
フラット型組織とは、管理職が少なく、階層が平面的(フラット)な組織構造のことです。
従来の階層型組織(ピラミッド型)とは異なるメリットがありますが、体制を整えたうえで移行しないと組織運営に悪影響が出るかもしれないため、ポイントを押さえておくことが大切です。
この記事では、フラット型組織の意味やメリット・デメリット、成功させるための対策、ほかの組織構造との違いをご紹介しています。ぜひご参考にしてください。
| この記事でわかる事 |
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目次
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1-1 フラット型組織構造の特徴
1-2 従来の階層型組織(ピラミッド型)との違い -
2-1 ティール組織
2-2 ホラクラシー組織
2-3 アジャイル組織 -
3-1 従業員の責任感が向上する
3-2 コミュニケーションが活性化する
3-3 意思決定までのスピートが速くなる
3-4 人件費を削減できる
3-5 現場の意見が反映されやすくなる -
4-1 情報連携の難易度が上がる
4-2 管理者の負担が増加する
4-3 情報漏洩のリスクが上がる
4-4 規模が拡大すると組織の統制が取りづらい -
5-1 情報連携方法の整備
5-2 従業員のスキルアップ・育成を強化
5-3 段階的にフラット型組織構造を目指す
5-4 キャリアパスや評価制度の整備
5-5 管理者の業務を分散させる体制の構築 -
6-1 事業部制組織
6-2 機能別組織(職能別組織)
6-3 マトリクス組織(マトリックス組織)
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1.フラット型組織とは?ピラミッド型組織との違い |
フラット型組織の意味と、従来の階層型組織(ピラミッド型)との違いを解説します。
(1)フラット型組織構造の特徴
フラット型組織とは、管理職が少ない組織形態のことです。管理職の階層が平面的(フラット)であるため、「フラット型組織」または「フラット組織」と呼ばれます。
管理職が少ないフラット型組織は、上下関係はありつつも管理職と従業員の距離が近くなるため、従業員が意見を出しやすいです。また、管理職が少なくなることで、従業員一人ひとりに与えられる権限が大きくなるという特徴もあります。
(2)従来の階層型組織(ピラミッド型)との違い
従来の階層型組織(ピラミッド型)とは、管理職の階層が深い構造の組織のことです。例えば「社長・部長・課長・係長・一般社員」のような階層になります。上位の階層ほど人数が少なく、下位ほど多いという構造から「ピラミッド型」とも呼ばれており、多くの企業が該当するでしょう。
特徴は、上位の管理職が意思決定をするトップダウン型であることです。下位層の従業員は権限が小さく、アクションを起こすのに上への確認が必要なため、意思決定のスピードが遅くなる傾向があります。一方、指揮命令系統が確立しており、責任の所在が明確な点はメリットとして挙げられます。
フラット型組織と階層型組織の主な違いについて、下表にまとめました。
| フラット型組織 | 階層型組織 | |
| 組織形態 | 管理職が少なく平面的 | 管理職の階層が深いピラミッド型 |
| 権限 | 分散している | 上位階層に集約 |
| 意思決定 | ボトムアップ | トップダウン |
| 業務の進め方 | 柔軟かつ自律的に遂行 | 指揮命令下で計画的に遂行 |
2.フラット型組織の主な種類 |

フラット型組織には、以下の3種類があります。
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それぞれの特徴をご紹介します。
(1)ティール組織
ティール組織とは、従業員一人ひとりが共通目標に向けて自律的に行動する組織のことです。階層構造(ヒエラルキー)を持たないのが特徴で、上位者から管理や指示をされなくても自ら意思決定し、アクションを起こします。
「ティール組織」は、組織コンサルタントのフレデリック・ラルー氏が著書『Reinventing Organizations』で提唱しました。同氏は組織の段階を5つの色で分類し、「ティール(Teal:青緑色)」を「ひとつの生命体のように進化した組織」として最終段階に位置づけています。
(2)ホラクラシー組織
ホラクラシー組織とは、役職や階級が存在せず、役割によってまとめられた「サークル」と呼ばれるチームが能動的に活動する組織形態です。
ホラクラシー組織はティール組織の一部ですが、完全に自由に活動するのではなく、サークルの結成や変更などのルールを定めた「ホラクラシー憲法」に従うという特徴があります。ルールに沿って意思決定をするため、組織の方向性をブラさずに柔軟な業務進行が可能です。
「ホラクラシー」は、哲学者であるアーサー・ケストラーがつくった「ホロン(個々の仕事に対して決定権を持つ小さなグループ)」と「ホラーキー(ホロンが有機的に関係しあっている状態)」が語源といわれています。
(3)アジャイル組織
アジャイル組織は、現場に権限を持たせることで、業務進行や改善、意思決定を迅速化させる組織のことです。権限が従業員に分散されており、各従業員が状況に応じて自律的かつ柔軟に行動できるため、変化の激しい現代に適しているといえます。
一方で、現場へすべての権限を与えるわけではありません。また、手順が決められており正確性が求められる業務では、スピード感のあるアジャイル組織が向かないケースもあります。
「アジャイル(agile)」の意味は、英語で「素早い」「機敏」などです。システム開発の手法「アジャイル開発」の概念を取り入れています。
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3.フラット型組織の主なメリット |
フラット型組織には、次のようなメリットがあります。
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各メリットを解説します。
(1)従業員の責任感が向上する
フラット型組織は、管理職が少ない分、各従業員の裁量が大きくなります。そのため、従業員は「自分の判断による影響」をより強く意識するようになり、業務に対する責任感や意欲が向上するでしょう。
また、ほどよいプレッシャーはモチベーションを高め、円滑な業務進行や目標達成に向けた思考・改善アクションも促進すると考えられます。自律的な行動は従業員の成長もかなえられ、結果として自社に対する満足度と生産性アップにもつながるでしょう。
(2)コミュニケーションが活性化する
上下関係が厳しくなく、フラットな関係を築けるフラット型組織は、従業員同士のコミュニケーションが活性化します。心理的安全性が高く、意見やアイデアを話しやすい環境は、的確な意思決定やイノベーションの創出につながる可能性が高いです。
管理職との距離が近い点では、従来の組織構造では上位者に届けづらかった声も届けやすくなるため、職場改善などのスピードも上がるでしょう。「管理職と直接話せる」という環境は、心理的にも安心感や納得感があります。
(3)意思決定までのスピードが速くなる
管理職が少なく、上位の管理職にすぐに話がとおるフラット型組織は、意思決定までのスピードが速いです。
階層型組織の場合、一階層ずつ上位者に話が伝達されていくため時間がかかります。また、伝言ゲームのようになって正しく伝わらないケースもあるでしょう。
迅速な意思決定ができれば、ビジネスチャンスを他社よりも先に掴めるかもしれません。トラブル対応もスムーズになり、さらなる信頼喪失や被害拡大も防止可能です。
(4)人件費を削減できる
管理職は一般社員よりも給料が高いため、管理職が多いと人件費もかさみ、企業の経営を圧迫する恐れがあります。
フラット型組織は管理職が少なく、人件費の削減が可能です。また、管理職が少ないということは「年功序列で自動的に昇進の機会がある」わけではないといえます。勤続年数ではなく実績やスキルが評価されて昇進できるシステムは、従業員のモチベーションを高め、パフォーマンスの向上も期待できます。
(5)現場の意見が反映されやすくなる
フラット型組織は、従業員一人ひとりの権限が大きいため、現場の意見も意思決定に反映されやすいです。働き方や業務、職場環境、社内制度など、さまざまな面で現場の声もとおるようになれば、働きやすさの向上や業務効率化を迅速に叶えられます。
現場の意見がきちんと聞き届けられる組織は、従業員に「言っても無駄」という諦念を抱かせず、活発な意見の創出につながります。組織に対する信頼や期待も強まり、人材が定着しやすくなるでしょう。
4.フラット型組織の主なデメリットと課題 |

フラット型組織にはさまざまなメリットがありますが、デメリットもあるため注意が必要です。
下記のデメリットや課題について、詳しく解説します。
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(1)情報連携の難易度が上がる
階層型組織の場合、「上位の管理職から下位の管理職へ」伝達すれば、直属の上司から部下へ情報共有されます。一方、フラット型組織は管理職が少ないため、「関連するメンバーへ一斉に情報共有する」手段を確立しておかないと、スムーズな連携が難しいです。
また、各従業員が自律的に意思決定や行動をすることで、組織の目標に対する方向性が乱れる、従業員によってケースごとの対応が異なるなどの望ましくない事態も招きかねません。
(2)管理者の負担が増加する
管理職の仕事は、組織の目標達成を目指すこと、部下を育成することなど多岐にわたり、部下の精神面のフォローも求められます。
管理職の人数が少ないほど、一人ひとりがマネジメントする部下の人数が増加するため、管理職の負担が大きくなりがちです。特に、「管理職が経営者のみ」というフルフラットな組織は、経営者に多大な負荷がかかるでしょう。
負担が大きくなりすぎると、部下の統制がとれなくなる、管理職自身が精神的な疲れから仕事を続けられなくなるなどのネガティブな影響があります。
(3)情報漏洩のリスクが上がる
フラット型組織は、従業員一人ひとりの裁量が大きく、意思決定などの重要な権限も持つため、機密情報も共有する必要があります。一方、機密情報を知る・扱う人材が増えれば増えるほど、人的ミスやサイバー攻撃、悪意ある行動などにより、情報漏洩のリスクが高まるでしょう。
顧客情報といった機密情報が漏れた場合、自社の社会的な信用が失墜する恐れがあります。自社の新規事業などまだ公表していない情報が外部に流出すると、ビジネスチャンスが潰れてしまうかもしれません。
(4)規模が拡大すると組織の統制が取りづらい
各従業員が自律的に業務を行うフラット型組織は、規模が拡大した場合に組織の統制が取りづらくなります。従業員を俯瞰する管理職が少ないため、各従業員が何をしているかの状況把握が難しく、まとまりがない組織になるかもしれません。
また、従業員に責任感が芽生えやすい組織形態のため、組織が大きくなるほどプレッシャーが増し、自分の業務に一極集中することも考えられます。悪いことではありませんが、周りが見えなくなって独走した場合、組織運営に支障を来す恐れがあるでしょう。
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5.フラット型組織の運用を成功させるための対策 |
「流行っているから」「良い組織運営ができると聞いたから」のように、安易にフラット型組織へ移行しようとすると、前述のようなデメリットが生じる恐れがあります。
そのため、フラット型組織を目指す際には、下記5つの対策を施すことが重要です。
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フラット型組織の運用を成功させられるように、ぜひご参考にしてください。
(1)情報連携方法の整備
従業員が必要な情報を必要なタイミングで手に入れられるように、情報連携の方法を整備しましょう。例えば、次のような方法が挙げられます。
情報連携方法の例
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クラウドや各種ツールは、誰もがアクセス・閲覧できる設定にしておくと、情報共有がスムーズです。また、定期的にミーティングを実施し、雑談も交えたコミュニケーションの場とすれば、良好な人間関係の構築にもつながります。
(2)従業員のスキルアップ・育成を強化
フラット型組織は、従業員の自律的な行動が求められるため、従業員のスキルアップや育成を強化することが重要です。具体的には、研修の実施や現場での実践などで、知識・スキル、機密情報の取り扱い方法などを身につけさせましょう。全体を見渡せるリーダー人材を育成できれば、組織の統制もとりやすくなります。
また、従業員の精神的な面でのセルフマネジメント力を高めることも大切です。フラット型組織は、従業員一人ひとりの責任が大きくなります。プレッシャーから心身に不調を来さないように、実務と両面からフォローしましょう。
(3)段階的にフラット型組織構造を目指す
フラット型組織にするために管理職を一斉になくした場合、社内に混乱をもたらすでしょう。急に意思決定権を与えられた従業員は戸惑い、通常業務に支障を来す可能性が高いです。
そのため、段階的にフラット型組織構造を目指すことが大切です。まずはフラット型組織の概要や必要性などを全従業員に説明します。その後、「情報の透明度を上げる」「従業員の意思決定の場を増やす」「管理職の業務の一部を部下が行う」など、部分的に組織構造を変えていきましょう。
ポイントは、経営層が積極的に関わることです。例えば、経営層しか知らない情報をオープンにすると、従業員のなかで組織改革への意欲が向上する可能性があります。
(4)キャリアパスや評価制度の整備
管理職が減る分、昇進によって就ける役職が少なくなるため、従業員はキャリアパスを描きづらくなります。すでに管理職の人材は、自分の役職が廃されることに対して反発を抱き、離職に至るケースもあるでしょう。
従業員のモチベーション低下や離職防止のために、新たなキャリアパスや評価制度を整備することが求められます。例えば、専門的なスキルを極めていくキャリアコースなど、さまざまなコースを用意すれば、従業員も自分が目指したいキャリアを見出しやすくなるでしょう。
また、上司が部下を評価する体制だった場合は、上司だけでなく同僚や後輩なども評価する「360度評価」を取り入れると、客観性が増して本人の納得感も高まります。
(5)管理者の業務を分散させる体制の構築
フラット型組織は管理職の負担が大きくなりがちなため、管理職の業務を分散させる体制の構築や、ITツールの活用をすると軽減につながります。
具体的には、次のような体制が挙げられます。
管理職の業務分散の例
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管理職が受け持つメンバーの人数を最初に決めておく、リーダー人材を選任しておくなども効果的です。管理職が少なくても組織統制がとれるように、管理職自身のマネジメント力を高める研修も併せて行うといいでしょう。
6.フラット型組織以外の組織構造 |

フラット型組織、階層型組織(ピラミッド型)のほかにも、複数の組織構造があります。
ほかにどのような組織構造があるのか、下記3つについて解説します。
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(1)事業部制組織
事業部制組織とは、事業部ごとに事業を運営する組織形態のことです。本社のもとにエリアやサービスごとにわかれた「A事業部」「B事業部」などが存在し、各事業部が本社とは独立して組織を運営します。企業規模の拡大によって支店や事業部が増加し、本社のみで管理できなくなった際に、事業部制組織となるケースが多いです。
メリットは、事業部ごとの運営のため、意思決定が迅速であり業務を効率的に遂行できる点です。一方で、本社や事業部間の連携がとりにくいデメリットもあります。
(2)機能別組織(職能別組織)
機能別組織(職能別組織)とは、「人事」「営業」などの機能(職能)で部署が編成されている組織形態です。各部署が機能(職能)ごとの役割を全うすることで、組織の円滑な運営につながります。
特徴は、意思決定権はトップに集約されていることです。指揮命令系統が一元化されている点はメリットである一方、経営者は部署を横断した判断が求められるため、負担が大きいでしょう。部署間の連携がとりにくく、トラブル発生時には責任の所在が曖昧になるリスクもあります。
(3)マトリクス組織(マトリックス組織)
マトリクス組織(マトリックス組織)とは、「職能」「エリア」「事業」など、複数の組織形態がかけ合わされた構造の組織のことです。従業員は「職能」「エリア」のように2つの形態に所属するのが特徴で、例えば「営業」「東京」の場合、「営業部」「東京事業部」の所属となります。
メリットは、従業員の業務幅が広いため、他部署とのコミュニケーションも生じやすく、連携強化につながる点です。デメリットは、指示系統が2つになることで、従業員の判断が難しくなる点です。業務も複数になるため、業務量や人間関係のストレスから、精神的な負担が増加するでしょう。
7.まとめ |
フラット型組織とは、管理職が少ない組織構造のことです。フラット型組織になると、従業員の責任感の向上やコミュニケーションの活性化というメリットを得られる可能性があります。
一方で、従業員への情報共有の方法やキャリアパスなどの整備が不十分な場合、連携不足による業務の停滞や従業員のモチベーションの低下といったネガティブな事態を引き起こすでしょう。
ほかにも複数の組織構造があるため、フラット型組織との違いや各特徴を比較しながら、「自社に適した組織構造」を目指すことをオススメします。
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