづらいことも言い合えるようになると考えられます。リーダーに対して批判的な意見を伝えるなどのフォロワーシップを発揮するには、リーダーとメンバー、メンバー同士などが活発なコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくことが重要です。
メンバーがさらに意見を言いやすいように、リーダーは仕事の方針や指示を出すだけでなく、メンバーへ積極的に意見を求め、貴重な意見として受け止めるようにしましょう。
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