AIなどのデジタル技術の発展はさまざまな業務の効率化につながっており、採用活動においても活用することで、大きな効果を得られる可能性が高いです。
AI採用は、AIを活用した採用活動を意味し、現在人事業界で注目を集めています。
この記事では、AI採用が注目を集めている理由や市場動向、メリット・デメリット、活用例、導入ステップ、代表的なAIサービスをまとめているため、ぜひご参考にしてください。
この記事でわかる事 |
・AI採用のメリットとデメリット ・AI採用の採用フロー別および業界別の活用例 ・AI採用を導入するステップ ・採用フロー別代表的なAIサービス |
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1.AI採用とは?基礎知識と市場の現状 |
AI採用の意味やAIの概要、またAI採用市場の動向について解説します。
AI採用が注目を集めている理由についても、併せてご確認ください。
(1)AI採用とは
AI採用とは、AI(人工知能)を活用して採用活動を行うことです。
AIとは、「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略で、人間の理解や認識、思考など、脳内で行われていることをコンピューターが学習し、再現する技術を指します。
日本語で「人工知能」を意味するAIを採用活動に活用すると、スカウトメールの作成や面接などをAIで対応できるため、業務効率化を図ったり、ミスマッチの防止につながったりします。
(2)AI採用市場の動向
Thinkings株式会社の「2023年度の採用活動におけるAI活用の効果調査」によると、AI採用を行った企業の割合は43.0%、活用した業務は求人票の制作が60.5%、スカウトとWEB面接が31.4%でした。
また、株式会社マイナビの「転職動向調査2024年版(2023年実績)」においても、AI面接を受けたことがあると答えた転職者の割合が17.7%あり、現在ではさまざまな採用フローにAIが活用されていることがわかります。
厚生労働省も、ハローワークでAIの活用を検討する動きを見せており、今後AI採用のさらなる活発化が予測されるでしょう。
AI採用が注目を集めている理由
AI採用が注目を集めている理由として、労働力不足とAIの発展が挙げられます。現在の日本は少子化の影響で労働力人口が減少し続けています。限られた労働力で企業が成果を出し、成長するには、AIを活用して業務効率化を図ることが求められます。
AIの発展はすさまじく、活用シーンが広がったり、アウトプットの質が向上したりしているため、重要な業務である採用活動にも大きな効果が期待できます。
2.AI採用のメリットとデメリット |
AI採用のメリットとデメリットを以下にまとめました。
導入に踏み切る前に、メリットとデメリットを把握しておきましょう。
(1)AI採用のメリット
AI採用には、以下のようなメリットがあります。
・公平に評価できる |
公平に評価できる
採用担当者や面接官といった「人」が対応すると、経験やノウハウ、固定観念やバイアス(偏見)によって、求職者の評価に違いが出ることがあります。
コンピューターであるAIを活用すれば、経験やバイアスに左右されず、データに基づいた公平な評価を下せるでしょう。
業務の効率化につながる
採用活動では、求人票やスカウトメールの作成、書類選考、面接など、多様な業務があるため、人的リソースが少ない企業には負担となりやすいです。
AI採用を行った場合、採用業務の一部をAIに任せたりサポートを得たりして効率化を図ることができ、採用担当者の負担軽減につながります。また、AIにノンコア業務を対応してもらえばコア業務に集中できて、自社ならではの魅力ある採用活動を行えます。
求職者の面接率が上がる
面接官が対応する面接の場合、求職者と面接日程を調整しなければならず、実施までに時間を要したりやり取りの手間が生じたりします。また、現職の仕事で忙しい求職者や遠方の求職者にとっては、都合をつけたり、移動したりすることが負担となるでしょう。
AI採用の取り組みのひとつであるAI面接を実施すると、インターネット環境があれば場所や時間を問わずに面接を行えて求職者の負担を軽減できるため、面接率が向上するメリットがあります。
人的ミスを防げる
人間が行う業務は、そのときの体調や感情によって成果の質に違いが出る可能性が高いです。状況によってはミスやトラブルを引き起こし、大きな問題となることもあるでしょう。
コンピューターであるAIを活用すれば、評価や判断に体調や感情の影響を受けることがなく、人的ミスが起こらないため、ネガティブな事態が発生するリスクを抑えられます。
(2)AI採用のデメリット
AI採用には、下記3つのデメリットもあります。
・運用効果を得るには時間がかかる |
AIは便利な技術ですが、適切に使わないとマイナスの影響をもたらす恐れがあるため、注意が必要です。
運用効果を得るには時間がかかる
AI採用を効果的なものにするには、採用に関するデータをAIに学習させ、精度を高めることが必要です。
AIに豊富なデータを学習させることが精度の向上につながりますが、大量のデータ収集が求められるため、AIの運用効果を得るには時間がかかります。
効果が出ないからとすぐに活用をやめてしまわないように、AIの特徴を理解しつつ、長期的な目線で取り組むことが大切です。
自社に合う人材を逃す恐れがある
マッチング精度の向上に期待ができるAI採用ですが、頼りすぎてしまうと自社に合う人材を逃す恐れがあります。
AIの判断基準は蓄積されたデータのため、データ外の魅力を考慮した判断を下せません。求職者の人間性や人柄を見抜くこともまだ難しいです。採用担当者がAIに業務を任せきりになると、求職者とのコミュニケーションが減り、AIが判断できない魅力や人間性のよさを見落としてしまいます。
自社に合う人材を逃さないためにも、要所要所で人間が求職者を見て、判断することが重要です。
AI採用を快く思わない求職者もいる
求職者のなかには、AI採用を快く思わない方もいる点に注意が必要です。
前述の株式会社マイナビの「転職動向調査2024年版(2023年実績)」によると、AI面接の実施に「受験意欲が下がる」と回答した割合は62.8%でした。理由の上位は「AI(機械)に判断されたくないから」34.0%、「人に評価してほしいから」32.7%で、機械が評価することにネガティブな感情を抱く求職者が多いことがわかります。
AI採用を行う際には、AIを活用する理由や、人間が最終判断を下していることなどを明示し、求職者の理解を得ることが求められます。
3.AI採用の活用例:採用フロー別・業界別 |
AI採用がどのように活用できるのか、採用フロー別および業界別にご紹介します。
(1)採用フロー別AI活用例
AIは、以下のような採用フローで活用できます。
・ターゲットの抽出とアプローチ |
ターゲットの抽出とアプローチ
スカウトメールを送付する際には、自社が求める人材を精度高く抽出することが必要です。求職者に応募したいと思われるような、魅力的な文面の作成も求められます。AIを活用すると、適切な人材の抽出や効果的なメール文面の作成ができるため、応募数の増加につながるでしょう。
また、利用する求人媒体に自社とマッチする求職者に対して自社の求人広告を表示する機能がある場合、AIによって、よりマッチ度の高い求職者に表示され、アプローチ効果が高まります。
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書類選考
書類選考にAIを活用すると、効率的なスクリーニングが可能です。AIにいままでの採用者、不採用者の応募書類や自社の採用条件を学習させることで、AIが自動で書類選考の合否判断を下せるようになります。
AIに応募書類を学習させる際には、個人情報や機密情報を入力しないよう、十分な注意が必要です。AIは入力されたデータを学習し活用するため、個人情報等が含まれたアウトプットをして、情報が漏洩する恐れがあります。
面接
AIが求職者と面接するAI面接は、求職者や面接官の手間の削減につながります。AIは、質の高い質問をしたり求職者の声・表情を読み取ったりして、人材を評価します。
また、通常の面接にもAIを活用することが可能です。面接の様子を録画しておき、AIに録画データを分析させることで、客観的な評価を得られるでしょう。
求職者対応
採用活動では、求職者からの問い合わせに対する返答や、面接・面談の日程調整も行います。細かい求職者対応は必要ではありますが、あまりに時間を割きすぎるとリソース不足となり、コア業務に注力できません。
AIは求職者対応にも活用でき、例えば求職者からの質問にはチャットボットで対応し、日程調整を自動で行うことが可能です。
(2)AI採用の業界別活用例
AI採用は、さまざまな業界で活用されています。
次の3つの業界での活用例をご紹介します。
・IT業界 |
IT業界の活用例:AI面接官による候補者の評価
AI面接官を利用すると、オンライン面接中に候補者の言葉や表情を解析し、職務適性を測ることが可能です。
リモートワークが多く、オンライン面接の活用が進んでいるIT業界では、求職者に対するAI面接官の評価機能が役立つ可能性があります。
小売業界の活用例:顧客対応力の測定
AIによる感情認識技術の「Cogito(コギト)」は、音声解析と感情認識を活用し、顧客対応のスキルを評価できるツールです。
コールセンターなどに導入されている感情認識AIを採用における適性検査に取り入れると、電話応対中の顧客の感情や反応を分析し、求職者がどのように顧客心理に対応したかを評価できます。
金融業界の活用例:リスク耐性やストレス耐性のチェック
AI面接システムの「HireVue(ハイアービュー)」は、求職者の行動データや心理的特性をAIが解析し、信頼性やストレス耐性を評価できます。
信頼に足る、自社に適した人材をAIで見極める技術の活用は、リスク管理が求められる金融業界での採用に役立つとされています。
4.AI採用を導入するステップ |
AI採用を導入するには、以下の3つのステップがあります。
・採用におけるAIの活用方法を策定する |
AIを採用活動で効果的に活用できるように、ステップとポイントを押さえておきましょう。
(1)採用におけるAIの活用方法を策定する
採用活動でAIをどのように活用するかを策定します。AIにどこまで任せるか、人間が行うべき業務は何かを明確に線引きし、採用メンバー間で認識を統一しておくことが重要です。
例えば、面接日程調整などのノンコア業務はAI、最終面接など求職者と関わる重要な場面は人間が対応というようなわけ方ができます。
自社の人的・予算的リソースから、AIの活用割合を検討していきましょう。
(2)AI採用ツール・手法を選定する
自社に導入するAI採用ツールや手法を選定します。選定時には、ツールの透明性や公平性、サポート体制、他システムとの連携、そして自社の目的を達成できるかなどを確認することが重要です。
ツールの導入後は、AI採用の運用体制の整備や、採用フローの再確認を行います。また、AIが自社に適した判断を下せるように、データを収集して学習させていきます。
(3)導入効果を検証してPDCAを回す
AI採用を導入した効果を検証し、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回していきます。効果を検証し、改善を重ねることで、AI採用の効果をさらに高めることができます。
一方で、AIに頼りすぎると、求職者と真摯に向き合うことを忘れたり、求職者の見えない部分を見落としたりする恐れがあるため、依存しすぎないように注意が必要です。
5.採用フロー別代表的なAIサービス |
AI採用に活用できるサービスは多岐にわたります。
採用フロー別に、代表的なAIサービスを6つご紹介します。
・AIスクリーニング |
(1)AIスクリーニング
AIスクリーニングとは、AIが応募書類を分析し、求職者を選別する技術です。採用担当者が一人ひとりの応募書類を確認するのは手間が生じ、疲労によって正しい判断ができなくなる恐れもあります。
AIスクリーニングを活用すると、AIが自動で次の選考に進む人材を選別してくれるため、時間短縮や採用担当者の負担軽減につながります。
ただし、スクリーニングの設定やAIの使い方を誤ると、選別の精度が落ちる可能性がある点に注意が必要です。
(2)AIマッチング
AIマッチングは、求職者が検索したワードをそのままではなく、より広い意味で認識することで、より自社にマッチする求職者を選定できるサービスです。例えば、求職者が「スキルアップできる職場」と検索した場合、「研修制度が充実」などのワードを含む求人も該当するため、自社の求人を見てもらえる可能性が高まります。
「セマンティック検索」と呼ばれるこの仕組みを活用すると、自社が求める人材の効率的な抽出が可能です。
(3)AIチャットボット
AIチャットボットとは、採用担当者の代わりに24時間365日、求職者対応をしてくれるサービスのことです。求職者からの質問に自動で答えるだけでなく、求職者が入力したデータの収集もできるため、その後の採用活動に活かすことも可能です。
求職者に即時対応できるAIチャットボットは、求職者の満足度を向上させ、採用担当者の対応漏れのリスクを減らすことができます。
(4)AIスケジューリング
AIスケジューリングは、求職者との面接日程などをAIが自動で調整してくれるサービスです。連携しているカレンダーアプリなどからAIが採用担当者や面接官のスケジュールを確認し、求職者とのメールやサービスの専用ページの内容から最適な日程を組んでくれます。
日程調整をAIに任せることで、面接日を迅速に設定でき、スケジュールの重複を防ぐことができます。
(5)AI面接
AI面接は一般的に、求職者が決められた質問に答えていくオンライン型の面接です。面接中の姿は録画されるため、求職者の回答内容のほか、表情や視線、話し方などの情報をAIが分析し、性格特性やパフォーマンスの評価を面接評価レポートに落とし込んで可視化してくれます。
オンライン上でコンピューターが実施するAI面接は、求職者が自分のタイミングで面接に臨むことができるため、求職者の面接参加率を大幅に向上させる可能性があります。
(6)AI性格テスト・適性診断
AIによる性格テストや適性診断は、求職者の自社へのマッチ度や能力の把握につながります。ミスマッチを防ぐには求職者と自社との相性を見極めることが重要なため、AIを活用したテストを実施すると精度を高められるでしょう。
また、採用活動の前に従業員にテストを実施し、自社に不足している特性を持った人材を把握しておくことで、選考時に必要とする人材をスムーズに選定できます。
6.まとめ |
AI面接やAIマッチングなど、さまざまなAIサービスを活用したAI採用は、現在注目を集めており、導入する企業が増加しています。
AIの活用は便利で効率的ですが、求職者に「機械的で冷たい」といったネガティブな印象を与える可能性があるため、採用フローに応じて人間が対応することが重要です。
採用活動の質を向上させるために、AIの機能と人間の独自の強みをうまく組み合わせていきましょう。
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