企業の採用活動や経営において、雇用する人材や従業員への対応によっては、政府が設けている助成金制度の対象になる可能性があります。
この記事では、企業が採用・雇用時に受け取れる助成金を一覧にしてまとめているため、助成金に該当するか知りたい企業や、助成金を利用して採用・雇用を行いたい企業は、ぜひご参考にしてください。
※記載されているのは2023年11月時点の情報になります。最新の情報や要件などの詳細については、各助成金の紹介最後に記載しております厚生労働省のホームページをご確認ください。
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1.採用・雇用時に受け取れる助成金一覧 |
採用・雇用時に受け取れる助成金は、大きく下記の5つに区分されます。
・雇用維持関係の助成金 |
各区分の助成金の内容や主な支給要件、支給金額などをまとめているため、自社が利用したい助成金の内容をご確認ください。
企業の状況や制度の規定によって支給対象となるかや支給額が変わるため、さらに詳細な支給要件等は厚生労働省が出している支給要領を確認することをオススメします。
(1)雇用維持関係の助成金
雇用維持関係の助成金には「雇用調整助成金」があります。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、経済上の理由によって事業縮小を余儀なくされた事業主が、雇用維持のための休業や教育訓練、出向に要した費用を助成する制度です。
支給要件 |
①雇用保険の適用事業主である ・【休業】労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施される(被保険者について1時間以上実施されるものであっても可) ⑤過去に雇用調整助成金を受けた事業主の場合、直前の対象期間の満了日翌日から1年を超えている(※雇用調整助成金(コロナ特例)の支給を受けた事業主は、助成金が支給された最後の判定基礎期間末日の翌日から1年を超えていること) |
支給額 |
【休業の場合】 【教育訓練の場合】 【出向の場合】 ※1人1日当たり8,490円を上限 |
支給申請期日 |
支給対象期間の末日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「雇用調整助成金」
参考:厚生労働省「制度概要リーフレット(令和5年10月16日現在版)」
(2)在籍型出向支援関係の助成金
在籍型出向支援関係の助成金には、「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」があります。
産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)
在籍型出向によって労働者のスキルアップを行い、復帰後の賃金を出向前と比較して5%以上上昇させた事業主(出向元)に対して、出向中に負担した賃金の一部を助成します。
支給要件 |
①出向元事業所が雇用保険適用事業所である ※その他詳細は、厚生労働省が公開している「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)ガイドブック」をご参照ください。 |
支給額 |
以下のいずれか低い額に助成率をかけた額(最長1年まで) 【助成率】 ※1人1日あたり8,490円を上限 |
支給申請期日 |
対象労働者の出向の復帰後、初めて到来する賃金支払日が属する月から6か月間(賃金上昇確認期間)の最後の賃金支払日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」
(3)再就職支援関係の助成金
再就職支援関係の助成金は、「労働移動支援助成金(再就職支援コース)」「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」の2つです。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)
事業の縮小等により離職を余儀なくされる労働者に対し、職業紹介事業者に再就職支援を委託したり、求職活動のための休暇を付与したり、再就職のための訓練を教育訓練施設等に委託したりした事業主に助成金が支給されます。
支給要件 |
①雇用保険適用事業所の事業主である ・生産量(額)、販売量(額)または売上高等の事業活動を示す指標が、対前年比10%以上減少している(今後の見込みでも可) ③中小企業以外の事業主の場合、職業紹介事業者への委託による再就職支援の対象者が30 人以上である |
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支給額 |
※支給対象者1人当たりの金額 【再就職支援を職業紹介事業者に委託する場合】
※1委託料について、委託開始時の支払額が委託料の1/2未満であることなどの条件を満たした場合 ・訓練の実施 ・グループワークの実施 【求職活動のための休暇を付与する場合】 【再就職のための訓練を教育訓練施設等に委託する場合】 |
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支給申請期日 |
再就職が実現した日以降、助成対象期限(離職日の翌日から6か月※45歳以上の場合は9カ月)の翌日から2か月以内 |
参考:「労働移動支援助成金(再就職支援コース)」
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)
再就職援助計画などの対象者を離職後3か月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れ、継続雇用することが確実である事業主に対して助成されます。
支給要件 |
①出向元事業所が雇用保険適用事業所であること |
支給額 |
【令和4年12月2日以降に提出された再就職援助計画等の対象者を雇い入れた場合】 ・優遇助成 ・賃金上昇加算 |
支給申請期日 |
対象者の雇入れ日から6か月を経過した日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」
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(4)転職・再就職拡大支援関係の助成金
転職・再就職拡大支援関係の助成金は、「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)」の2つがあります。
中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)
中途採用者の雇用管理制度を整備したうえで、中途採用率を20ポイント以上上昇させるなど、中途採用の拡大を図る事業主に対して助成されます。
支給要件 |
①中途採用者の雇用管理制度の整備や中途採用の拡大に取り組む期間(1年間)にかかる中途採用計画を作成し、管轄の労働局に届け出ること ・対象労働者を2人以上雇入れること ③労働者を、中途採用により期間の定めのない労働者(パートを除く)として雇入れること ④労働者を、雇用保険の一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れること |
支給額 |
【中途採用率の拡大】 【45歳以上の中途採用率の拡大】 ※上記2つの計画期間が重複する場合、いずれか一方のみ支給される |
支給申請期日 |
計画期間終了日の翌日から6か月経過後の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」
参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金ガイドブック(中途採用拡大コース)」(令和5年4月1日時点版)」
中途採用等支援助成金(UIJターンコース)
東京圏からの移住者を雇入れた事業主に対し、採用活動に要した経費の一部を助成する制度です。
支給要件 |
①採用活動に係る計画書を管轄の労働局に提出し、労働局長の認定を受けている ・募集・採用パンフレット等の作成・印刷 ③東京圏からの移住者を雇入れている
④デジタル田園都市国家構想交付金を活用して掲載した求人への応募により雇入れた ⑤雇入れ当初より雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇入れた
⑥継続して雇用すること(※)が確実であると認められる方を雇入れた
※対象労働者の年齢が原則として65歳以上に達するまで継続して雇用され、かつ、当該雇用期間が継続して1年以上であることをいいます。
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支給額 |
助成対象経費の合計額に、助成率を乗じた額を支給 【助成率】 ※助成金の上限はいずれも100万円 助成対象となる経費は、計画期間内の採用活動(支給要件②参照)で支払いの発生原因が生じ、支給申請書の提出日までに支払われた費用が対象。そのうち、説明会等の実施で発生した採用担当者の交通費と宿泊費は上限有 ・交通費の上限額 ・宿泊費の上限額 |
支給申請期日 |
計画期間の終期から2か月以内(※計画期間終期の時点で雇入れから6か月を経過していない場合、雇入れ日から6か月を経過する日の翌日から2か月以内) |
参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)」
(5)雇入れ関係の助成金
雇入れ関係の助成金は、下記の9つです。
・特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) |
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介によって継続雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成されます。
支給要件 |
①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介によって、雇用保険一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること |
支給額 |
【短時間労働者以外】 ・重度障害者等を除く身体・知的障害を持たれている方 ・重度障害等を持たれている方 【短時間労働者】 ・重度障害者等を含む身体・知的・精神障害を持たれている方 ※対象労働者1人あたりの支給額 |
支給申請期日 |
支給対象期の末日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
参考:厚生労働省「制度概要パンフレット」
特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
発達障害や難病を持たれている方を、ハローワーク等の紹介によって継続雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成されます。
また、雇入れた労働者に対する配慮事項等についての報告が求められたり、雇入れから約6か月後にハローワーク職員等が職場訪問を行なったりします。
支給要件 |
①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介によって、雇用保険一般被保険者として雇入れること |
支給額 |
【短時間労働者以外】 ・中小企業以外 【短時間労働者】 ・中小企業以外 ※対象労働者1人あたりの支給額 |
支給申請期日 |
支給対象期の末日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」
特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
就職氷河期に正規雇用の機会を逃すなどして、十分なキャリアを形成できず、正規雇用者となることが困難な方を、ハローワーク等の紹介によって正規雇用労働者として雇入れる場合に助成されます。
支給要件 |
①1968年(昭和43年)4月2日から1988年(昭和63年)4月1日までに生まれ、正規雇用労働者として雇用されることを望んでいる方を雇入れた |
支給額 |
・中小企業 ・大企業 ※対象労働者1人あたりの支給額 |
支給申請期日 |
支給対象期の末日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」
特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)
ハローワークや地方公共団体において、通算3か月を超えて被保護者就労支援事業による支援や生活困窮者自立相談支援事業による就労支援等を受けている生活保護受給者や生活困窮者を、ハローワーク等の紹介によって継続雇用する労働者として雇入れる事業主に対して助成されます。
支給要件 |
①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介によって、雇用保険一般被保険者として雇入れること |
支給額 |
【短時間労働者以外】 ・中小企業以外 【短時間労働者】 ・中小企業以外 ※対象労働者1人あたりの支給額 |
支給申請期日 |
支給対象期の末日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)」
特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)
特定求職者雇用開発助成金は「成長分野」と「人材育成」の2つの助成メニューがあります。
「成長分野」メニューは、高年齢者や障害を持たれている等の就職困難な方をハローワーク等の紹介によって雇入れて、「情報処理・通信技術者」「研究・技術の職業」等の「成長分野の業務」に従事させ、人材育成や職場定着に取り組むと助成されます。
「人材育成」メニューは、未経験の就職困難者をハローワーク等の紹介によって雇入れて、人材開発支援助成金による人材育成を行い、賃上げを行った場合に助成されます。
支給要件 |
【「成長分野」「人材育成」共通の要件】
【「成長分野」の要件】 【「人材育成」の要件】 |
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支給額 |
【短時間労働者以外】 ・身体・知的障害、発達障害、難治性疾患を持たれている方 ・重度障害等を持たれている方 【短時間労働者】 ・障害、発達障害、難治性疾患を持たれている方 ※対象労働者1人あたりの支給額 |
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支給申請期日 |
支給対象期の末日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
職業経験の不足などから就職困難な求職者等を、無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間トライアル雇用(試行雇用)する事業主に対して助成されます。
支給要件 |
①対象労働者がハローワークまたは民間の職業紹介事業者等に求職申込みをしていること ・ハローワーク等の職業紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している ④対象労働者をハローワーク等の紹介によって雇入れること |
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支給額 |
支給対象者1人につき月額4万円 ※支給対象期間は1か月単位の最長3か月間 【※】
A=(支給対象者が1か月間に実際に就労した日数)÷(支給対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数) |
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支給申請期日 |
トライアル雇用終了日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」
トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース)
トライアル雇用助成金は、「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」の2つがあります。
「障害者トライアルコース」は、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介によって就職が困難な障害者を一定期間雇用することにより、適性や業務遂行可能性を見極め、求職者との相互理解の促進に取り組む企業に支給される助成金です。
「障害者短時間トライアルコース」は、障害者を継続雇用する労働者として雇用することを目的に、週の所定労働時間を10時間以上20時間未満として一定期間試行雇用し、障害者の状況や体調等に応じて同期間中に20時間以上の労働を目指す企業に助成されます。
支給要件 |
【障害者トライアルコース】 ・ハローワーク等の職業紹介日において就労経験のない職業に就くことを希望している ②対象労働者をハローワーク等の紹介によって雇入れること 【障害者短時間トライアルコース】 |
支給額 |
※支給対象者1人あたりの支給額 【障害者トライアルコース】 【障害者短時間トライアルコース】 |
支給申請期日 |
障害者トライアル雇用終了日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
同意雇用開発促進地域や過疎等雇用改善地域など、雇用機会が特に不足している地域等の事業主が事業所の設置・整備を行い、その地域に居住する求職者等を雇い入れる場合、設置整備費用と対象労働者の増加数に応じて1年ごとに最大3回助成されます。
支給要件 |
【1回目の支給】 【2回目・3回目の支給】 |
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支給額 |
※上表の金額が1年ごと最大3回支給される |
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支給申請期日 |
計画完了日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」
産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)
新型コロナウイルス感染症の影響等で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、新事業への進出等の事業再構築を行うために必要な人材の受け入れを助成する制度です。
支給要件 |
①令和5年4月1日以降に中小企業庁の実施する「事業再構築補助金」の応募書類を提出し、交付決定を受けていること ・専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する者 ⑥対象労働者の賃金が1年間に350万円以上(毎月決まって支払われる基本給および諸手当に限る)であること |
支給額 |
・中小企業 ・中小企業以外 ※対象労働者1人あたりの支給額 |
支給申請期日 |
支給対象期の末日の翌日から2か月以内 |
参考:厚生労働省「産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)」
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